わたしの雑記帳

2014/1/15 大津事件裁判、アンケートを開示する際に「部外秘」の確約書をとったことに違法性を認める!
(作文やアンケートの扱い一覧 有り)

 2014年1月14日、大津地裁で、生徒の自殺後のアンケートをめぐって、原告の主張を認める画期的な判決が出た。
私自身は遠方ということもあって裁判の傍聴に行けていないが、ご遺族から報告をいただいたので、その概略をここに記したい。


【提訴の内容】
 2011年10月11日にいじめ自殺をした大津市の男子生徒の父親が、
男子生徒の自殺後、中学校が行ったアンケート調査の結果をまとめた書面の交付を求めたところ、
@学校長が父親に同書面の内容を部外秘とする旨を確約する書面の提出を求めたこと、
A開示請求対象文書の一部を不開示とする旨の処分をしたこと、
B一部の資料についてその存在すら明らかにしなかったこと

について、2012年9月7日、大津市に慰謝料100万円を求めて提訴していた。

【地裁の判断】
 長谷部幸弥裁判長は、
 @について、「原告は、本件中学校におけるアンケート調査の結果をもとに故Aの自殺の原因を調査しようと考えており、このこと自体は、子が自殺した親の心情として理解し得るところであり、その時点において、本件中学校による調査がいまだ完了していなかったことを考慮しても、本件中学校の生徒等の情操や利益を害することのないよう十分な配慮の上で行われる限りは、そのような調査をすること自体は不当であったとはいえない。」とし、当時の校長が、「本件一覧表2及び本件文書1を原告に公布等するに際し、その取扱いにつき一定の条件を付すること自体は、やむを得ない面があったといえるものの、本件各一覧表等の利用を一切禁止するまでの必要性はなかったというべきであり、原告への情報開示に当たっては、原告の上記希望についても一定の配慮をすべきであったといえる。」「例えば本件各一覧表等の写しを第三者に交付すること及び本件一覧表1に記載された個人名を第三者に告知することを禁止する等の条件を付した上で、本件一覧表2の利用を許すことにより、原告がその後行うことを予定していた調査を可能としつつ、回答者の特定につながり得る記載内容が第三者に開示される事態を回避することは可能であった」「しかるに、校長は、何ら上記のような措置を講じることなく、原告に対し、安易に本件各一覧表等により得た情報の一切を部外秘とする旨を約束させたものであり、」「原告の予定していた調査を、事実上不可能とする結果を生じさせたものと認められる」として、校長が原告に本件確約書の提出を求めた行為は、違法なものであった」と認定。

 Aについても、「本件一覧表原本には、故Aに対する行為をした者の個人名の記載が含まれていたことからすれば、本件一覧表の原本を原告らに対して何らの限定もなく開示した場合には、開示請求者である故A以外の個人の権利利益が侵害されるおそれがあり(本件条例18条2号)、また、本件中学校において今後のアンケート調査が困難になるおそれがあるから、『調査研究に係る事務に関し、その構成かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ』がある(本件条例18号7号ウ)と判断したこと自体は、不当であったとはいえない。
しかし、大津市個人情報保護条例(http://www2.city.otsu.shiga.jp/reiki/reiki_honbun/x4000833001.html 参照)は、情報開示請求に対しては原則として開示処分を行うことを旨としているのであるから、処分時において上記のおそれ等があるとはいえない部分についてまで不開示とすることが許されるものではない。」「そして、本件一覧表原本及び本件文書1の記載内容のうち故Aに対して行為をした者の個人名及び故A以外の者の個人名及び故A以外の者の個人名を除く部分については、上記のおそれ等があったとまでは認められないから、教育長は、本件処分に際し、不開示とすべき事項を上記のとおり限定すべき注意義務を負っていたものというべきであり、本件一覧表原本のほとんどの記載内容について不開示とする旨の本件処分を行ったことは、本件条例18条の適用を誤ったものであり、違法」と認定。

 Bについて、本件開示請求に関する事務処理を担当した本件教育委員会事務局は、本件一覧表原本の内容の確認を怠ったため、本件文書1が本件一覧表原本に反映されているものと誤認し、さらに、第2回アンケート調査が行われたこと自体は認識しながら、本件中学校に対して、同調査に基づいて作成された文書の有無を確認することを怠ったことから、本件文書2ないし4が存在することを認識しなかったものと認められる。教育長は、上記の経緯により、本来開示すべきであった本件文書1ないし4について、その文書の開示の必要性を認識せず、またその存在を把握することなく、原告に対し、これらの資料を開示しなかっただけでなく、その存在を明らかにすることもしなかったものと認められる。教育長らの上記行為は、本件条例上課された義務に違反するものであり、違法」と認定。

「原告は、故Aの自殺後、その原因を調査することを希望しており、本件各一覧表等に記載された行為により故Aが苦痛を覚えていた可能性が高いと認識していたものであり、そのような状況において、原告は、上記@及びAで認定した校長及び教育長らの各行為により、本件一覧表2等をもとに故Aの自殺の原因の調査を行うことを事実上不可能とされたものであって、これにより精神的苦痛を被ったものと認められる。」として、「精神的苦痛を慰藉するには30万円をもって相当と認める」とした。


 なお、遺族は判決を受けて、メディアに対して以下のコメントを出した。

 今回の判決は、原告の主張を全面的に認めたものであり、いじめに関するアンケートの開示を後押しする画期的な判決だと評価しています。この判決は、全国で問題になっている「いじめアンケートの隠蔽」に対し警鐘を鳴らすものになると確信しています。
 私が遺族の「知る権利」に基づき、息子の自殺の原因を調査しようとしたことについては、アンケートの利用を全面的に禁止する確約書を提出させたことは調査を不可能にするものであるとして、その違法性を明確に認定しました。
 知る権利に基づき、自殺の原因を調査することを阻む確約書やアンケートの隠蔽は違法であるという司法の判断は、「知る権利」の確立にとって大きな第一歩となるものだと考えています。
 私が知る権利ら基づいて行った調査について、アンケートは必要不可欠な資料でした。そのアンケートの利用を一切禁止するよう確約させることは違法であり、知る権利の実質的な侵害であると、本件判決は間接的な表現ながら、今までにない一歩踏み込んだ司法判断を示したものであるといえます。
 さらに、加害生徒や関係者のプライバシーを理由とするアンケートの全面的非開示についても、本件判決は強い警鐘を鳴らすものとなりました。全国的にもプライバシーを理由とするアンケート隠しが横行し、問題となっていますが、本件判決は、自治体による非開示の範囲については、これを「限定すべき注意義務」という表現で明確に認めました。これも、「知る権利」の尊重を強く求める、裁判所のメッセージだと言えます。全国の自治体や教育委員会は、プライバシーを理由とする非公開の範囲を拡大し、いじめの調査を条例の違法不当な解釈によって阻んできました。
しかし、今後、二度とそのようなプライバシーを理由とする違法不当なアンケート隠しをしてはならないという司法判断を重く受け止め、いじめアンケートの積極的な開示を進めてもらいたいと強く願います。


 大津のご遺族自身は、最終的にアンケートの内容を手に入れ、外部調査委員会ができてかなりの事実解明がなされたのだから、ある面、必要不可欠な提訴ではなかったと思う(そのことは請求慰謝料が100万円という額にも表れている)。
しかし、この判決を勝ち取った意味は、他の被害者にとって非常に大きい。


※  大津中2いじめ自殺裁判支援〜真相究明と再発防止のために (原告弁護士事務所作成) http://www.yoshihara-lo.jp/otsu-ijime/
   → これまでの経緯 → 判決文  http://www.yoshihara-lo.jp/otsu-ijime/progress/20140114.pdf
                 → 父親のコメント http://www.yoshihara-lo.jp/otsu-ijime/progress/20140114.html



