2025年度JCA-NET総会議案書
2025年6月22日の総会で承認されました。
Table of Contents
- 1. 2024年度(2024年4月〜2025年3月)の政治・社会の状況とJCA-NETの取組み
- 2. JCA-NETの活動
- 2.1. 集会などの主催、共催、JCA-NET単独の声明、行動など
- 2.2. サイバースパイ・サイバー攻撃法案関連
- 2.3. セミナー
- 2.4. 国際連帯
- 2.4.1. (共同声明)大量監視と暗号化の脆弱化の問題の議論がEU理事会に依然として残されている
- 2.4.2. 共同声明:スーダンにおける電気通信の遮断:紛争当事者は、集団的懲罰をやめ、命を救うための電気通信へのアクセスを可能にしなければならない
- 2.4.3. (Google経営陣宛書簡)ムスリム、アラブ人、パレスチナ人に対する検閲と差別をやめるべきだ
- 2.4.4. (韓国の市民社会団体共同声明)私たちは、韓国およびその他の政府に対し、人工知能のリスクから市民の安全 と人権を守るための強固な国際規範を策定するよう強く求める
- 2.4.5. EU CSAM に関する2024年5月EU妥協案の危険性に関する共同声明
- 2.4.6. #KeepItOn バングラデシュ政府はインターネットアクセスを回復し、学生の抗議行動中の接続性を確保せよ
- 2.4.7. (国際共同声明)マイクロソフトによるパレスチナ人のスカイプとEメールアカウントの不当なブロッキングを非難する
- 2.4.8. (国際共同声明)モーリタニア政府は22日間にわたりインターネット遮断したが、常にネット接続維持#KeepItOnを約束すべきだ
- 2.4.9. (共同公開書簡)ケニア政府はデモ参加者のデジタル上の権利に対する攻撃をやめ、公共の安全と法の支配を確保すべきである
- 2.4.10. テクノロジーを駆使したベネズエラの政治的暴力に関する公開書簡
- 2.4.11. 中国での日本軍性暴力被害者及び遺族の提訴を受け、日本政府に謝罪と賠償を求める声明
- 2.4.12. アラア・アブド・エル=ファッタさんは今月中に刑期満了で釈放されるべきである
- 2.4.13. 通信デバイスへの妨害行為とそれに起因する人道的危機に関する市民社会共同声明
- 2.4.14. NGOによる共同声明 「停戦を、今すぐに。」
- 2.4.15. グローバル暗号化デー2024声明
- 2.4.16. #KeepItOn:モザンビーク当局は、抗議活動中のインターネット遮断を常態化させるのをやめるべきである
- 2.4.17. (国際共同声明)パレスチナとレバノンにおけるジャーナリストの標的と殺害に関する声明
- 2.4.18. (共同声明)タンザニア政府およびインターネットサービスプロバイダー(ISP)は、2024年の地方選挙まで、オープンで安全なインターネットアクセスを確保しなければならない
- 2.4.19. (共同声明)韓国の尹大統領は辞任すべきであり、韓国政府はメディアへの弾圧と知る権利の侵害をただちに中止せよ
- 2.4.20. 団体共同声明への賛同を呼びかけます「私たちは尹錫悦政権退陣民主化闘争に連帯します」
- 2.4.21. (中国)ウェブ活動家の阮曉寰さん、2審も有期刑7年の判決
- 2.4.22. #KeepItOn:当局はゴマおよびコンゴ民主共和国全域でのアクセスを復旧すべきである
- 2.4.23. 英国政府によるエンド・ツー・エンド暗号化を標的とした捜査権限法の使用に関する共同書簡
- 2.4.24. 今こそデジタル正義のために行動を起こす時だ
- 2.4.25. 共同声明:壊滅的な地震災害にあるなかで、ミャンマー軍事政権はインターネット規制を解除すべきである
- 2.4.26. スウェーデンの電子情報保存およびアクセスに関する法律に関する共同書簡
- 2.5. 国際司法裁判所文書翻訳プロジェクト
- 2.6. JCA-NETのインターネットサービス関連
- 2.7. ちらし「JCA-NETに参加しませんか?」の作成
- 3. APCの動き
- 4. 2025年度活動方針案
- 5. 規約への追加事項
- 6. 理事・監事改選について
1. 2024年度(2024年4月〜2025年3月)の政治・社会の状況とJCA-NETの取組み
1.1. 安保防衛3文書からサイバースパイ・サイバー攻撃法へ
2022年12月に、岸田政権は安保防衛3文書と呼ばれる新たな安全保障政策を策定した。このなかで、従来の専守防衛の枠組を大きく転換して敵基地に対する反撃能力、あるいは先制攻撃能力を保有することを明記し、これらと連携して「能動的サイバー防御」が打ち出された。これは、サイバー領域における先制攻撃を正当化するものといえた。
その後2024年6月にサイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議が設置され、サイバー領域における国家安全保障体制の法制化に向けた具体的な検討が開始された。この有識者会議では「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」ことを目標として、官民の情報共有の強化、通信情報の収集、政府によるサイバー攻撃の合法化を柱とする法整備の検討が政府主導で急ピッチで行なわれ、24年11月末にはサイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言が取り纏められた。
2025年3月、政府はこの有識者会議の提言をほぼ踏襲する形で法案を提出し、衆参の審議を経て5月に成立した。
本法は、民間事業者からの情報収集の協力体制を強化するとともに、海外における当事国の許諾を得ない手法での情報収集をも認めている。これらの情報収集の対象になりうるネットのユーザーへの告知や許諾などは必要のないものとされ、通信の秘密の侵害が明確な内容となっている。同時に、こうした情報収集を前提としてサイバー領域における先制攻撃を合法化することも盛り込まれた。警察と自衛隊についても、従来の警職法や自衛隊法を改正してサイバー領域における権限を大幅に拡大するものとなった。
こうして本法は、通信の秘密を侵害し、令状なしでの情報収集を認めるなど、憲法の人権条項を侵害するものでもあった。政府はサイバー攻撃の深刻さをキャンペーンし世論の不安感情を煽り、重要インフラの防御のためには情報収集と先制攻撃しかないという主張を繰り返した。
JCA-NETは有識者会議の提言や法案について繰り返し批判の声明を出すとともに、市民団体などとも連携して法案の廃案を要求する集会を重ねた。また、野党に対するロビーイングも行なったが、有力野党はいずれも廃案という判断を下すことができなかった。
廃案運動を通じて、「サイバー領域」への理解を得るための特段の努力が必要であることも痛感され、院内集会やオンラインを通じて、法案の内容のわかりにくさを率直に出しあって議論する場などを設けた。とはいえ、サイバー領域を戦争に巻き込もうとする政府の思惑が戦争をより現実的なものとする危機を招くにもかかわらず、こうした戦争の危機は十分に理解されなかった。
反戦平和運動などにおいても、サイバー領域が私たちの日常の必需品でもあるスマホやパソコンの世界でありながら、その戦争との関係や政府などによる監視の問題を切実な課題として理解してもらえるようにJCA-NETとしても取り組むところまではいかなかった。
(具体的なJCA-NETの取組みについては「JCA-NETの活動」の項を参照)
1.2. ガザ戦争とビッグテックの戦争犯罪
2023年10月7日のハマースによるイスラエル領内への攻撃をきっかけにイスラエルがガザ地区に対して開始した戦争は、現在に至るまで収束しないまま、文字どおりジェノサイドといえる状況が続いている。
