南アの国際司法裁判所への申立書(2023年12月28日)の日本語訳ができました

昨年12月28日に、南アフリカは、10月7日以降のイスラエルによるガザへの軍事侵攻や攻撃をジェノザイド条約に違反するとして停戦などの暫定措置命令を出すよう国際司法裁判所に対して申立書を提出しました。この申立書の日本語訳がやっと公表できることになりました。PDFで公開しています。

申立書PDF
https://www.jca.apc.org/jca-net/sites/default/files/2024-05/20231229sou…

ICJ関連の翻訳サイトのトップページ
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/icj-southafrika-v-islael-document-jp

南アフリカの申立書の目次のみ以下紹介します。

I. 緒言
II. 裁判所の管轄権
III. 事実関係
A. 緒言
B. 背景
1. ガザ地区(「ガザ」)
2. 西岸地区(東エルサレムを含む)
3. 2023年10月7日のイスラエルにおける攻撃
C. パレスチナ人に対するジェノサイド行為
1. ガザにおけるパレスチナ人の殺害
2. ガザのパレスチナ人への深刻な身体的・精神的危害
3. ガザではパレスチナ人が大量に家から立ち退かされていること
4. ガザのパレスチナ人のための適切な水、食料へのアクセスの剥奪
5. ガザのパレスチナ人に対する適切な住居、衣服、衛生設備へのアクセスの剥奪
6. ガザのパレスチナ人に対する適切な医療支援の剥奪
7. ガザにおけるパレスチナ人の生活破壊
8. パレスチナ人の出産を阻害する措置の強制
D. イスラエル国家高官らによるパレスチナ人に対するジェノサイドの意図の表明
E. パレスチナ人に対するイスラエルのジェノサイドの意図の認識
IV. 南アフリカの申立て
V. 救済措置
VI. 仮保全措置の請求
A. 仮保全措置の提示が必要となったやむを得ない事情
B. 国際司法裁判所の一応の管轄権
C. 保護が求められている諸権利、その推認される特徴、および当該諸権利と要求される措置との関連
D. 回復不能の損害のリスクと緊急性
E. 仮保全措置の請求
VII 権利の留保
VIII. 代理人の任命

日本語訳はA4で90ページ近くありますが、ジェノサイド罪を立証しなければいけないので、ひとつひとつの文言についても、かなり詳細な根拠資料が注記されているために、脚注だけでも573もあります。また、ジェノサイド条約でジェノサイドの罪として列挙されている事項ひとつづつについて、該当する出来事が具体的に記載されています。これらについては、上記の目次の「III. 事実関係」以下の箇所で、ガザの概要などの説明とともに記述されています。冒頭では南アに申立ての資格があるかどうかについてやや法律的な議論がなされています。

なお、ジェノサイド条約については下記に条文の訳があります。
https://worldjpn.net/documents/texts/mt/19481209.T1J.html

この申立書提出の後、1月11日、12日にヒヤリングがあり、1月26日に裁判所は、暫定措置命令を出しました。しかし、裁判所が停戦を命じなかったこと、イスラエルが命令を無視し続けたことなどから、その後南アは追加の申立てなどを何度か行いました。5月に入ってからも追加の申立てが出され、裁判所は5月24日に、ラファでのイスラエル軍の軍事行動を禁ずる初めての命令をやっと出したばかりです。国際司法裁判所の命令には強制力はなく、その実効性に疑問も出されていますし、私も疑問を持ちますが、このこととは別に、今回の南アの申立書は、現在のガザ戦争について最も詳細な事実関係についての文書のひとつであることは間違いないと思います。実態は日本の報道では十分に伝えられていないと思います。ぜひお読みください。

なお、すでに、国際司法裁判所の1月26日の命令、1月11日のヒヤリングについては、すでに日本語訳を提供しています。
https://www.jca.apc.org/jca-net/ja/icj-southafrika-v-islael-document-jp

※ICJの南アによるイスラエル提訴に関連する日本語翻訳のウエッブについて、JCA-NETも協力しています。