ようこそ、「日本の子どもたち」のホームページへ。

「日本の子どもたちの抱える問題」を中心テーマに取りあげています。
ただし、「わたしの雑記帳」では、あまり枠組みにとらわれずに、誤解や批判を恐れずに書いていきたいと思っています。なんてったって、“わたしの”ページですから・・・。

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従って、偏った見方であるかもしれないことを承知のうえで読んでいただくようお願いします。 

 
 S.TAKEDA


増長天  /  Photo S.Takeda



2018/10/3 隠された聴き取りメモ。兵庫県神戸市垂水区の女子生徒自死事案の学校・教委・調査委員会の対応。

学校や教委の不祥事隠ぺいは、その一部が発覚しても、結局はうまく言い逃れられてしまうことが多い。
表に出るのはごく一部であると思っている。
神戸市垂水区の中3女子生徒の自死事案をめぐって、様々な問題点が浮き彫りになってきた。
幸い、市のサイトではかなりの情報開示がされていることで、その一旦を私たち一般の人間にも直接、目にすることができる。


事案概要
2016年10月6日、兵庫県神戸市垂水区の市立中学校の女子生徒(中3・14)が橋の欄干で首を吊って自殺。小川の中で発見された。
友人との交換ノートや「ツイッター」の記述などに、いじめを示唆する内容があり、「2年生のころから同級生に悪口を言われる、仲間はずれにされるなどのいじめを受けていた」という。
遺書らしきメモが残されていたというが、女子生徒が亡くなった当初、「家庭内トラブルを記した遺書があった」との誤った情報に基づく一部報道があったという。

2018年7月30日に放送されたNHKクローズアップ現代によれば、母親は当該生徒が亡くなったあと、同級生や教員など、のべ50人に自ら聞き取りを行い、そのなかで、「顔面凶器と言われていた」「消しゴムのカスを投げられていた」などの証言があがったという。
「いじめがあった」という生徒は10人以上いた。
また、聞き取りを始めて4か月後、事件直後に生徒たちが教員に話した際のメモがあることが判明。教育委員会に提示を求めたが、「記録として残していない」という回答だった。
(2018/7/30 NHKクローズアップ現代 “いじめ自殺”遠い真相解明 ~検証 第三者委員会 ~
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4166/index.html )


第三者委員会の設置と報告書内容
2016年10月20日、有識者による第三者委員会が詳細調査を開始。
そのことが公開されたのは、12月13日。「在校生や調査に影響がある」などとして、調査に入ったことを公表していなかった。
なお、当初は「公平中立な調査のため」として、調査委員の氏名を公開しない方針が伝えられたが、のちに、市教育委員会の付属機関である「神戸市いじめ問題審議会」(常設)が、第三者委員会として調査していることが判明している。


調査委員会は、2017年8月、遺族に対して報告書案を示したという。
それに対し、遺族は原因究明が不十分として2度にわたって質問書を送ったが第三者委は回答せず、調査終了の意向を示したという。
報告書は2017年8月8日に答申。
市の情報公開条例により、個人の特定につながるとして、全5章(165頁)のうち、自殺の経緯や要因、いじめの内容などを記した第3章(64頁分)は黒塗り。
具体的な内容がわかってこそ、身近な問題と結びつけて、再発防止にも役立つのではないかと思うが。
なお、遺族にはどの程度開示されているのは不明。

調査委員会の結論としては、
女子生徒の容姿を中傷する発言や、廊下で足をかけられたりしたことなどを「いじめ行為」と認定。
しかし学校側は全く気付いていなかったと指摘。他生徒らから女子生徒の異変の申し出がなかったことを理由に「(自殺の兆候を)教職員が察知するのは極めて困難」とした。
自殺の原因も「特定できない」とし、いじめとの因果関係は認めなかった。


学校や教育委員会の対応については、一部、処分された資料についてや、いじめ防止対策推進法や学校の基本的な方針にある校内いじめ問題対策委員会が設置されていなかったことなどが問題であるとしながら、全体的には「学級担任、学年団、学校全体のそれぞれの段階において、生徒の悩み、問題行動、生徒からのSOSを組織的に把握していこうという仕組みは整備されていた。いじめとして認知される前の、ささいな問題行動や悩みも含めて、網羅的・組織的に把握しようとしていた。」と評価している。
(日常的には実によくやっていたにも関わらず、なぜか今回の女子生徒の自殺事案に関しては、中学1年時から3年時まで、様々なトラブルがありながら、教職員は全く察知することができなかった。その主な原因を第三者委員会は、本人やその友人、保護者などが、学校を信用して打ち明けることをしなかったからだとしている。)

事後対応についても、「事案認知後の学校の初動体制としては、遺族の意向に配慮しながら対応がなされていたと理解できる」「教育委員会事務局は、遺族の意向及び当該校の事情を尊重するとともに、本委員会の公正・中立性が担保できるように努めてきたこと、本事案の真相を明らかにするために本委員会が必要とする調査の具現化に大きく貢献した」とあり(下記、「文教こども委員会資料」より)、自死事案の第三者委員会の報告書としては異例なほど、学校や教育委員会の事前、事後の対応を肯定的に捉えている。

学校や教委がメモを隠し持っており、校長に存在を指摘されてもすぐには公表しなかったと言う事実がわかった今となっては、この好評価に対して、第三者調査委員会の公正・中立性さえ疑いたくなる。


処分されたとされた文書の作成経緯と第三者委報告書での扱い

報告書では、文書の保管について、
・いじめに関するアンケートの原本は、3年生時実施分しか保管されていなかった。
1年生時、2年生時実施分については、当該生徒の特記事項が記録に残っていないという情報しかもたらされていない。
・10月11日の6名の生徒に対する聞き取り記録が破棄されており、メモも処分したとのことであったとしている。
ことが指摘されている。


「残しておくべきだった」としながら、一方では、「メモに書かれていた内容については、本委員会による一連の聴き取り等により、そのほとんどを復元できたと考えている」として、実質的な問題はなかったかのように書いている。
また、平成29年3月に文科省が出した「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」にも文書保管に関して書かれていることにふれつつも、このガイドラインは事案発生後であるから、適用外であることを暗に強調しているようにさえ見える。

ただ、ここには書かれていないが、こうしたアンケートやメモの開示や保存期間内や係争中の文書の処分については、これまでもたびたび民事裁判の争点となっており、学校管理職や教育委員会は、ガイドラインに書かれていなくとも、保存しておくべきだった。そうしなかった段階で、隠ぺいを疑われても仕方がないと私は考える。


このメモの経緯やアンケートの保管については、2018年4月の神戸市「文教こども委員会資料」「1.報告 垂水区中学生自死事案にかかるメモ等の存在について」に、詳細が出ている。 
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300427-1.pdf


「生徒にとって、10月11日(火)が葬儀のあとの初めての登校日となった。この朝、ふたたび、臨時全校集会が行われ、校長が心のケアの説明をし、「気になることがあれば話してほしい」と生徒に呼びかけた。」
「その臨時全校集会の後、当該生徒が学んでいた教室に入れない生徒がいた。6名であった。
そこで、教員はこの6名を別室に移動させ。カウンセリングを行うことにした。この時の目的は動揺している生徒の気持ちに寄り添い、精神的に支援することであった。
教員は生徒が話す内容についてメモをとりながら聞いた。生徒たちは、当該生徒が学んでいた学習塾において、この前日に当該生徒の生前の様子や出来事についてそれぞれが知っていたことを共有」
「カウンセリングを受けた生徒によると、当該生徒のこと、事案にいたる原因と考えられること、などを教員に詳細にわたって述べたとのことである。」


このような学校の対応は適切であったと言える。しかし、本委員会がこの時のメモの提示を学校に求めたところ、すでに破棄されていたとのことであった。学校側の説明によると、これらのメモはカウンセリングの一環としてとったものであり、調査目的の聴き取りメモではなかったので処分したとのことであった。

このメモに書かれていた内容については、本委員会による一連の聴き取り等により、そのほとんどを復元できたと考えている。しかしながら、教員を信頼して話した生徒の気持ちを考え、また、本委員会の調査等への協力のことを考えると、やはり、このときのメモは学校が残しておくべきだったと判断される。



隠ぺいされた文書と調査について気になること

Ⅰ.カウンセリングか、事情聴取か?
生徒6名が教員(個人名は伏せられている)に話をしたのは、臨時集会の直後。
校長の「気になることがあれば話してほしい」という呼びかけに応えて、教員に話そうという気持ちになったのではないか。
しかし、教員はそれを「事実解明のための告発」とはとらえず、「辛い思いを吐き出したい」というカウンセリングの必要性と捉えたという。
そして、第三者調査委員会はそれを「適切であった」と評価している。

しかし、学校側の主張する「カウンセリング」と、生徒側が話した事実に関する内容とでは、大きく食い違う
しかも報告書に書かれている文言は、「カウンセリングを受けた生徒によると」「詳細にわたって述べたとのことである。」。
これは、話を聴いた教員からは調査委員会に、聴き取った内容についての情報がほとんどなく、生徒側に聴いてはじめて判明したということを示しているのではないか。また、カウンセリングだったのでメモを処分したという学校の言い訳とも矛盾する。
実際に、その後、このメモに関連する記述では、「カウンセリング」ではなく、「面談」や「聴き取り」となっている。
仮にカウンセリングだったとしても、心の影響は時間が経ってから現れることもある。カウンセリングの資料として、引き継ぎが必要なはずだ。

なお、 他でも、自殺事案が発生したとき、「カウンセリング」という名称の聴き取りは、学校関係者にとって都合がよい。
カウンセリングと称して、学校関係者が生徒の話を聴けば、それはカウンセリングをした生徒の個人情報に当たり、自殺した生徒に関することではないとして遺族の情報開示請求を退けやすい。
話を聴いたのが、スクールカウンセラーだとしても、スクールカウンセラーの直接の上司は学校なので、学校長に内容を報告する義務が発生する。学校長に聞き取った内容を話すのは、守秘義務違反にならないという言い訳も成立する。
話を聴いたカウンセラーは、たとえば「自分がいじめたから、相手は亡くなってしまったのではないか」と自分を責めている生徒に対して、「自殺というのは、直前の行為が影響しているとは限らない」「この子は前から死にたいと言っていたというから、君のせいではないよ」と話す。
自分のせいだと思っていじめを告白した生徒は、「なんだ、自分のせいではなかったんだ」と安心する。
その後の調べで、いじめが原因で亡くなったと知らされても、「本当は自分のせいではないのに、自分のせいにされた」と反省よりむしろ、被害感情や怒りさえ感じる。
そして、守秘義務を盾に情報を出すことを拒んできた学校や教委は、いざ裁判になると、遺族や生徒のカウンセリングの内容から、自分たちにとって都合のよい部分だけを使用する。


Ⅱ.聴き取りは複数、他の教職員や教育委員会指導主事も情報共有していた
第三者委員会の報告書からは、まるで、一人の教員が6人の生徒から単独で聴き取りないしカウンセリングをしたかのように受け取れる。
しかし、後の2018年6月1日に提出された2人の弁護士による「垂水区中学生自殺事案にかかるメモ等の存在についての弁護士調査の報告について」 http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300606-1.pdf
で初めて、6人の生徒を3人の教員及びスクールカウンセラーの計4人で、面談したことがわかる。

これがもし、純粋なカウンセリングであれば、教員が同席する場では、生徒が本音で語りにくいのではないかという配慮がなされるべきだと思う(生徒が見知っている教師の同席を望んでいる場合は除く)。
まして、時期的には女子生徒の自殺直後であり、心のケアの体制は整えられていたはずである。

調査委員会に対しては、「調査目的の聴き取りではなかった」としながら、のちの弁護士の調査(上記)では、聞き取りをしたその日の学校で行われた「職員間の打ち合わせで写しが配布され、職員が当該生徒の自死事案についての共有する文書となった」とある。
こうなると、カウンセリングというのは全くの言い訳で、職員が共有すべき重大でかつ具体的な事実(と思われる)として取り扱われていたことがわかる。

この会議には、教育委員会事務局指導主事も参加していた。弁護士の聴き取りに対して、「記憶にない」と答えているというが、最も初期の具体的な氏名まで語られた内容を、学校の自殺背景調査の支援に入っている指導主事が「記憶にない」というのはあまりに不自然だ。
なお、第三者委員会の報告書では、指導主事の人数などはわからないので同一人物のことを指しているかどうかは不明だが、第三者調査委員会の調査員として、当該調査委員会が定めた聴き取りマニュアルによる1次聞き取り調査を行っている。


上記事実をみれば、学校や教育委員会ぐるみの組織的な隠ぺいの可能性は充分に考えられるが、メモについて調査した弁護士らの結論は、「同面談内容を学校が基本調査報告書において意識的に隠そうとしていたとは認められない」。
その根拠は、「校長が10月11日面談のことを意識的に省いたことはない」と述べているから。そして、このことを「学校から教育委員会に伝えられていたから」という。

また、この時の職員による打合せの後に、教頭がその内容をまとめてワープロ打ちしていたという。
こちらは、弁護士の調査で、「「教頭メモ」を教育委員会に当時日々送っていた事実は確認できなかった。」「第三者委員会に提出されていないようである。」と極めてあいまいな書き方をしている。
これはつまり、教頭は教育委員会に毎日のようにメモを送っていたと主張し、教育委員会はもらっていないと主張しているということだろうか。
教頭のメモが第三者委員会に提出された事実があるかないかは、7人の委員に確認したり、当然、保管されているであろう第三者委員会で使用した資料を調べれば、あるか、ないかは、はっきりわかるのではないかと思う。


Ⅲ.担当者がメモを隠蔽した理由

なお、弁護士らの報告書には、
1.平成29年3月6日に、当時の校長が遺族に対し、面談の資料乃至メモは存在しないと回答した理由について
①主席指導主事の指示に従った。

②□□は、同メモの存在が明らかになれば遺族からの再度の情報開示請求等が出されることが考えられ、その場合の事務処理が煩雑であると考えていた模様であり、また、第三者委員会の報告完成について当時は平成28年度末(平成29年3月)が目標とされていたこともあって、同メモの存在を回答することにより教育委員会としての事務が増大することを避けたいという思惑を有していたと推測される。
一方、校長は、事故後5ヶ月近く経過した時点で同メモの存在を明らかにした場合の遺族の反応を心配し、できれば同メモがないことにしてやり過ごしたいという思いを有していた模様である。

