Table of Contents
- 1. 2023年度(2023年4月〜2024年3月)の政治と社会の状況
- 2. JCA-NETの活動
- 3. 2024年度活動方針案
1. 2023年度(2023年4月〜2024年3月)の政治と社会の状況
1.1. 法制度の改悪が相次ぐ
2023年度は激動の年になったといっていいだろう。通常国会では、防衛費増額の財源確保法、改正出入国管理法、原発運転期間延長法、LGBTQ法など、争点となり多くの市民運動、社会運動団体が異論を提起してきた法案が次々と成立した。
以下いくつか法改正の動きを挙げておく。
- 防衛省設置法の改正。自衛官の定数の変更として、サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の拡充をはじめとする防衛省・自衛隊の体制整備のため、自衛官の定数を変更や領域横断作戦能力(サイバー領域)の強化として(共同の部隊)自衛隊サイバー防衛隊の体制強化が制度化された。
https://www.mod.go.jp/j/presiding/houan/pdf/211_230210/05.pdf
2022年12月に閣議決定された安保防衛3文書を踏まえた法改正や組織再編などが23年度には次々と具体化する年になった。
- 刑事訴訟法等の一部を改正する法律。公判期日等への出頭及び裁判の執行の確保を図るため、位置測定端末により保釈された者の位置情報を取得する制度が創設された。
https://www.clb.go.jp/recent-laws/diet_bill/detail/id=4380
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律
https://www.digital.go.jp/laws/8db62cdf-8375-4c4f-b807-8d98595b67e8
マイナンバーの利用範囲の拡大、マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し、イナンバーカードと健康保険証の一体化、図書館などでの利用を想定した暗証番号の入力等を伴う電子利用者証明を行わずに、利用者の確認をする方法の規定を整備など、マイナンバー/カードの利用範囲の拡大を図るための法整備が進められた。
- 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=505AC1000000068_20230623_000000000000000
いわゆるLGBT理解増進法。性的マイノリティの人々が法の下の平等原則を享受できない状況が日本の法制度において構造化し、差別と偏見もまた職場や私的な領域だけでなく行政サービスなど基本的な人権領域においても顕著ななかで、制定されたが、当事者団体などからはほとんど評価されえない内容になった。性的マイノリティへの差別や偏見を助長する重要な基盤にインターネットのSNSなどの言論空間がある。LGBT理解増進法は、差別を禁止する立場をとっておらず、国、自治体、企業に対しても努力義務をあいまいに課すだけのもので、制度的構造的な差別を温存してしまっている。
- 改正入管法(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」)の成立
https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/05_00036.html
3回目の難民申請以降は相当の理由がなければ強制送還が可能になる一方で、在留資格のない外国籍の人達の長期収容制度が維持され、在留特別許可による救済を狭めるなどの移民・難民排除を鮮明にした法の改悪となった。日本は難民認定率が著しく低い状態にあり、更に国内ヘイトスピーチの標的が移民・難民のコミュニティに向けられることも頻繁に起きてきた。
参考:移住連声明:決してあきらめない〜入管法改定案可決成立を受けて〜 https://migrants.jp/news/voice/20230613.html
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)鳥井 一平「「反対!」「NO!」の先にある社会」 https://gendainoriron.jp/vol.35/feature/torii.php
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律において、大規模プラットフォーム事業者に対して投稿の削除などの手続きの明確化が義務付けられた。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000931474.pdf
- 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律
https://www.soumu.go.jp/main_content/000401711.pdf
新たに国、行政機関、民間事業者のサイバーインフラ関連の演習が業務として追加された。(自衛隊などとどもに2024年度のNATOのロックド・シールドの演習に初めて参加)
2024年3月26日の閣議では「グローバル戦闘航空プログラムに係る完成品の我が国からパートナー国以外の国に対する移転について」において「政府は、「防衛力整備計画について」(令和4年12月16日閣議決定)に基づき、我が国の安全を確保する上で中核となる次期戦闘機の英国及びイタリアとの共同開発(GCAP)を推進する中で、我が国の安全保障環境にとって必要な性能を満たした戦闘機を実現し、我が国防衛に支障を来さないようにするためには、我が国からパートナー国以外の国に完成品を移転し得る仕組みを持ち、英国及びイタリアと同等にGCAPに貢献し得る立場を確保する必要があるとの認識に至った。」
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/03/26a_03.pdf
とした。
- 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(重要経済安保情報保護活用法)」の成立