イスラエルのガザへの攻撃に関しては、サイバー領域の戦争として、これまでにない様相を呈してきた。一つには、ガザへの空爆がイスラエルが長年にわたって蓄積してきたガザ住民の膨大なデータやリアルタイムでの動静データなどを基にして、Google、Amazon、Microsoftなど米国のビッグテックのクラウドやAIサービスを利用しながら、計画的な殺害を繰り返してきた点が挙げられる。サイバー戦争が実空間での殺戮と密接に関わる具体的な事例となった。
第二に、X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSが情報戦に利用されてきたことも明かになった。イスラエルのパレスチナ系住民によるイスラエル批判の発信が抑制あるいは検閲される一方で、反パレスチナ感情を扇動する投稿が野放しにされる事態が起き、こうした投稿と拡散のアルゴリズムにビッグテックによる作為的な操作があったことも明かになった。
こうした状況に対して、米国のビッグテックで働く技術系の労働者たちのなかからも、イスラエルのジェノサイドとアパルトヘイトに加担する自らが働く企業のあり方に対して、経営陣への厳しい批判や異議申し立ても続いた。企業側は解雇など強硬な姿勢をみせる一方で、当事者の労働者とともに支援に立ち上がる人々が世界的な連帯と支援を展開して現在に至っている。JCA-NETも国際共同声明への連名などで支援の意思表示をしてきた。
イスラエル国内のマイノリティでもあるパレスチナ人を支え、イスラエル国内からガザでのジェノサイドを糾弾してきた人権団体の存在は大きい。JCA-NETが加盟するAPCのメンバー団体7amleh - ソーシャルメディア推進のためのアラブセンターは94年9月に「パレスチナ人のデジタルの権利、ジェノサイド、そしてビッグテックの説明責任」を公表し、AIを用いた戦争の実態や、検閲、偽情報の拡散、ネットの遮断などについて詳細な報告を公表した。JCA-NETはこの報告書を日本語訳にして公表した。
なおJCA-NETの独自の取組みとしてフランスで制作された映画「10月7日からのガザ」ノオンライン上映会を毎月開催してきた。
(具体的なJCA-NETの取組みについては「JCA-NETの活動」の項を参照)
1.3. 頻発するネット遮断や規制
グローバルサウスの地域を中心に、政権基盤が不安定になったり選挙が近づくにつれて、政府がインターネットへのアクセスを規制したり遮断することが度々起きている。2024年度もこうした深刻な状況が続いた。JCA-NETはネット遮断と闘う国際的なネットワーク#KeepItOnの加盟団体として、遮断への国際的な抗議声明に賛同団体として署名してきた。
ミャンマーにおける軍事政権による通信遮断については、国際共同声明に署名すると同時に、通信事業を展開しているKDDIにも声明を送付してネット遮断に加担しないよう要求し、また、外務省にも声明を告知した。
韓国においても2024年12月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)元大統領による戒厳令の宣言(6時間ほどで収束)の間に、対立する議員宛のメールを「文字テロ(メールテロ)」と称して規制しようとしたり、民主労総のウエッブへの閉鎖命令が出されるなど、短時間で多くの言論弾圧が行なわれていたことが明らかになった。JCA-NETは韓国の進歩ネットワークなどが出した声明に賛同し連帯を表明した。
このほか中国やエジプトなどでも人権活動家への弾圧が続いており、こうした状況についても関心をもち、不十分とはいえ日本語での情報発信に努めてきた。
(具体的なJCA-NETの取組みについては「JCA-NETの活動」の項を参照)
1.4. 欧米諸国は暗号規制に向うか
2024年度もプライバシーの権利を重視するとされてきた諸国においても、暗号化を弱体化させようとする動きが活発だったといっていいだろう。EUはいわゆるチャットコントロールと呼ばれる暗号規制の導入をめぐる攻防が続いている。英国では、捜査権限法に基いてApple社のiCloudの暗号を弱体化させる措置をとり、訴訟に発展している。スウェーデンやブラジルでも暗号の弱体化を試みる法案が提出された。こうした動きに対して、各国のプライバシー団体やJCA-NETも参加してるグローバル暗号化連合は繰り返し抗議と批判の意思を表明してきた。また、毎年10月21日に開催されるグーバル暗号化デーにはJCA-NETも月例セミナーの企画として参加した。
日本政府は、2020年10月11日に英国、米国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、インドとともに「エンドツーエンド暗号化及び公共の安全に関するインターナショナル・ステートメント」の署名国となっており、捜査機関等が解読できない暗号の自由な使用に規制をかけることを提言している。5年前のこの声明に追加で賛同する国も増えており、サイバースパイ・サイバー攻撃法が成立した現在、あらためてこの声明が実効性をもって国内法の改悪のための口実に利用されるおそれが増している。
(具体的なJCA-NETの取組みについては「JCA-NETの活動」の項を参照)
1.5. ビッグテックのサービスからの離脱
ガザ戦争のなかで、ビッグテックがジェノサイドやアパルトヘイトに果している役割が知られるようになり、また、米国大統領選挙における米国ビッグテックのトランプ政権支持のあからさまな振舞いも目の当たりにすることになった。しかし、他方で、こうしたビッグテックのサービスへの依存という現実には大きな変化は生まれていない。
社会問題に関心をもつネットユーザーの多くはビッグテックの政治的な姿勢や戦争への加担に批判的だと思われる。しかし、自分たちの価値観により近いオルタナティブへの切り替えが進まない現状に挑戦するため、JCA-NETとして、月例のセミナーで繰り返しオルタナティブの選択肢を示してきた。またGoogleからの離脱、という具体的な目標を設定したワークショップも実施した。とはいえ、こうした取組みは、現状を変えるほどの波及力をもつには至っていない。
1.6. 国連サイバー犯罪条約をめぐって
国連では5年をかけてサイバー犯罪の取り締まりに関する国際条約の制定を検討してきた。そして2024年12月の国連総会で条約が採択された。[注]この条約について、JCA-NETは再三にわたり国連での動きに注目し、採択に向けた動きについても、政府に対して反対するように働きかけてきた。日本政府はまだ批准の手続きをとっていないが、今後の動きを注視し批准しないよう働きかけを続ける必要がある。
1.7. マイナンバーカードをめぐる動き
「税と社会保障と災害対策」の3分野限定利用からスタートしたマイナンバ−制度は、この10年、法改悪を重ねて大きく姿を変えた。デジタル化の進行のなかでプライバシー権など基本的人権を侵害する番号制度となっている。
2023年6月2日に改悪番号法が成立、マイナンバーの利用事務を社会保障・税・災害対策の3分野以外に拡大し、マイナ保険証との一体化も決まった。今国会5月に成立したマイナンバー利用拡大法で国家資格管理への利用拡大や外国人の在留資格管理、武力攻撃事態における国民保護などの利用が新設された。
ほぼ全住民にマイナンバーカードを所持させるために「マイナ保険証一本化」が打ち出されたが、他にも運転免許証との一体化や自治体サービスとの連携などマイナンバーカードをデジタル社会のパスポートとして位置付けている。今後、マイナンバーカードが本人確認の唯一の手段とする流れが懸念される。
全国8地方で取り組まれたマイナンバー違憲訴訟は、10年近くに及んだが、3月9日最高裁において合憲判決が出されてしまった。自己情報コントロール権を認めない判断は世界の流れからもずれている。国はプライバシーにかかわる個人情報を集約・利用する体制をさまざまな分野でさらに進めるものと思われる。
こうした流れのなかで抵抗できるのがマイナ保険証ではないだろうか。廃止か健康保険証との併用を望む声が大きい。渋谷区と世田谷区がマイナ保険証の有無にかかわらず、国保全員に「資格確認書」を交付するとした対応を、福岡厚労大臣は「自治事務なので自治体の判断になる」と容認している。国からこうした答弁を引き出したことは大きい。