 今回の大津地裁の判決は、学校のみならず、あらゆる事故事件の当事者や親の知る権利にとって、大きな意味を持つと思われる。
 学校の調査が信用できず、遺族が独自に調査しようとして、学校や教育委員会から止めるよう言われることも少なくないが、当判決では、子どもを亡くした親が原因を調査しようと思うのは自然なことだとし、その調査を阻んだ結果に対して、慰謝料を認めた。
 そして、今まで書類を開示するもしないも、書類の存否さえ教える教えないことも、学校や行政が勝手に判断し、それらの書類を勝手に廃棄したことさえ、裁量権の範囲内で違法性がないと判断されてきたことが、ようやく個人情報保護条例の「開示を原則とする」法の本来の精神にのっとり、安易な全面非開示や情報隠しを戒めた。

 以下、2007年にNPO法人ジェントルハートプロジェクトが行った「親の知る権利を求める緊急シンポジウム」の資料集の中から、「作文・アンケートはどう扱われたか?」に加筆したもの及び、いじめ防止対策基本法等で親の知る権利やアンケートがどのように扱われているかについてまとめてみた。


ナンバーは
自殺行為の日付。(リンクのないもの有)
作文やアンケートの扱い
は民事裁判で争われたもの
ただし、民事裁判は作文やアンケートに関係するもののみ記載
)
文書 開示
790909
林賢一くん
(中1)
いじめ自殺
林賢一くんが自殺した翌日、クラス生徒たちに書かせた「作文」(追悼文)を両親が土下座までして渡して欲しいと頼むが、職員会議で渡さないことを決める。
その後、教育長が「作文」を預かるが態度を保留。
在日朝鮮人団体・朝鮮総連からの抗議を受けて、クラス名・氏名を切り取ったもの(41人クラスで33枚分)を両親に渡す
作文
(追悼文)
800916
中尾隆彦くん
(中1)
いじめ自殺

隆彦くんが自殺した翌日、学校は生徒たちに作文や追悼文を書かせる。1年生全員を対象にアンケート調査を実施。
4人の加害者のうち3人は別のクラスだが、1年3組の分のみ両親に公開。


アンケートの項目は、
(1)今まで「いじめ」を目撃したこと。
   a.いつごろ b.どこで c.誰が d.どのように
(2)中尾君たちと接していた他学年の生徒名。
(3)中尾君に対して思いあたること。
(4)弁論大会のクラス代表1名推選。
(5)クラスの出しもの推選する人があれば書く。
(6)学級新聞を発行するかどうか。

アンケートの結果、3組では級友のほぼ7割が「いじめ」を知り、その半数が暴行や恐喝の現場を目撃していた。その内2人が「E君達が中尾君にお金をせびっていた」と記入。
小学校時代のグループの中ですでに、隆彦くんがいじめられていたことも書かれていた。

作文
追悼文
アンケート
841101
男子生徒2人
(高1)による
いじめ報復殺人
事件から1週間後(A、B逮捕前)、学校は死んだKくんについて、クラス全員に作文を書かせた。
その作文に、Aは「1学期までいいやつだったけど、2学期になると人が変わった」、Bは「K君には表と裏がある」と書いていた。
作文
841203
尾山奈々さん
(中3)
指導死
クラスの生徒たちに作文を書かせるが、「原因と思われることは何も出てこなかった」と担任が保護者に報告。
作文は渡されなかった。
作文 ×
851014
樺沢崇くん
(中2)
いじめ自殺
父親が「学校をよくするには何をしたらいいか、みんなの心の中にあることを手紙で教えてほしい」と涙ながらに訴えたことを受けて、生徒と教師約800人のうち半数近くが、崇くんの自殺や学校でのいじめ問題について書いた手紙を遺族に手渡した 手紙
881221
岩脇寛子さん
(中1)
いじめ自殺

自殺の翌日、学校がクラスメイトに追悼文を書かせる。
両親が、「岩脇さんへの別れの手紙」として書かれた「作文」を見せてほしいと再三頼むが、「(いじめた)子どもたちにも将来があり、今お見せすると影響がありますので」と校長に断られる。
一方で一部を新聞社に公開、写真撮影させる。


1994年5月、7回忌に追悼文を仏前に供えたいと思った両親が、公文書公開条例に基づいて「作文」を請求するが、事件後約3カ月後に担任教師が焼却処分にしており、「不存在」と回答。

教育長は、地元ラジオ局放送記者から作文について「名前を消してでも作文を見せてやれなかったのか」と問われ、「そんなことをしたら教師として失格」と発言。その後も、「追悼文は公文書にあたらず、非はない」として作文を焼却したことは妥当な判断との姿勢を崩さない。

作文
(追悼文)
×
1996/10/30 寛子さんが亡くなって8年後、両親が富山市を相手に提訴。
安全保持義務不履行と自殺後の調査報告義務不履行を理由として損害賠償を請求。

2001/9/5 富山地裁は、「市の安全保持義務、調査・報告義務違反があったとは言えない」として、原告の訴えを棄却。
「被告富山市は校長から提出された事故報告書の大部分を親に報告すれば、報告義務は尽くされた」として、「自殺後にクラスの子どもらが書いた追悼の作文を後日担任が焼却した点も問題はなく、いじめの状況、原因、経過についての詳細な調査報告の義務はない」と判断。

2003/12/17 名古屋高裁金沢支部は、一審判決を支持し、両親の控訴を棄却。
学校側には一般的に調査報告義務がある。子どもの死後にも信義則上、保護者への報告義務はあると認める。しかし、作文を開示しなかった市の対応については、
「教育目的で書かせた作文の開示はできない」「情報公開に対する各条例を適用したもので、非協力的とは言えない」とした。
作文
(追悼文)
×
910901
前田晶子さん
(中2)
いじめ自殺
学校は全校生徒に書かせた作文を「生徒の個人情報で見せられない」と両親に開示することを拒否。

学校は開示請求中の作文を廃棄処分したと報告。
のちに校長が証言した「作文」焼却時期に嘘偽報告(当初、「1年生1クラス、3年生7クラス(晶子さんは2年生)の作文を1991年10月半ばに焼却した」としていたが、後に「1992年3月に焼却していた」と釈明)があったことが発覚。(1994/1/21、校長懲戒処分)

2002/8/13 父親が作文の開示請求を出したあと、母親が作文を処分されないための保険として、作文の開示請求を申請。

遺族が学校側が自殺後に在校生に書かせた作文などの公開を求めていたことに対して、町田市情報公開・個人情報保護審査会(会長=藤原静雄・國學院大教授)は、「筆跡などから執筆者本人が特定される可能性がある」ことを理由に請求を棄却する答申を市教育委員会に提出。

一方で審査会は、残っていた作文289点の内容を整理した別紙を答申書に添付して、遺族に示した。
別紙の内容は、筆者が特定される恐れがある部分や真偽がわからない箇所は要約や削除。
「事件、自殺に関して知っていること」「学校の対応についての感想、意見」などの6項目を整理。
審査会は、「自殺から相当の時間が経過したことや両親の心情に配慮して例外的に作成した」と説明。

2002/8/13 町田市情報公開・個人情報保護審査会は、残っていた作文289点の内容を整理した別紙を答申書に添付して遺族に示した。審査会は、「自殺から相当の時間が経過したことや両親の心情に配慮して例外的に作成した」と説明。
作文 ×