この法律は、政府による「重要経済安保情報」の指定や、それを取り扱う関係者の身辺調査を伴う「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の導入が盛り込まれ、秘密保護法制を本格的に経済安全保障分野に拡大するものである。条文では「重要経済安保情報」として指定される内容は抽象的で、非常に広範な分野が対象になる可能性がある。また、それを取り扱う関係者はもとより、その家族・同居人のプライバシーにまで介入し、また、公務員のみならず民間の一般人まで、その適性を国家が把握・判断することになる。これまでも「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(経済安全保障推進法)」により、「特定重要物資」に指定された半導体や医薬品などを取り扱う関係者は、経済安全保障の名目の元に定性評価という監視下に置かれ、自由な学問・研究や企業活動などへの抑圧が進んできた。この重要経済安保情報保護活用法の成立により、多くの機関・企業では、組織保護・リスク管理の観点から、積極的かつ事実上の強制性を伴ってプライバシーへの介入が行われ、労働者はこれまで以上に個人情報と誓約書の提出が強要されるだろう。また、経済安保情報の保護が謳われていることから、報道機関やジャーナリストによる情報収集や報道をも対象となる。市民の知る権利やプライバシー権の保護などの面から、特定秘密保護法に匹敵し、もしくはそれ以上の危険性がある。
内閣府:重要経済安保情報保護活用法
https://www.cao.go.jp/keizai_anzen_hosho/hogokatsuyou/hogokatsuyou.html
日本弁護士連合会:重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案についての会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2024/240313_2.html
日本弁護士連合会:重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の成立に対する会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2024/240510.html
レイバーネット:緊急寄稿(海渡雄一)「経済安保版秘密保護法案 ここが問題だ!」
http://www.labornetjp.org/news/2024/0301kaido
- 日本版「DBS」法の成立 2024年3月に閣議決定され6月に国会を通過して成立した。子どもと接する職業に就いている場合や求職活動する場合に性犯罪歴がないかを確認する制度として、ほとんど異論もなく成立した。この法律では、性犯罪の前科がある者だけではなく、その「おそれ」がある者も該当する。「おそれ」を判断するという口実によって、労働者への日常的な監視が強化されかねない。しかも監視の手法も日常の仕事への監視だけでなくスマホなどのコミュニケーションツールへのチェックも含まれかねない。EUにおいてもCSM法(あるいはチャットコントロール)と呼ばれるコミュニケーション監視が子どもの性的搾取対策として導入され、この対策のために暗号化ツールの利用規制まで導入されかねないところにきている。JCA-NETはこのSCM法反対の共同声明に参加している。性犯罪は深刻な問題であるが、その対策のために労働者への網羅的な監視を招きかねない制度の導入は大きな問題を残しかねない。
学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/download?law_unique_id=506AC0000000069_20261225_000000000000000&file_type=PDF_H1
日本労働弁護団:日本版DBSに関し、児童対象性暴力等が行われるおそれが客観的・適切に認定されるよう求めるとともに、より根本的な性被害防止策を充実させることを求める声明
https://roudou-bengodan.org/proposal/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%89%88dbs%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%97%E3%80%81%E5%85%90%E7%AB%A5%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E6%80%A7%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E7%AD%89%E3%81%8C%E8%A1%8C%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8A/
弁護士ドットコム:「日本版DBS」法案、労働者排除に悪用のおそれ…労働弁護士が感じた懸念と国会審議に望むこと
https://www.bengo4.com/c_5/n_17489/
(共同書簡)表現の自由とプライバシーを脅かすSTOP CSAM法
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/290
1.2. 軍事安全保障の課題がより深刻化
23年度の日本の政治状況を俯瞰してみたとき、ウクライナの戦争と東アジアにおける軍事的な緊張を強調する日本政府の思惑は様々な局面で露出した。たとえば、G7広島では、核兵器保有国を広島に招き入れて核加害の問題も日本の戦争責任の問題も一切を不問に付しながら核抑止力に象徴される軍事力への依存を公然と認める立場をとった。実際に、沖縄では、米軍に加えて自衛隊の基地強化が強引に進められてきた。また安保3文書の枠組を前提とする自衛隊の大幅な再編と防衛予算の増額、そして能動的サイバー防御のように、これまで反戦平和運動が焦点化してこなかったサイバー領域での戦争体制整備に向けた動きが活発になった。その結果として、私たちの基本的人権が徐々に制約される様々な法制度が強化されるようになってきた。いわゆる監視社会化への危惧は、これまで以上に軍事安全保障と一体となる危険性が高まったこともはっきり見てとれる一年であった。
1.3. 「サイバー戦争」が現実化しはじめた――ウクライナの戦争に続いてガザでの戦争
ウクライナ・ロシア戦争は2023年度も続く一方で、パレスチナのガザにおいても深刻な戦争が勃発した。2023年10月7日にハマースによるイスラエル領内への越境攻撃による多数の死傷者と人質がとられた事態に対して、イスラエルがガザ地区の民間人を大規模に巻き込む報復攻撃を開始した。 イスラエルのガザ攻撃と地上侵攻は明らかなジェノザイド条約など国際法違反であるという批判が、国連でも国際的な反戦運動や人権活動団体などからも繰り返し提起されたが、イスラエルは現在に至るまで軍事攻撃を停止していない。
