JCA-NETは、グローバル暗号化連合の加盟団体として以下の共同声明に署名しています。私たちのインターネット上での通信において、エンド・ツー・エンドは最も重要なプライバシーと通信の秘密を保護するための手段です。この手段があることによって、通信の当事者以外の者(プロバイダーなど通信サービス業者も含む)による通信内容への監視を回避することができ、社会的に抑圧されていたり差別を被りやすい人々にとっては必須の通信手段になります。EUはインターネットの利用者の個人情報を保護する先進的な制度をもっているということが言われますが、他方で、今回の共同声明が指摘しているように、暗号化の仕組みを脆弱化しかねない政策についても世界に先がけた対策をとろうとしています。EUなど諸外国の情報通信政策は日本にも重要な影響があります。事実日本政府もまた米国等とともに、「エンドツーエンド暗号化及び公共の安全に関するインターナショナル・ステートメント」においてEU同様に規制の方向をとろうとしており、JCA-NETも反対の声明をかつて出しています。このEUの動きに注視しつつ、諸外国の人権団体などとも連携して取り組んでいきます。(小倉利丸、JCA-NET理事)


以下に署名した団体、企業、サイバーセキュリティの専門家の多くはグローバル暗号化連合のメンバーであり、ベルギー議長国が2024年5月付けで、子どもの性的虐待規制(CSA)に関する最新の妥協案を発表したことを受け、以下の声明を発表する。

子どもの性的虐待とそのネット上での流通は深刻な犯罪であり、専門家の証拠に基づいてEU加盟国が慎重なアプローチを取ることによってのみ、効果的に対処することができる。EU議会はすでに、エンド・ツー・エンド暗号化サービスを規制対象から除外する文言を採択し、これを実現している。私たちは、セキュリティを確保し、人権と基本的自由を保障する上での暗号化の重要性を認識するこの一歩を賞賛する。エンド・ツー・エンド暗号化は、大人、子ども、企業、政府を悪意ある行為者の犠牲から守る重要な技術であるため、EU議会のこの前向きなアプローチを歓迎する。

私たちは、EU理事会が同じ道を歩んでいないことを懸念している。EU議長国ベルギーは、暗号化メッセージング・サービスに対してスキャン技術の使用を引き続き主張している。これまでクライアント側のスキャン技術に反対してきた多くのEU加盟国にとって、コンテンツ検出は論争の的となってきた問題である。なぜなら、この技術が重大なセキュリティおよびプライバシー上のリスクを生み出し、全般的な監視を許し、人権を損なうことが当然理解しうるからである。EU理事会の閣僚たちが、暗号化の重要性を認識し、これを保護する努力を行っていることには感謝する。

解決策を見出そうと、ベルギーの大統領府は現在、このアプローチを「アップロード・モデレーション」という言葉を使って再ブランディングしている。これは、クライアント側のスキャンに関して専門家が提起したセキュリティと権利に関する懸念に対処できておらず、単なる体裁上の変更にすぎない。アップロードの時点でスキャンすることは、強力な暗号化というエンド・ツー・エンドの原則を破り、容易にこれを回避し、第三者が悪用できる新たなセキュリティの脆弱性を生み出すことになる。要するに、これは子どもの性的虐待のオンライン拡散の問題を解決するものにはならず、すべての市民、企業、政府にとって重大なセキュリティ・リスクをもたらすものなのだ。

ベルギー議長国の最新の妥協案は、以下のような提案で、コンセンサスを得ようとしている。

1. クライアント側のスキャンは、ビジュアルコンテンツ(写真や動画)とURLのみに適用する。
2. 通信サービスの利用者はスキャンに同意する必要があり、そうでないばあいはサービスを利用して写真やビデオをアップロードしたり共有したりすることはできない。

今日のデジタル社会では、写真やビデオの交換は標準的な行為である。もしユーザーが他に選択肢を持たず、同意せざるを得ないと感じたり、同意しなければそのサービスから事実上締め出されたりするのであれば、同意は強制されたものとなる。強制された同意は真の同意ではない。さらに、この提案は目的にそぐわず、写真やビデオをテキスト文書やプレゼンテーションのような別のタイプのファイルに埋め込むだけで、簡単に回避することができてしまう。