現在マイナンバーカードの保有数は78.6%、この内マイナ保険証への登録が60%だが、利用率は4月時点でも28.65%と低迷している。登録解除は今月までに約9万8千件に上る。マイナ保険証を使いたくない理由として本人同意のないまま機微情報である医療情報が共有されることへの不安感が大きいと言われている。プライバシー保護を置き去りにしたまま市民を把握し管理できるマイナンバー制度は、国家のデジタル監視システムに組み込まれている。
2. JCA-NETの活動
2.1. 集会などの主催、共催、JCA-NET単独の声明、行動など
2.1.1. 6・15強行採決から7年 改めて共謀罪を問う集い-監視社会にNO!を
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/365
6 月 15 日(土)18 時 30 分~ 20 時 45 分(開場 18 時~)
⬛会場 文京区民センター 2 A集会室
共催:共謀罪 NO !実行委員会/「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
許すな!憲法改悪・市民連絡会/日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
共謀罪対策弁護団/秘密保護法対策弁護団/日本消費者連盟/憲法会議 ■賛同団体/共通番号いらない!ネット/JCA-NET/平和を作る大和市民の会/経済安保法に異議ありキャンペーン
2.1.2. 在沖米軍による性暴力事件と情報隠蔽を許さない! 外務省正門前スタンディングにご参加を
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/367
呼びかけ団体として参加。
2.1.3. JCA-NET声明:国連サイバー犯罪条約に反対します
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/388
2024年9月9日
ぜひ賛同団体になってください「共同声明:国連サイバー犯罪条約に反対します
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/391
(参考)(Human Rights Watch)EU 加盟国は国連サイバー犯罪条約に「ノー」を突きつけるべきである
2.1.4. Xからの離脱相談会(2025年2月5日:要予約)
2.1.5. 9・11茨城育樹祭ビラ弾圧への抗議声明
2.2. サイバースパイ・サイバー攻撃法案関連
2.2.1. (共同声明)サイバースパイ・サイバー攻撃法案(サイバー安全保障関連法案)の廃案を要求します―サイバー戦争ではなくサイバー領域の平和を
2.2.2. 3・16シンポジウム:インターネット監視・先制サイバー攻撃法案に反対する
文京区民センター3A集会室
■パネラー
●青木理さん(ジャーナリスト)
●小倉利丸さん(JCA‐NET理事)
●海渡雄一さん(秘密保護法対策弁護団)
呼びかけ団体(3月9日現在)
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、共謀罪NO!実行委員会、
許すな!憲法改悪・市民連絡会、経済安保法に異議ありキャン
ペーン、平和をつくり出す宗教者ネット、ふぇみん婦人民主ク
ラブ、ND配備反対ネットワークかわさき、秘密法と共謀罪に反
対する愛知の会、秘密保護法対策弁護団、東京地域ネットワーク
JCA-NET
2.2.3. 4月1日(神奈川)学習会:サイバースパイ・サイバー攻撃法案
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/448
■法案の解説 小倉利丸さん
■かながわ県民センター604会議室
主 催 JCA-NET /共同行動のためのかながわアクション
2.2.4. 4・2 4・3インターネット監視・サイバー先制攻撃法案反対!徹底審議を求める緊急国会行動にご参加ください
■呼びかけ
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
共謀罪No!実行委員会
許すな!憲法改悪・市民連絡会
破防法・組対法に反対する共同行動
JCA-NET ほか
■日時 場所
●4月2日(水)11時30分~13時
衆議院第二議員会館前
●4月3日(木)11時30分~13時
同
●4月4日、採決の場合は、行動を継続します。
2.2.5. 4月15日参議院緊急院内集会・サイバー安全保障(能動的サイバー防御等)関連法案廃案に向けた討論集会
日時 2025年4月15日(火)16時半から(16時から会館入口で入館証を配布します)
場所 参議院議員会館 B-102会議室
参加費 500円*
発言者 池田五律(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)、としまる(JCA-NET) ほか
主催 共謀罪NO!実行委員会 JCA-NET
2.3. セミナー
2.3.1. 2024年4月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/347
- セミナー1:4月20日(土)15時 捜査機関によるコンピュータ・データ収集――刑訴法改悪とプライバシー権の危機
- セミナー2:4月26日(金)19時 メールの仕組みはどうなっているのか(入門編)――ヘッダを読む
- セミナー3:4月30日(火)19時 フォローアップ
2.3.2. 2024年5月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/356
- セミナー1:5月21日(火)19時 運動の記録(チラシ、パンフから写真、動画まで)を残す
- セミナー2:5月25日(土)15時 戦争とジェノサイドに加担するプラットフォーマーと決別するために――何ができるか、何をすべきか…
- セミナー3:5月29日(水)19時 フォローアップ
2.3.3. 2024年6月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/363
セミナー1:6月17日(月) 19時から Googleのサービスを使わない共同作業を工夫する
セミナー2:6月23日(日) 15時から AIと法規制について
セミナー3:6月28日(金) 19時から フォローアップ
2.3.4. 2024年7月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/371
- セミナー1:7月22日(月) 19時から SNSのオルタナティブへの移行を考える――X(Twitter)から分散型SNS(mastodonなど)への選択を
- セミナー2:7月27日(土) 15時から サイバー戦争の「謎」を探る――サイバー安全保障有識者会議と政府の思惑
- セミナー3:7月30日(火) 19時から フォローアップ
2.3.5. 2024年8月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/380
- セミナー1:8月20日(火) 19時から ビッグテックの営利サービスからどうやって切り替えるか――その障害をどう乗り越えるか
- セミナー2:8月25日(日) 15時から 国連サイバー犯罪条約――審議が大詰めにはいった世界規模の監視国際法
- セミナー3:8月28日(水) 19時から フォローアップ
2.3.6. 2024年9月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/383
- セミナー1:9月21日(土) 15時から 世界で起きている政府のインターネット介入
- セミナー2:9月27日(金) 19時から オープンソースで脱Google――Framasoftの挑戦
- セミナー3:9月30日(月) 19時から フォローアップ