1993/1/22 学校が生徒たちに書かせた作文の公開をめぐって、遺族が提訴。

1997/5/6 一審判決で原告の訴えを棄却。
東京地裁は、「作文は生徒の個人情報」とし、生徒との信頼関係がこわれることを理由に非開示処分。
原告は「この作文は、いじめの実態調査のために書かせた文書だ」と主張してきたが、裁判長は、その点について「そう言い切れない」とした。一部「作文」の不存在認定。学校が「作文」の開示請求を知りながらそれを廃棄し、その事実を偽って報告したことに対して、裁判所は「極めて遺憾」とした。

1999/8/12 控訴審棄却。(理由は一審とほぼ同様)
作文 ×
920110
小野寺仁くん
(高2)
刺殺事件
事件後、学校側は生徒全員にアンケート用紙を配り、加害者のA少年(高3)や事件に少しでもかかわりのある情報を集めようとした。
結果は明らかにされていない。
アンケート ×
930113
児玉有平くん
(中1)
マット死
学校側が事故直後に実施した無記名アンケートの「有平くんをいじめているところを見たことがありますか」の問いに、300人超の生徒のうち17名が「見たことがある」と回答。
ただし、「暴行があった」という生徒は1人もいなかった。
無記名
アンケート
940909
内海平くん
(小6)
指導死

児童たちは、学校から事件当日の様子などについて聞かれたり、遺族に話したような内容を書いたものを教師に提出させられたりしたという。
両親が学校に、子どもたちが書いたものを見せて欲しいと頼むが拒否される。

メモ ×
941029
舩島洋一くん
(中3)
いじめ自殺
いじめられているという洋一くんの訴えに、担任はいじめがあったかどうかをクラスでアンケートをとるが、何も出てこなかったため、みんなの前で洋一くんに謝らせた。その後、自殺。
洋一くんの事故後、3年生全員にアンケートをとる。
生前のアンケートも、洋一くんの死後にとったアンケートも開示せず、何もなかったから処分したと発言。
アンケートに「洋一くんはいじめられていたと書いた」という女子生徒の証言もあるが、学校はいじめは一切なかったと断言。 
アンケート ×
941127
大河内清輝くん
(中2)

いじめ自殺

学校側が生徒全員に作文を書かせる。
「清輝君は優しすぎた」「毎日パシリになっていた。2年になりいじめがエスカレートしたようだった」「C組の友達か、清輝君がみんなからいじめられてかわいそうだ、と聞いていた」などと書かれていた。一方で、「苦しんでいたなんて、知りませんでした」「彼はふつうに見えた」「命をそまつにしたのはいけない」と書いた生徒もいた。作文にはいじめていた少年の名前も記されていた。

作文
950221
高木一則くん
(中2)
いじめ自殺
一則くんが自殺した翌日、1時限目に全校集会を行ったあと、各学級で命の大切さについて話し合い、生徒に作文を書かせた。
作文の一つによると、一則くんは自殺する前日の技術家庭の実習で友人の作品づくりを手伝ってやり、「あとは来週やってあげる」と話していたという。
作文
950416
的場大輔くん
(中2)
いじめ自殺

大輔くん自殺の翌日、学校は緊急全校集会で大輔くんの自殺報告したあと、全生徒に作文を書かせた。
作文のコピーを遺族に見せるが閲覧のみ。遺書に名前のあった子どもたちを中心に見るが、「気づかなかった」などしか書かれていない。
その後、もう一度見せて欲しいと要望するが、プライバシーの問題があるとして拒否。

校長はマスコミに対して、作文には「いじめを全く知らなかった」と書いた生徒が多かったが、いじめにかかわっていたことを認める趣旨の文面もあった。中には「こうなったのは自分の責任」と記した作文もあったというが、詳しい内容については明らかにしなかった。
弁論会で発表されたいじめについての作文は、教師がいろいろ書き直させたものだと生徒がいう。

作文
950531
池水大輔くん
(中3)
いじめ自殺
葬儀の日(6/1)、担任が持参した同級生33人の手紙には、「いつも一人だった」「こうなったのは僕のせい」などと書かれていた一方で、「簡単に死んだ」だの「チャオ!そっちはどう?」などと書かれていた。

大輔くんの自殺直後に、学校が全校生徒700人を対象にアンケート調査。3年生約250人には、大輔くんへのいじめがなかったか、記述式で回答を求めた。
結果、いじめなどを実際に見たり、本人から聞いたことがあると回答したのは全校で13件。他の生徒から聞いたと回答したのは16件。
同じクラスの調査では、実際に見聞きしたという回答が14件、別の生徒から聞いたのが2件だった(学校側の報告による)。
「公表しないと生徒に約束したから」と、わずかな概略を説明しただけで、プライバシーを楯に両親に非公開。

市議会で開かれた総務文教委員会に、学校はアンケートを提出。
マスコミにもコピーが配布された。
遺族はマスコミを通してアンケートの内容を確認するが、中には明らかな誤認があり、訂正を求めるが拒否される。
弁論会で発表されたいじめについての作文は、教師がいろいろ書き直させたものだと生徒がいう。

手紙





アンケート







951127
伊藤準(ひさし)くん
(中1)
いじめ自殺
全校生徒を対象に、記名方式で、いじめに関するアンケートを実施、個人面談も行った。
「(いじめグループから)伊藤君を無視しろといわれた」「ショルダーアタックされた」などと書いた生徒がいた。無視などのいじめが恒常化していたことが判明。
記名式アンケート

951206
鈴木照美さん
(中2)
いじめ自殺
照美さん自殺の翌日、学校はクラス全員に作文を書かせる。
作文には、自分たちの不利にならないようなことしか書かれていない。いじめた生徒たちも、「こんなかたちで亡くなるとは思わなかった」「相談に乗ってもらってありがとう」と他人事のような内容で、罪の意識は感じられない。「悪口を言ってごめんね」という内容のものが複数あった。
作文
960426
女子生徒
(中2)
いじめ自殺
学校は職員会議を開き、5時間目の授業で全校生徒を対象に緊急アンケート調査を実施。自殺の原因として思い当たることについて、無記名で書かせた。
結果、2、3年生から「自転車のタイヤにカバンのひもをぐるぐるまかれ、いたずらされていた」などの記述があった。また、Aさんは仲間から悪口を言われて悩み、自殺をほのめかす話をしていたことが判明。
無記名アンケート
960918
村方勝己くん
(中3)
いじめ自殺
学校は、3年生全員に作文を書かせ調査。
作文には「この学年に村方君をいじめたことのある人は半分近くいる」などの記述もあったが、真相解明には至らなかった。
作文
970107
前島優作くん
(中1)
いじめ自殺
1回目 1/9 学校が全校生徒にアンケートを実施したことを遺族は新聞報道で知る。アンケートは記名・記述式で、用紙の回収は生徒。
「前島君が悩んだり、困っていたことを知っていたら教えて下さい」という内容で、遺書やいじめについての文言はなかった。

2回目 3/14 アンケートを無記名・用紙は封筒に入れて回収式で取る。学校側は「いじめの事実はわかりません」と発表。
3回目 10/1 アンケートを実施。無記名・記号選択式・「いじめ体験」「その時の気持ち」を記述式。
数人から「4人の生徒の動向」や「優作くんがいじめられていたのを見た」などの情報が得られた。
記名式
無記名
アンケート
970409
男子生徒
(中1〜中2)
いじめ転校
1999/12/24 事件から2年以上たって、学校側は弁護士会の改善要望書が送られてから、いじめ関与のクラス生徒全員に、Aくん宛ての反省作文を書かせた(道徳の時間に書かせたと思われる)。
授業中の集団暴行を遠巻きに見ていた生徒らは、「いじめがあった」「いじめらしいのがあった」と書いていた。加害者であるTの作文には、「いじめではない」とか、「あれは一対一の喧嘩だった」と書いていた。
反省作文
970525
男子生徒
(中3)
いじめ自殺
男子生徒の自殺の翌日、全校集会のあと、各クラスで「いじめを受けたことがあるか」「いじめをしたことがあるか」などについてアンケートを実施。記名・無記名は生徒の意思に任せた。他にも作文を書かせたりした。 記名選択アンケート
作文
980725
小森香澄さん
(高1)
いじめ自殺