このことの評価としては、
「上記の②の□□や□□の考えについては、事務量の増大や遺族の反応を心配するといっても、実際に遺族が求めている情報について同メモの存在を隠蔽することは誤った対応であることは言うまでもなく、このような対応は非難されるべきものである。」と、はっきり「隠蔽」という言葉を使って書いている。


2.平成29年8月、証拠保全の際にメモ等が提出されなかった経緯について
□□が、□□に対してその際も提出しないように指示したため、同手続きの際に提出されなかった。

3.平成29年8月に、当時の校長が教育委員会に対して上記面談に関するメモが存在すると告げたにもかかわらず、その後の平成30年4月に至るまで同メモの存在が公表されなかった経緯

①校長のメモについての申告をきっかけとして教育委員会では、教育長の命により調査が開始された。
しかし、調査を担当した学校教育課を中心として、これを総括する立場であった教育長や総務部としても、遺族が開示的に求めていたメモの物理的な存否を重要視せず、もっばら10月11日の面談における聞き取り内容が第三者委員会に伝達されているかどうかを重視していたため、調査は不徹底であり、また教育長や総務部もその進捗状況を積極的に把握し調査を徹底させるように強く促すこともなかった。

②このような対応となった理由として、
・教育委員会のメモの存否に関する重要性の認識の欠如
・本件以外にも事件事故が多発してそれへの対応を優先した
これらが原因と考えられる。

同報告書には、「10月11日に6名の生徒との面談があり、生徒らが当該生徒に関する1年、2年、3年時の出来事を教諭に話し、また、その内容について「いじめ」が疑われることが含まれていたという事実自体は、10月11日当日か、翌日ころには教育委員会に伝達されていたものと考えられる。」とあり、「トラブルの概要(いじめの疑いも含む)が第三者委員会にも伝えられている」「第三者委員会はこの6名の生徒から詳細な聴き取りを行っている」と書いている。

内容が伝わっているのであるから、結果的には影響はないというようにとれるが、多くの生徒や教師から聴き取りをする前に、具体的なトラブルや行為者の名前がわかっているか、どうかでは、調査の仕方は大きく変わってくる。
また、同級生が亡くなったばかりの時には、同情心や正義感から、自分にふりかかるかもしれないリスクを恐れずに真実を述べたいと思う気持ちも、日々の生活に流されるうちに、亡くなった友人より、今の人間関係を大事にしたい、生活に波風を立てたくないという気持ちに傾きがちになる。そして、記憶はあいまいになる。証言の信用性も薄れて行く。
何より、学校が自分たちにとって不都合な内容をもみ消そうとしたのであれば、亡くなった生徒、遺族、学校生徒への裏切りであり、同様事態の再発防止どころか、不当なことを行っても言い逃れをすれば責任を回避できると示すようなものであり、子どもたちに大人や世の中の正義を信じられなくさせる。今後のためにも、あいまいなまま終わらせてよいことではない。


Ⅳ.メモ調査の信用性
弁護士らの調査は、平成30年5月30日付けの「文教こども委員会資料」
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300531-4.pdf
によれば、

1.調査内容
①平成28年10月11日に教職員が生徒に聴き取りした内容を記載したメモの存在が確認されるまでの事実関係
②教頭が作成した資料に関すること
③当該メモに関連するその他のメモや資料の存否
④ご遺族からご要望いただいた調査項目

2.聴き取り対象者
平成28、29年度に在籍していた教職員 22名
(当該中学校、教育委員会事務局)


自殺の第三者調査委員会と同様、起きてしまった出来事・不祥事の経緯と原因を探り、再発防止をするための調査であると考える。
その調査によって、人々の信頼を取り戻すものでなければいけない
はずだ。
しかし現実には、より深く、「第三者」あるいは「専門家」の「調査」に対する、あるいは行政が依頼した調査に対する不信感をさらに上塗りするものだったと感じる。

平成30年7月25日付けで、弁護士らは、「調査報告書についての追補」を出している。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300730-4.pdf

ここでも、結論を出すことは避けているものの、第歳者委員会の委員への聴き取りの結果、メモがあっても、なくても変わらないというような証言内容が書かれている。
一方で、「本件メモ等に記載された生徒の固有名詞等の全てがそのまま情報として第三者委員会に伝わっていたわけではないが、生徒6名に対する聴き取り調査によって報告書を作成するにあたって必要となる情報は概ね把握できたものと考えられる。」とある。

たくさんの教師がメモを見たはずなのに、このような事実がもたらされたのは、生徒からだけだった。
文科省の自殺の背景調査の指針では、事案発生3日以内に全教師から聴き取りをすることになっている。
しかし、教師からそれまで保護者が知らなかったような事実が初めて出てくるようなことはほとんどない。
多くは児童生徒やその保護者から、学校に、あるいは遺族、メディアに、情報がもたらされている。
その情報をもとに調査してようやく、様々な言い訳とともに、教師からも証言があがってくる。
だから、第三者委員会の調査は「学校・教師は隠すもの」という前提で行わなければならないことを、実際に3件の自死事案の調査に関わった身としては、実感している。

どんなに努力しても、調査には限界がある。しかし遺族の亡くなったわが子に何があったか知りたいという気持ちに対して、「概ね」などというあいまいさが許容されてよいのだろうか。それで満足してよいのだろうか。
初期に情報があれば、もっと精査できたかもしれないのに、調査委員として悔しくはないのだろうか。
もし、生徒が大人への不信感や関わりたくないという保身などから、教師に話した内容について証言してくれなかったとしたら、1年、2年時の内容は明らかにならなかったかもしれない。(とはいえ、どのみち黒塗りのため、具体的に何が書かれているのかはわからないままだが)

また、聴き取りで出てきた固有名詞が全て第三者委に伝わっていたわけではなかったとあるが、それによって、名前があがった生徒、あがらなかった生徒とで、その後の対応に差が生じる可能性がある。
名前があがった生徒が可哀そうというよりむしろ、彼等の今後の人生を考えたら、大人たちの隠ぺいにより、反省の機会を奪われた生徒のほうが気の毒に思う。
 
なお、メモの廃棄を報告書に書いたのは、生徒たちに事情聴取した3人の教員とカウンセラーに確認したうえでの結論かと思っていたが、第三者調査委員会はそう記述した理由を、「既に存在しない状況である、と教育委員会事務局から報告を受けていた」からと述べている。
つまり、「カウンセリングだった」「事実調査ではなかった」という言い訳も鵜呑みにし、教育委員会事務局の言葉のウラをとることもせず、関わった教員らに確認もしなかったということなのか。
可能な限り、伝聞ではなく、第一次情報に当たるというのは、調査の鉄則ではないのだろうか。


そして、おどろくべきは、追補に添付されている教員の2018年7月13日付け「陳述書」だ。
個人情報保護を理由とした黒塗り(白抜き)がアルファベットなどの表記の方法をとっていないため、どこの記述とどこの記述が同一人物のものなのかがわかりにくいが、内容からして、当時の校長が出したものと推測される。
メモ隠ぺい調査の弁護士に話したとされる内容について、本人が言っていないことが書かれていたり、重要な部分が落とされているという、いわば「告発状」の形を呈している。

7月6日の再調査の際、なぜこのような記述がなされたのかを弁護士に質問したところ、
①これらの記述は当時の校長が述べたことではなく、弁護士らの推測を書いた。
②推測のない内容は、校長が遺族に対してメモは存在しないと通知した以上、校長に何かそのようなことをする理由があったはずだ。
③校長は、遺族から様々な非難を受けるのは辛いと述べていた。
④だから、校長はメモが提出されることで遺族から非難されるのを避けたいと思ったはずだ。
⑤これが、校長がメモをないものにしたいと考えた理由だと推測できる。
という内容だったという。

一方、校長は、「私がメモは存在しないと通知したのは一にも二にも教育委員会から「メモはなかったことにする」という指示があったから。それ以外の理由など存在しない。」と主張している。そして、「校長というのは、教育委員会に対して自分の考えや意見を述べることはできるが、教育委員会が決定した方針に従わないという選択を取ることはできない。」と書いている。
一見、言い訳にも聞こえるが、こちらのほうがより真実に近いのではないかと感じられる。
こうした内容を表明することにも、かなりの勇気がいったのではないかと思われる。

この陳述書の内容についての弁護士の見解や反論は何も書かれておらず、ただ陳述書が添付されている。
ある面、ここに書かれた認めているということだろうか。
たしかに、報告書の語尾に「模様である」「考えられる」「推測される」など、あいまいな書き方が多用されていることが気になっていた。
しかし、事実と自らの想像とを分けずに、誤解されるような書き方をするのは、弁護士としての専門性が問われるのではないか。
実際、報道等で、メモを隠蔽した理由は「事務が煩雑になるから」などと大きく報じられている。それを見て、ひどい言い訳だと感じていた。


Ⅴ.その他
1つ嘘をつくと、その嘘を合理化するために、次から次へと嘘をつかなければならなくなる。
まるで、そのことを示唆しているような神戸市、あるいは神戸市教育委員会対応の流れだ。

神戸市は、再調査を決め、平成30年7月16日から審議が始まっている。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300730-2.pdf


神戸市長は、平成30年4月26日の定例記者会見で、再調査を決めた経緯について述べている。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/mayor/teireikaiken/h30/300426.html

平成30年3月13日に調査報告書と遺族の意見書が添えられて提出され、
4月3日に遺族から再調査を望んでいる旨のの申し入れ書があった。
再調査を検討しているところで、調査報告書のなかで破棄されたとされていたメモが発見されるということが起きた。

(市教委は4月22日に、自殺直後に学校側が友人らに聞き取った内容のメモが残っていたと発表。)

そして、再調査を行う理由として、
①調査を行う調査委員会の設置、このスタートに当たって問題があったのではないか。
②複数の弁護士に意見を聞いた結果、第三者委員会の調査報告書はいじめ防止対策推進法に求める調査の内容から見て不十分な点があるのではないかと指摘された。
③再調査の検討をしているところにメモが見つかった。
などを挙げている。



一方、平成30年4月24日付で、文教こども委員会あてに、「第三者委員会がなぜ再調査を行わなかったのか、理由を文書で公表すること」と「市長による再調査が行われるか否かについて、早期に明らかにすること」を求める陳情書が出されている。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300531-1.pdf

それに対して、5月31日付けで、以下の回答をしている
(私の知識では誰が回答しているのかが、よくわからない)
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300531-3.pdf

(1)第三者委員会は、「いじめ防止対策推進法」や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の趣旨を踏まえ、公正・中立の立場で慎重に調査を進めてきた。
(2)全ての関係者からの聴き取り調査を目指したが、二次被害防止や当人からの同意を得られないために、予定された全員からの聴き取りを行うことはかなわなかった。
(3)調査権・捜査権・指導権等が無い中、聴き取りに応じてくれた方々のお話を真摯に受け止め、得られた情報をもとに客観的かつ慎重に判断し、委員の専門的な分析も加えて報告書にまとめた。
(4)「追加調査申入書」は、調査方法、事案の要因分析及び事実の認定の結果、並びに学校の対応に関してご意見を述べられていると受けとめている。
(5)第三者委員会として本事案に関する見解やこれに係る説明は、調査報告書に記載したとおりであり、これ以上の追加調査は行わない。
(6)調査報告書に関するご意見等は、国のガイドラインに明記されているとおり、市長への所見として教育委員会事務局に提出していただきたい。

回答者は4月26日付けの市長の記者会見の内容を知らなかったのだろうか。
一次調査の第三者委員会が追加調査を行わないという回答は妥当だとしても、すでに市長は再調査委員会設置を決めていると回答してもよかったのではないかと思う。

市教委、教育長、神戸市の一連の対応を見ると、もし、聞き取りメモが存在することの内部告発がなければ、メディアがメモの隠ぺいに大きな関心を払わなければ、今まで通り、「第三者調査委員会の調査には不備はなかった。聴き取りメモはなくとも内容は調査に反映されているので問題ない。」として、再調査を行わなかったのではないかと感じられる。

文科省は詳細調査について、調査委員会を常設しておくことを勧めている。
しかし、いじめ防止対策推進法施行以降、再調査・再組織を要望された自死事案17件のうち、常設の委員会が約半分(8件)を占めていた。
常設の委員会以外にも、遺族と委員の摺合せをしなかったり、遺族からの要望をきかなかった調査委員会で多く、調査結果に不満、不信感が寄せられている。結果、再調査では、遺族側の、とくに委員に関する要望を受け入れて設置されるものが多い。
つまり、最初の第三者調査委員会で、遺族推薦を受け入れていれば、再調査をしなくてすんだかもしれない。
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message.html
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/judaijitai%20saichousa%20youbou%20jian%20ichiran%2020180917.pdf


なお、上記で引用した資料は、神戸市会のサイトの「文教こども委員会」
http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/kodomo.html
のところで、見つけることができた。

このなかには、個人的に非常に気になっていた2017年12月22日に発生した神戸市六甲アイランド高校の自殺未遂事件についての学校の報告書も挙げられていた。 http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H30/img/kodomo300619-14.pdf
第三者委設置の報道も見当たらない。これだけで幕引きになってしまうのか、それで本当によいのか、大いに疑問を持つ。


そして、改めて情報公開は大事だと実感する。情報が公開されなければ、実際には何が行われているのかを、私たちは知ることができない。
第三者委員会の報告書のマスキングは、誰が判断しているのか。
「個人情報保護」と言いながら、自分たちにとって都合の悪い箇所を大幅にマスキングしているのではないか。
情報公開の不服申し立てで、そのマスキングが適正であるかどうかの判断を組織もそれぞれの自治体にある。
しかし、今回のように、チェック機能を持つ組織そのものが信じられないことも多々ある。
「中立」「公明正大」を言葉ではなく、可視化することで、立証してほしい。


2018/6/13  日大アメフト部の危険タックル問題

2018年5月6日、東京都調布市のアミノバイタルフィールドで開催された日本大学フェニックス 対 関西(かんせい)学院大学の定期戦で、日大のディフェンス選手が、関西学院大学のボールを持っていないクォーターバック選手に背後から強いタックルをしかけ、けがを負わせた。その後も、2回にわたり同じ選手が、反則を繰り返し、退場処分になった。
この時の動画がSNSで拡散され、大きな問題となった。