2.3.7. 2024年10月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/403
1 セミナー1:10月21日(月) 19時から 暗号化を阻む政府の動きに抗して
2 セミナー2:10月26日(土) 15時から 暗号化ツールを導入する(メール、SNS、保存データ、パソコンのデバイス)
3 セミナー3:10月29日(火) 19時から フォローアップ
2.3.8. 2024年11月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/410
1 セミナー1:11月19日(火) 19時から 普及しはじめたAI検索、AIチャット――使う?使わない?どうする?
2 セミナー2:11月23日(土) 15時から ガザのジェノサイド:ビッグテックとサイバー戦争
3 セミナー3:11月27日(水) 19時から フォローアップ
2.3.9. 2024年12月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/425
- セミナー1:12月17日(火)19時から マイナ保険証廃止に向けて――すべての疑問に答えます
- セミナー2:12月22日(日)15時から 「秘匿性の高いアプリ」を日常の通信手段にしよう
- セミナー3:12月26日(木) 19時から フォローアップ
2.3.10. 2025年1月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/432
- セミナー1:1月22日(水)19時から pixelfedを使ってみる(写真、動画共有もMetaからお別れ!)
- セミナー2:1月25日(土)15時から サイバー安保批判の基本
- セミナー3:1月28日(火)19時から フォローアップ
2.3.11. 2025年2月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/434
- セミナー1:2月18日(火)19時から Xからの離脱相談会――トランプ政権下の米国SNSと私たちの選択
- セミナー2:2月22日(土)15時から 「アクセス・無害化」と日本のスパイ活動、民間の関与――サイバー安全保障批判
- セミナー3:2月25日(火)19時から フォローアップ
2.3.12. 2025年3月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/442
- セミナー1:3月22日(土)15時から サイバースパイ・サイバー攻撃法案批判――能動的サイバー防御とサイバー戦争
- セミナー2:3月28日(金)19時から 暗号化サービスの弱体化との闘い――私たちにできる対抗手段とは
- セミナー3:3月31日(月)19時から フォローアップ
2.4. 国際連帯
JCA-NETが参加した共同声明を中心に纏めました。
2.4.1. (共同声明)大量監視と暗号化の脆弱化の問題の議論がEU理事会に依然として残されている
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/350
2024年4月17日
市民社会組織45団体と26名の専門家は、多くの重大な問題が残されたままの「子どもの性的虐待(CSA)規制」に関するEU理事会の立場に皆様が同意しないようこの共同書簡を書いています。欧州委員会の法律草案や これまでの理事会文書にあった大規模な監視や暗号化に対する深刻な脅威などの基本的な欠点は、ベルギー議長国からの最新の文書でも解決されていません。
2.4.2. 共同声明:スーダンにおける電気通信の遮断:紛争当事者は、集団的懲罰をやめ、命を救うための電気通信へのアクセスを可能にしなければならない
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/357
スーダンで壊滅的な人道危機が急速に悪化している中、私たちは94の人道支援団体、市民団体、人権団体、そして#KeepItOn連合のメンバーを代表し、スーダン全土における通信インフラの復旧を緊急に訴えます。
2.4.3. (Google経営陣宛書簡)ムスリム、アラブ人、パレスチナ人に対する検閲と差別をやめるべきだ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/358
2024年4月にGoogle によるイスラエルのジェノサイド加担に抗議する行動によって、Googleの労働者が50名も解雇され、9人が逮捕されました。これに対して、Googleの経営陣への抗議と復職を求めてGoogleに書簡を出す運動が起きている。10万人を目標に既に5万人を越えた。JCA-NETのこの抗議行動に連帯して以下のような書簡をGoogleの経営陣に送付しました。
2.4.4. (韓国の市民社会団体共同声明)私たちは、韓国およびその他の政府に対し、人工知能のリスクから市民の安全 と人権を守るための強固な国際規範を策定するよう強く求める
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/362
JCA-NETは以下に訳出した韓国の市民社会団体の共同声明に表明されている危
惧を共有します。また、今後、特に日本政府や日本企業によるAI政策やAI開発
と利用が、コミュニケーションの権利など人権を侵害する可能性を秘めている
点についても大きな関心をもち続けます。
2.4.5. EU CSAM に関する2024年5月EU妥協案の危険性に関する共同声明
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/364
暗号化の仕組みを脆弱化しかねない政策についても世界に先がけた対策をとろうとしています。EUなど諸外国の情報通信政策は日本にも重要な影響があります。
2.4.6. #KeepItOn バングラデシュ政府はインターネットアクセスを回復し、学生の抗議行動中の接続性を確保せよ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/376
バングラデシュ全土で続く学生抗議デモの間、バングラデシュの人々がインターネット、ソーシャルメディア・プラットフォーム、およびその他のコミュニケーション・チャネルに自由にアクセスできるようにし、バングラデシュ憲法および同国の国際公約に謳われた人々の権利を尊重することを公に約束し、保証するよう声明を出す。(JCA-NETは、インターネット遮断に反対する国際的なネットワーク#KeepItOn連合のメンバー)
2.4.7. (国際共同声明)マイクロソフトによるパレスチナ人のスカイプとEメールアカウントの不当なブロッキングを非難する
2.4.8. (国際共同声明)モーリタニア政府は22日間にわたりインターネット遮断したが、常にネット接続維持#KeepItOnを約束すべきだ
2.4.9. (共同公開書簡)ケニア政府はデモ参加者のデジタル上の権利に対する攻撃をやめ、公共の安全と法の支配を確保すべきである
2.4.10. テクノロジーを駆使したベネズエラの政治的暴力に関する公開書簡
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/381
ベネズエラの人々がインターネット、ソーシャルメディア、その他のコミュニケーション・チャンネルに常に自由にアクセスできるようにすることを緊急に要求
2.4.11. 中国での日本軍性暴力被害者及び遺族の提訴を受け、日本政府に謝罪と賠償を求める声明
2.4.12. アラア・アブド・エル=ファッタさんは今月中に刑期満了で釈放されるべきである
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/401
2024年9月25日