学校は生徒に聞き取り調査と作文指導を行ったというが、内容は、「生徒のプライバシーに関わるものを公開すれば教師との信頼関係が揺らぐ」として遺族には公開しない。

作文 ×
民事裁判のなかで、遺族は学校側が香澄さんの死の直後書かせた「生徒の作文」を請求。
神奈川県は提出できない理由を3つ上げて拒否
1.作文作成の主旨は、
いじめの事実関係を調査する目的にはない。今後の教育指導に役立てるための内部資料として生徒に書かせたもので、主旨が違うから出せない。
2.
生徒との信頼関係のもとに教育効果を得る目的で作文を書かせている。元々、第三者に見せることを想定していない。生徒が安心して書けるような配慮をしなければ今後、作文を書かせることができなくなる。
3.作文は作成した生徒の
プライバシーにかかわることで、勝手に公開できない。

地裁は生徒の作文の開示請求を却下。原告側が不服申立。
作文の開示のみ独立して
高等裁判所で審議。その間、本裁判はストップ。
高裁も、生徒たちのプライバシーや学校との信頼関係を壊すことを理由に非開示決定。ただし、生徒本人の同意があるものに関しては、証拠提出するよう裁判所が命じた。(遺族が個別に手紙で連絡をとって、同意書を送ってもらうことのできた生徒が7名。その中には「いじめ」があったという記述もあった。)

一審で、原告一部勝訴後の控訴審で、教育委員会側が作文の開示を和解条件として出す。「生徒らに書かせた作文について、これらに含まれる香澄に関する情報を集約した文書(ただし、個人名及び作成者について判別できないようにしたもの)を作成し、一審原告らに公布する。一審原告らは、この文書の内容を口外しないこと及び第三者に開示しないことを約束する。」という内容を和解条項に入れて、和解成立。
しかし、和解後に開示された作文は約束していた条件とはかなり異なっていた。
作文 ×

981226
古賀洵作くん
(高2)
いじめ自殺

両親の要請に応じて学校側は、「被害者が恐喝されていたことを知っているか」など、真相究明のために全校アンケートを実施。
両親にアンケートを見せる約束をしていたが、回答用紙を開示せずに焼却処分

アンケート ×
991015
女子生徒
(高1)
いじめ自殺

全校生徒にアンケート調査をしたが、いじめは確認できなかったという。
アンケート
S020507
小野朋宏くん
(高1)
原因不明死
生徒父母から学校に、子どもが言っていることと学校側の説明とで事実が違うので、アンケートをとってほしいという要望があった。
6月に、「朋宏くんの様子を思い出して書いてください」「体育の授業について、学校について意見を書いてください」などの内容のアンケートをクラスで実施。アンケートを朋宏くんの両親が学校側に見せてほしいと要望。学校はプライバシーを理由にコピーは許可しなかったが、その場で書き写すことは許可。

その後、両親が情報公開で、当時のクラス生徒38名分のアンケートのコピーを取り寄せた。生徒たちのプライバシーを理由に黒塗り部分が多かった。(民事裁判で、同意が得られた19名分のマスキングを外したコピーを証拠提出)
「体育の授業について、学校について」は、「きびしい」「先生の圧力がある」「気分でやらせる」「(教師の)言葉遣いが悪い」「目つきが悪いと言われた」などと書かれていた。
アンケート
030729
草野恵さん
(高1)
事故死
合宿から帰るバスの中で、顧問教師が部員に「草野さんのお母さんに渡すので、知っていること、聞いたことを全て書くように」と言って、メモを書かせた。

後日、U顧問は3年生、F顧問は2年生に、「一度、草野さんへ見せたけど、それを見て怒ってらっしゃる(事実なし)ので、自分で見たことだけに書き直しなさい」と指導した。遺族は部員から話を聞くまで、メモの存在さえ知らず、内容も開示されなかった。
メモ ×
051011
中井祐美さん
(中1)
いじめ自殺
2005/10/26 学校は「学校に来るのは楽しいですか」「心配事や気になることはありますか」「学校生活で、何か心配なことや、気になることはありますか」「今、先生に話しておきたいことがありますか。どんなことでも聞かせてください」など、一般的な質問を書いたアンケートを実施。佑美さんの名前も、いじめに関する質問も入っていなかった。

アンケートに佑美さんの件が何も書かれていない理由について、教育長は「犯人捜しのようなことをすると、人権保護団体からクレームが来るから」と説明。
学校はアンケートに際して、「佑美さんの自殺で知っていることを書くように口頭で説明した」と言う。
遺族は、回答しやすいよう、無記名アンケートを希望したが、「なるべく名前を書いてください」と説明して実施したクラスもあった。

2005/12/8 アンケート項目ごとに「はい」「いいえ」の各回答率およびそれらの大まかな理由をまとめたもののみ、遺族に報告。
「今、先生に話しておきたいことがありますか。どんなことでも聞かせてください」という質問に対する回答は全く開示されなかった。
その後も、同様の生活アンケートを学校は実施。
アンケート
×
北本市に対して、「いじめの防止義務と、調査義務を怠った」として、文科省(国)に対しては「いじめ調査が進まないのは文部科学省の方針に原因がある」として提訴。
祐美さんの自殺後に学校がとったアンケートについても、調査報告義務の履行と評価するに値しないと主張。(me110914参照)

一審で、調査報告義務違反について、「北本市が、その委ねられた合理的な裁量の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと解することは困難である」と判断。
国の責任については、「個別の国民の法的利益を直接保護することを目的とする規定は存在しない」と判断。原告の訴えを棄却。
高裁で、「被控訴人北本市が行った調査及び報告の内容が、調査報告義務を果たしていないともいえないし被控訴人国に対する請求も、いずれも認め難い」として棄却。(2014年1月現在、最高裁に上告中)
アンケート ×
061011
森啓祐くん
(中2)
いじめ自

遺書に「いじめられていきていけない」とあったことから、両親が無記名でのアンケートの実施を依頼。学校は自殺の翌朝、全校生徒にいじめの有無などを確認するアンケートを記名式で実施。
校長は当初、プライバシーの問題があって見せられないとしていたが、親族に言われて、回収したアンケートの名前を消して森家に持参。
約1割が「校内にいじめがある」と回答。一部生徒がアンケートで学年主任によるいじめを記述していた。
自殺当日、同級生7人が啓祐くんをトイレで取り囲み、何度か自殺をめぐるやりとりがあったことや、啓祐くんが同級生に何度か、「死にたい」と言っていたことが判明。
「1年生のころから『死にたい』と話していた」と書かれていたものもあった。

両親の要望で、教師の不適切な言動はほかになかったか調べるために、2度目のアンケートを無記名で実施。森家に持参。
「男子生徒の自殺を含めふだん思っていることや教職員への要望」という設問で、具体的な回答が得られなかった。


