JCA-NETは下記の共同声明の署名者になりました。


(共同声明)大量監視と暗号化の脆弱化の問題の議論がEU理事会に依然として残されている

EU加盟国の司法 ・ 内務担当大臣 および省庁の皆様
駐EU常駐代表(大使)の皆様
EU法 執行作業部 (LEWP )における EU 加盟国の代表の皆様、

2024年4月17日

市民社会組織45団体と26名の専門家は、多くの重大な問題が残されたままの「子どもの性的虐待(CSA)規制」に関するEU理事会の立場に皆様が同意しないようこの共同書簡を書いています。欧州委員会の法律草案や これまでの理事会文書にあった大規模な監視や暗号化に対する深刻な脅威などの基本的な欠点は、ベルギー議長国からの最新の文書でも解決されていません。

このEUの立法提案の過程で、人権法、サイバーセキュリティ、(デジタル上の)子どもの権利、子ども保護ホットライン、警察、データの権利などにまたがる何千人もの 専門家から、大きな懸念が提起されてきました。

これらの懸念は、ドイツ、ポーランド、フランス、オーストリア、オランダ、エストニア、フィンランドを含む各国政府に伝えられ、各国政府はこの提案のさまざまな法的・技術的欠陥に反対する立場をとっていると報じられています。しかし、私たちは、これらの重大な問題は、新たなアプローチにおいても依然として存在していることを警告したいと思います。

特に、基本的人権の観点からは、新たな提案は重要で意味のある修正を行っていません。プロバイダーに対して、捜査命令(detection order)に従うためにエンドツーエンド暗号化サービスを弱めることを強制することが依然として可能であり、オンラインCSAの犯罪と関係のないユーザーの監視を依然として要求することができます。

これは、EU域内外の人々のプライバシー、データの保護、表現の自由、推定無罪の基本的な権利を守る問題でもあります。

新たな提案ではリスク分類の枠組みには若干の変更があるものの、依然として(EU司法裁判所(CJEU)[1]が解釈する直接または間接的な関連性という意味での)対象を絞ることなく、広範に捜査命令の適用を認めています。

EU理事会法務部によって以前 提起された、包括的な監視を禁止する人権判例法と整合性を欠くという懸念は、はっきりと残されています。そのため、捜査命令は引き続きCJEUで無効にされる可能性があります。

ここでの問題は、デジタル通信を保護するための最も重要な手段のひとつであるエンドツーエンド暗号化を損なわないようにする、ということにあります。

新提案は、暗号化を保護する必要性に多少言及してはいるものの、プロバイダーが暗号化された通信を「変更」または「復号」することを強制されることはないというにすぎません。クライアント・サイド・スキャン(CSS)技術の使用は引き続き検討の対象となっており、プロバイダーが一般的にサービスのセキュリティや完全性の脆弱化を強制されることを止めるものではありません。

今年初め、欧州人権裁判所(ECtHR)は画期的な判決を下し、プライバシーの権利保護における暗号化の重要性を強調しました[2]。この重要な考慮は、EU理事会の新たなアプローチには反映されておらず、したがって、CJEUに加えてECtHRにも抵触する可能性が高いのです。

これは、法律の目的がいかに重要であろうとも、セキュアなオンライン・コミュニケーションに安全を依存している人々が不当に影響を受けないようにすることに関わるものです。

ジャーナリストから若者の活動家、セクシュアリティや生殖医療に関する情報を求める人々まで、こうした人々も考慮されなければなりません。しかし、最新の提案とこれを支持する附属書は、リスクの高い年齢確認ツールを義務づけ、広範で侵襲的なその他の個人データの開示を促し続けています。これらを合わせると、オンライン上の匿名性はほぼ不可能となり、人々のデジタルの自由と安全に深刻な結果をもたらしかねません。

さらに、新たに提案されたリスク分類では、ユーザーのプライバシーとセキュリティを保護するサービスを高リスクとみなしています。逆に、ユーザーデータの搾取と収益化に依存し安全な通信チャネルを提供しないビジネスモデルによるサービスは、デフォルトで低リスクとみなされることになります。このことは、一般データ保護規則(GDPR)で定められているプライバシー・バイ・デザインおよびデフォルトの原則に反するものです。