コミュニケーションやインターネットの権利運動の担い手にとって、ガザの戦争は見過せない幾つもの問題を露わにした。
- ガザでのインターネット遮断によって、通信そのものがほとんど破壊され、人々の救助や相互支援も破壊された。
- ヘブライ語圏では、アラブ-パレスチナ人へのヘイトスピーチが急速に拡散し、イスラエル政府もまたSNSを憎悪拡散の手段に用いるという「情報戦」の様相を呈している。
- FacebookやX(Twitter)などのSNS企業がコンテンツへの公平なチェックを怠り、イスラエル政府やシオニズム批判を厳しく検閲する一方で、アラブ-パレスチナ人へのヘイトスピーチを黙認してきた。
- サイバー領域が軍事化することによって、GoogleやAmazonをはじめとする巨大IT企業が、その技術をイスラエルの軍事作戦に直接間接に提供する事態が起きている。
- イスラエル政府への技術の提供に抗議するGoogleなどで働く労働者たちの抗議の声が米国を中心に拡がる一方で、会社側の解雇攻撃も熾烈になった。
1.4. 生成AIをめぐる動き
23年はAIについても生成AIをめぐる、とくに偽情報やなりすまし動画などネガティブな問題に注目が集り、ChatGPTが登場した当初のポジティブな注目だけではない関心の高まりがあった。
政府は2023年12月「 AI 時代の官民データの整備・連携に向けたア
クションプラン」を決定して、AI技術を基盤として、官民のデータ相互活用の推進についてこれまで以上に力を入れる方針を打ち出した。「用しやすいデータを整備しオープンに
するために、データ標準確保のための政府相互運用性フレームワーク( GIF48 )の見直し及び実装強化に向けた取組」「備したデータを安心して活用・連携できるツール・仕組みを整備するために、公共・準公共分野におけるデータ連携の推進、産業分野におけるデータ連携に向けた検討、国境・産業等をまたいだデータ連携」などが強調されている。
また、政府のAI戦略会議における議論を踏まえて2024年4月に「AI事業者ガイドライン(1.0)」が取り纏められた。このガイドラインでは「 AI の安全安心な活用が促進されるよう、我が国における AI ガバナン スの統一的な指針を示す。これにより、様々な事業活動において AI を活用する者が、国際的な動向及びステ ークホルダーの懸念を踏まえた AI のリスクを正しく認識し、必要となる対策を AI のライフサイクル全体で自主的に 実行できるように後押しし、互いに関係者と連携しながら「共通の指針」と各主体に重要となる事項及び AI ガ バナンスを実践することを通して、イノベーションの促進とライフサイクルにわたるリスクの緩和を両立する枠組みを 積極的に共創していくことを目指す。」とその趣旨が述べられている。このガイドラインにはプライバシーへの言及はあるものの生体情報の扱いなど焦点化している AI 技術の問題への言及がなく、国際ルールについても EU の DGPR への言及がないなど、国や企業が私たちの個人データを利活用することを最優先としたガイドラインになっている。AIをめぐるプライバシーや人権をめぐる領域の運動の弱さが端的にあらわれてしまっている。
1.5. マイナンバー/カードをめぐる政府の強引な政策
マイナンバー/カードについては、政府による保険証の廃止とマイナ保険証への強引な転換が引き続き重要な課題となった。強引な政策の背景にあるのは、2023年3月末までにほとんどの住民にカードを保有させる方針にある。23年4月末時点で69.8%と目標達成とはいかず、次に出してきたのが現行保険証を廃止してマイナ保険証一本化だった。
2024年12月1日で現行保険証廃止という誘導策でマイナ保険証しか使えないと多くの人々が思い込まされていたが、法律で廃止は決まっていない。こうした誘導策にも関わらず、24年5月末時点で約80%と増えたもののマイナンバーカードに対する不審・拒否感を持っている人々は少くない。
実際マイナ保険証の利用率は極めて低い。他方で、マイナ保険証への切り替えに反対する運動が粘り強く継続しており、医療従事者など当事者からも異論が出されてきた。
家族名義の口座登録 訳13万件をはじめとして、以下のような問題が発覚した。(NHK)
- マイナンバーと一体化した保険証に別人の情報登録 7300件
- 公金受取口座を別人のマイナンバーに登録 748件
- マイナポイントを誤って別人に付与
- マイナンバー活用の住民票写しなどの交付で別人の証明書を付与
- 本人が希望していないのにマイナンバーカードと健康保険証を一体化
またマイナンバー法に基づいて報告されたマイナンバーの漏洩事案は334件と報じられている。
マイナンバカード内臓の電子証明書を利用するワンカード化で特定個人の追跡が可能となり今後一層監視社会化が加速される。
番号法改正による個人情報の分野を超えたマイナンバーの利用拡大は、警察・公安機関の捜査に恣意的に利用されたり経済安保法適正評価でマイナンバーが利用される懸念がある。
携帯電話の機種変更の本人確認において、マイナンバーカードを事実上義務化することにみられるように、本人確認としてマイナンバーカードしか認めない流れがつくられており、自分を証明する手段がマインバーカードのみとなることには重大な問題だ。
マイナンバーの普及が強引に進められており、私たちが長期にわたって変えることのできない個人情報を集約し、これに個人の動静把握につながるデータが紐づけされる仕組みのリスクは極めて高い。この点は、多くの人々が直感的に感じているところでもあり、それがカード普及の歯止めになっている。他方で、私たち一人一人の生活環境では直接何の変化も実感できないなかで、国や企業の間でのデータの利活用が水面下で推進できるような制度や組織、ルールの改正が進んでいることにより大きな注意を払う必要がでてきている。
2. JCA-NETの活動
2.1. セミナー開催の実績
セミナーはすべてオンラインで開催した。毎回の参加者は10数名から20数名程度で特に目立った増減はない。オンラインの参加者を中心に2023年暮までLinux-infoというメーリングリストを設置して運用していたが、これを廃止し、新たに、digital-rightsのメーリングリストを設置してセミナーの話題や関連するテーマについて自由に意見交換や投稿ができる環境を設置した。
Linux-infoのメーリングリストを廃止した理由は、名称と内容が不一致であることから、より内容に即した名称にすること、より重要なもう一つの理由として、Linux-infoでは、セミナーに参加した人をすべてこのメーリングリストに登録するという方法をとっていたが、むしろ、事前に参加の了解をとることが好ましいことから、再度参加の意思を確認して、了解がとれた者だけを登録するように変更した。また、セミナーの新規申込者についても、メーリングリストへの登録の是非を事前に質問するように、申し込みの書式を変更した。