調査委員会が、2年生約120人を対象に、いじめの実態把握のため独自アンケートを実施。
男子生徒へのいじめや嫌がらせについて見聞きしたことを、時期や場所を含めて詳細に尋ねる内容で、生徒の本音を引き出せるよう、記入や回収の際に教職員は立ち会わせなかった。
遺族には非開示。


自殺原因を探る調査チームの責任者である教頭が、いじめに関する全校生徒対象のアンケートを一部しか読んでいなかったことが発覚。

記名式
無記名
アンケート



×
061023
女子生徒
(中2)
いじめ自殺
2006/10/24 全校生徒対象に記名式でアンケートを実施。学校側は、いじめと思える事案は見つからなかったという。

10/31 全校生徒に無記名のアンケート調査を実施。アンケートに、いじめをうかがわせる記述があったことを理由にいじめがあったと認める。

2011/11/30 同級生4人に損害賠償を請求した民事裁判の岐阜地裁で、いじめの存在を否定して、原告の訴えを棄却。
裁判長は、生徒への無記名のアンケートで、いじめがあったとした学校の対応について、「到底理解することができない」とした。
記名式
無記名
アンケート
0611122
大川理恵さん
(中1)

いじめ自殺
2006/11/13 学校は、いじめの実態解明に向けて、同学年の154人全員を対象にしたアンケートを実施。148人が回答。
アンケートは「いじめがあったとの前提」に立ち、大川理恵さんへの具体的な接し方や感じたことなどを用紙に無記名で記入させた。

2006/11/18 結果を集約し、遺族を含む全保護者に報告。
調査では、理恵さんが「チビ」と言われていたのを、1年の約4割に当たる65人が知っており、何人かの生徒が通せんぼなどの行為を認めた。
理恵さんは、亡くなる約1カ月前のバレーボールの練習中、女子生徒からわざとボールを当てられそうになったほか、約1週間前にも、男子生徒の集団から「元気がないから笑わせて励ます」と大声でからかわれそうになっていた。
2008/11/18 「いじめが自殺の要因になった」と認める。
無記名
アンケート
080910
男子生徒
(中2)
いじめ自殺
自殺後に、学校は1、2年生550人を対象にアンケートや聞き取りを実施したが、市教委は父親らに「からかいなどいじめにつながる事実はあったが、死に直接結びつく要因は分からなかった」という結論しか伝えていなかった。

2012/9/ 死後4年を機に父親が、「自殺はいじめが原因」として市教育委員会に再調査を求めた。アンケート結果の開示や関係者への聴取などの再調査を求める。
2012/10/ 後任の校長が2011年3月末に、アンケートを廃棄していたことが判明。
アンケート ×
090303
男子生徒
(高1)
いじめ自殺
保護者と全校生徒を対象にアンケートを実施。聞き取り調査で判明した男子生徒に対する暴力や下品なあだ名で呼ぶなどの行為以外、新ないじめの事実は出てこず、自殺との関係は断定できないとした。
アンケートなどをもとにまとめた報告書では、いじめと自殺との因果関係を認めていない。
アンケート
090305
男子生徒
(中1)
いじめ自殺未遂
男子生徒自殺の翌日、学校が全校生徒を対象にアンケートを実施。
結果、「男子生徒が暴力を受けていたのを見た」「他にもいじめを受けている生徒がいる」となどの内容があがった。
アンケート
110901
女子生徒
(中2)
いじめ自殺
9/7 学校側は、文部科学省のマニュアルに沿って、全校生徒を対象にアンケートを実施。
アンケートには子ども達が目撃したいじめの情報などが記載されており、学校側はいじめの記述があったことを認めるが、学校・教育委員会は「自殺の直接のきっかけとなる出来事は確認できなかった」 と結論。
遺族は独自に実施したアンケートなどから、「いじめがあった」と主張。市教委によるアンケート結果の開示を要求するが、市教委は「開示により特定の個人を識別でき、権利を害するおそれがある」として、応じない。
市議会の一般質問でも、市教育委員会がアンケートを開示しないことについて、教育長は「アンケートの開示は二次被害だけでなく家族にも悲しい現実がててくる」とした上で「憶測で厳しく叩かれる子どももおり開示できないと判断している。決して隠蔽してはいない」と述べた。
アンケート ×
111011
(PDF)
男子生徒
(中2)
いじめ自殺
10/17-19 市教委は全校生徒859人を対象に、文科省案に沿った内容のアンケートを実施。283人の生徒が回答。記名116人、無記名167人。この中に男子生徒に対していじめが行われていたとの記述があった。
10/19 生徒のアンケートをエクセル表にまとめたものを、未完成の状態ということで、遺族に渡す。
10/24 学校が遺族にアンケートを渡す。その際、部外秘とする確約書にサインを求める。
2回目のアンケートには、「葬式ごっこ」「自殺の練習と言って首を絞める」などの内容があったが、遺族に知らせなかった。のちに、「見落としていた」と釈明。
11/1-2 遺族の再調査の求めに応じて、2回目のアンケートを実施。(記名式、1.今まで伝えられていないこと、2.思っていることや感じていること。)

2012/7/13 大津市議は、遺族の同意を得て、教育厚生常任委員会で、Aくんと加害者らの氏名を消したアンケートの集計結果(1回目・2回目)を市議や一般傍聴人にも配布。在校生の保護者にも、希望があれば、同じ資料を配布する。

2011/10/下旬 市教委は滋賀県警に、前項アンケートの回答を渡すが、のちに簡略版と判明。「自殺の練習」や「先生が見て見たふりをしていた」などの回答は省かれていた。2回目のアンケートは、存在することさえ情報提供していなかった。
アンケート
2012/9/7 父親が、男子生徒の自殺後、中学校が行ったアンケート調査の結果をまとめた書面の交付を求めたところ、
@学校長が父親に同書面の内容を部外秘とする旨を確約する書面の提出を求めたこと、
A開示請求対象文書の一部を不開示とする旨の処分をしたこと、
B一部の資料についてその存在すら明らかにしなかったこと
について、慰謝料を求めて、提訴。

2014/1/14 大津地裁で、原告の主張を認める判決。
@原告に対し、安易にアンケートで得た情報の一切を部外秘とする旨を約束させ、原告の予定していた調査を事実上不可能とした
A不開示とすべき事項を限定すべき注意義務を負っていたにもかかわらず、ほぼ全面非開示とした
B開示すべき資料を開示せず、存在を明らかにすることもしなかったことが個人情報保護条例違反に当たる

として、大津市に慰謝料の支払いを命じた。
アンケート
111100
男子生徒
(中2)
いじめ自殺
2012/9/ 両親は「いじめがあった可能性が高い」として、学校に無記名でのアンケートや保護者会の開催などを要請。
学校は翌月(2012/10/)、記名式アンケートを行い、「いじめはなかった」と両親に報告。
記名式
アンケート
120612
男子生徒(中2)
いじめ自殺
男子生徒の死後、「いじめがあったのではないか」との遺族の指摘を受け、関係者から事情を聴き、同じクラスや部活の生徒らに聞き取りや記名式のアンケートをしたが、「新たな事実は見当たらなかった」という。 記名式
アンケート
120700
男子生徒
(中3)
いじめ自殺
自殺を受け、全校生徒を対象に学校がアンケートを行った結果、男子生徒が投石されたり、上靴を女子トイレに投げ込まれたりしていたことが判明。
また、自殺直後に生徒に聞き取り調査を実施した結果、部活動や学級で、男子生徒を仲間外れにしたり、言葉の暴力を浴びせるなどの嫌がらせを確認。
アンケート
120730
男子生徒
(高1)
指導死
県教委や学校がアンケートや聞き取り調査を実施した結果、男子生徒は亡くなる前、友人らに「部活動がきついので辞めたい」と漏らし、7/10頃には顧問に退部の意向を伝えたが、「途中で辞めずに最後まで頑張れ」などと強い口調で慰留されたという。また、2人の生徒が「(男子生徒が)顧問から学校をやめろと言われたと聞いた」という趣旨の回答をしたが、顧問は発言を否定。 アンケート
120902
男子生徒
(高2)
いじめ自殺