欧州データ保護監督官が最近強調したように、CSA規則はEUが深刻な事態を招くリスクを有しています。交渉の行き詰まりを解消するために議長国が試みたこの最新の試みにより、欧州理事会は暗号化を脅かす一般的な監視の措置を承認することになり、これは間違いなく世界中に波及することになるでしょう。私たち署名者は、この新しい理事会の一般的アプローチを拒否し、私たちの権利と自由を守ることを国の代表者であるあなた方に求めます。

署名団体と個人

Pan-European
• European Digital Rights (EDRi)
• The Centre for Democracy and Technology Europe
• European Network for the Promotion of the Rights and Health among Migrant Sex Workers (TAMPEP)
• Access Now
• Civil Liberties Union for Europe
• Defend Democracy
• Wikimedia Europe

Austria
• epicenter.works - for digital rights

Denmark
• IT-Pol Denmark

Germany
• Digitale Gesellschaft
• Gesellschaft für Informatik e.V. (German Informatics Society)
• Deutsche Vereinigung für Datenschutz e.V. (DVD)
• SUPERRR Lab
• D64 – Zentrum für Digitalen Fortschritt (Center for Digital Progress)

Greece
• Homo Digitalis

Italy
• Comitato per i Diritti Civili delle Prostitute APS

Netherlands
• Bits of Freedom
• Privacy First
• PIC

Portugal
• AP2SI - Associação Portuguesa para a Promoção da Segurança da Informação
• ISOC Portugal
• ANSOL - Associação Nacional para o Software Livre
• D3 - Defesa dos Direitos Digitais

Slovenia
• Državljan D / Citizen D

Spain
• Xnet, Institute for Democratic Digitalisation (Spain)

Sweden
• Red Umbrella Sweden

International/global
• Electronic Frontier Foundation (EFF)
• Fundación Cibervoluntarios
• Internet Society
• The Tor Project
• Aspiration International – countries and regions
• Internet Society Catalan Chapter (ISOCCAT)
• CIPESA (Africa)
• Bangladesh NGOs Network for Radio and Communication(BNNRC)!
• Tech for Good Asia
• Internet Society - Brazil Chapter
• Electronic Frontier Norway
• Fight for the Future (United States)
• Privacy & Access Council of Canada
• JCA-NET(Japan)
• Big Brother Watch (United Kingdom)
• Electronic Frontiers Australia
• Defend Digital Me (United Kingdom)
• STAR - The First Sex Workers Collective in the Balkans (North Macedonia)
• European Sex Workers' Rights Alliance (ESWA) (Europe and Central Asia)

Expert individuals (academics, researchers, technologists, lawyers etc.)
• Bart Preneel, Professor KU LeuvenCOSIC
• Simona Levi, digital rights activist and theatre director, University of Barcelona
• PhD. Jordi Domingo-Pascual, Professor at Universitat Politènica de Catalunya (UPC BarcelonaTECH)
• Brian Byaruhanga, Engineer and Technologist
• Dr. Zdravko Bozakov, Professor at University of Applied Sciences Worms
• Sharon Polsky MAPP, President, Privacy & Access Council of Canada
• Mr Michele Neylon, Technologist
• Runa Sandvik, Founder of Granitt
• Alec Muffett, Security Technologist & Consultant
• Robin Wilton, Technologist & Director, Internet Trust at Internet Society
• Jeremy Harmer LL.M. Ph.D., Independent privacy researcher
• José Legatheaux Martins, Retired professor of Informatics at NOVA
School of Science and Technology, Lisbon
• Leo Florea Ph.D., Encryption researcher and cybersecurity expert
• Jorge Pinto, Member of the Assembly of the Republic of Portugal
• Riana Pfefferkorn, Research Scholar, Stanford
• Prof. Carmela Troncoso, EPFL
• Jorge Alberto Kobeh Jirash, Technologist
• Charles Mok, Stanford University
• Arne Möhle, Founder of Tuta Mail (Tutanota)
• Matthias Pfau, Founder of Tuta Mail (Tutanota)
• Athena Michalakea, PhD Birkbeck, University of London, Lawyer, Athens Bar Association
• Prof. Dr. Gloria González Fuster, Research Professor at Vrije Universiteit Brussel (VUB)
• Ot van Daalen, Institute for Information Law, University of Amsterdam
• SW Digitaal, Digital Rights Advisor for sexworkers in the Netherlands
• Marjan Wijers, PhD researcher human rights and sex worker rights
• Yigit Aydinalp, University of Sheffield

出典:https://edri.org/wp-content/uploads/2024/04/45-NGOs-and-26-experts-warn…