2.1.1. 2023年4月
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/258
- セミナー1 4月23日(日) 15時から:どうする?サイバー戦争の放棄!――ロシア・ウクライナ戦争を教訓に
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/RmknYsP9WGrPHaa
- セミナー2 4月26日(水) 19時から:どう守る?メールアドレス対策
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/8qDFYo4RNrjRkGH
- セミナー3 4月30日(日) 15時から:フォローアップ――セミナーで取り上げたテーマに関連した質疑や情報交換
2.1.2. 2023年5月
- セミナー1 5月24日(水) 19時から ChatGPT:政府と企業の動向とその批判
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/nDDekirsGD27DMM
- セミナー2 5月27日(土) 15時から NATOのサイバー軍と日本の自衛隊
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/PPrys4F48XMm9Ny
- セミナー3 日時:5月30日(火)19時から フォローアップ
2.1.3. 2023年6月
- セミナー1 6月20日(火) 19時から プライバシーツールを一挙紹介
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/7CNQaE8sbrqBpba
- セミナー2 6月25日(日) 15時から AIによる労働者搾取
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/tcsBnBQfedz2NyJ
- セミナー3 6月28日(水) 19時から フォローアップ
2.1.4. 2023年7月
- セミナー1 7月22日(土) 15時から 能動的サイバー防御とサイバー戦争――戦争に加担しないために
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/5tAQty5N8HMs6Zr
- セミナー2 7月27日(木) 19時から Libre Officeを使ってみる――ワード、エクセル、パワポからの卒業へ
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/fQHRZojorg4gPQZ
- セミナー3 7月31日(月) 19時から フォローアップ
2.1.5. 2023年8月
- セミナー1 8月22日(火) 19時から 地図を使いこなす――Google MapではなくOpen Street Mapで
ゲストのプレゼンター:野方純さん
- セミナー2 8月26日(土) 15時から 法が私たちの権利に背くとき――米国の監視社会とジェンダーを事例に
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/HccYHiL8MjmsjGD
- セミナー3 8月30日(水) 19時から フォローアップ
2.1.6. 2023年9月
- セミナー1:2023/09/19(火) 19時から―オンライン会議システムとAIビジネス―ZOOMが巻き起こした波紋の教訓
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/rApoAMpo2tcjqZc
- セミナー2:2023/09/23(土) 15時から―国連サイバー犯罪条約―今争点となっている深刻な課題とは
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/GqBN8EDJABDR7ak
- セミナー3:2023/09/27(水) 19時から―フォローアップ
2.1.7. 2023年10月
- セミナー1:10月18日(水)19時から フィンガープリントって何?―クッキーだけじゃない厄介な代物
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/3EbSGitW8SAXqcX
- セミナー2: 10月21日(土)15時から スノーデン暴露から10年を振返り、政府や警察による暗号弱体化の波を押し返す―グローバル暗号化デー参加イベント
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/oxji2JFqWgRM9j4
- セミナー3:10月24日(火)19時から フォローアップ
2.1.8. 2023年11月
- セミナー1:11月20日(月)19時から 暗号化ソフトVeraCryptの使い方(USBの暗号化も解説)
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/2PapnE5bJQF22qy
- セミナー2:11月25日(土)15時から パレスチナとインターネット―情報遮断と情報戦
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/3oWfL6e7R4f9Jcz
- セミナー3:11月28日(火)19時から フォローアップ
2.1.9. 2023年12月
担当の小倉理事が病気のため中止となった。
2.1.10. 2024年1月
- セミナー1:1月20日(土)15時 インターネットの情報操作・情報統制―戦争とSNSを中心に
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/ARm6Pbct9me8qbk
- セミナー2:1月25日(木)19時から パスワード管理ソフトを使ってみる
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/kgFbGctwM2973Ho
- セミナー3:1月29日(月)19時 フォローアップ
2.1.11. 2024年2月
- セミナー1:2月18日(日)15時 Amazon、Google、Microsoftなどビッグテックの軍事産業化
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/FoEsaWorrPzbrR4