味方にボールをパスし終わって全く無防備な状態での、後ろからの猛烈なタックル。今回は幸い、ひざや腰などに全治3週間のけがを負った程度で済んだようだが、重い後遺障害が残ったり、命を失っていてもおかしくなかった。
監督、コーチは、教え子を殺人者にしてしまうところだった。

今回は証拠となる動画があり、ユーチューブにもアップされて世間の強い関心を集めた。
何度も繰り返される日大側の不遜かつ誠意のみられない対応。一般的には、被害者側の証言だけでは結局、加害者側のあのような強硬姿勢に押し切られてしまい、泣き寝入りをせざるを得ない。

5月22日、反則行為をした日大の選手(20歳)が、カメラの前で顔と名前を出して、経緯の説明と謝罪を行った。
今回、危険タックルの背景には、監督やコーチからの指示があったことを明らかにした。

同選手は、19歳以下の日本代表に選ばれ、前年12月の全日本大学選手権決勝「甲子園ボウル」ではフェアプレーに徹していたという。
それから5月に入ってから、練習を外され、監督から「やる気が足りない」と指摘を受けたという。
2018年5月30日付のスポーツ報知によれば、「U前監督は時期ごとに選手を選び、M選手のように精神的に追い込む指導を何度も繰り返していた。ターゲットになることを、部員たちは「ハマる」と言って恐れた。「結果を残さなければ干すぞ」。全体練習から外された上、意味もなくグラウンド10周、声出しを強制される。特に声が小さいわけでもないのに、U前監督がボソッと「声が小さいな」と言えば、コーチからすぐさま「声が小さいぞ!」と叱責された。今回「ハマッた」M選手の様子を見て「顔つきまで変わってしまった」と漏らした選手もいるという。」(監督名・選手名は武田がイニシャルに変換)

特定の選手をターゲットにする指導のことを「ハメ」ということを、2002年3月25日、自殺した東京農大ラグビー部の金沢昌輝くん(当時高2)の事件で初めて知った(http://www.jca.apc.org/praca/takeda/number2/020325.htm)。
東京農大ラグビー部独特の隠語かと思っていたが、どうやらそうではなかったようだ。
いろいろな学校、スポーツでも指導者がターゲットを決めて、追い込む方法は、いくつもの部活動に関する事件事故、自殺に共通する。


◆ 運動部を中心に、不適切な指導が生徒を追いつめた例
生徒を追いつめる教師の指導
1985/3/23
自殺
岐阜県立中津商業高校陸上部の竹内恵美さん(高2・17)が自殺。
「お父さん、お母さん、私は疲れました。もうこれ以上、逃げ道はありません。なんで、他の子は楽しいクラブなのに、私はこんなに苦しまなければいけないの。たたかれるのも もうイヤ 泣くのも もうイヤ 私はどうしたらいいかナ だから もうこの世にいたくないの ゴメンネ お父さん お母さん 私・・・本トにつかれたの もう・・ダメなの もう イヤなの 私そんなに強くないの ゴメンネ」と書いてあった。
顧問については、「私は先生が好きだったけれど何も恩返しできんかった」と書いていた。

自殺の前日、恵美さんは進級に必要な成績がとれず、「計算実務」の追試試験を受けた。追試験終了後の採点で無事進級が決まったが、期末試験で追試だったことに対し、陸上部顧問が体育教官室で1時間指導。続いて担任教師から勉強や部活動について1時間15分にわたって説諭。更に、午後3時すぎから2時間半、再び陸上部顧問から説諭。計4時間45分に及ぶ訓戒を受けた。その日、朝寝坊をして朝食抜きで家を出た恵美さんは、昼食もとれなかった。直立不動の姿勢をとり続け、罵声を浴びせられ、竹刀を突きつけられ、殴られた。

恵美さんは、有望選手を集めて3月26日から開かれる県陸協主催の強化合宿に参加する予定だったが、欠点を取ったあと、顧問の教師に「お前は(合宿に)連れて行かん」と言われショックを受けていた(後に顧問は「合宿には参加させるハラだった」と説明しているが、本人には伝えていなかった)。
槍投げの練習もさせないと言われて、グランドの片すみでもいいから練習させて欲しいと懇願したが許されなかった。
顧問の「お前なんかしらん。お前の顔など見たくない」などの言葉を最後に帰宅し、自殺。

竹内恵美さんは小学校の時から運動が得意な快活な少女で、スポーツが盛んな学校だからという理由で、自ら希望して中津商業高校に入学し陸上部に入った。
陸上部では、1年生の秋の岐阜県新人戦の女子槍投げで優勝。2年生の県高校選手権大会で優勝。全国高校生やり投げランキングで16位。全日本ジュニアオリンピックや国体にも出場するなど活躍していた。県下ナンバーワンの将来を期待されたホープだった。有望選手として特別厳しい練習を課せられていた。

顧問の指導はたいへん厳しく、部活の練習時間は毎朝40分。放課後2~3時間。土曜日は午後2時~5時まで。日曜日は午前10時~午後5時までだった。高校1年の1学期を過ぎた頃からシゴキが始まった。

日誌をつけずに寝て顔が腫れあがり左目横が内出血するほど殴られたり、槍投げの記録が悪いと槍の穂先で頭にみみず腫れができるほど殴られた。
夏休みの日曜日、自主トレーニングをさぼってコンサートに行ったときも体罰を受けた。「もう練習をみてやらない」と顧問に言われ、恵美さんは落胆して家出した。(結局、その日のうちに帰宅)
修学旅行中の朝練に遅れ、正座をさせられ大腿部に黒あざができるほど蹴られた。
両親が何度も学校に抗議に行こうとしたが、「また私が叱られるからやめてくれ」と恵美さんに止められた。

顧問は、 女子部員の雰囲気が悪いと、恵美さんを呼んで、「お前がリーダーを取っていかねばならん頂点におる人間だから」と言って叩かれていた。髪の毛が洗えないほど叩かれ、くしを通すのもいやだっという時がしょっちゅうあった。
練習中に恵美さんに対して、「もうやらなくていい」「お前はばかだから、何度言ったらわかるんだ。やめろ」などと言った。
恵美さんが腰が痛いのを顔に出したとして、「やめていけ」と怒鳴った。恵美さんは他の部員の前で「やらせて下さい」と土下座して謝った。
疲労骨折で、医師から2カ月間、練習をしないように診断されていたが、無視して練習をやらせた。
他の部員が病院にいくのを止めなかったとして、恵美さんを叱責。「痛いときには練習を休ませないのが本当の思いやりだ」と言った。
合宿時、恵美さんら3人が昼食のご飯を一杯しか食べなかったことに腹を立てて、正座させて竹の棒で数回ずつ叩き、竹の棒が割れて飛び散った。
1年後輩の部員が練習に出てこなくなったことについて、恵美さんを2時間にわたって責め続けた。恵美さんは土下座して謝った。
後輩部員が退部したことや、記録が伸びないことを理由に恵美さんの頭をジュラルミン製の試合用の棒で数回たたいた。

恵美さんの死後、焼香にきたときに顧問は、遺族から「恵美になにか言うことはないか」と言われ、「今はバカとしか言えん」「死人にクチなしや」「人の噂も75日」などと反省が見られなかった。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/number/850323.html

1988/8/5
熱中症死
愛媛県新居浜市の市立新居浜中央高校で、バスケット部の練習後、阿部智美さん(高1・16)が、意識を失って倒れ、搬入先の病院で急性心不全のため死亡。

智美さんは中学時代、バスケット部のキャプテンを務め、選手としても活躍していた。同高校の顧問教師が智美さんを熱心に勧誘。自宅から遠くの学校で下宿生活をしながら厳しい練習をこなさなければならないことに不安を抱き、入部に反対する母親を説得して、本人の意志で高校入学、バスケット部入部を決めた。

女子バスケット部顧問教師(34)は、体育大卒で保健体育担当。県下随一のバスケット指導者で、この顧問指導のもと、同バスケット部はインターハイ出場の常連だった。
土日祭日もなく過密スケジュールの厳しい練習と、時にはアザになるほど激しい体罰を知って家族は不安に思っていた。

遺族は同期生数人に会って当日何があったのかを聞く。その結果、顧問の報告とは異なる証言を得る
1.「この日は卒業生が見に来ていたせいか、通常の練習よりハードで、顧問の指導も厳しかった。智美さんはシュートがなかなか入らず、顧問に叩かれ倒れた。
2.この後トイレで吐いたらしい。練習が再開されたとき、疲れ切った顔をして倒れこんだので、部員の一人が水を飲ませていると、顧問が「そんなことはせんでいい」「そんなふうにするけん、つけあがるんじゃ」と言って智美さんに水をかけた。
3.顧問の皮肉や嫌みに、10分くらい休んで練習を再開。インターバルトレーニングの途中で倒れ動かなくなったが、顧問に「ほっとけ」と怒鳴られて、ほおっておかれた。
4.トレーニングが終わってから卒業生が介抱しドリンク剤を飲ませたが、回復せずボンヤリした感じだった。
5.帰宅時、智美さんは脚がガクガクふるえ、意識も朦朧として、自分で着替えることも立ち上がることもできない状態だった。
6.顧問は「飲み会じゃ」と言ってすでに帰っており、同じ下宿の部員2人がタクシーで連れ帰ったが、下宿の入り口で座り込んでしまったので、あわてて下宿の管理人のおばさんに救急車を呼んでもらった。

(顧問は遺族に、練習中に気分が悪くなったというので、約1時間、横に寝かせて頭を冷やし水を飲ませて休ませた。その後元気を回復し、本人の強い希望で練習を再開。ミーティングの後、同室の友人とタクシーで下宿に戻ったが部屋の前まで行って突然倒れ、下宿の世話人が救急車を呼んで搬入された。と説明していた。)

校長は、たびたび遺族宅を訪れたが説明なし。部活動のやり方について遺族に改善を約束したが、実際には何もしていなかった。部活動の練習はほとんど中断することもなく、手加減もされず続いていた。また、学校集会などで、知美さんが亡くなったことさえ一切、報告されなかった。

遺族が学校相手に起こした民事裁判のスポーツ・ドクター等の証言で、智美さんの死因が熱中症であること、練習中に倒れた段階で救急車を呼んでいれば、助かった可能性が高いことが判明。
被告側は、「死因は急性心不全である」「ショック死などと共に(異常な)体質に因るもの」として、予測の可能性や、過激な練習との因果関係を否定。

裁判係争中の1993/9/2 新居浜中央高校のバスケット部で、同じ顧問のもと、知美さんの同期生の妹である1年生女子部員が練習中に熱中症で倒れ死亡。しかし2度目の事故直後も、同年宮崎県で開かれたインターハイに同女子バスケット部が準優勝したことが評価され、顧問教師は秋の国体監督に選ばれた。
県教育委員会が調査に乗り出したというニュースも、4年前の事故と関連づけての報道もなし。更に翌年2月には愛媛県体育協会から「優秀指導者賞」の表彰を受ける。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/number/880805.html

1994/11/13
自殺
大阪府羽曳野市の市立河原城中学校で、ソフトボール部に所属していた青木亜也子さん(中2・13)が、顧問の男性教師(35)らから叱責された翌朝、自室でユニホーム姿で自殺。
「お母さん、ごめんな クラブもうつづけられへんねん あんなこもんと一緒やったら好きなソフトボールもきらいになるから。あんなクラブ入らんかったらよかった」と遺書を残していた。

同部は西日本大会優勝の実績のある強豪チームだった。
亜也子さんはキャッチャーで、今秋から副キャプテンを務めていた。チームの中心選手だった。

亡くなる前日、亜也子さんは、市外の中学校との練習試合で送球ミスなどが重なり、「同じミスばかりするな」と怒られ、途中で交替されられた。試合後、顧問の男性教師と他の2年生たちとともに、「明日の公式試合に来なくてええ。背番号も返せ。(試合に)出せへんからな」と言われた。

亜也子さんの死後、顧問教諭(35)は、「きつい言葉でプレッシャーをかけたりしたのは、成長してもらおうと思ったから。気持ちはわかってもらえると信じていたが・・・」と涙ながらに話した。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/number2/941113.htm

2002/3/25
自殺
群馬県高崎市の東京農業大学第二高等学校(東京農大二高)ラグビー部の金沢昌輝くん(当時高2・17)が、部活動でたびたび過呼吸の発作を起こしていたが、合宿当日に自殺。

同校ラグビー部は全国大会18年連続出場の強豪チーム。
2002/1/ 新総監督、新監督という新体制を開始。またこの年度、学校が新校長、新教頭となった。新教頭はラグビー部部長の教諭だった。体制の移行期となっていた。

昌輝くんは、1年生の9月に学校で過呼吸を起こす。その後も何度かラグビー絡みで、かなり激しい発作を起こす。かなり激しい発作の後もラグビーの練習に参加させられていた。
昌輝くんは1年生時、ラグビー部の顧問のI教諭に、理由は告げずにラグビー部をやめたいということを伝えていた。(後に判明)

昌輝くんは、2年生になって、主要メンバーに入っていた。
夏合宿頃から、指導陣のプレッシャーがきつくなっていた。
他の選手のミスを昌輝くんのせいだとて怒ったり、「お前バックスとして駄目だよ」「使えねぇ」などの言葉を浴びせたりした。
特定の部員に注意が集中することを部員たちは、「ハメ」と呼んでいた。

合宿の前日、自宅で激しい過呼吸の発作を起こし、当日朝も玄関でしゃがみこみ荒い呼吸のなか、「行けない」「お母さん、(休みの)連絡は自分でしないとだめなんだ」と言った。
母親が総監督に電話。昌輝くんの状況を細かく説明し合宿の欠席を申し出たが、「治ったら参加させてください」と言われる。
連絡は1時間半近く放置され、自宅からすでに連絡があったことを知らないS監督がマネージャーに、昌輝くんの自宅へ連絡を入れさせた。昌輝くんは、「これは策略だ」と言い、指導者らに対して「あいつら人間じゃあないから」と言った。
その後、自室で自殺をはかり、ぐったりしている昌輝くんを母親が発見。救急車で病院に運ぶが、死亡。

昌輝くんの死から1カ月余り後、Aくんの「自分たちで考える自分たちのラグビーがしたい」という発念から、同期生ら21人が指導者に「抗議文」を提出。
この話を聞いた昌輝くんの両親が、ラグビー部部長に頼んで、2カ月近くたってからようやくコピーを受け取る。その時に部長から、「指導者に対する誹謗・中傷が多い」「無記名で出されたものなので、誰にも見せないで子どもたちを守ってほしい」と言われる。
両親が起こした民事裁判のなかで、ラグビー部の同期生らが実名で陳述書を提出。