9/6 学校は第2学年に対して記述式アンケートを実施。同級生ら275人が回答。
学校はパソコン打ちし、名前などは黒塗りにした文書を遺族に渡す。
両親の情報公開請求に対し、県教委は当初、「筆跡から個人が特定される」として、開示したものと同じ内容(パソコンで打ち直したアンケート)を開示。
2013/7/ 両親の異議申し立てに対し、県の情報公開・個人情報保護審議会が、「目視による閲覧に限れば特定の可能性は極めて低い」「氏名を除いて開示すべき」と答申。
県教委は、「閲覧の際は学校側が立ち会うことやカメラでの撮影、記録は不可とすること」という条件で、クラスや氏名を伏せた原本を両親に閲覧させた。 

アンケート
121215
男子生徒
(中1)
いじめ自殺未遂
学校はアンケートの結果、いじめがあったことは認めたが、自殺に直接結びついたとは考えにくいという。 アンケート
121223
男子生徒
(高2)
指導死
12/27 学校はバスケット部の男女部員50人を対象に、「市教育委員会に提出するため」として部員が体罰を受けるのを見聞きしたかどうか尋ねる無記名アンケートを実施。
保護者約43人にも、記名欄のあるアンケートを実施。多くが記名の上、自由記述欄に意見を書き込んでいた。
12/30 学校は記載された内容を確認しないまま、氏名などを伏せずに、遺族にアンケートを開示。
保護者らから抗議の声が寄せられる。
アンケート
130328
女子生徒
(中1)
いじめ自殺
5月に、2、3年生約440人を対象にアンケートを実施。
市教育委員会の教育長は、学校が実施した生徒アンケートに「いじめをうかがわせる回答があった」としながら、自殺との因果関係は「低い」と否定。学校は「家庭内の悩みを聞いている生徒もおり、自殺の原因は分からない」とする。
プライバシーの保護などを理由に両親に対して結果を開示しなかった。
校長はアンケート後の保護者会で、「調査の中で、これといっていじめの情報はあがってこなかった」と発言。

7/ 市教委の第三者をまじえた調査委員会は、アンケートの内容を遺族側に公開。ただし、アンケートの原本やコピーは公開せず、生徒の個人名などを伏せて作成し直した資料を遺族側に渡した。
調査アンケートの開示を求めた遺族に教育委員会は、「遺族側が内容を公表しないこと」「調査委員会の最終報告書がまとまるまで、遺族側が同級生に直接接触しての独自調査をしないこと」を交換条件として出した。
その後、全校アンケートに40件以上のいじめ証言があったことが発覚。直接見聞きした情報は、所属していたテニス部の先輩からの暴力が10数件、クラスでの親友グループからの無視、仲間外れが10数件の計20件。伝聞情報が20件余りあった。
アンケート
130410
男子生徒
(中2)
いじめ自殺
男子生徒自殺の翌日、学校が同じ学年の生徒190人全員にアンケートを行ったところ、複数の生徒から、かばんを持たされていたり、たたかれていたなど、いじめを思わせる記述があった。 アンケート

※アンケートや作文の開示については、報道等で一部内容が紹介されているものも少なくないが、
遺族への開示がどれだけなされたか多くの場合不明なため、「?」としている。


調査の主流は「作文」から「アンケート」へ

 かつては、作文が学校内での問題行動(たとえば喫煙や金品の紛失、設備備品等の損壊等)調査の手法として使われていた。
学校として慣れている方法として、自殺後の調査にも使用されていた。
作文は記名式であることが推察される。仮に無記名だとしても、担任教師が調べれば大抵、誰が書いたかを特定できる。作文だけでなく、ピンポイントに聞きたいことを書かせることができるアンケートと併用されることもあった。
それが、集計の手間を考えてか、作文が減って、アンケートによる調査が増えてきた。

 アンケートには、記名式、無記名式、記名選択式の3つが主に考えられる。
一番、事実が出てきやすいのは、無記名だろう。子どもたちは特に、大人に「チクる」(告げ口)することを裏切り行為とみなしやすい。報復や周囲の非難を恐れて、言いたくても言えない子どもは多い。
 一方で、無記名のものは、誰が書いたかわからず、追跡調査がやりにくい。もっとも、担任教師には大抵、筆跡や文章からどの子が書いたかわかると聞く。
 記名式アンケートは、事実を書きにくい一方で、内容は信用できる。折衷案が、記名選択式となる。
学校が、本当に何があったか知りたいと思うときには、無記名もしくは選択式をとることが多いように思う。
記名式を実施したあと、さらに書きにくい情報を集めるために、再度のアンケートは無記名で行うことがある。

 いじめ自殺が増えるにしたがって、遺族が学校が児童生徒に書かせた作文やアンケートを開示請求することが増えてきた。
 教師は自分たちや学校にとって都合の悪いことは、管理職から口止めされたり、自らの保身を考えて話そうとしない。どのいじめ自殺事件をとっても、教師自らが自殺した生徒がいじめられいたことを自ら遺族に告白した例は聞かない。遺書の存在や周囲からの情報で、遺族が情報を掴んだ時だけ、その範囲内で認めることもある(認めないこともある)。
 大人は嘘をつく。だからこそ、遺族は教師らが一番手を加えにくい生徒たち自身が書いた作文やアンケートを見たいと願う。実際、いじめの事実が明らかになるのは、児童生徒の証言と、作文やアンケートからが多い。
 NPO法人ジェントルハートプロジェクトが2010年に学校事故事件の被害者やその保護者にとった「当事者と親の知る権利アンケート」(PDF)で、事実を知るうえでもっとも有効だった情報源上位3つの回答で、突出1位が「見たり聞いたりした児童生徒の話」、2位が「被災者本人の話」、3位が「学校からの説明」と「警察関係者からの説明」が同率だった。


学校には調査報告義務がある

 アンケートには遺族に知られては困る事実が書かれている。そのため、遺族に見せると約束していたり、遺族から開示請求が出ている作文やアンケートを学校側が勝手に処分することが出てきた。しかも、処分したことの責任もほとんど問われない。
 一方で、80年代、90年代は、児童生徒の自殺のあと、作文やアンケートをはじめ、ほとんど調査らしい調査をしない学校も多かった。

 そんななか、
1993年には、生徒の自殺後に調査のために書かせた作文の非開示を巡って、町田市で「作文非開示取り消し訴訟」が起きた。
1994年には、同じ遺族(前田さん)が、「学校の調査報告義務を問う裁判」を起こした。
1996年には、娘の自殺から8年後、岩脇さんが、学校が適切ないじめ防止対策と対応を怠った安全保持義務不履行と、いじめの実態と学校側の対処を両親に報告しない(いじめ自殺後の)調査報告義務不履行を理由とする損害賠償請求の訴訟を起こした。