- セミナー2:2月23日(金)19時から マスメディアに頼らない情報収集―ネットの使い方のアップグレード―国際司法裁判所への南アによるイスラエル提訴を例に
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/arotoos7eCYnz3r
- セミナー3:2月27日(火)19時 フォローアップ
2.1.12. 2024年3月
- 特別編:3月16日(土)15時から:ティーチイン(オンライン):イスラエル・パレスチナ戦争と私たち
プレゼン資料
議論の問題提起をしていただく方として、三輪隆さん(元埼玉大学教員、憲法研究者)、中野真紀子さん(エドワード・サイードなどの翻訳者、Democracy Now Japan)、村田はるせさん(ルワンダのジェノサイドなどフランス語圏のアフリカ研究者)の三人の方に各々10分から15分ほどの短かい時間ですが、お話をいただき、その後自由な質疑を行なった。
- セミナー1:3月19 日(火)19 時から スマホのセキュリティ―最初の一歩
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/bWN6kLYF4ZrL3cT
- セミナー2:3月23 日(土)15 時から 監視社会化する学校―脱ギガスクールへ
プレゼン資料
https://pilot.jca.apc.org/nextcloud/index.php/s/BrMjRAZqLP8H9tx
- セミナー3:2月27日(火)19時 フォローアップ
2.2. 集会の主催・共催、キャンペーン行動
IGF京都への海外参加者に対する日本政府によるビザ発給拒否に強く抗議します(2023年12月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/311
英語
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/312
(キャンペーン)ガザ・パレスチナの人々のコミュニケーションの権利を支援しよう(2023年11月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/307
カメラで追跡されるのはゴメンだ!顔識別カメラシステムに反対する院内集会
2023年11月24日
顔識別カメラシステムに反対する市民団体共同声明の呼びかけ団体として主催者として参加
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/306
JCA-NET理事会声明:日本政府はイスラエルのガザ侵攻に反対し、イスラエル・パレスチナ戦争に対して明確に停戦の意思表示を(2023年10月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/301
英語
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/302
(共同声明)能動的サイバー防御と関連する法改正に反対します―サイバー戦争ではなくサイバー領域の平和を
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/296
以下の各団体とともに呼びかけ団体になりました。
盗聴法に反対する市民連絡会、
ATTAC Japan(首都圏)、
共謀罪 NO!実行委員会、
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、
ふぇみん婦人民主クラブ、
許すな!憲法改悪・市民連絡会、
すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川
民主人権無國界 ~ 万国の労働者、民主と人権と未来のために団結せよ ~ 香港(ロンドン)- 東京 オンライン集会
ATTAC Japan(首都圏)、東京大学総合文化研究科 研究交流プラットフォームとの共催。(2023年9月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/284
2.3. 団体としての賛同署名など
#KeepItOn:戦時における スーダンの通信遮断を早急に撤回すべき(2024年2月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/340
#KeepItOn: アゼルバイジャン共和国政府とインターネットサービスプロバイダーは、来る選挙期間中、自由でオープンかつ安全なインターネットアクセスを維持しなければなりません(2024年2月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/333
日本のNGOによる要請文(UNRWAへの日本政府の拠出金停止の即時撤回)(2024年2月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/331
国連アドホック委員会の最終会合を前に、サイバー犯罪条約案に関する共同声明(2024年1月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/330
スリランカ政府への公開書簡:人々の権利と未来を守るため、オンライン安全法案を撤回せよ(2024年1月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/328
(公開書簡)#KeepItOn バングラデシュ当局は、2024年の選挙期間中、オープンで安全なインターネットとソーシャルメディア・プラットフォームを保護しなければなりません(2023年12月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/313
人権団体は、ガザと世界中のパレスチナ人に対する物理的・デジタル的な即時停戦に関する公開の呼びかけに加わる(2023年10月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/298
国際市民社会の声明 ガザにおける通信とインターネットの接続を今すぐ回復せよ(2023年10月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/297
危機の時代におけるパレスチナ人のデジタルの権利尊重をテック企業に求める 市民社会団体の呼びかけ(2023年10月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/295