校長は、家庭(両親)と本人の性格が自殺に追い込んだ背景であって、ラグビー指導とは全く関係しないと主張。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/number2/020325.htm

2009/8/22
熱中症死
大分県竹田市の県立竹田高校剣道部の工藤剣太くん(高2・17)が、部活動中に重度の熱中症を発症して死亡。

亡くなる前日の 8月21日、8月に入って4校合同の夏合宿でインフルエンザが出たあと、久しぶりの本格的な練習が始まったなかで、顧問は体育教官室で、主将である剣太くんに「足が動かんなるまでやれ」と言って練習内容を指示。練習終了後、剣太くんと他の部員が顧問に報告に行くと、「お前らここまでどうやって来た!  歩いて来たんじゃねんか! 足が動かんなるまでやれと言ったはず。明日の練習は覚えちょけよ!」と言われた。実際に翌日、日中は30度を超える真夏日のなかで厳しい練習が行われた。。
激しい打ち込み練習のなか、剣太くんは熱中症の症状が出始め、ふらつき、声が出なくなったが、顧問は「キツイふりをするな!」と言ってパイプいすを頭上高く持ち上げて投げつけたり、他の部員の前で剣太くんの面を持ち上げ喉をむき出しにして手で叩いたり、正座をして面を付け直そうとするのを「またそうやって休もうとしちょるんやろが!」と言って、体が壁にぶち当たるほどの勢いで体を押したりした。
顧問が納得するような打ち込みができていないという理由で、剣太くんの打ち込み練習は続けられ、何度も倒れたり、「もう無理です」の言葉にも耳を貸すことなく、体が「く」の字に曲がるほど蹴りを入れたりした。
剣太くんは意識障害をおこし、竹刀を落したことにも気付かず、何も持っていないのに、持っているかのように構えたり、壁にぶつかって倒れたりしたが、顧問は倒れた体に馬乗りになって、「演技するな! そげん演技は俺には通用せん! 目を開けろ!  俺は何人もの熱中症ま人間を見ている。お前は熱中症じゃねぇ!」と言って、壁にぶつけて怪我をした額から血が吹き飛ぶ勢いで、往復ビンタを10発程度した。

顧問は防具を付けていない箇所を狙って、竹刀で叩いていた。両方の太股に15cmくらいのミミズ腫れがあるのを家族が見つけると、「キャプテンだからしょうがない」と話していた。
他校との合同合宿で、本来主将である剣太くんが号令をかけるはずなのを、別の部員に号令をかけさせたり、主将が挨拶するところを別の部員にさせたりした。顧問はよく「お前みたいなキャプテンは見た事が無い!」とか「お前は精神的に弱い!」と言っていた。
また、剣太くんは父親に、「先生の質問には答えが幾つかある。何を答えても怒られる。」「どうして、先生に怒られているのか意味がわからない」ともらしていた。

2012/12/23
自殺
大阪府大阪市の市立桜宮高校のバスケット部キャプテンの男子生徒(高2)が、自殺。

顧問は「キャプテン辞めろ!」等の威迫的発言をしながら、殴るなどしていた。
また、専攻実技授業において、男子及び女子の各バスケット部のキャプテンに対してリーダーについての考え方を発表させ、発表が意に沿わない内容であったことを理由に、当該生徒を他の生徒らの前でひどく責め立て、キャプテン失格である趣旨の人格非難を行った。
高校の「オープンスクール」の際、当該生徒のプレーが意に沿わないものであったことを理由に、中学生等の見学者らや他の部員ら等の面前で、「キャプテン辞めろ!」と怒鳴りつけるなどの威迫的発言をした。
他校との練習試合の際、練習試合の合間に当該生徒を呼びつけてその両頬を平手で数回殴打し、休憩時間中にもルーズボールヘの飛びつきの練習をさせ、「やる気が感じられない」などと難癖を付けて顔面又は頭部を平手で数回殴る暴行を加えた上、練習試合の終了後、再びルーズボールヘの飛びつきの練習をさせ、失敗する度に1回ずつ、合計で5回程度、その顔面及び頭部を平手で殴打する暴行を加えた。
また、バスケットボールを投げつけて2回くらい顔面に当て、「なんぼやっても一緒や。キャプテンも辞めろ」等の威迫的発言をし、その後、体育教官室に来た本件生徒に対して「聞かれても何も答えられなかったら、キャプテンなんかできんやないか。キャプテンなんか辞めてしまえ」等の威迫的発言をした。これらの暴行により、当該生徒は唇及びその周辺の出血及び打撲傷、鼻の打撲傷等の傷害を負った。
練習試合の後、部員らを集めた上で、「Aのせいで今日は負けたんや」、「Aをキャプテンから外す」等と責任を全て本件生徒に押しつける威迫的発言をした。

体育教官室にAを呼び出し、Aが「しんどい」ことを理由としてキャプテンを辞めたいと申し出たにもかかわらずこれを認めず、約3ないし4時間にわたって当該生徒に対する威迫的言動を繰り返した。

Aを体育教官室に連れて行った上、約1時間にわたり責め立て、その際、「殴られるのがしんどいなら、キャプテン辞めて控えチームに行きな。試合も出さへん、それでいいんやな」、「これからも怒ったり叩いたりするけどキャプテン続けれるか」、「殴られてもいいんやな」等と理不尽な選択を強制した。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2016/me160224.html

2018/5/6
反則指導
東京都調布市のアミノバイタルフィールドで開催された日本大学フェニックス 対 関西(かんせい)学院大学の定期戦で、日大のディフェンス選手が、関西学院大学のボールを持っていないクォーターバック選手に背後から強いタックルをしかけ、けが(ひざなどに全治3週間)を負わせた。その後も、2回にわたり同じ選手が、反則を繰り返し、退場処分になった。

U前監督は、2003年から2015年まで、日大フェニックスの監督を務め、一度は退いたが、2017年に再登板。
U氏は、学校法人日本大学の常務理事(人事担当)でもあった。
U前監督の気に障ることがあると、コーチでも選手でも、ある日突然辞めさせられることがあり、誰も何も言えない状況だった。
2017年の春には、約20名の選手が自ら部を辞めていた。

U前監督は時期ごとに選手を選び、M選手のように精神的に追い込む指導を何度も繰り返していた。ターゲットになることを、部員たちは「ハマる」と言って恐れていた。

2018年の春から、M選手が対象になった。
5月3日には監督から「やる気が足りない」と指摘を受けレギュラー陣が行う練習から外された。
5月4日、日本代表に選抜されていたM選手に対して、監督は理由も告げず、代表を辞退させられた。
M選手は、ただグラウンドを走らされたり、声出しをさせられたりした。練習終了後に、全員の前で名指しで叱責されることもあった。
5月5日、コーチから呼ばれて、監督が相手のQB(クォーターバック)選手を潰すなら、試合に出してやると言われた。
コーチに丸刈りにしてこいと言われて、丸刈りにした。
5月6日、M選手はスタートメンバーに入っていなかった。コーチから、自分で監督に言いに行くよう促されて、「QB潰すんで出してください」と伝え、U前監督からは「やらなきゃ意味がないよ」と言われた。
試合前にはコーチから、「できませんでしたじゃ、済まされないからな」と念押しされたという。

試合出場したM選手は第1プレーで、ボールをパスし終わっていた関西(かんせい)学院大学QBの下半身に突っ込むようにしてタックルした。
その後も、けがで交代した関学大QBがボールを他の選手に手渡したあと、タックルし、転倒させた。
また、関学大の選手からプレー中に引っ張られ、尻もちをついたことをきっかけに、小突きあいとなり、M選手が相手のヘルメットを手で殴った。レフェリーがこれを暴行行為として、3度目のパーソナルファールを取り、退場となった。

危険タックルが問題化すると、監督やコーチは、「相手のQBに怪我をさせてこいという指示は一切出していない。」「QBをつぶしてこいと言ったのは、思いっ切りスタートしろという意味を頃手言った」「監督・コーチと選手の間のコミュニケーションの問題」とした。



指導者にターゲットにされるのは、反抗的な部員だけではなく、有望選手やキャプテンなどが多い。
これらの選手は、努力に努力を重ね、競技に対しても強い執着を持っているので、どんなに理不尽な目にあっても、なかなか辞められない。
そして、一番強い選手を指導者が叩くことで、他の部員たちには、「誰が一番強いのか」「実権を握っているのは誰なのか」を示すことができる。

東京電機大学の助教・山本宏樹は、このような闇の指導方法を「ダークペダゴジー」と名づけている。
・衆人環境のなかで過酷な叱責や謝罪を要求する「公開処刑」。
・指導用意者(部長・道化キャラ)、弱者(スクールカースト低位者・いじめ被害者)を「生贄の山羊(スケープ・ゴート)として代理処罰する「スケープ・ゴーディング」
・被害者の正常な常識を加害者の異常な「常識」で上書きすることによる心理的支配方法「ガス・ライティング」
などなど。

洗脳された選手たちは、理不尽な指導を恨むより、努力が足りない、自分が悪いと思い込まされる。自尊感情が低下して、自死に至ることもある。今回、悪質タックルをした選手も、もしそれを拒否したとしたら、選手生命を絶たれ、自死に追い詰められていたかもしれない。

また、多くのケースで、教え子をここまで追い込んで死なせても、指導者に反省がないことも少なくない。おそらく、現役のころから、そうやって他人を蹴落としてまでのし上がってきて、それでも価値さえすれば、成果に対する周囲の対応や評価が高いことが影響しているのだろう。

今、世間から批判を浴びている日大のアメフト関係者、経営陣のあの強靭な対応に対して、遺族たちは単独で立ち向かってきた。当時は、裁判を起こす以外に、学校と交渉する術さえなかった。

今回、日本大学は第三者委員会を立ち上げて、真相究明をするという。
日大主導の調査検証委員会前に、関東学生アメフト連盟が調査し、前監督と前コーチからM選手に対して、反則の指示があったと認定。両氏の主張を「全く信頼性に乏しい」「認識の乖離など存在しない」とする結果を発表したことに安堵する。
http://www.kcfa.jp/information/detail/id=2254

あの短時間に、ここまでの調査内容が出されたら、根拠もなく、覆すことは難しいと思う。
過去、とくに大学関係の調査・検証委員会で、かなり疑問に感じるものが少なくない。
2013年10月24日に発生した日本大学ボート部部員自殺事案の調査についても、自殺原因については「全く不明としかいいようがない」とし、「大学に法的責任はない」とした。報告書1枚だけしか公表していない。



いじめや学校事故の第三者調査委員会には大抵、大学の関係者が委員として参加している。しかし、いざ自分の大学や付属で事件事故が起きると、とても学識経験者とは思えないような対応が少なくない。
第三者調査・検証委員会が、単に事件への幕引きの目的に使われないように、願う。


◆ 大学が調査委員会設置の主体となった事案。
疑い 事件概要 調査・検証委員会 検証結果
水泳事故 1996/9/5
大阪教育大学附属高等学校池田校舎の1限目の体育の水泳授業で、水上扶起子さん(小2)が潜水距離測定中に溺水。1週間後の9/12に亡くなる。

1997/5/12  遺族が設置者である国を相手に、訴訟を提起。
2001/3/26 大阪地裁で、原告勝訴判決。
2006/9/5  事故から10年目に声明文を公表
事故原因
・学校が、潜水の危険性を十分に認識しないまま、生徒にも潜水の危険性を十分に伝えないまま、潜水距離を評価対象種目とする授業を実施。
・潜水距離の自己申告制というシステムのもとで、潜水距離の更新に挑戦する生徒への監視体制が、何ら採られていなかった。
死亡事故は、生徒への安全配慮義務を尽くすべき学校が、潜水の危険性を考慮した監視体制を採っていなかったために起きてしまったと言わざるをえない。

https://osaka-kyoiku.ac.jp/safety/fuzoku/ikeda_h/index.html

いじめ
自殺
2007/6/8
大阪府茨木市の追手門(おうてもん)学院大学の在日インド人の男子大学生(大3・20)が自殺。
遺書には「学校で受け続けたイジメ(略) 僕はもう限界です。僕には居場所がありません」などと記されていた。
2008/  約1年後、父親が同じ場所で自殺

2010/10/  大学が第三者調査委員会を設置。

弁護士や公認会計士で構成。
委員長:弁護士 (氏名公開)

大学の内部資料の調査や男子学生が所属していた経営学部マーケティング科の担当教員や学生ら約20人から聴取、学生へのアンケートなどを実施。

2010/12/27  
大学は「自殺の原因としていじめの存在を否定できない」とする報告書を公表。
調査の結果、男子学生が他の学生にズボンを脱がされたり、花火を向けられたりしていたという間接的証言を得た。また、遺書に「学校で受け続けたイジメ」とあることを重く見て、「大学がいじめの有無について調査しなかったことは問題」「いじめの具体的事実を特定することはできないが、いじめが存在したことは推定される」と結論づけた。
急性
アルコール中毒
2012/5/7
北海道の国立小樽商科大学のアメリカンフットボール部主催のバーベキューで、部員9人が急性アルコール中毒で救急搬送された。
5/24 意識不明の重体となっていた男子学生(大1・19)が死亡。
2012/7/ 大学が、学外有識者による第三者委員会を設置。

元大学長や医師、弁護士ら4名。
委員長:大学副学長

調査委員会の報告の検証のほか、大学部活と大学当局との関係、部活動のあり方などを提言する。
第三者委員会は大学側の調査に加え、死亡した学生の近くにいた元部員5人から聞き取りを実施。
2012/9/28 
再発防止策についてまとめた提言書を学長に提出。
提言書は、「当時の部員がウイスキーや焼酎をストレートで飲んだのは「普通の感覚とは言い難い」、酔った部員の介抱場所を用意していたことは「非常識」とし、これらが伝統として踏襲され、非常識という意識が欠けていたと指摘。
しかし1年生が無理に酒を飲んでいるという「明確な認識」が上級生になく、「強要があったとは言えない」と結論。大学側の管理責任に触れなかった
不正入試 2013/2/
大阪産業大学が、経営学部の定員超過による文部科学省の補助金カットを免れるため、2009年度の同学部の一般入試で、他大学への進学が決まっていた付属高校生徒に複数回受験させ、合格後、入学を辞退させることによって、定員調整していたとの告発があり、メディアで報じられる。
2013/3/19  文科省の要請により、大学が第三者調査委員による「大阪産業大学経営学部入試・受験問題に係わる調査委員会」を設置。