 1999年には、前田さんの裁判の和解で、町田市は報告義務違反事実を認めること、遺族の将来の事実調査に真摯に対応することなどを条件として和解。
 岩脇さんの裁判でも、原告の訴えを棄却したものの、一審で、自殺後の調査・報告義務に関して「学校側には、在学関係に付随する信義則に基づく安全配慮義務と報告義務(学校やこれに密接に関連する生活関係における生徒の行状や指導内容を教育的配慮のもとで親権者に対し報告する義務)がある」と認め、高裁でも「学校側には一般的に調査報告義務がある。子どもの死後にも信義則上、保護者への報告義務はある」と認めた。 
 なお、世間的にはあまり注目されてなかった裁判ではあるが、2008年には私立学校の自殺事案について、地裁で、全く調査を行わなかった学校側の調査報告義務違反を認める判決が出ている。(me080718)
2009年の高裁判決でも同様の判断が出ている。(me090227)

 児童生徒の自殺後に、学校側に調査報告義務があることは認められるようになった。ただし、その内容までは問われない。どんなにおざなりな調査であっても、遺族に不満が残るものであったも、形さえあればよしと裁判でも認められてきた。そこで、形ばかりの調査をする学校が増えてきた気がする。
 遺族が無記名のアンケートを望んでも、わざわざ学校が記名式にするのは、生徒が事実を書きにくくすることと、プライバシーの保護を理由に遺族への開示を拒否したいからだと思える。
 また、自殺した生徒についての調査であることを明確にせずにアンケート調査を行い、「何も具体的なことは出てこなかった」と、いじめがなかったことの根拠とすることもある。


アンケートや作文を開示する学校と開示しない学校の差とは?

 上記一覧のように、アンケートや作文をずっと遺族が見られなかったわけではない。
しかし、見せるか見せないかはあくまで学校や教育委員会の一存にかかっている。
 メディアの関心を集め、いじめを認める覚悟を決めざるを得ない状況下では、世間からの批判を恐れて比較的、アンケートや作文は開示されてきた。
 遺族が確たる情報を持っていなかったり、学校や教委が開き直った場合には、非開示となった。

 学校がアンケートや作文を遺族に積極的に見せるか、見せないかで、その後の学校の対応が占えると私は多くの遺族にアドバイスしてきた。
 見せようとしないのは、何としても隠したいことがあるからと思ったほうがよい。
 一覧でもわかるのは、最初に学校や教委がアンケートの内容として伝えたことと、あとからわかったこと。必ず、大きな差があり、隠そうとしていた中に、もっともひどい内容が書かれている。
 どんな理由を付けようが、学校や教委が、訴訟対策としてアンケートや作文を開示したがらないことは明らかだ。

 そして、学校の都合によって、同じアンケートを見せたり、見せなかったり、廃棄処分にしたり、学校の一存だけで決められるのもおかしな話だ。
 小森香澄さんのいじめ自殺の裁判(980725)では、一審で係争中に作文の開示をめぐって、本裁判を中断して争われ、地裁、高裁で「非開示」の決定が出たにもかかわらず、一審で学校側の注意義務違反が認められたあとで、被告側の提案で、アンケートの開示が和解条件として提示された。
 自分たちが主張してきた「作文は作成した生徒のプライバシーにかかわることで、勝手に公開できない」という非開示理由はどこへ行ってしまったのだろう。学校や教委は開示にあたって、改めて生徒に許可を求めたわけではない。裁判で非開示決定が出た時の状況と何ら変わりないにも関わらず、自分たちの一存で、作文を和解のための道具に使い、和解しなければ作文は即刻廃棄するという脅しまでかけて、自分たちにとって不利になりそうな判決を回避した。


裁判所の考え

 しかし、裁判になると、「学校は善なるもの」と前提として隠ぺいを認めず、学校や教委の建て前的な言い訳が裁判官に全面支持される。行政の裁量権を必要以上に広く解釈し、どんないい加減な調査も、「合理的な裁量の範囲内」としてきた。
 そして、アンケートや作文が開示されれば児童生徒のプライバシーが損なわれたり、教師や学校との信頼関係が壊れるとして常に非開示の判断が出されてきたが、アンケートや作文が開示されたことで、学校側が主張するような書いた児童生徒との信頼関係が崩れたり、事実解明に支障をきたすということは、私が知る限り、起きていない。
 むしろ、遺族に知らされると思っていたアンケートが開示されなかったり、せっかく勇気を出して、いじめの事実を書いたにも関わらず、学校が「いじめはなかった」と発表したことに、子どもたちは学校に裏切られたとの思いを抱き、傷ついてた。
 開示されないことで事実が捻じ曲げられ、事実解明をより困難にしてきたことは明かだ。

 「自分たちにとって都合の悪いものはなかったことにしてしまえばよい」という考えは学校だけではない。
 2004年10月27日、海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」の男性隊員が自殺したいじめ自殺裁判では、遺族が情報開示請求していた乗組員へのアンケートを「破棄した」として情報公開請求で開示しなかったが、元国側指定代理人の3等海佐が原本を隠している」と告発。
海幕が調査した結果、遺族の情報公開請求から7年余りたって原本の存在を認めた。また、横須賀地方総監部法務係の事務官らが原本の存在を確認しながらも報告を怠っていたことや、海幕法務室の事務官が3佐の告発後、横監法務係の事務官に原本を「隠密に」破棄するようメールしていたことも判明。
 自分の職をかけた内部告発者が出ない限り、隠され続けてしまう今の仕組みに、いい加減、ピリオドを打ってほしい。


●アンケート開示と非開示の攻防


 文科省の「平成22年度児童生徒の自殺予防ら関する調査協力者審議のまとめ」(PDF参照、左枠がジェントルハートの要望、真ん中が文科省の方針=審議のまとめ、右が大津事件での実際)では、自殺後の初期対応としてアンケートよりむしろ子どもへの聞き取りを推奨している。
しかし、聞き取りは、学校にとって都合の悪いことは聞かずに済ませることができるし、教師が内容を再現するために、いくらでも取捨選択ができる。内容を捻じ曲げることも極めて容易だ。
まして、学校が子どもや保護者に、「このような内容を話しましたね」と確認することもない。重大な情報をいくらでも、「聞かなかった」ことにできる。
 そして、現実に、初期の「聞き取り」で、重要な情報をもっている子どもたちに、学校は口止めをしたり、脅しをかけたりしているということが、子どもやその保護者から遺族へも情報提供されている。
また、子どもから聞き取った際の教師のメモを開示請求しても、大抵は廃棄したとして出てこない。

 だからこそ、NPO法人ジェントルハートプロジェクトでは、事件事故直後のアンケートにこだわり、様々な提案を文科省にたびたび行ってきた(学校事故・事件の当事者と親の 「知る権利」参照)。
 裁判で争っても、作文やアンケートは、子どもたちとの約束やプライバシーを盾に開示されない。法律を変えずにすぐにでもできることは何かを考えたとき、アンケートに最初から遺族に開示することを盛り込んだうえで、子どもたちに書いてもらえばよいと考えた。
 遺族に知られてしまうなら書きたくないという子どももいて、集まる情報は限定されるかもしれない。しかし、どのみち闇に葬られてしまう情報なら、それをあきらめても、子どもたちが遺族にも伝えたいと思う情報を拾おうと考えた。

 そのときに重要なのは、事件事故から3日間という時間であると私たちは考えた。土日をはさむこともあり、最大3日を想定したが、早ければ早いほどよい。
 様々な情報に子どもが惑わされる前に書いてもらうことが肝要だと考えた。子どもたちは事件当初、学校の先生も事実を知りたがっている、だからアンケートをするのだと思ってる。しかし、日にちがたつうちに、先生たちは事実が知りたいわけではない、むしいろいろな事実が出てくるのは迷惑だと考えていることに、その言動から気づき始める。
そして、加害行為を行った子どもたちの気持ちが揺れ動き、反省の可能性があるのも、ほぼ3日から1週間。それをすぎると、周囲の大人たちの対応もあり、反省より保身が強くなる。
近年では、直後から反省の態度が見えない様子も聞き及ぶが、表面上は突っ張って見せていても、子どもたちの心はかなり揺れ動いている。