エジプト系英国人の作家であり活動家でもあるアラア・アブド・エル=ファッタさんは、エジプトの法律に従い、9月29日(日)に5年の実刑判決を終えて釈放されるべきであると、エジプトおよび国際的な人権団体20数団体が本日発表。
2.4.13. 通信デバイスへの妨害行為とそれに起因する人道的危機に関する市民社会共同声明
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/402
2024年9月23日
レバノンおよびシリア全土で、少なくとも2人の子どもを含む37人が死亡し、3,400人が傷害を負った一連の悪意ある無差別デバイス爆破攻撃を強く非難する。
2.4.14. NGOによる共同声明 「停戦を、今すぐに。」
2.4.15. グローバル暗号化デー2024声明
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/407
2024年10月20日
2.4.16. #KeepItOn:モザンビーク当局は、抗議活動中のインターネット遮断を常態化させるのをやめるべきである
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/416
2024年11月7日
同国で現在も続く抗議活動と抗議者に対する警察の弾圧のさなか、インターネット遮断の増加を即時にやめるよう強く要求。
2.4.17. (国際共同声明)パレスチナとレバノンにおけるジャーナリストの標的と殺害に関する声明
2.4.18. (共同声明)タンザニア政府およびインターネットサービスプロバイダー(ISP)は、2024年の地方選挙まで、オープンで安全なインターネットアクセスを確保しなければならない
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/424
2024年11月21日
タンザニアの人々が2024年の地方選挙に向かう中、私たちは政府に#KeepItOn[インターネットの接続維持]を強く求める。
2.4.19. (共同声明)韓国の尹大統領は辞任すべきであり、韓国政府はメディアへの弾圧と知る権利の侵害をただちに中止せよ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/430
2024年12月19日
2.4.20. 団体共同声明への賛同を呼びかけます「私たちは尹錫悦政権退陣民主化闘争に連帯します」
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/431
2025年1月
(参考)
韓国、進歩ネットワークの声明:人権と民主主義を破壊した尹錫悦は辞任せよ――危機的状況ほど情報人権と自由なコミュニケーションのための準備が必要だ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/426
韓国、団体共同声明:戒厳令の妄想から脱け出せない柳熙林放審委員長は即時辞退せよ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/427
韓国:国情院監視ネットワーク[共同論評]尹錫悦政府国情院の通信監視増加の理由明らかにされなければ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/438
2.4.21. (中国)ウェブ活動家の阮曉寰さん、2審も有期刑7年の判決
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/429
中国のブロガー活動家の阮曉寰さんに対する不当判決について紹介します。JCA-NETは阮曉寰さんに対する有罪判決に抗議するとともに、早期の釈放を求めます。
2.4.22. #KeepItOn:当局はゴマおよびコンゴ民主共和国全域でのアクセスを復旧すべきである
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/435
当局は、反政府勢力M23がゴマ市に接近したことを受け、1月23日に北キブ州の州都ゴマ市とその周辺でインターネットアクセスを遮断したと報じられています。 また、ソーシャルメディアのプラットフォームであるXとTiktokも、全国的にブロックされたと報じられています。現在進行中の紛争下にある同国東部地域において、インターネット遮断を即時停止するよう強く求めます。
2.4.23. 英国政府によるエンド・ツー・エンド暗号化を標的とした捜査権限法の使用に関する共同書簡
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/436
2025年2月13日
グローバル暗号化連合のメンバーを含む109の市民社会組織、企業、サイバーセキュリティ専門家が、英国のイヴェット・クーパー内務大臣宛に連名で書簡を提出し、Appleのエンド・ツー・エンド暗号化サービスにバックドアを仕掛けるよう要求した英国内務省の要求を撤回するよう求めた。
2.4.24. 今こそデジタル正義のために行動を起こす時だ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/439
インターネットにおける政治的および企業的権威主義の締め付けを強く非難する。 ブロリガシー(Broligarchy))の野放図な力、すなわち、現行の米国政府指導部と歩調を合わせて活動するシリコンバレーの一握りの企業は、国際的なルールに基づくシステム、人権、平和、持続可能な開発、生態学的正義に対するより広範なグローバルな脅威のシグナルである。
2.4.25. 共同声明:壊滅的な地震災害にあるなかで、ミャンマー軍事政権はインターネット規制を解除すべきである
2.4.26. スウェーデンの電子情報保存およびアクセスに関する法律に関する共同書簡
2025年4月8日
スウェーデンの電子情報保存およびアクセスに関する法律に関する共同書簡
2025年4月8日、JCA-NETも加盟しているグローバル暗号化連合のメンバーを含む237の市民社会組織、企業、サイバーセキュリティ専門は、スウェーデン議会に対して、暗号化を弱体化させる法案を否決するよう共同書簡を提出
2.5. 国際司法裁判所文書翻訳プロジェクト
2.5.1. 南アの国際司法裁判所への申立書(2023年12月28日)の日本語訳
2.5.2. 2024年5月10日の国際司法裁判所への南アフリカによる仮保全措置の変更申立書の全訳
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/366
2024年12月28日に、南アフリカは、10月7日以降のイスラエルによるガザへの軍事侵攻や攻撃をジェノザイド条約に違反するとして停戦などの暫定措置命令を出すよう国際司法裁判所に対して申立書を提出しました。この申立書の日本語訳がやっと公表できることになりました。PDFで公開。
2.6. JCA-NETのインターネットサービス関連
メール送受信の認証強化へのJCA-NETとしての対処について
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/352
2024年4月17日
JCA-NETサービスを委託している市民電子情報網
(POEM)の技術的な提言を受けながら、メールの信頼性向上について検討
2.7. ちらし「JCA-NETに参加しませんか?」の作成
懸案だったJCA-NETへの参加を呼び掛けるちらしを2025年4月に作成した。
3. APCの動き
浜田さんの原稿を追加します
3.1. (APC)パレスチナ人に対するオンライン上の暴力が野放しにされていることが、ジェノサイド的暴力や組織的な差別を助長している
3.2. (APC)ポリシー解説:サイバー犯罪とジェンダー
3.3. (APC)パレスチナとレバノンの民間人に対する通信テクノロジーの武器化を非難する
3.4. (APC)暗号化とは何か、なぜそれが人権の鍵なのか?