委員5名。氏名公開。  
委員長:弁護士
委員:
・元産経新聞社論説委員
・財団法人福祉公社 理事長
・学校法人入試広報部 参事
・学校法人理事 法人室長

約3カ月にわたって関係者の聴取などを行う。
2013/6/25 
報じられたように①付属高校生が②教諭から依頼され③一般入試を受験し④合格しても入学手続をしなかった、⑤それらの生徒たちが謝礼金「1受験5000円」を受け取ったことは事実と認定。「09年度一般入試で不適切な部分があったことは事実で、入試制度の信頼性を根幹から損ないかねない深刻な事態である」と結論。
ただし、「2009年1月には補助金削減問題は解消したと認識していた」とのセンター長(当時)の証言や、実際の試験でも作為的に合否判定をしたような形跡も見当たらないことから「不正入試という批判は当たらない」と判断。報告書を大学のウェブサイトで公開。

http://www.osaka-sandai.ac.jp/cgi-bin/cms/
news_list.cgi?page=importancetop

いじめ
自殺
2013/10/24
日本大学のボート部埼玉県戸田市の合宿所の個室で、男子部員(大3)が自殺。
男子部員は4年生引退後の10/20、副キャプテンに指名されたばかりだった。親族によると、同部員は以前に先輩に羽交い絞めにされて両眉毛をそり落とされたと、部の体質を嘆くこともあったという。
2013/10/29  大学は第三者特別調査委員会を設置。

学外の弁護士 3名
委員長:弁護士。氏名公開

男子部員が死亡した経緯を詳しく調べ、3週間をめどに調査結果を取りまとめる。

部員らに聴き取り調査。

2013/11/28  報告書1枚
聴き取り調査の結果、他の部員がからかったり、ちょっかいを出す「いじり」はあったが、許容される限度を超えて、精神的な負担を与える程度に至ったとみることはできないとした。自殺原因については「全く不明としかいいようがない」とし、「大学に法的責任はない」とした。
大学は調査結果を遺族と文部科学省、日本ボート協会に報告。
報告書を公表する予定はないという。

2013/12/2 日本ボート協会のコンプライアンス委員会は、提出された調査結果が書面1枚のみで事実関係を把握するには不十分なため、報告書もしくは要約版の提出を近く大学に求める。
隠し口座 2014/10/23
大阪府東大阪市の学校法人大阪産業大学が設置する大阪桐蔭中学校高等学校で、教材費などを保護者から多く集めたり、模擬試験の受験料を上乗せして徴収したりして、その差額を「隠し口座」で管理しているとの内部告発がある。
2014/12/17 第三者委員会を設置。
「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」(日本弁護士連合会)を参考にする。
http://www.nichibenren.or.jp/library/
ja/opinion/report/data/100715_2.pdf


学校法人から独立した委員のみ5名。氏名公表。
委員長:弁護士
委員:弁護士、公認会計士2名、教育関係者1名。


・一連の簿外資金問題にまつわる不正行為の事実認定を行う。
・原因の究明及びその分析並びに関係者の責任の有無にかかわる調査を行う。
・再発防止のための提言を行う。
2015/3/17
第三者調査委員会は、5億円以上が裏金にあたると認定。
幹部職員が塾関係者を接待するための費用や、校長が相談役に退いても、給与を同じ額にするための費用などに充てられたと指摘。
一方、運営する学校法人の大阪産業大学については、隠し口座の存在に気づかなかったなどとして、関与は認められないとした。.
大阪桐蔭中学校高等学校のウェブサイトで公開。

http://www.osakatoin.ed.jp/?p=2637

http://www.osaka-sandai.ac.jp/upcontent/
osuhoujin/20150325-32.pdf

アカハラ
自殺
2015/2/
大分大学の経済学部の男子学生(大3・20代)が自殺。
2014年4月頃から、講師(30代)がこの学生を指導。学生は授業の準備などを手伝っていた。元講師は同年夏ごろから、学生の研究発表内容などを「要領が悪い」などと再三叱責。LINEで未明にメッセージを送ることもあったという。学生は両親に「講師の指示に対応できなくなった」と話していたという。
父親がアカハラを同大に申し立てて大学の内部調査委員会が調べた結果、元講師がささいなミスを責めたり、人間性を否定するような発言をしたりしていたとして、アカハラと認定。
2016年3月に任期切れで講師は退職。「反省しないといけない」と話しているという。
父親からの訴えで、大学は弁護士や医師らによる委員会をもうけ、アカハラと自殺の関係を調べる。

弁護士ら
委員長・麻生昭一弁護士


学生の家族や友人ら計22人に聞き取り
男子学生のスマートフォンから無料通信アプリ「LINE(ライン)」の記録を調べた。
2016/12/27 
検討委員会は、元講師の指導について「男子学生に繰り返し有形無形の精神的、身体的な苦痛を与えた」「指導・教育を逸脱した」と判断。講師の責任を認めた。
アカハラ以外に理由が見当たらないことなどから、元ゼミの講師の男性(37)によるアカデミック・ハラスメントが自殺の原因だと認定。
ゼミの男性講師は14年7月~15年1月、ラインで「稚拙すぎます」などと否定・叱責する言葉を繰り返し送信。深夜や未明に送っていたケースもあった。
男子学生は生前に遺書を2回書いていたという。
また、この学生に対する元講師の態度に問題があると、周囲の人たちが元講師を指導する准教授に相談したのに、准教授が詳しく調べなかったことも指摘。検討委は、学生の安全に配慮する注意義務違反にあたると大学側の責任にも触れた。 

部活
遭難事故
2015/2/9

学習院大学山岳部の5人が八ヶ岳の阿弥陀岳で遭難。チーフリーダーの男子学生(大4)と女子学生(大1)が死亡。
学習院大学山岳部が、原因究明のために検証作業。

2015/9/8 報告書
今回の遭難報道では、道迷い遭難と断定されていた点と、正規コースへ戻ろうとした際に疲労した土山が遅れ、それをカバーしようとした吉田も犠牲になった、という内容のものが多く見られた。事実はそうではなく、吉田・土山ともに阿弥陀岳まではしっかりと自力で行動できており、このときまで異変はなかった。そして、その後何らかの原因により、滑落事故が起こったと推定される。

http://www.univ.gakushuin.ac.jp/news/sangakubu_new.pdf

(『山と溪谷』20155月号抜粋版)
http://www.yamakei.co.jp/yamakei-editors/2015/04/15/
yama-to-keikoku201505_amidasounan.pdf


いじめ
重大事態
2015/5/-9/
東京都世田谷区の国立東京学芸大学附属高校の男子生徒(高2)が、複数の同級生からいじめられ、体育祭の練習時に倒されて骨折したほか、別の生徒に肩に担がれ投げ飛ばされて脳しんとうを起こした。部活動中に複数の生徒から、セミの幼虫をなめさせられるなどした。
男子生徒は6月のアンケートでいじめ被害を訴えたが、担任はいじめと認識しなかった。
2016年3月になって文科省に報告。
いじめに関わった男子生徒2名を在宅起訴、校長ら12人を戒告などの処分。
2016/5/ 学芸大学が、第三者による「いじめ問題調査委員会」を設置。

弁護士ら
2016/11/29 報告書の概要を公表。
体育祭の練習中に、生徒の1人が被害生徒の体を倒して手首を骨折させたり、投げ飛ばして脳しんとうを起こさせたりした、部活中に複数の生徒が被害生徒をはやし立てセミの幼虫をなめさせていたなど、2015年5~9月の5件をいじめと認定。
「昨年9月の時点で重大事態と認識すべきだった」と批判。アンケートでいじめを知ったのに、面談などが不十分で事態を把握できなかったことや、生徒が骨折や脳しんとうを起こした際の事故報告書を作成していなかったことについても、「きわめて不適切」と指摘。

同大は再発防止策として、学長らで構成する「全学いじめ問題検討委員会(仮称)」を設置し、今回の件についてもさらに検証する。
アカハラ
自殺
2015/11/
山形県米沢市の山形大学工学部の男子学生(大4)が自殺。
同じ研究室だった40代の男性助教を「恨んでいる」とのメッセージが、スマートフォンに残されていた。 
両親の相談を受けた同大は、外部有識者の調査委員会「工学部キャンパス・ハラスメント防止対策委員会調査委員会」を設置。

外部委員4人
2016/6/ 調査委は、
・助教に暴言を浴びせられる様子が目撃されていた
・家族に相談していた
などの事実があったとして、
(1)助教によるアカハラがあった
(2)自殺とアカハラには因果関係がある
(3)大学は学生の自殺前、両親の相談に対処しなかった-との報告書を作成。

学長は「自殺に関しては個人情報保護の観点から非公表とした」と説明。報告書の指摘や大学側の責任の有無については「ノーコメント」とした。

2016/10/ 同大は、助教が研究室の複数の学生に長時間、説教をしたり、不機嫌な態度を示したりする行為を日常的に繰り返したとして停職1カ月の懲戒処分とした。
処分の発表時、学生が自殺したことやアカハラ発覚の経緯は伏せられた。

2017/8/ 自殺したのは、助教によるアカデミックハラスメント(研究・教育で地位が上の人が行う嫌がらせ)が原因だったとして、両親が同大と助教を相手取り、約1億2000万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こした。
雪崩事故 2016/11/2
東京工業大学ワンダーフォーゲル部の男子学生6人組が、富山県の北アルプス・立山連邦の室堂付近で雪崩に遭遇、3人が巻き込まれた。
県警山岳警備隊が間もなく全員を見つけたが、橋本士門さん(大3・21)が死亡、1年生の男子学生(19)は軽傷、3年生の男子学生にけがはなかった。他は2年生1人、1年生1人。
部は事前に、顧問の教授と相談し雪上訓練の計画書を大学に提出。冬山経験がある3年生を引率役としていた。雪崩などの危険性を考慮し、訓練内容を変更するとしていた。
大学側は事故の経緯を調査し、対策を検討する。 2017/5/

報告書を作成し、大学に報告。(内容不明?)
2017年5月12日より活動再開。



2018/4/9 見えてきた「いじめ防止対策」の課題

※ リンクは基本的に、武田作成資料がある場合には、原本ではなく、サイト内資料にリンクを貼っています。

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)(以下、防止法と略)は、2013年6月28日成立 9月28日施行。
第28条第1項に重大事態への対処について書いており、
1号の規定は「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。」であり、
第2号の規定は「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。」
とある。(文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」における注より引用)

この間の流れをみると、未だ防止法は学校現場に浸透・定着しておらず、法律施行前と同じことが繰り返されている。
なお、この3月にいくつもの重大事態の調査報告書が発表された。
2月から3月に報告書が発表されることが多いのは、在校生への影響を考え、受験シーズンを避けるなどもあると思われるが、一旦下火になった話題が再び関心を集めることで、入学希望者数に影響することを避ける狙いもあるのではないかと思う。

一方、卒業すれば、自分の学校やクラス、部活動で起きた重大事態についての関心も薄れる。調査結果が出ても、情報を得る機会を逸しやすい。また、もしいじめがあり、自殺等との因果関係が認められた場合でも、加害行為を行ったり、それを見ていた生徒への指導は、卒業すれば行えなくなる。
同じことは、教職員にもいえる。事件があると、かかわりの深かった教職員を移動させることが多い。事件後も当該校に在籍している教職員でさえ、再調査で、調査委員会が出した報告書を読んでいなかったことが判明した例もある。移動すればなおさら、多忙ななか、教師の関心も薄れ、せっかくの報告書も教訓として生かされないのではないかと懸念する。

昨年10月にも、調査結果をまとめてみたが、子どもの自殺が多発し、第三者委員会設置の動きも激しいことから、3月に出された報告書の結果を反映したものを更新した。ただし、ファイル内の情報量が多くなりすぎたことから、不登校等の事案(2号事案)を分け、作業の関係から今回は、自殺や自殺未遂に関する調査(上記1号事案)のみ更新した。
(オリジナル資料 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/takeda_data.html 参照)
後日、2号事案を中心としたファイルもまとめたいと考えている。

一方、今年(2018年)3月16日、総務省が、いじめ防止対策の推進に関する調査<結果に基づく勧告>を出した。
防止法に関するチェックは文科省が行うものだと思っていたが、法律に係ることだからなのか、総務省が実施している。
防止法附則第2条には、「いじめの防止等のための対策については、この法律の施行後3 年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」とあるが、文部科学省は、平成29(2017)年3月14日付けで、「いじめの防止等のための基本的な方針」を改訂、新たに「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を作成するだけで終わった。

防止法運用のチェックは、文科省のいじめ防止対策が適切になされているかの検証でもあるので、かえって、別の省庁が調査し、勧告したほうが、お手盛りの調査・検証より、踏み込んだ内容が出たのではないかと思う。
当然のことながら、総務省が出してきた課題は、今回、私がまとめるなかで抽出できた課題とも共通するものが多かった。
資料をまとめるなかで、気がついたこと、考えたことを総務省の調査結果と対比しながら、備忘メモ的に、ここに書いておきたいと思う。


◆ 総務省のいじめ防止対策の推進に関する調査 から抜粋
   http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107317_0316.html

調査対象にしたのは20都道府県。県庁所在地と重大事態の発生が把握できた市町村を中心に40市町村を選定。
分析した報告書は再調査1件を含む66事案(生命身体財産重大事態が31内自殺・自殺未遂は18事案、不登校重大事態が38、不明4)67報告書のうち、概要版及び抜粋版を除く54調査報告書。内訳は、生命身体財産重大事態が21、不登校重大事態が33

 ★ 重大事態66事案から見えてきた課題  

 1.いじめの認知等に係る課題(37事案・56%)
  いじめの定義を限定解釈
  この程度は悪ふざけやじゃれあいで問題なく、本人が「大丈夫」と言えばいじめではない等