 文科省は一番肝心な部分「ご家族にも報告する」という一文を除いて、わざとあいまいにしたうえで、そのアンケート案を採用(PDF)した。それは大津事件でも採用された。
 また、私たちがこだわった「3日間」は、児童生徒へのアンケートではなく、全教職員への聞き取り調査と、関係の深い子どもへの聞き取りへと変えられた。それをされてしまうと、そこで学校は大まかな事実関係を掴み、むしろ、どうすればこの情報が外に出ないかの対策期間となってしまうのだが。

 そして、アンケートに関していえば、文科省は事前に保護者に承諾を求めるよう、わざわざ承諾書のフォーマットまで添付している。
 学校で日常的に、いじめ調査のアンケートをするときに、いちいち保護者の了解を取ることがあるだろうか。子どもの問題行動の事情聴取や指導を行うときに、「あなたのお子さんから、聞き取りをしてもよいですか」「問題行動について指導してもよいですか」と許可を取るだろうか。
 なぜ、自殺事案にだけ、このようなハードルを設けるのか、「自分たちにとってたとえ都合の悪いことでも隠さないように」と表面上は言っていても、やはり文科省も本音では、「いじめが原因の自殺などあっては困る」と思っているのだとしか考えられない。(PDF参照)
 いじめをした子どもたちに話を聞かなければ、指導もできない。人が一人、死に追い込まれるという重大事態において、それでよいのだろうか。犯罪と認定されるようなことであれば、警察での対処もある程度できるだろう。しかし、文科省も自ら、言葉や態度が人を傷つけるいじめとなることを認めている。にも、かかわらず、それをした子どもたちの反省を引き出すこともしないで放置するのは、教育とは言えない。
 いじめは時に、クラス全員がかかわっていることがある。自分の子どももいじめに加担していたかもしれないと思えば、多くの親は調査を拒否するだろう。また、調査を拒否している保護者が多ければ、その中で浮いてしまったり、攻撃されることを恐れて、調査拒否に同調する保護者もいるだろう。まさに、いじめの構造と同じだ。
 文科省にこの問いをぶつけても、「拒否されたら、繰り返し説明する」程度の答えしか返ってこなかった。(文部科学省への要望と質問・回答の概略とまとめ PDFファイル 14頁 Q4-B、C 参照)

 しかも、文科省の審議のまとめhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/063_1/gaiyou/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1306734_01.pdfP51では、子どもの書いたアンケートの内容を保護者が事前に確認することになっている。
子どもの意思ではなく、保護者の意思が優先される。
 また、署名捺印した保護者の承諾書を子どものアンケートの回答と一緒に封入して学校に提出すれば、アンケートに名前が書かれていなくても、同封されている承諾書の氏名から、個人を特定できる(ここでは、アンケートと承諾書のどちらも封入するよう書かれているが、別々の封筒か、同一の封筒に入れるべきかの指示はない)。
そうなれば、学校には記入者が特定できるが、その後、それをバラしてしまえば、無記名アンケートを見た遺族には特定できない。いわば無記名でアンケートに回答した子どもたちをだまし討ちにするような仕掛けがされている。
 さらに、児童生徒にはいかにも、遺族にそのまま渡るかのように書きながら、保護者への文例には、わざわざ「そのまま公表することはない」「遺族にもそのままお知らせすることはありません」と、別の約束を学校側から提示している。のちに、遺族が見せてほしいと言ったときに、今度は子どもたちとの約束ではなく、保護者たちとの約束を盾にできる仕組みになっている。


いじめ防止対策推進法や基本の方針でのアンケートの取り扱い

 大津のいじめ自殺をきっかけに、2013年6月28日に「いじめ防止対策推進法」が成立した。
 第5章 重大事態への対処 (PDF P5参照)の第28条では、「質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る市背施設関係を明確にするための調査を行うものとする。」とあり、2-Aには、「前項の規定による調査を行ったときは、いじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。」とある。
 この条文は「学校の設置者又はその設置する学校による対処」となっているので、公立学校だけでなく、国立や私立の学校にも適用される。

 また、衆議院文部科学委員会の付帯決議(上記資料のP7参照)でも、「いじめを受けた児童等の保護者に対する支援を行うに当たっては、必要に応じていじめ事案に関する適切な情報提供が行われるよう努めること。」とある。
 参議院文教科学委員会での付帯決議でも、「「本法の運用に当たっては、いじめの被害者に寄り添った対策が講ぜられるよう留意すること。」とある。

 このように新しい法律に書かれていても、学校設置者や学校はその基本理念を汲むことなく、解釈を捻じ曲げ、何とか理屈をつけて自分たちにとって都合の悪い情報を出さない方法ばかりを探る。(2011年9月1日に自殺した鹿児島県出水市の女子生徒(当時中2)の遺族への対応を見ているとその姿勢がよくわかる)

 そこで、ジェントルハートプロジェクトでは、
文部科学省の「いじめの防止等のための基本的な方針」策定(2013年10月11日発表)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1340770.htmにあたっても、できるだけ言い逃れのできない具体的な文言を方針に盛り込んでいただけるよう、大津のご遺族とともに要望してきた。

 基本的な方針では、「4重大事態への対処」の「5.事実関係を明確にするための調査の実施」という項目には、
「事実関係を明確にする」とは、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や児童生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にすることである。」と書いている。
 どんなおざなりな調査であっても、形さえあれば、義務を果たしたとみなされることは今後、なくなるのではないかと期待する。

 また、「いじめられた児童生徒からの聴き取りが不可能な場合」には、「当該児童生徒の保護者の要望・意見を十分に聴取し、迅速に当該保護者に今後の調査について協議し、調査に着手する必要がある。調査方法としては、在籍児童生徒や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査などが考えられる。」と書いている。

 「調査結果の提供及び報告」については、「いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対する情報を適切に提供する責任」として、「当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。」「いたずらに個人情報保護を楯に説明を怠るようなことがあってはならない。」としている。
 具体的には、「質問紙調査の実施により得られたアンケートについては、いじめられた児童生徒又はその保護者に提供する場合があることをあらかじめ念頭におき、調査に先立ち、その旨を調査対象となる在校生やその保護者に説明する等の措置が必要であることに留意する」として、むしろ遺族に提供することを前提としている。

 子どもの自殺や事件事故の原因解明は、多くの遺族にとってもっとも切実な願いだ。それを阻害されることは、遺族をさらに絶望へと追いやる「新たな加害行為」だ。
 そして、原因が解明されなければ、具体的な再発防止策など立てられるはずがない。事件事故以前も、学校関係者は当然、事件事故を起こすまい、いじめによる自殺者を出すまいとしてやってきたはずだ。何かが足りなかったり、間違っていたから、事件事故が起きたのだろうから、その足りない部分や間違っている部分を解明して改善しない限り、同じことは起こり得る。
 飛行機事故や列車事故では、一度に大勢の人が亡くなる可能性があるので、原因究明に真剣にならざるを得ない。しかし、学校事故事件、自殺で亡くなる子どもたちは毎日数人ずつだとしても、トータルすれば、飛行機事故や列車事故の比ではない。(警察庁の職業別自殺者数の小・中・高校生の自殺者は年間300人前後 PDF 参照) 
 ましていじめは、いじめ防止対策基本法にあるように、「いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである」

 「今」こそ、「親の知る権利」の歴史的な転換期となるのではないかと、期待する。



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