共同書簡 インターネット・ガバナンス・フォーラムは、サウジアラビアを次のホスト国とする決定を撤回すべきだ(2023年10月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/294
(共同書簡)表現の自由とプライバシーを脅かすSTOP CSAM法(2023年9月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/290
グローバル声明 顔認識による監視を今すぐ止めなさい!(2023年9月)
ガボン共和国大統領アリ・ボンゴ・オンディンバ宛公開書簡:次期選挙期間中もインターネットをオープンでセキュアな状態に保つよう求める(2023年8月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/286
(公開声明)インド、マニプール州政府への公開声明:何百万もの人々に影響を及ぼしている、現在進行中のインターネット遮断を中止せよ(2023年8月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/285
#KeepItOn ジンバブエ政府への要請:2023年の選挙期間中、インターネットとソーシャルメディア・プラットフォームはオープンで安全な状態を維持せよ(2023年8月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/283
市民社会声明:セネガル政府はインターネット遮断の常態化をエスカレートさせるな!(2023年8月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/282
ヨルダン国王への公開書簡: 2023年サイバー犯罪法を廃止せよ(2023年7月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/281
(公開書簡)#KeepIton シエラレオネ政府への呼びかけ-2023年の選挙期間中、インターネットとソーシャルメディアプラットフォームをオープンで安全に保つこと
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/274
国際共同書簡:オンラインセーフティ法案:市民団体が英国に対し、グローバルなデジタル・セキュリティの保護とプライベート・コミュニケーションの保護を求める
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/272
(韓国)ジャーナリストが ウクライナの戦争取材で刑事罰――憲法裁判所に提訴へ。JCA-NETはこの闘いを支援します(2023年6月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/266
EUが提案した子どもの性的虐待をオンラインで闘うための規制の危険性に関する共同声明
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/265
Slackへの公開書簡(2023年5月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/263
公開書簡 プライバシー、表現の自由、報道の自由に対する私たちの権利を守れ(2023年5月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/261
米国議会宛公開書簡「2023年インタラクティブ・テクノロジーの濫用・蔓延する不履行を排除する法律(EARN IT Act)に対する反対意見」(2023年5月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/260
2.4. 情報発信の支援
国際司法裁判所における南アフリカによるイスラエル提訴関連文書を日本語に
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/326
2023年12月に南アフリカがイスラエルをジェノサイドの罪で国際司法裁判所に提訴した。JCA-NETの理事会は、この裁判の資料を日本語で提供する活動を支援することを決定し、ウエッブサイトを設置して裁判所の暫定措置命令や南アの申立書など主要な文書類の翻訳に協力してきた。この活動は2024年度も継続される。
2.5. 会員のインターネット接続サポート
会員の多くが高齢化するなかで、ネットの情報発信環境がメールやウエッブからSNSへと大きく変化しているが、JCA-NETとしては、従来からあるメールやウエッブを中心として、会員の発信をサポートする努力をしてきた。
2023年に多くみられたサポートとしては、
- Googleなど大手のメールプロバイダーがメールの受信条件を厳しくしており、これに対応して委託先のPOEMでも数度にわたりメールサーバーの設定についての対処を行なった。
メール送受信の認証強化へのJCA-NETとしての対処について
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/351
- メーリングリストの利用について、とくに管理者としてメーリングリストを使用する場合の管理サイトの設定方法の説明が必要な場合があった。
- Jitsi-meetの利用についても、初めて主宰者になった場合のサポートを行なうことが何度かあった。
他方で、Nextcloudの利用については使い方の問い合わせもあるが、むしろまだ十分な周知がされていないことが課題として残っている。
2.6. APC関連ドキュメントの提供
以下のドキュメントを翻訳して提供した。
グローバル・デジタル・コンパクトにおけるジェンダーを包摂するためのフェニスト原則(2024年1月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/317
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/316
(APC)インターネット・シャットダウンを乗り越える方法を学ぶ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/310
(7amleh)ガザ紛争がパレスチナ人のデジタル権利に与える影響(2023年11月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/305