 2.学校内の情報共有な係る課題(40事案・61%)
  担任が他の教員等と情報共有せず 等

 3.組織的対応に係る課題(42事案・64%)
  担任に全てを任せ、学校として組織的対応せず 等

 4.重大事態発生後の対応に係る課題(23事案・35%)
  教育委員会から首長への法に基づく発生報告が遅延等
  ・学校から教育委員会に発生報告をしていない(3教委・16事案・12% 生命身体等1事案・不登校等15事案) P189
  ・教委から教育委員会会議に報告していない(2教委・32事案・23% 全て不登校事案) 
  ・教育委員会から地方公共団体の長に報告していない(2教委・3事案・2% 生命身体等1事案・不登校等2事案)
  ・教育委員会から被害児童生徒・保護者に情報を提供していない(6教委・19事案・14% 身体生命等4事案・不登校等15事案)
  ・教育委員会から首長に調査結果を報告していない(1教委・1事案・1% 不登校事案1)
  ・重大事態の調査報告書を作成していない例(4教委・25事案・18% 全て不登校等事案)

 5.アンケートの活用(18事案・27%)
  アンケートに「いじめがある」と回答があった際の具体的な対応の取り決めがなく、活用されなかった

 6.教員研修(30事案・46%)
  いじめに焦点を当てた教職員等の指導力向上のための研修が開催されていなかった


◆ 総務省調査結果に対する私見、その他


■ 私が今回、まとめた防止法以降の自殺・自殺未遂事案68件(内再調査9件)のうち、すでに報告書が上がっているものは52件(内再調査が5件。2018年に入ってからの報告が6件)。
私のような個人が、報道を中心に情報を拾い集めるのとは違い、国の機関の調査なので、自殺に関するものだけでも、報告書全文を取り寄せて、全件調査をしてほしかった。
なぜなら、過去の事例からしても、きちんと公表している自治体の調査・検証より、報道されずにこっそり処理されているものにこそ、多くの課題が隠されているからだ。
全く情報があがってきていなかったり、個人のプライバシーを盾に全面非公開にされている内容について、適切に処理されているのかを検証できるのは公的機関に限られる。国が責任をもって内容を吟味してほしい。
なお、不登校事案など、被害者が存命している事案は、自殺事案以上に、報告書が公開されることが少ないので、不登校重大事態33事案の報告書が検証されたことには、意味があると思う。

■ 1.いじめの認知等に係る課題のうち、「いじめの定義の限定解釈」について
防止法のいじめの定義(第2条)は、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係のある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」となっている。

被害者がいじめを訴えても、教師がいじめと判断せず、対応しなかったために自殺に追い込まれた過去のたくさんの事件の教訓として、いじめの早期発見、早期対応のためには、広く網をかけて、取りこぼしがないようにすることが求められる。
一方で、葛飾区の中3男子の自殺事案で、区が設置した第三者委員会が2018年3月28日に出した報告書では、「社会通念上は、いじめと評価すべきではない行為が含まれる。」として、法のいじめ定義を使わずに「いじめはなかった」と判断している。
ここまではっきり書くかどうかは別にして、防止法の定義とは異なる判断基準を用いた報告書は複数ある。

また、私が委員として参加した複数の調査・検証委員会でも、同じような議論があった。
防止法の定義がすんなり当てはまる事案もあれば、機械的に当てはめることで、新たな問題を生み出してしまうような事案もある。
総務省の調査・検証は、第三者委員会のあり方にまでは今回、踏み込んでいない。
いじめの定義を含め、第三者委員会そのものが抱える課題について、国の機関が検証を行う必要があるのではないかと思う。

■ 2.情報共有について。
生命身体に係る重大事態でも、学校から教育委員会に、あるいは公共団体の長に報告されていないことがあるという。
しかし、それにもまして多いのが、被害児童生徒・保護者に情報提供していない事案が、身体生命等で4事案不登校で15事案もあるという。教育委員会や自治体など、上には報告しても、当事者には調査をすることも、結果も報告しないという、長く続いてきた当事者不在の学校事故事件対応のなごりが表れているのではないかと思える。
このような実態は、踏み込んだ調査がなければ、表に出なかったことだと思う。
また、不登校等事案では、報告書さえ作成されていない事案が25事案あるという。重大事態と認定されているにもかかわらず、不登校事案がいかに軽く、いい加減に扱われてきたかが読み取れる。

■ 5.のアンケートの活用に関して。
今回、私が集めた68事案のうち、本人や他の生徒が当該いじめについて、アンケートに記入していたとされるものが12事案あった。(総務省のデータは自殺と不登校事案を足した66事案中18事案)
また、私が集めた事案では、68事案中34事案で本人や家族が学校にいじめの相談をし、2事案で他の生徒が相談していた。
ほとんどの事例で、アンケートに書いた生徒は、口頭でも教師に相談しており、自殺や自殺未遂に追い込まれた事案の約半数で、何らかの相談が教師にあったにもかかわらず、2.学内で情報共有されなかったり、3.担任がひとりで抱え込んでいて、適切に対応されなかった。
今年度から子ども対象に、SOSの出し方教育をするというが、課題は子どもよりむしろ、SOSを受け取る大人側にあると言えそうだ。

2017年11月5日付けの雑記帳にも、上記の内容とともに書いたが、6.いじめに焦点を当てた教職員等の研修がなされなかった背景には、文科省が2015年度の児童生徒の問題行動等調査でわざわざ、「いじめの問題に関して、職員会議等を通じて教職員間で共通理解を図ったり校内研修を実施した」という内容に質問を変更したことで、なおさら、いじめに特化した校内研修を行わなくても、職員会議等で触れれば、研修をしたのと同等に扱われるという考えを学校現場にもたらしたのではないかと思える。

■ いじめの認定と、調査対象の選定について。
総務省分析対象66事案のうち、いじめ認定の記載が確認できた56事案中、いじめが確認されたものが55事案(98%)で、されなかったものがは1事案のみ。
今回、私が集めた68事案の情報のうち、すでに報告済と確認できたものが52事案(内5事案は再調査)。指導死事案6件といじめの有無が不明の1件を除く40事案中、現段階での最終的に、いじめがあったと認められたのが33事案(82.5%)、存在が認められなかったのが7事案(21.2%)。
いじめが認められた事案のうち、自殺や自殺未遂との因果関係が「有り」とされたもの(一因含む)が29件(87.8%)、「無し」とされたのが2件(6.0% 2015/9/1高知県南国市・2016/10/6神戸市垂水区)。結果不明が2件(2014/北海道・2015/2/新潟県中越地方)だった。

これらを考えると、やはり総務省の調査は、批判を受けやすい調査結果が出たものは、反映されていないのではないかと推察される。
一方、今まで、多くの自殺遺族が、いじめが原因であると民事裁判に訴えて、いじめの存在が認められたとしても、ほとんど自殺との因果関係が認められることがなかった( いじめ自殺裁判一覧 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20141116%20ijimejisatu%20saiban.pdf )ことに比べると、随分と認められている。もちろん、これがこのまま民事裁判でも採用されるとは思わないが、有形暴力を伴わないいじめではとくに、自殺といじめの因果関係が認められにくかったが、これらの調査結果は今後、裁判にも影響を及ぼすのではないだろうか。

■ 調査委員の選定
防止法以前の自殺事案の第三者委員会を含めて、私はこれまで3回、遺族推薦で委員を務めてきた。
当然、遺族の気持ちに寄り添いたいと思うが、調査・検証するにあたっては、誰に対するよりも、亡くなった子どもに寄り添うことを信条としてきた。しかし、その結果は必ずしも遺族の意に沿うものではないこともある。
遺族から不満が表明されると、メディアや一般市民からも、委員は批判や攻撃を受けやすい。今は、「いじめが無かった」「自殺との因果関係はわからなかった」「ないと思われる」と結論を出すことはリスクでさえある。

なお、遺族が納得するのは難しいとしても、報告書さえ読めば一般の人たちには理解してもらえるのではないかと、できるだけ丁寧に根拠を書いたつもりでも、報告書のその部分、あるいは全体が公開されないと、反論することさえ難しい。
昨年3月に出された重大事態の調査に関するガイドラインで、「いじめの重大事態に関する調査結果を公表するか否かは、学校の設置者及び学校として、事案の内容や重大性、被害児童生徒・保護者の意向、公表した場合の児童生徒への影響等を総合的に勘案して、適切に判断することとし、特段の支障がなければ公表することが望ましい。学校の設置者及び学校は、被害児童生徒・保護者に対して、公表の方針について説明を行うこと。」と書かれていることから、調査報告書を公表する自治体が増えてきたが、ほとんどは概要版に留まっている。
しかし、概要版ではなく、最低限のプライバシーには配慮したうえで、できれば報告書の全文を誰でもが読めるようにしてほしい。
総務省の報告書のなかにも、「重大事態に関する調査報告書は、事実の全容解明と再発防止を目的とし、学校等の対応の課題等を明らかにした有用な共有財産」とある。また、多くの人たちの労力と、協力、税金が投入されている。可能な限り、報告書を公開すべきだと思う。

いじめがあったことを証明するより、いじめがなかったことを証明するほうが難しい。
そういうときのためにも、むしろ委員の半分を遺族推薦にするべきだと思う。
再調査の事例が増えているが、行政が一方的に選んだ委員が同じ結論を出すより、半分を遺族推薦にして公平性を担保しておくほうが、行政としても、メディアや世間一般の納得感も得やすいと思う。
それでは遺族側に偏りすぎるという意見もあるが、長い間、学校・教委が調査の全権を握り、「専門家なのだから公平中立」という理屈を前面に押し出してきた。そして、ほかの誰よりも、被害者や遺族の納得感が大切にされるべきだと思う。
なお、私は一度も自分から望んで調査委員を引き受けたことはない。それだけ、時間的にも、労力的にも、精神的にも大変な仕事だし、本業にもさしさわる。自治体によっては報酬も低く、経済的にも割りにあわないことも多い。
このままでは、委員のなり手がなくなるのではないかと心配する。あるいは、行政と利害関係のある人たちのみが仕方なく引き受けることになってしまうのではないかと懸念する。


■ その他
いじめや自殺にメディアの関心が集まり、詳細が報告されるようになったなかで、当初、私が思っていた以上に、子どもを自殺で亡くした親が、学校・教委に、自殺であることを生徒や保護者、メディアに伏せてほしいと依頼していることが多かった。
(文科省は、子どもの自殺のデータで、警察庁のデータと毎年、大きく異なることの理由のひとつとして、保護者が自殺だということを言いたがらないからというのを上げてきたが、根拠のないことでもなかったと改めて感じた)
突然、子どもを自殺で失った親は、まずは自分たちの言動に自殺の原因があったのではないか、あるいは子育てが間違っていたのではないかと考える。世間に公表されることで、これ以上、家族の傷を深めたくないと思うのは当然のことだと思う。
また、以前に比べると自殺への偏見は減ったとはいえ、まだまだ根深いものがある。また、今ではネットによる情報拡散で、職場や他のきょうだいへの影響も心配せざるを得ない。

一方、混乱の時期を過ぎて、少し冷静になったり、他の保護者や生徒からいじめや教師による不適切な指導があったことを耳にして、はじめて、学校に自殺原因の一端があるとするなら、何がわが子を死に追いつめたのか、本当のことを知りたいと思うようになる。
自殺を伏せてほしいという前言を撤回し、調査をしてほしいと学校・教委に願い出ることになるが、こうした例が意外に多いことに驚かされた。
しかし、そこからがすんなりとはいかないことがおよそパターン化している。学校は、遺族の当初の依頼を盾に、「今さら調査はできない」という。あるいは死因を伏せたうえで調査をしたが、「何も出てこなかった」という。
ここの交渉が大抵の場合、難航し、遺族だけでは対応しきれず、弁護士に依頼することになる。それでも、交渉に何か月も要する。
結果、調査の開始が遅れ、協力したいという生徒や保護者の思いは薄れ、記憶はあいまいになり、証拠となる書類は処分される。事実調査が困難となる。
今後は、遺族の思いが変化することを前提に、その後の調査をいかに迅速に進めるかの制度づくりが、課題のひとつになるのではないかと思う。

また、自殺事案以上に不登校事案は、対応の遅れが非常に目立つ。それはそのまま子ども救済の遅れにつながる。
しかし、存命被害者のプライバシーの問題を盾にされ、情報は表に出にくく、外部圧力がなければ、学校・教委は対応を拒否し、問題が放置され続ける。こちらも、深刻な問題であると思う。



私は防止法ができる以前から、第三者調査委員会というものに関心を持ち、一般人が収集できる範囲で、いじめに限らず学校や子どもに関する事件事故の調査・検証委員会についての情報を集めてきた。
(http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/0909shiryou5.pdf  
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/chousaiinkai_list%20takeda.pdf )

防止法の影響で、調査委員会が設置されることが多くなり、逆に情報量が多すぎて、まとめる作業がたいへんになってきた。
しかし、まだまだ公的機関が十分にチェック機能を果たしていないうちは、微力ながら、続けなければと思う。

また、いじめ防止法だけでなく、せっかくできた学校事故対応の指針が、どこまで浸透しているのか、大いに疑問を感じている。
世間が関心を持たなければ、文科省もチェックさえ怠るようになる。そして、事件事故の多発を受けてまた見直す。この負の連鎖が、法律を作ったり通知を出したすぐそばから始まっている。
まずは、学校現場だけでなく、一般市民が関心を持つことが、大切だと思う。


2017/11/5 いじめ防止対策推進法ができてもいじめがなくならないのはなぜか?