3.5. ドキュメントの翻訳など
3.5.1. (7amleh)パレスチナ人のデジタルの権利、ジェノサイド、そしてビッ グテックの説明責任
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/398
APCのメンバー団体でもあるThe Arab Center for the Advancement of Social Media(7amleh)が「パレスチナ人のデジタルの権利、ジェノサイド、そしてビッ グテックの説明責任」と題する新しい報告書を公表。
3.5.2. ジェンダーの視点から国連サイバー犯罪条約を批判する(APC、Derechos Digitales)
3.6. ミャンマー革命におけるデジタル闘争とレジスタンス
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/422
2024年10月29日
3.7. オンライン映画上映会「10月7日からのガザ」
昨年秋から毎月上映会を開催してきた。そして2025年に入ってからは、映画上映に加えてゲストによるトークも開催してきた。1月、田浪亜央江さん、2月、清末愛砂さん、3月鵜飼哲さんをそれぞれゲストスピーカーとしてガザやパレスチナ情勢をめぐる背景についての詳しい説明をしてもらうことができた。
オンライン上映会は毎回70〜80名程度の申込者がおり(実際の参加者はその三分の一程度)、映画そのものはvimeoでも公開されているが、予約者はあまり減少していない。
同時に、この映画の字幕作成にも取り組んできた。
4. 2025年度活動方針案
4.1. 反戦平和運動における「サイバー戦争反対」の取り組み
4.1.1. プライバシーとセキュリティのワークショップ開催
24年度の活動方針案においてもサイバースパイ・サイバー攻撃法案(当時は能動的サイバー防御と関連する法改正と呼んでいた)への反対運動に取り組むことを明記し、昨年度の取り組みは本議案書の活動報告に記載した通りである。
今年度は、本法が実際に成立したなかでの取り組みになる。すでに、この法律に反対して活動してきた団体などから法律の廃止運動や、通信事業者に対して政府への協力要請を行わないよう要請する行動をとるなどの提案が出されている。これらの活動については、JCA-NETとしても可能な限り協力できるようにしたい。
他方で、セキュリティやプライバシーに関して、個人や団体のレベルで具体的に取り組むことは、JCA-NETでなければできない分野でもあるので、この点については特に力を入れたい。この分野では、たとえば米国の電子フロンティア財団(EFF)が自己防衛マニュアルを公表したり、APCのメンバー団体でもあるMay First Movementsがビッグテックのサービス依存からの脱却のための具体的な取り組みを進めるなど、様々な模索がなされている。JCA-NETとしても、セキュリティやプライバシーに関する基本を実践するための具体的な活動を進めたい。すでに、6月に「(参加団体募集)プライバシー・セキュリティ対策ワークショップ」としてワークショップの開催を告知している。
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/481
4.1.2. 反戦運動との連携と情報提供
昨年度同様、サイバー領域での戦争の状況はウクライナにおいてもガザにおいてもますます深刻化しており、今年度も引き続きサイバー領域での反戦平和運動に可能な限り力を注ぎたい。
APC加盟団体からの貴重なドキュメントが数多くあり、これらをできるかぎり日本語として提供すること、とくに、ビッグテックによるジェノサイド加担や企業内部の反ジェノサイドの立場をとる技術系労働者への弾圧に対する国際的な支援については、可能な限り取り組む。
また、AIや監視衛星などと連携したドローンが空爆の主役になり、ネット検閲やヘイト言説の拡散などの情報戦が重要な役割を占めるなど、戦争の様相が大きく変化するなかで、サイバー領域における反戦平和運動の取り組みの重要性が大きくなっている。反基地運動や9条改憲に反対する幅広い草の根運動に対しても「サイバー戦争」への関心をもってもらえるような取り組みを強化したい。
4.2. ネットを中心とした監視社会反対の取り組み
4.2.1. マイナンバー/カードと監視社会問題
23年度と24年度の活動方針ではマイナンバー/カードが日本の監視社会化にとって重要な課題になると指摘し、取組みが必要な課題として上げたが、十分な取組みができていない。
今年度は、資格確認書の配布、マイナンバーカードの民間への開放の促進が進む年になる。このマイナンバー/カードは政府の統治機構のデジタル化と官民データ・インフラの統合という大きな流れのなかの重要な柱であることは間違いなく、民衆のコミュニケーションの権利運動を中心課題とするJCA-NETとしても取り組みを続けたい。とくに、主要にマイナンバー/カードの反対運動に取り組んできている他の市民運動団体などの連携を強化できるような体制をとりたい。
4.2.2. 暗号規制への取組み
例年暗号化については、国際的な共同声明への参加や毎年秋に開催されるグローバル暗号化デーのイベントに参加しながら暗号化の意義についての啓蒙活動を行なっている。今年も引き続きこの取り組みを継続する。本議案書冒頭の状況説明でも触れたように、暗号をめぐる国際的な状況は年々厳しくなっており、各国政府や捜査機関による暗号規制の動きが活発になっている。日本政府もこうした動きに合せた暗号規制の導入に踏み切る可能性がある。
JCA-NETは、毎年セミナーで暗号化に関連するテーマを取り上げてきた。(セミナーの項参照)しかし、日本の市民運動、社会運動のネットのツールの利用においては、暗号化ヘの関心が低く、理解も進んでいない。これは私たちの活動の力不足を反映している。より暗号とセキュリティやプライバシーの基本的な知識の普及とともに、暗号規制に反対して暗号化ツールの利用を促すキャンペーンに取り組むことが必要である。キャンペーンの展開の前提となるような、分りやすく取り組みやすい暗号問題についての概説パンフなどの作成を検討する。
4.2.3. 匿名性とプライバシーの権利
匿名性をめぐる問題について、24年度の議案書では23年度の議案書を引用して以下のように記載した。
匿名性については、そもそもネットへの接続や携帯電話契約などで本人確認が
厳格な日本では、匿名の権利を行使するためには、一般に普及しているネット
の使い方だけでは不十分な場合が多い。DVの被害者、企業の内部告発者、自国
政府から追跡されている難民など人権上脆弱な立場にある人達が自由にコミュ