(7amleh)パレスチナ・デジタル権利連合は、Metaに対し、パレスチナ人の非人間化と彼らの声の封殺をやめるよう要求する(2023年11月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/304
APC、ガザに関する国連総会緊急会合で119カ国の政府に人権と法の尊重を求める
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/299
APC、パレスチナ人に対する暴力を非難し、すべての人々の人権保護を要求する
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/300
Shalom Gauri「アジア太平洋地域の個人データ保護法は専制政治に悪用されている」(2023年9月)
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/node/291
2.7. 注意喚起
JCA-NETを偽装したなりすましやフィッシングメールが繰り返されることがあり、理事会としても以下のように、memebrsのメール送信などを通じて、会員に注意喚起を行なってきた。
2.7.1. 2024年2月19日 注意喚起
[members 407] JCA-NETからの注意喚起(2024/2/19)
1. JCA-NETを装った様々なフィッシングメールが確認されています。
2. なりすましメールの文例
.. 1. 文例:その1 以下のような内容のメールは破棄してください
.. 2. 文例:その2 以下のような内容のメールは破棄してください
3. なりすましメールかどうかについて判別する方法
.. 1. 「怪しい」と感じたメールは破棄してください:文面にあるクリック先のURLを確認すること
.. 2. JCA-NETからのお知らせではHTML形式のメールを用いておりません従っ
.. 3. JCA-NETが使用しているドメインについて
.. 4. 判断に迷った場合は、JCA-NETのサポートページを確認する、電話で問い合わせること
2.7.2. 2023年4月19日 注意喚起
[members 348] JCA-NETになりすましたメールへの注意喚起
2023年4月19日
JCA-NET理事会
ここ数日「jca.apc.org メール(※JCA-NETのメールアドレス記載)の設定確認のお願い 」あるいは「jca.apc.org -【重要】サーバー環境の移行に関するお知らせ」などのタイトルでJCA-NETになりすましたメールが会員宛などに送付されています。このメールはJCA-NETのメールではありません。破棄していただくようお願いします。
以下略
3. 2024年度活動方針案
3.1. 24年度の重点的な取り組み課題
3.1.1. 反戦平和運動における「サイバー戦争反対」の取り組み
2023年度の総会議案書では、23年度の活動方針として以下のように述べた。
「従来からの反戦平和運動のなかでこうしたサ
イーバー戦争の領域を主要な取り組み課題としている団体はない。JCA-NETの
力量も限られているが、こうした状況においてJCA-NETの果すべき役割は大き
いといえる。JCA-NETとしては、反戦平和運動団体により一層サイバー領域に
関心をもってもらい、共にたたかえる体制を構築するための取り組みを強化す
る年にしたい」
サイバー領域での戦争の状況は、ウクライナにおいてもガザにおいてもますます深刻化しており、今年度も引き続きサイバー領域での反戦平和運動に可能な限り力を注ぎたい。
すでに2023年10月にJCA-NETを含む8団体による「(共同声明)能動的サイバー防御と関連する法改正に反対します―サイバー戦争ではなくサイバー領域の平和を」を出しているが、政府の動きがみえないなかで、共同声明を出して以降の活動が若干停滞してきた。しかし、2024年6月以降政府は有識者会議第一回会合を開催し、立法化の準備に入っていることも踏まえて、能動的サイバー防御をはじめとするサイバー領域の軍事・安全保障に反対する運動については重点課題としたい。
3.1.2. ネットを中心とした監視社会反対の取り組み
23年度の活動方針としてマイナンバー/カードが日本の監視社会化にとって重要な課題になると指摘したが、JCA-NETとして独自の取り組みができたわけではなかった。今年度は、マイナ保険証の導入が更に本格化する年になる。このマイナンバー/カードは政府の統治機構のデジタル化と官民データ・インフラの統合という大きな流れのなかの重要な柱になるものだ。民衆のコミュニケーションの権利運動を中心課題とするJCA-NETとしてもマイナバー/カードの強制に反対する運動に関われるような取り組みを続けたい。とくに、主要にマイナンバー/カードの反対運動に取り組んできている他の市民運動団体などの連携を強化できるような体制をとりたい。
暗号化については、国際的な共同声明への参加や毎年秋に開催されるグローバル暗号化デーのイベントに参
加しながら暗号化の意義についての啓蒙活動を行なっているが、今年も引き続きこの取り組みを継続する。暗号をめぐる国際的な状況をみると、各国政府や捜査機関による暗号規制の動きが活発になっている。むしろ日本政府の動きが不透明なことが危惧されるのがあ現状だ。
JCA-NETは、毎年セミナーで暗号化に関連するテーマを取り上げてきた。(セミナーの項参照)しかし、JCA-NETとしては21年に「暗号規制に反対します―日本政府は「エンドツーエンド暗号化及
び公共の安全に関するインターナショナル・ステートメント」から撤退を!!」の声明を出して以降、新たな声明を出していない。状況を分析しつつ状況に対応した意思表示や行動をとりたい。特に、日本の市民運動、社会運動のネットのツールの利用においては、暗号化ヘの関心が低い。これは私たちの活動の力不足を反映している。より一層暗号化への規制に反対して暗号化ツールの利用を促すキャンペーンに取り組むことが必要である。
匿名性をめぐる問題について、23年度の議案書に以下のように記載した。
匿名性については、そもそもネットへの接続や携帯電話契約などで本人確認が
厳格な日本では、匿名の権利を行使するためには、一般に普及しているネット
の使い方だけでは不十分な場合が多い。DVの被害者、企業の内部告発者、自国
政府から追跡されている難民など人権上脆弱な立場にある人達が自由にコミュ
ニケーションをとることができるためには、匿名性と暗号化は必須のツールで
ある。他方で匿名性の権利を「後ろめたいことがなければ匿名など必要ないは
ずだ」という考え方も根強くみられる。匿名の権利の重要性をアピールしつつ、