 以下は今年9月、私も参加している「子どもの権利条約 市民・NGO報告書をつくる会」 
(http://www.geocities.jp/crc_coalition_japan/index.html) 
 に、基礎報告書として、武田が提出したものをWeb用に加工したものです。
 (9月に提出したため、文科省が10月に発表した2016年のデータは入っていません)


■日本の子どもたちのいじめや自殺の深刻な状況

 いじめ事件が大きく報じられるたび、文部科学省(以下、文科省という)はいじめの定義を変更したり、対象範囲を拡大したりして、それまで減少傾向にあるとしていたいじめ件数が急増したことへの理由づけにしてきた。
 文科省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(以下、問題行動調査という)の2010(平成23)年版の調査概要には、「小・中・高等学校・特別支援学校におけるいじめの認知件数は7,378件で,前年度の8,335件より957件減少」とある。しかし、2011年10月11日に滋賀県大津市で中学2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺し、大きく報道されると一転した。

 2011(平成24)年版では、「小・中・高・特別支援学校における、いじめの認知件数は約19万8千件と、前年度(約7万件)より約12万8千件増加し、児童生徒1千人当たりの認知件数は14.3件(前年度5.0件)である。」「いじめの認知件数は、小学校117,383件(前年度より84,259件増加)、中学校63,634件(前年度より32,885件増加)、高等学校16,274件(前年度より10,254件増加)、特別支援学校817件(前年度より479件増加)の合計198,108件(前年度より127,877件増加)」と、いじめ認知件数が急増した。
 とくに小学校低学年の増加率は高く、今も高止まりが続いている。(図参照)

 2013年9月28日、いじめが再び社会問題となったことから「いじめ防止対策推進法」(以下、防止法という)が議員立法され、施行された。
しかし、その後もいじめ認知件数は増え続けている。小学生においては、いじめだけでなく、暴力行為の発生件数も増えている。

 生命にかかわる深刻な事案も増加。防止法第28条第1項に規定する重大事態のうち第1号事案、すなわち生命・身体・精神・財産に係るいじめ問題の推移を見ると、13年度は防止法施行後の半年間で75件、14年度は92件、15年度は130件発生している。

 児童生徒の自殺は、2010年から2011年にかけて、文科省調査で165人から202人。警察庁調査で204人から269人と増加。厚生労働省発表の年齢別死亡原因では、15歳から19歳の年齢層で、2011年度までは死亡原因第2位だった自殺が、2012年には第1位となった。
 2014年には10歳から14歳の年齢層でも、前年度まで第3位だった自殺が第2位となり、自殺率は第1位の新生悪性物と同じ1.8だった。 
 2014年の警察庁統計では小学生が18人も自殺しており、私が知る限り過去最多である。
 一方、いじめ問題が背景にあるのではないかと報告された自殺は、文科省調査で13年度は9人、14年度は5人、15年度は9人となっている。




■なぜいじめは増え続けているのか

 いじめは、子どもたちの強いストレスが動機となっていることが多い。また、直接的要因とは言えないまでも、子どもたちの人間関係の希薄さが、立場の異なる相手への想像力、辛い思いをしている人への共感力、相手の言葉や行動の意味を正しく理解し、自分の言いたいことを誤解されないように相手に伝えるコミュニケーション力の不足を招き、事態を深刻化させている。
 家庭内におけるストレス発生源としては、児童虐待や貧困問題、親の離婚再婚での不安や傷つき、習い事や塾などの強要や過剰な期待による教育虐待等があげられる。

 一方、国の教育方針については、国連子どもの権利委員会が日本政府に対し3回にわたって、過度な競争主義を改めるよう勧告を出しているにも関わらず、改善されるどころかむしろ加速している。

 2006年12月5日に教育基本法が60年ぶりに改正され、政治が教育に介入できるようになった。
 2007年1月24日、安倍首相直属「教育再生会議」の第一次報告で次の7つの提言が出された。

① 「ゆとり教育」見直し(公立学校の授業時間を10%増、薄すぎる教科書改善)
② いじめや暴力を繰り返す子どもに出席停止制度を活用。「体罰の範囲」を見直す
③ 教員免許更新制導入
④ 第三者機関による学校、教育委員会の外部評価実施
⑤ 市町村教委に教職員人事権を移譲。小規模市町村の教委を原則統廃合
⑥ 民間人の教員登用。社会人経験者など採用教員の多様化
⑦ 高校で奉仕活動を必修化

 同年6月1日の第二次報告では、徳育と体育の充実、大学・大学院の改革、学力の向上(小中一貫校、飛び級など)、教員の質の向上(教員給与体系見直し)を提言している。

 6月27日には、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正。
 これら政治が教育に積極的に介入するようになった結果、国や自治体をあげての教育虐待といえるほど、全国的に競争熱が高まった。学校における子どもたちのストレスはますます増大し続けている。

 学力テストにより全国の学校の序列化が進み、外部評価制度導入で学校は文武両道をめざし部活動でも勝利至上主義に走る。教育予算が少ないなかで、統廃合する際に評価が低い学校は淘汰され、教職員の待遇にも格差が広がっている。

 2007年の教育再生会議の提言を受けた文科省の小中「学習指導要領」は2009年から一部実施され、小学校は11年度、中学校は12年度から実施されている。いじめや自殺の増加時期とも一致する。
 教科内容が増えたことから、やりくりするために、学校は昼休み中休みの時間を短縮。土曜授業が復活し夏休みも短縮。教科書が分厚くなり小学生のランドセルは過重となった。学校統廃合により通学距離と時間が伸びた。直接のコミュニケーションの時間と場所を奪われ、いつでも、どこでも簡単につながるSNS(ソーシャルネットワークサービス)を使ったやりとりが頻繁になり、ネットいじめも激増した。
 学力テストに備え小テストや宿題が増え、補講が行われる。平均点を下げるという理由で、障害を持つ児童生徒の存在はますます学校から迷惑がられるようになり、その雰囲気は児童生徒にも伝染する。

 加えて、ほぼ全員加入が強要される部活動でも成果を出すことが求められ、放課後も土日祭日や夏休みも休めない。休めば顧問から叱責やペナルティーを科せられたり、集団の輪を乱すものとして仲間からいじめなどの制裁を受けたりする。勉強との両立を求められ、夏休みの宿題が提出できなかったり、テストの点が悪かったりすると、部活への参加が認められない。

 さらに国は、早期教育をめざして、幼稚園や保育園にまでカリキュラムを持ち込もうとしている。
 大人でも長時間労働が心身に多大な影響を与え、病気や自殺につながることが証明されている。子どもたちの自由な時間、遊びの時間、仲間との関係を奪うことが、心と体に与える影響は計りしれない。小学校低学年からのいじめや校内暴力、学級崩壊や若年層の自殺に大きな影響を与えていると思われる。



機能しないいじめ防止策

 いじめ事件が大きく報道されるたび、文科大臣をはじめ大人たちは子どもたちに、「勇気を出して、お父さん、お母さん、学校の先生にいじめを相談しよう」と呼びかけてきた。文科省はいじめの早期発見に力を注ぐよう何度も通知を出し、全国の学校でいじめアンケート、生活アンケート、心とからだのアンケートなどが実施されている。
 児童生徒と担任教諭との交換日記も推奨されている。来年度からは、若者層の自殺の深刻さを受けて、「SOSの出し方教育」を取り入れようとしている。

 先に挙げた防止法で規定する重大事態の1号事案で、教育委員会の下に調査委員会が設置された件数は、文科省に報告する時点で検討中のものを除くと、13年度は15件、14年度は25件、15年度は50件と年々増えている。しかし、その詳細は明らかにされていない。

 個人の情報収集には限りがあるが、防止法以降、13年10月から17年9月までの約4年間に調査委員会が設置された背景にいじめが疑われる自殺42件と自殺未遂10件、計52件の情報を報道などから集めて分析してみた。
 結果、半数以上の29件(小学生2件、中学生21件、高校生6件、年齢非公開が1件)で、本人や保護者が学校・教師にいじめの相談をしていた。内8件は、いじめ調査アンケートにも本人が記入していた。友人が心配して教師に相談したものも2件あった。

 つまり、いじめ被害者が相談しなかったから教師がいじめを認識できず解決できなかったのではなく、教師に相談したりアンケートに書いたりしていたにもかかわらず、対応してもらえなかったり、おざなりな対応をされたり、逆に被害者側に問題があるとされたりして、死に追いつめられていた。
 また、重大事態の調査報告書を読むと、多くの学校で、防止法で定められている学校内のいじめ対策組織が全く機能していなかった。担任や顧問教諭はいじめの相談を受けても、いじめ対策組織や管理職、同僚教師らと情報共有したり、相談したりすることなく、一人で抱え込んでいた。

 いじめ問題に教師が対応できない理由はいくつかある。

① 知識がない。
 日本でいじめが社会問題化して35年余り。それなりに知見が積み重ねられてきた。しかし、教職課程でも、教員研修でも、いじめ問題や生徒指導についてほとんど学んでいないために、教職員にいじめに対する知識がなく、過去に起きた事件と同じ過ちを繰り返している。
 文科省はいじめや自殺についての教員研修の大切さを謳いながら、研修にあてるだけの時間も予算も人材も確保していない。多くの学校で、テストの点数を上げるための教科研修には熱心に取り組んでいるが、いじめに特化した研修は年に1回も行われていない。

 2012年の「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査」の結果、いじめに触れる研修は小学校で85.3%、中学校で85.4%、高校で63.6%、特別支援学校で51.5%、平均で81.8%が実施していた。
 しかし、いじめに特化した研修は小学校で11.8%、中学校で9.5%、高校で8.4%、特別支援学校で5.0%、平均で10.6%しかない。
 全く実施していない学校は小学校で8.0%、中学校で9.7%、高校で30.0%、特別支援学校で43.9%もあった。
 しかも、文科省は大津のいじめ自殺が注目された2012年度の問題行動調査で、「学校におけるいじめの問題に対する日常的な取組」の質問に「いじめの問題に関する校内研修を実施した」という選択項目を始めて設けたが、2015年度の同調査では「いじめの問題に関して、職員会議等を通じて教職員間で共通理解を図ったり校内研修を実施した」という内容に変更。時間も予算もないなかで、いじめに特化した研修が行われない環境づくりを文科省自らが助長している。


② 意欲・関心がない。
 学校も教師も数値化しやすく見えやすい学力テストや部活動成果で評価される。そのため、時間と労力が必要な割に評価されにくいいじめ対応に意欲・関心が持ちにくい。
 また、非正規の教職員の割合が増大しているが、授業を教えることのみに給料が支払われていることから、いじめ対応や生徒指導には関与したがらない。

③ 時間がない。
 教職員の残業が過労死ラインの月100時間を超えることが常態化しているなかで、生徒指導やいじめ対策会議に十分な時間がとれない。結果、会議は形骸化し、めだった生徒の問題行動を報告するだけで、具体的な対応を話し合うところまでいかない。
 しかも、いじめ対策として実施しているアンケートの集計と報告に追われて、アンケート用紙に書かれている内容を丁寧に確認したり、悩みを抱える児童生徒と話し合ったりする時間がとれない。アンケートの主目的が教育委員会や文科省への数字の報告やいじめ対策実施のアリバイ作りとなり、いじめの内容を書いても何も対応されないと、児童生徒はだんだんアンケートに書かなくなる。
 学校・教師は、アンケートにいじめ事実が書かれなくなったことで、当該校にはいじめがないと過信し、目の前で起きているいじめさえ、単なるふざけや遊びと解釈して見過ごしてしまう。
いじめ加害者は自分の行為が認められたと勘違いしいじめがエスカレートする。被害者は教師が対応してくれないことに絶望する。

④ 連携がとれない。
 文科省は自分たちが打ち出した様々な方針に反対してきた教員組合を嫌悪し、評価制度を導入することで教職員を階層別に細かく分断。管理職のリーダーシップを強調し、教職員同士が話し合って物事を決めたり連携したりできない仕組みを作ってきた。
 さらに、非正規職員の増加やスクールカウンセラーなどの専門職が入ることで仕事が分業化され、他人の仕事には口出ししない教員文化をさらに強化した。
 結果、いじめ問題や学級崩壊に悩む教員は指導力不足と評価されることを恐れて、同僚や管理職に相談や報告することをためらうようになり、他の教員も多忙ななか、自分の時間を削ってまで、評価を競い合う他の教員の問題解決に手を貸そうとはしなくなった。

⑤ 生徒や保護者との間に信頼関係が築けない。
 文科省が推し進めるゼロトレランス(許容ゼロ)の生徒指導は、教師から想像力、共感力、コミュニケーション力を奪い、人間味を奪った。
 また、長時間労働による教師のストレスは、部活動や生徒指導を利用して発散されることも少なくない。そのような教師に信頼感が持てず、児童生徒も保護者も相談することをあきらめている。
 自殺や自殺未遂事案で、担任や顧問教諭と児童生徒との関係がうまくいっていないものが少なくない。


■いじめ重大事態の事後対応の現状と課題

 防止法ができて、いじめの防止対策よりむしろ重大事態が起きてからの調査や遺族対応が変わった。
 かつては、学校が原因と思われることで子どもが亡くなっても、多くはまともな調査さえされず、遺族は十分な説明を受けることもできなかった。それが、調査のガイドラインや遺族対応の指針ができ、一定程度の調査がされ、以前に比べると遺族はわが子に何があったかを知ることができるようになった。

 文科省は、文部省時代の1984年からいじめ自殺の統計を取っている(2005年までは公立学校のみ)が、2015年までの31年間で、自殺の背景にいじめがあったと報告されたものは93件(小4・中68・高21)。一方、報道等で、背景にいじめがあったのではないかと報じられた児童生徒の自殺は少なくとも277件(小16・中190・高71)あり(武田調べ)、3倍もの開きがある。

 しかし、私が情報収集した防止法以降約4年間のいじめが疑われる自殺と自殺未遂計52件のうち、調査報告済みの35件のうち、いじめの存在を否定したのはわずか5件で、80%以上に当たる29件でいじめの存在が認められている(1件は詳細非公表で亡くなった児童へのいじめの存否不明)。以前に比べ、自殺や自殺未遂といじめとの関連も認められるようになった。
 重大事態の調査については、今だノウハウが蓄積されておらず、調査委員会によっては調査方法に疑念が残るものもあるが、それは今後、情報共有されるなかから、改善が期待される。

 一方、多くの調査報告書が公表されていないために、調査の一番の目的である再発防止に生かされていない。
 報告書どころか、重大事態の発生そのものを隠そうとする学校・教育委員会も今だ少なくない。
 また、外部の調査委員会を組織しての調査には時間がかかることから、いじめに関与した児童生徒に対して、第三者が認定した事実を基にした指導ができない。教職員についても、外部機関に丸投げすることで、当事者意識が生まれにくいという課題がある。

 国の責任については、防止法第20条「対策の調査研究の推進等」には、「国及び地方公共団体は、(中略)いじめの防止等のために必要な事項やいじめの防止等のための対策の実施の状況についての調査研究及び検証を行うとともに、その成果を普及するものとする」と書かれているが、文科省が毎年実施している問題行動調査の確定値が出るまでに結論が出ない場合、調査結果が反映されない。正しい事実認識がなければ、実効性のある防止策は生まれない。

 また、防止法の附則第2条「検討」には、「この法律の施行後3 年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」とある。
 今年3月には「いじめの防止等のための基本的な方針」が見直され「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が作成された。
 しかし、現行の防止法に対する学校関係者や有識者の批判も多く、いじめもいじめが背景にあると思われる自殺や不登校も減っていないことから、検討が十分とは言えない。