ニケーションをとることができるためには、匿名性と暗号化は必須のツールで
ある。他方で匿名性の権利を「後ろめたいことがなければ匿名など必要ないは
ずだ」という考え方も根強くみられる。匿名の権利の重要性をアピールしつつ、
ツールを使いこなせるようなネットの文化を構築するために、セミナーやワー
クショップ、ウエッブなどでのキャンペーン、政府による規制への反対運動な
どで関係する人権団体などとも協力しながら取り組む。
また、24年度の議案書では以下のように述べた。
ネットの匿名性は人権侵害や犯罪を助長するものであるかのような印象操作がメディアや政府によって繰り返されている。本人確認の厳格化も進められている。しかし、匿名の権利は同時に人権にとって重要であって実名や本人確認の強制はむしろ監視社会化を招く。この匿名を権利として位置づけることの重要性は、一見すると匿名であるかのようにみえながら、ビッグデータの解析などを通じて匿名の権利が脅かされうる状況にあることなども念頭に、今年度もさらに匿名性の意義を提起していく。
本年度も昨年度のこの方針を継承したい。具体的な取組みとしては、月例のセミナーでのテーマとして採用することは取り組むことのできる方法なので、最低限でもセミナーでの取り組みは実現したい。
4.2.4. 様々な社会的な課題に取り組む会員の活動を支援する
24年度の議案書に記載されているように、JCA-NETのばあい、一般の団体とは異なり、理事会や総会の決定がJCA-NETの会員の活動をし縛るものでもない。他方で、理事会は、可能な限り会員のネットにおける活動を支援することが大切な使命になる。
JCA-NETは様々な情報発信のツールを提供している。とくにメーリングリストについては、会員であればサービスの基本料金内で設置数に上限を設けずに実施できることもあり、最も活発に利用されている。また、コロナ禍でのオンライン会議が普及したこともあり、jitsi-meetの利用も定着している。その一方でブログの設置については、WordPressなどCMSの設置に必要なノウハウがやや難解なこともあって、自力で設置できないケースがありサポートが不可欠である。24年度の議案書では、この点指摘したが、取組みの具体策を提起できていなかった。今年度は、WordpressのインストールをPOEMに依頼しつつ、インストール後のサイトの設置までを会員組織側でサポートできるような対策を検討したい。
24年度の活動方針のなかにNextCloudのクラウドサービスの利用促進を盛り込んだが、実際には取り組むところまではいかなかった。NextCloudは現在ではかなり一般的に用いられているツールであることを考えると、会員が使いこなせるようなサポートの体制を充実させる必要がある。メールについてもウエッブメールのRoundCubeを知らないためにメールサービスを使い込なせていない会員も多い。これらのサービスの周知を図るための方策を検討したい。
4.2.5. ICJ翻訳について
2023年度に、国際司法裁判所の南アv.イスラエルの裁判資料の翻訳サイトを設置し、現在も継続中である。すでに、最初の南アフリカの提訴文とICJによる最初の暫定命令については翻訳が完了しているが、多くの文書は未訳のままである。
(ドキュメント)国際司法裁判所:ガザにおけるジェノサイド(南アフリカv.イスラエル)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/icj-southafrika-v-islael-document-jp
今年度も引き続き翻訳作業を継続する。
4.2.6. 映画「10月7日からのガザ」の月例上映会と字幕作成
フランスで制作された映画「10月7日からのガザ」について、今年度は、この続編がフランスで公開されたことを受けて、続編の字幕作成を行ないたい。ガザの状況は極めて深刻であり、この状況が続く限り月例の上映会を継続してゆく。
4.2.7. 少人数での対面での議論の場
この課題は23年度、24年度の議案書において課題として提起されながら、実施できなかった。今年度は、その反省も踏まえて、上述したように「プライバシー・セキュリティ対策ワークショップ」としての開催を実現することを目指す。このワークショップについては、すでに幾つかの団体やグループへの開催の打診を行なっており、実施できる可能性が高い。この活動も可能な限り継続していけるような体制をとりたい。
4.2.8. 残された重要な課題
昨年の議案書には以下のような記載がある。
労働、ジェンダー、環境、社会的マイノリティなどの諸問題はいずれも深刻であり、多くの草の根の運動も各地にある一方で、JCA-NETがこうした運動をネットの活動として支援するだけのアウトリーチをもちえていない。この点は、力量の限界があるとはいえ、可能な限り、できる範囲で追求していきたい。
この課題については、昨年度はほとんど取り組めていない。理由は、もっぱらJCA-NETの活動の担い手不足にある。今年も状況は変わらないとはいえ、重要性は高く引き続き取り組み課題として挙げ、何らかの取り組みの可能性を模索したい。
4.3. 広報への取り組み
4.3.1. ちらし作成
活動報告にあるように、JCA-NETへの加入促進のためのチラシを作成することができた。今後は、加入のための説明会や、JCA-NETサービスマニュアルの更新・改訂などの作業を行なうことが必要になっている。
今後は、プライバシーやセキュリティなどについても継続的にちらしの作成なども含めて広報を充実させたい。
4.3.2. 動画配信について
2024年度の方針には、現状ではほぼYoutube一択となっている動画配信について下記のような記述がある。
非営利で脱中央集権的な動画配信としては、peertubeが有力な選択肢になりうると思われる。しかし、peertubeのためにサーバーを設置して保守管理をしてもらう作業をPOEMに委託する必要がある。安定的に委託できるだけの財源を確保できるかどうかの検討が必要になる。この点については、会費の他に、カンパが22年度、23年度と続けて20万円ほど集まっており、これがある程度安定的な財源になるのであれば、これを原資としてpeetubeのインスタンスの設置も可能かもしれない。この点を今年度は検討課題としたい。
市民運動や社会運動の動画配信の現状はYoutube一択である。これは極めて不健全な状況といえる。完全な代替とはいえないにしても、少なくとも、他の選択肢、特に非営利であること、オープンソースであること、そして個人データを営利目的で収集しないこと、などを満たすサービスが現実に存在する以上、これを可能な限り提供できるような体制を追求したい。
