今年2025年は敗戦80年、来年2026年は元号を信奉する人々にとっては「昭和100年」という年になるらしい。政府は内閣官房「昭和100年」関連施策推進室を設け、「昭和元年(1926年)から起算して満100年を迎える2026年に政府主催の記念式典を挙行するとともに、『昭和100年』の機運を盛り上げるための施策を推進する」としている。
政府が「昭和」を語る際によく枕詞のように使われる言葉がある。それは昭和天皇裕仁の誕生日4月29日を「昭和の日」として祝日化した時のその趣旨「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」だ。
日本政府と天皇の軍隊による侵略戦争と台湾・朝鮮半島に対する植民地支配、アジア各地における軍事支配は、1945年の敗戦によってようやく止めことができた。その過程で行われた取り返しのつかない数々の暴力・殺戮・略奪・破壊、強制連行・強制労働…。それらを「激動の日々」と片付けてしまう政府が「昭和100年」を記念するというのだ。
そして、その取り返しのつかない暴力・殺戮・略奪・破壊、強制連行・強制労働等々、による被害者への、謝罪も賠償もなきものとしたからこそ成就した「復興」という戦後の歴史がある。政府はその「復興」をこの国の「自信」・「誇り」に繋げていくつもりだ。それだけではない。昭和天皇裕仁のメッセージから始まる日米安保の下で、米国とともに歩む戦争国家はますます巨大な軍事国家に成長している。その一方で、その日本を「平和」国家であると勘違いさせる言論はこぼれるほどにある。
だから、政府・マスメディアが作り出す「戦後80年」・「昭和100年キャンペーン」に抗する、あるいは別の視点から歴史や社会を考えるための言論が切に必要であり、求められている。本ページでは、政府が隠蔽し、なきものとしたい歴史や批判言論を、何度でも確認するために、多くの人による対抗言論を紹介していきたい。乞うご期待。
・メディアの歴史認識が問われる「昭和100年」/中嶋啓明【NEW】
・「戦後80年」天皇による「慰霊の旅」は天皇制の自己保身の旅/鉄火場宏【NEW】
・「民族の記憶」としての「昭和100年祭」に抗するための助走/太田昌国
・「歴史否定」を市民力で克服:竹内康人『朝鮮人強制労働の歴史否定を問う 軍艦島・佐渡・追悼碑・徴用工』/志水博子
*敗戦80年・「昭和100年」キャンペーンへの対抗言論を!/編集部