ツールを使いこなせるようなネットの文化を構築するために、セミナーやワー
クショップ、ウエッブなどでのキャンペーン、政府による規制への反対運動な
どで関係する人権団体などとも協力しながら取り組む。
ネットの匿名性は人権侵害や犯罪を助長するものであるかのような印象操作がメディアや政府によって繰り返されている。本人確認の厳格化も進められている。しかし、匿名の権利は同時に人権にとって重要であって実名や本人確認の強制はむしろ監視社会化を招く。この点についての問題提起を、今年度もさらに積極的に提起していく。
3.1.3. 様々な社会的な課題に取り組む会員の活動を支援する
JCA-NETのばあい、一般の団体とは異なり、理事会や総会の決定がJCA-NETの会員の活動をし縛るものでもない。他方で、理事会は、可能な限り会員のネットにおける活動を支援することが大切な使命になる。
JCA-NETは様々な情報発信のツールを提供している。とくにメーリングリストについては、会員であればサービスの基本料金内で設置数に上限を設けずに実施できることもあり、最も活発に利用されている。また、コロナ禍でのオンライン会議が普及したこともあり、jitsi-meetの利用も比較的好調と思われる。その一方でブログの設置については、WordPressなどCMSが主流となっていることもあり、設置に必要なノウハウがやや難解なこともあって、自力で設置できないケースがありサポートが不可欠である。また、NextCloudのようなクラウドサービスについても、利用は多くはないと思われる。WordPressやNextCloudは現在ではかなり一般的に用いられているツールであることを考えると、これらをより一層会員のなかで使いこなしてもらえるようなバックアップやサポートの体制を充実させる必要がある。また、NextCloudについては会員でも知らない人が多いと思われる。メールについてもウエッブメールのRoundCubeを知らないためにメールサービスを使い込なせていない会員も多い。これらのサービスの周知を図ることが重要である。
2023年度には、国際司法裁判所の南アv.イスラエルの裁判資料の翻訳サイトを設置した。これはセミナーのメーリングリスト(Digital-rights)において会員から提案があったことをきかけに、理事会に諮って設置された。現在は小倉理事がこの件に中心的に関わっている。今後も理事がある程度関与できる場合であれば、このような取り組みを増やすことも重要かと思われる。今後前向きに検討したい。
3.1.4. コミュニティレベルの小集会、ワークショップの開催
月例のセミナーはオンライン開催である。そのために、全国各地からの参加者がおり、リアルのセミナーでは困難な地理的なバリアがある程度解決できている。しかし他方で、対面での議論ならではの取り組みができないできた。
23年度の活動方針には以下のように書かれている。
小規模なミーティングを通じて、市民運動、労動運動、社会運動など
の活動の場で、反戦平和運動であれば、「サイバー戦争反対」「ネット監視社
会反対」などのスローガンを常に組み込んでもらえるような、理解と協力関係
を構築したい。こうした活動に必要な基本的なドキュメントの作成などにも取
り組む必要がある。
各地で、少人数でもよいので、集まってもらいながら議論の場を構築し、これをネットの活動にも繋げることができないか、という意図があったかと思うが、残念ながら、この取り組みはほとんど実施できなかった。
労働、ジェンダー、環境、社会的マイノリティなどの諸問題はいずれも深刻であり、多くの草の根の運動も各地にある一方で、JCA-NETがこうした運動をネットの活動として支援するだけのアウトリーチをもちえていない。この点は、力量の限界があるとはいえ、可能な限り、できる範囲で追求していきたい。
3.1.5. 広報への取り組み
23年度の方針では以下のように書かれている。
現在、JCA-NETの会員拡大のための基礎的な資料(参加の呼びかけ、JCA-NETの
紹介、費用、参加者からの声、理事の紹介などなど)が準備されていない。ウ
エッブでも参加勧誘に特化したページもない。最低限の「加入のしおり」など
の作成(紙媒体によるもの)は必要であり、今年度の取り組み課題としたい。
この方針の実施はほとんどできていない。加入のしおりの作成については、必要な印刷経費などは確保できるので、今年度なんとか実現にこぎつけたい。
3.1.6. 動画配信について
また、23年度の方針では、動画の配信については以下のように書かれている。
また、動画での発信についてもほとんど実現できていない。jitsi-meetの提供
はされているものの、JCA-NETが独自に動画を作成するなどには取り組めてい
ない。他方で、オンラインの集会やシンポの増え、ディスカッションやインタ
ビューなどの動画発信も当たり前になっている。動画配信=Youtubeが主流になっ
ている現状に対しても、オープンソース、脱中央集権、非営利などの特徴をも
つ別の選択肢を提起することが必要である。
ここで指摘されている非営利で脱中央集権的な動画配信としては、peertubeが有力な選択肢になりうると思われる。しかし、peertubeのためにサーバーを設置して保守管理をしてもらう作業をPOEMに委託する必要がある。安定的に委託できるだけの財源を確保できるかどうかの検討が必要になる。この点については、会費の他に、カンパが22年度、23年度と続けて20万円ほど集まっており、これがある程度安定的な財源になるのであれば、これを原資としてpeetubeのインスタンスの設置も可能かもしれない。この点を今年度は検討課題としたい。
市民運動や社会運動の動画配信の現状はYoutube一択である。これは極めて不健全な状況といえる。完全な代替とはいえないにしても、少なくとも、他の選択肢、特に非営利であること、オープンソースであること、そして個人データを営利目的で収集しないこと、などを満たすサービスが現実に存在する以上、これを可能な限り提供できるような体制を追求したい。
3.1.7. 会員のメールなどのセキュリティ対策
会員の高齢化が進んでおり、ネットの現状に追い付いていない会員が多く存在すると思われる。とくに危惧されるのは、セキュリティ対策である。なりすましや様々なマルウェアは年々巧妙になっており、感染する会員も実際にあらわれている。感染への防衛にとって必要なノウハウを提供する努力を続ける必要がある。
3.1.8. そのほかの重要な活動
2025年度には役員の改選がある。現状の理事の人数は圧倒的に足りず、APCの加盟団体としてもジェンダーアンバランスは解消すべき課題として認識したい。この1年は、新規の理事を招くための努力をする必要がある。