この点の問題は依然として関心を持つべき課題である。具体的な取り組みについては、POEM側との相談も含めてほとんど着手できていない。現状では、若干の資金的な目処がたったと仮定しても継続的なサービスの提供が容易ではないと思われるが、オルタナティブの提案は重要なので、今後も関心をもっていく。
4.4. 会員のメールなどのセキュリティ対策
2024年度議案書の下記の記述はそのまま今年度の取り組みとして継承したい。
会員の高齢化が進んでおり、ネットの現状に追い付いていない会員が多く存在すると思われる。とくに危惧されるのは、セキュリティ対策である。なりすましや様々なマルウェアは年々巧妙になっており、感染する会員も実際にあらわれている。感染への防衛にとって必要なノウハウを提供する努力を続ける必要がある。
具体的には月例のセミナーを積極的に活用することは、続ける必要があるが、これに加えての対面でのセミナーなども必要であれば開催を追求したい。
4.5. そのほかの重要な活動
昨年から引き続いて、APCの加盟団体としてもジェンダーアンバランスは解消すべき課題として認識して取り組む。
5. JCA-NET サービス規約への追加事項
委託受託契約におけるJCA-NET会員の個人情報の取り扱いについて(案)
- POEMは、JCA-NET会員からの需要に応じて電気通信サービスを提供する事業者であるが、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律および重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律に基いて政府との間で通信情報の提供等の協定を結ばないこととする。
- JCA-NET会員の個人情報は会員サポートおよび会員の会費等の経理に必要な範囲でJCA-NET事務局(POEMに委託)が管理し第三者への開示は行なわない。なお、捜査機関等への提供については、裁判所の令状がある場合に限る。捜査関係事項照会書等令状以外に対しては個人情報を開示しない。
6. 理事・監事改選について
下記の皆さんから理事・監事への立候補をいただきました。総会で選任について諮ります。
6.1. 理事立候補者紹介
としまる(小倉利丸)
これまで理事をつとめてきました。サイバースパイ・サイバー攻撃法の成立に伴って、これまで以上にプライバシーやセキュリティの課題についても取り組みを強化する必要を痛感しています。「サイバー」領域は、市民運動や社会運動の現場の活動家にとってもなかなか取り組むことが難しいと思うので、サポートや支援を工夫して取り組みたいと思っています。また、これまで同様月例のセミナーなどへの取り組みを続けたいと思います。
京極紀子
JCAネットには、ATTAC Japan (首都圏)の運営委員として、また、全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)のメンバーとして繋がりを持っています。
全学労連はその出発点で、コンピューター合理化に反対するというスローガンを持ち、自分たちの労働と労働現場である「学校」の監視・管理・合理化の問題として、コンピューターやインターネットについて批判的に考えてきました。子どもたちのコンピュータ利用やデータ管理などの問題もあります。私も、自治体労働者を中心としたコンピュータ合理化研究会の活動などに参加していました。
インターネットが「パソコン通信」などと言われたころには、軍事利用から広がったインターネットを「未知のもの」として否定的にとらえる意見、しかし、それらを市民運動の道具として使っていくための手立てなど議論がたくさん交わされてきました。そのころからとしまるさんの本を読んで考えましたよ!今から言えばアナクロな議論ですが、その中で学び考えたことは、現在も必要な内容だと思います。今、インターネットを利用しない運動はかなりむづかしいですが、誰もが使うからこそ、その「使い方」についてはより慎重さが必要になっています。JCAネットのセミナーで取り上げる課題は、社会運動に関わる人たちにとっては必須の内容で、さらに多くの人たちに問題提起できればと思います。
またネット上でのトランスヘイトやディープフェイクなど、性的マイノリティや女性に対する攻撃など、今的に見過ごせない問題も多発しているので、それらについてもきちんと対応していきたいです。よろしくお願いします。
なすび
自己紹介・抱負:被ばく労働を考えるネットワークで被ばく労働者の労働問題に取り込んでいます。JCA-NETの理事も何期かに渡ってさせていただいています。経済安保法やサイバースパイ・サイバー攻撃法の成立を受け、運動体への弾圧をインターネット利用の局面でも備える必要性が高まりました。ささやかながらこれらに取り組みたいと思います。
浜田忠久
AIや監視技術の進展が加速し、情報環境をめぐる状況はこの数年でさらに大きく
変化しました。生成AIの普及、膨大な個人データの収集、社会インフラへの監視
技術の導入などのリスクに、私たちは直面しています。その一方で、市民活動や社会運動に関わる人々が安心して情報を発信し、議論を
深めるためには、情報技術の力を活用することも不可欠です。技術の光と影の両
面を見極め、市民が主体的に使いこなせる環境を整えていくことが、JCA-NET の
重要な役割だと感じています。引き続き、皆様と力を合わせながら、安全で自由な情報環境づくりに取り組み、
新たな課題にも柔軟に対応していきたいと思います。
中森圭子
JCA-NETの理事としてどれだけ活動できたか心もとない2年間でしたが、活動を通してデジタル監視が生活圏に入り込んできたことを感じることができました。
今国会でサイバースパイ・サイバー攻撃法が成立し、さらにサイバー領域まで監視体制が加速していくものと思います。また、この10年で姿を大きく変えたマイナンバー制度もデジタル監視に拍車をかける法改正が今国会で行われました。国家管理・監視体制もデジタル化が進んでいます。SNSが利便性と危険性を併せ持つことを感じながらも今ではわたしたちの活動に欠かせなくっています。こうした状況を踏まえ、便利に使うだけでなく、監視の道具にさせないために市民でもできることをより広く発信していきたいと思います。
6.2. 監事立候補者
吉野太郎
SNS等を用いたヘイトやICTが根底にある兵器(イスラエルによるヒズボラのポケベル爆破等)に強い関心があります。NPOの情報セキュリティの専門家、多文化共生にかかわる運動、最近では在日コリアンによるミュージアム設立支援などに関わっています。ここしばらくの間JCA-NET監事です。来期も引き続き監事の立場で、微力であっても、JCA-NETを下支えできればと思っています。