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APCのメンバー団体でもあるThe Arab Center for the Advancement of Social Media(7amleh)が「パレスチナ人のデジタルの権利、ジェノサイド、そしてビッ グテックの説明責任」と題する新しい報告書を公表しました。JCA-NETでは、これまでも7amlehの下記の記事やレポートを翻訳提供しています。
- (7amleh)パレスチナ・デジタル権利連合は、Metaに対し、パレスチナ人の非人間化と彼らの声の封殺をやめるよう要求する
- (7amleh)ガザ紛争がパレスチナ人のデジタル権利に与える影響
- (APCのプレスリリースの飜訳)人権理事会において、APCと7amlehが、違法な監視に対する危惧を表明
- (APC)パレスチナ人に対するオンライン上の暴力が野放しにされていることが、ジェノサイド的暴力や組織的な差別を助長している(著者のAhmad Qadi は7amlehのthe position of monitoring and documentation manager)
本報告書の構成は以下のようになっています。デジタル・サイバーの領域における戦争の全体像をほぼ網羅する内容となっています。
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はじめに 4
デジタルの権利とは何か? 7
オンライン・プラットフォームの役割 9
-検閲 9
-オンラインプラットフォーム上の有害コンテンツ 12
--ヘイトスピーチとジェノサイドへの教唆 12
--問題のある広告 15
--偽情報と影響力キャンペーン 16
戦争における人工知能、データ、自動化 19
-戦争における人工知能 20
-ガザにおける監視と顔認識テクノロジー 21
-殺害の自動化 22
-ビッグテックの役割 23
--GoogleとAmazonのプロジェクトNimbus 24
--メタデータとプライバシー権の保護 26
インターネットと通信の遮断という違法な手法 27
-ガザへの戦争が続くなか、通信が遮断される 27
-遮断の歴史的背景と人道的影響 29
-人権の証拠書類と説明責任を阻むもの 30
-国際人道法違反 31
勧告 33
-ビッグテック、オンラインプラットフォーム、通信企業 33
--以下にコミットすること 34
--以下を確実にすること 34
--以下を保証すること 34
--完全な透明性を提供すること 35
--国際的な義務を負う者たち 35
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以下は、この報告書の概要として7amlehがウエッブに投稿した記事の翻訳です。報告書本文については、下記をごらんください。
日本語(JCA-NET訳)
朝鮮語訳(jinbonet)
原文
2024年9月16日午前7時 – The Arab Center for the Advancement of Social Media(ソーシャルメディアの進歩を目指すアラブセンター)は、ガザ地区に対する戦争からほぼ1年が経過した後に、「パレスチナ人のデジタルの権利、ジェノサイド、そしてビッグテックの説明責任」と題する新たな報告書を公表した。この報告書では、人権侵害の実行と悪化にテクノロジーが広く使用されていることを強調している。イスラエル政府は、パレスチナ人を標的にするために人工知能を活用しており、テクノロジー企業は、検閲を容易にし、情報を隠蔽し、間接的にガザで進行中のジェノサイドの文脈におけるイスラエル政府の取り組みに貢献する上で重要な役割を果たしている。この報告書は、1年間にわたるパレスチナ人のデジタル上の権利侵害をまとめ、分析し、デジタル上の権利保護のための迅速な行動と、ジェノサイドを防ぐためのテクノロジーポリシーの説明責任のメカニズム開発の緊急性を強調している。
この報告書は、パレスチナ人の声やパレスチナ支持派のコンテンツを組織的に検閲することで、ジェノサイドの最中にデジタル上の権利を侵害するデジタルプラットフォームの役割を検証している。これらの侵害は、パレスチナ人ジャーナリストやコンテンツ制作者のソーシャルメディアアカウントに対する差別的なポリシーや制限によって加速されている。7amlehは、そのプラットフォームである7or - The Palestinian Observatory of Digital Rights Violations(7or - デジタルの権利侵害に関するパレスチナ人観測所)を通じて、2023年10月7日から2024年9月までの間に、MetaやXなどの主要なプラットフォーム上で5100件以上のデジタル検閲と有害なコンテンツの拡散を記録した。さらに、偽情報キャンペーンの広がりが強調され、表現の自由、情報への権利、そして安全保障への権利を損なうことが示された。ガザの200万人以上の人々が飢餓の脅威に直面する中、偽情報がパレスチナ人に対する集団的処罰を正当化し、人道支援の取り組みを妨げるために使用されている。
この報告書の調査により、一部のオンラインプラットフォームが有害な広告コンテンツから利潤を得ていることが明らかになった。例えば、Metaが所有するFacebookは、個人暗殺を扇動し、パレスチナ人の西岸地区からヨルダンへの強制退去を主張するターゲット広告を掲載していた。さらに、YouTubeの広告ポリシーは人権基準に準拠していないことが判明した。イスラエル外務省は、YouTube上でガザ地区に対する継続中の戦争に関する広告を推進し、2023年10月7日以降2週間で710万ドルの予算を投じ、フランス、ドイツ、英国の視聴者にそのイデオロギーを反映させた。これは、プラットフォーム自身のポリシーに違反している。
また、この報告書では、ガザ地区をめぐる状況において、人工知能、データ収集、監視、自動化がどのように相互に結びつき、パレスチナ人のデジタルの権利に悪影響を及ぼしているのかについても掘り下げている。そして、大手テクノロジー企業に説明責任を果たさせることの必要性と、国際犯罪や人権侵害の実行にこれらのテクノロジーが使用されるのを防ぐための厳格な規制を確立することの重要性を強調している。イスラエルがガザでの軍事行動中に、違法な戦争戦術としてインターネットとワイヤレス通信の遮断を使用し、パレスチナ人の重要なインターネットと通信サービスを妨害し、重要なインフラを標的にしたことも記録されている。この報道は、この戦術の歴史的背景と国際人道法違反について取り上げ、ガザでの深刻な人権侵害を記録する上での大きな障害として提示している。
報告書は、パレスチナ人の人権およびデジタル上の権利保護を進めるために必要な条件として、即時停戦を求めている。また、パレスチナ人および世界中でパレスチナの人権を擁護する人々に対するオンライン上での組織的かつ意図的な差別的ポリシーや慣行を終わらせるために、官民のアクターが積極的に協力する必要があると強調している。報告書はまた、大手テクノロジー企業、オンラインプラットフォーム、通信会社、国際的な利害関係者に対する一連の提言も提示している。
報告書の全文は、こちらのリンクからご覧ください。
7amleh-The Arab Center for Social Media Advancementの紹介(APCのメンバー団体紹介から)
パレスチナとアラブの市民社会が、専門的な能力開発、デジタル・ライツの擁護、影響力のあるデジタル・メディア・キャンペーンの構築を通じて、デジタル・アドボカシーのツールを効果的に活用できるようにすることを目的とした非営利団体。
7amlehのプロジェクトとイニシアチブは3つの主要分野に焦点を当てている:
- トレーニング。市民社会組織、青少年、草の根、活動家と協力し、新しいメディアやオンライン・キャンペーンのスキルを強化し、デジタル・プレゼンスを向上させる。
- アウトリーチとアドボカシー。フォーラムへの参加、出版物の作成、インターネットへのアクセス権、デジタル・セーフティ、表現と結社の自由など、人権としてのデジタル・ライツの保護のための連携への参加。
- キャンペーン。パレスチナ人の権利に関する様々な問題について、デジタルリソースを活用したアドボカシー活動や啓発キャンペーンの調整・運営。