私たちは、EU理事会の閣僚に対し、クライアントサイド・スキャンやアップロード・モデレーションを含め、エンド・ツー・エンドの暗号化の原則に反するすべてのスキャン提案を拒否するよう求める。これらの侵入的な技術は、インターネット・ユーザーの安全と権利を危うくするだけである。

この声明に関する問い合わせは、グローバル暗号化連合運営委員会(ge-admin@globalencryption.org)までお寄せください。

2024年5月31日までの署名団体、署名者

団体
Internet Society
Center for Democracy & Technology
Internet Freedom Foundation
Mozilla
Global Partners Digital
Signal
Access Now
Aspiration
Privacy International
Article 19
Tuta
SecureCrypt
Privacy & Access Council of Canada
Big Brother Watch
The Centre for Democracy and Technology Europe
Sjard Braun
epicenter.works – for digital rights
Elektronisk Forpost Norge (EFN)
JCA-NET(Japan)
INSPIRIT Creatives NGO
Privacy First
The Commoners
ISOC Germany
Alternatif Bilisim (Alternative Informatics Association)
Danes je nov dan
Defend Democracy
Defend Digital Me
Deutsche Vereinigung für Datenschutz e.V. (DVD)
Digital Rights Ireland
Irish Council for Civil Liberties
ISOC Switzerland Chapter
ISOC.DE e.V.
Iuridicum Remedium
Majal.org
Proton
SimpleX Chat
Surfshark
Edvina AB
Law and Technology Research Institute of Recife – IP.rec
Dataföreningen väst
Bits of Freedom
D3 – Defesa dos Direitos Digitais
fairkom
ISOC Portugal
ISOC UK
ApTI
Gate 15
Electronic Frontier Foundation (EFF)
Daniel Törmänen
Državljan D (Citizen D)
Politiscope
European Digital Rights (EDRi)
Global Partners Digital
Aivivid AB
Privacy International (PI)
Irene Promussas, Chairwoman Lobby4kids
IT-Pol Denmark
Electronic Frontiers Australia
ISOC-CAT Catalan Internet Society Chapter
U-YOGA UGANDA
eco – Association of the Internet Industry
Electronic Frontier Finland – Effiry
OpenMedia
Studio Legale Fabiano – Fabiano Law Firm

個人
José Legatheaux, Faculty of Sciences and Technology – New University of Lisbon
Jordi Domingo, Universitat Politècnica de Catalunya (UPC BarcelonaTECH)
Simon Müller
Peter Green
Tanguy Fardet
Jennifer Alba
Jorge Sanchez Llorens
El Haych
Arthur LE GUENNEC
S.C. Pol
Aleksandras Beinaras
Sebastian Ulreich
Igor Maciejewski
Leonardo Wassilie, Salmonberry Tribal Associates
Shadrach Ankrah, Connect Rurals
Jon Callas Zatik Security
Kacper Stachnio Polish
Walter Ruggeri
Stefan Otto
Kye Giles
Kaiah Gene Contributor
Rubem Passos
Paul O’Nolan
Juan Martinez
Alexis Riquelme
Norbert Morawski
Mario Martínez
Duncan Robertson
Elias Gasparis
Louis Rokitta
Jim beam
Julian Kranz
Bart Preneel, University of Leuven
David Schinazi, Internet Architecture Board
Karl Emil Nikka, Nikka Systems
Christine Fröhlich
Nuno Figueiredo
Henrik Alexandersson, 5:th of July Foundation
Shantha Dalugamage, Stichting Mission Lanka
Giacomo Menni
James Ghigi
Thaís Helena Aguiar, ISOC Brasil
Riana Pfefferkorn, Stanford Internet Observatory
Wale Bakare, Webfala Digital Skills for all Initiative
Julian Mair, Phoenix R&D
Szabó Attila
Krzysztof Stańkowski
Jorge Pinto
Marjan Wijers
Jan-Piet Mens
Jan van der Meiden
Jesse Neri
Christine S
Digitale Gesellschaft e.V. (Germany)
Noklas Gerdin
Doeke Zanstra