■まとめ

 防止対策ができても、いじめがなくならないのは、教師の多忙など、防止法が機能するだけの環境が整えられていないことと、政治家が教育に関与することで、子どもの最善の利益ではなく、票獲得に直接つながりやすい大人たちの要求・要望が最優先され、結果、子どもたちの心身が強いストレスにさらされているからだと考える。

 2016年10月24日、文科省の有識者会議は、教職員の業務の中で「自殺予防、いじめへの対応を最優先の事項に位置付ける」などとする提言案をまとめた。しかし、まずは国の教育方針そのものが、経済優先ではなく、子どもの心とからだ、命を最優先事項に位置付けなければ、いじめも自殺もなくなるどころか増え続けるだろう。


2016/5/26 指導死 現時点で感じている問題点と闘う人びとに参考になる資料
 
 昨年の東広島市の中2男子生徒をはじめ、今年になって、札幌市の高1男子生徒、高崎市の中1男子生徒(未遂)、大阪市の高1男子生徒と、指導死(未遂含む)をめぐっての民事裁判がここのところ立て続けに提起されている。
 (2016/5/26更新「指導死一覧」 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/Shidoushi%20ichiran.pdf 参照)

 亡くなった時ではなく、民事裁判になって初めて、そのような事件があったことを知ることも少なくない。
 自殺の背景調査は適切に行われたのだろうか。家族への説明責任はきちんと果たされたのだろうか。
 以前に比べれば、親の知る権利に応える環境整備はなされてきたと思うが、まだまだ課題は多いようだ。

 「指導死」という言葉の定着はある程度なされたものの、桜宮のように凄まじい暴力と暴言を伴わない事案へのメディアの関心は薄い。多くは後追い記事もない。
 指導死が報じられると、「指導死」の言葉をつくった指導死親の会代表世話人で、NPO法人ジェントルハートプロジェクト理事でもある大貫隆志さんや私のところに様々な問い合わせがあったりするが、記者さんにたくさん話しても、新聞に載るのは1~2行、あるいは紙面の都合でとほぼ全部カットされてしまう。
 そこで、現時点で、私が伝えたいと思っていることをいくつか簡単にまとめておきたいと思う。
 また、この機会に、指導死が疑われる場合に、闘う人びとにとって参考となるであろう資料を上げておく。
 (これは論文ではないので、形式その他あまり気にせず書いている)


●「指導死」という言葉誕生

 「指導死」ということば、2000年9月30日に、息子・大貫陵平くん(当時中2・13歳)を指導死で亡くした(000930)大貫隆志さんの造語。
 生徒指導によって自殺に追いつめられたと言っても、周囲からは「生徒が悪いことをしたから叱られたんでしょ?」「自業自得で死んだのに、先生を逆恨みしているの?」などと言われ、なかなか理解してもらえない。
 そもそも自殺ということ自体、世間で認識されている以上にまだまだ差別偏見が多く、きょうだいや職場での影響、親戚からの非難を考えると、口に出しにくい。
 言えないからこそ、今まで長い間、問題が隠されてきた。
 それが、全国学校事故・事件を語る会(http://katarukai.jimdo.com/)で、遺族同士が話をしたときに、自殺の直接の原因は様々あるものの、多くの共通点があることに、遺族たち自身が気がついた。

 ここ数年、指導死が増えているのは、教師の多忙化やゼロトレランスの導入など、児童生徒を追いつめやすい教育環境の変化もあるものの、ひとつには遺族たちが声をあげたこと、「指導死」という「いじめ自殺」と同じように、長々と説明しなくてもある程度の概要を理解してもらえる言葉ができたことが大きいと思う。

 「指導死」の定義。  (「追いつめられ、死を選んだ七人の子どもたち。『指導死』」  P4 大貫隆志氏による)
1.一般に「指導」と考えられている教員の行為により、子どもが精神的あるいは肉体的に追い詰められ、自殺すること。
2.指導方法として妥当性を欠くと思われるものでも、学校で一般的に行われる行為であれば「指導」と捉える(些細な行為による停学、連帯責任、長時間の事情聴取・事実確認など)。
3.自殺の原因が「指導そのもの」や「指導をきっかけとした」と想定できるもの(指導から自殺までの時間が短い場合や、他の要因を見いだすことがきわめて困難なもの)。
4.暴力を用いた「指導」が日本では少なくない。本来「暴行・傷害」と考えるべきだが、これによる自殺を広義の「指導死」と捉える場合もある。



●有形暴力がなくても死ぬ
 桜宮事件で、教師による体罰が注目を浴びたこともあって、各地で体罰に関する集会がもたれた。指導死についても注目が集まった。しかし、まだまだ有形暴力がなくとも子どもが死ぬということの理解は深まっていないように思う。
 いじめで、有形暴力がなくとも、たとえばSNSを使ったネットいじめでも子どもが死に追いつめられるということは、もはや社会常識だと思う。
 一方で、たくさん起きているいじめ裁判でさえ、まだまだ有形暴力や恐喝など犯罪行為が伴わないいじめは軽視されがちで、第三者委員会chousaiinkai listでも、裁判20141116ijimejisatusaibanでも、いじめそのものが認定されることさえ簡単なことではない。
 まして、自殺との因果関係となると、3月30日に神戸地裁で判決が出た兵庫県川西市のいじめ自殺の民事裁判でも、いじめと自殺の事実的因果関係までは認められたが、自殺の予見は難しかったとして、亡くなった男子生徒が受けた精神的苦痛の慰謝料として同級生3人と県に計210万円の支払いを命じるにとどまっている。

 指導死においても、有形暴力を伴わない指導が原因の自殺の場合、ハードルは高い。
 しかし、現実には、1952年から2015年までに未遂9件を含む指導死86件中、有形暴力が確認されたのは18(21%)。つまり、約8割は有形暴力を伴わない指導により、児童生徒が自殺に追いつめられている。(平成になってからでは65(未遂8)中 有形暴力が確認されたのは9件。)  


●指導死の数字は見えにくい
 指導死は、報道されるものより、警察庁の人数の方が多い。まだまだ、遺族が声をあげられないということを表しているのではないかと思う。

 しかも、いじめ自殺は高校生に比べて中学生が多い、もしくはあまり変わらないが、指導死は中学生より高校生のほうが多い。大学や専修学校でもかなりの数、起きているのも特徴的だ。
年齢が上がるほど、学業であれ、部活動であれ、生徒指導であれ、教師の生徒評価が将来に直接影響するからではないかと思う。とくに、専修学校や大学では、その教科の単位がとれないことは、卒業資格が得られないことにつながる。せっかく就職が決まっていても、卒業できなければ、すべてがダメになる。正社員の門戸が非常に狭くなっている状況では、一生が左右される。大学や専修学校で、未来を夢見た若者たちが自ら命を絶たなくならなくなるような「教師との関係での悩み」とはどういうものなのか、きちんと調査する必要があると思う。

 いじめ自殺の文科省と警察庁の人数の差(5人)より、指導死の人数の差(19人)のほうが大きい。
 児童生徒のいじめ要因より、教師が直接関わっている場合のほうが、学校や教委は認めたがらないということだろう。
 なお、 いじめ自殺で、文科省の数字のほうが警察庁より大きいものは、警察庁は自殺直後に遺書や遺族に聞いた情報から判断しているが、文科省の数字は学校での調査の結果を反映しているため、人数が多くなる場合がある。つまり、指導死と思われる自殺事案も、今後、適正に調査が行われれば、もっと増える可能性がある。

 警察庁の統計では、2007年から2014年までの8年間で、大学や専修学校を入れた統計では、教師との関係での悩みといじめ自殺とでは大差がない。


指導死  文科省・警察庁:教師との関係(での悩み) 
文科省 警察庁 報道 2015.05.武田まとめ
小計 専修 小計
2007 0 0 0 0 0 2 3 5 2 0 7 0 1 2 3 1 4
2008 0 0 1 1 0 2 1 3 0 0 3 1 1 2 4 0 4
2009 0 0 1 1 0 1 2 3 1 4 8 0 1 1 2 0 2
2010 0 0 1 1 0 2 3 5 3 0 8 0 0 0 0 0 0
2011 0 0 0 0 0 1 4 5 5 1 11 0 1 1 2 0 2
2012 0 0 4 4 0 0 2 2 1 3 6 0 1 5 6 0 6
2013 0 1 1 2 0 1 0 1 3 0 4 0 0 1 1 0 1
2014 0 0 0 0 0 3 1 4 3 2 9 1 1 0 2 0 2
0 1 8 9 0 12 16 28 18 10 56 2 6 12 20 1 21


いじめ自殺と比べると

背景にいじめがあったのではないかとされる自殺
文科省 警察庁 報道 2015.05.武田まとめ
小計 専修 小計
2007 0 1 4 5 0 1 6 7 1 1 9 0 4 5 9 2 11
2008 0 1 2 3 0 5 6 11 0 1 12 0 2 3 5 0 5
2009 0 1 1 2 0 3 4 7 0 1 8 0 4 1 5 0 5
2010 0 4 0 4 0 3 1 4 1 0 5 2 7 2 11 0 11
2011 0 4 0 4 1 2 1 4 1 1 5 0 6 2 8 0 8
2012 0 5 1 6 0 2 1 3 1 0 4 0 6 1 7 0 7
2013 0 7 2 9 1 2 2 5 1 0 6 1 5 4 10 1 11
2014 0 3 2 5 0 2 1 3 0 0 3 2 4 4 10 0 10
0 26 12 38 2 20 22 43 5 4 52 5 38 22 65 3 68

【参 照】
・文科省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」→「自殺した児童生徒が置かれていた状況」(国公私立)
・内閣府自殺対策推進室・警察庁生活安全曲生活安全企画課「自殺の状況」→「職業別、原因・動機別自殺者数」


 なお近年、外部調査委員会などが設置され、自殺の原因を調査することが多くなってきたが、調査結果が出るまでに1年以上を要することもある。
 2007年度から、「自殺した児童生徒の置かれていた状況について、自殺理由に関係なく、学校が事実として把握しているもの以外でも、警察等の関係者や保護者、他の児童生徒等の情報があれば、該当する項目全てを選択するものとして調査」とあるものの、調査中のものは「その他」に分類されているとみられる(いじめ自殺ではと報道され、遺族が「いじめ」が原因と訴えていても、「いじめ」原因には分類されておらず、その理由を関係者に問い合わせたところ、外部調査委員会の結果が出るまでは「いじめ」に入れなくてよいと、文科省の担当者から言われたとの回答をもらった)。
 児童生徒の自殺人数は、過去のものも毎年、文科省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」に掲載されているが、「置かれていた状況」はその年度のものしか掲載されない。第三者委員会等の調査結果が出たあと、「置かれていた状況」が訂正されたかどうかは、わからないようになっている。
 せっかく、自殺の背景調査がなされても、その結果が広く情報共有されないのであれば、再発防止に生かすことができないのではないかと思う。


事後対応が問われることの意味
 学校事故事件で、当事者や遺族たちは、学校教師の不誠実な対応、すなわち、事実の隠ぺいと嘘、調査の拒否、脅しともとれるような言動、説明のなさ、情報の非開示に苦しめられてきた。これは、事故事件で受けた肉体的精神的な損害とは別に、本来受けずにすんだ被害、新たな加害行為だ。

 大津のいじめ自殺以前にも、学校の対応を裁判のなかで付随的に問うことはあったが、多くの裁判で学校・管理職の合理的な裁量権の範囲内という判断が多かった。
 ごく一部しか認められず、金額も低かった。(金額の高低は責任の評価に比例すると私は思っている)

 そうした流れのなかで、大津のいじめ自殺では、第三者委員会が調査対象を「自殺後の対応が適切であったかを考察」すること(大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会規則 参照)にまで広げた意義は大きい。
 外部調査委員会が立ち上がった時、被害者や遺族への対応が調査の対象となり、不適切な言動や情報の隠ぺい、嘘が発覚すれば報告書で指摘されるであろうことを考えれば、被害者や遺族への対応の抑止力になっているのではないかと思われる。

 また、同事件で、加害生徒の不法行為や学校の安全配慮義務違反を問う裁判(大津市とは2014年)とは別に、遺族は「黒塗りアンケート確約書事件」訴訟を起こし、2014年1月14日に勝訴判決を得ている( 確定)。
 → 「わたしの雑記帳」 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2014/me140115.html  参照。
続いて、出水市のアンケート開示訴訟でも一部が認められている。
    「わたしの雑記帳」 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2016/me160131.html  参照

 また、いじめ防止対策推進法に伴う「「いじめの防止等のための基本的な方針」で「重大事態への対処」のガイドラインができた http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/2013ijime_judaijitaihenotaisho.pdf ことで、今までのような学校・教委の自由な裁量権にかなりの歯止めがかかったと思う。
 

 まお、参考までに、それ以前の民事裁判で、学校の調査報告義務違反や事後対応が問題になったものに、以下のものがあった。

 2006年7月4日、学校であった「盗難事件」について「大変なことが起きている」と母親に告げた翌日、鉄道自殺した開智学園の杉原賢哉くん(中3・14)自殺事件の一審、二審で、学校側の調査報告義務違反のみ認め、原告父に10万円、母に10万円、弁護士費用として2万円の計22万円を支払うよう命じた。
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2009/me090227.html

 最近、中川明弁護士が書かれた「教育における子どもの人権救済の諸相」(2016年2月12日エイデル研究所発行)のなかで(P122-124)、
 1992年2月21日千葉地裁判決 習志野市立第七中学校「体罰」事件(判例時報 1411号 54頁)で、
 千葉地裁は、慰謝料算定要素として、
 (1)教師らの体罰後の配慮の有無を重視
   ①教師は原告が負傷しているとわかったのに、障害の程度を確認せず、これを放置し、診療等の配慮も
     しなかった。
   ②教師は数日後に一度謝罪したのみで、特別の配慮をせず、原告は長期欠席をするようになった
 (2)校長は本件行為に至った経緯、行為態様、負傷の程度等について事故報告書を作成し、市教育委員会に
   提出したが、報告書の内容に一部不正確な点があった
 (3)原告が再調査のうえ訂正するように求めたが、市教育委員会はこれに応じなかった
 と判断して、これらの配慮の欠如を慰謝料算定にあたってプラス(増幅)要素とした

 続く1993年11月24日浦和地裁 大宮市宮原中体罰・内申書裁判(判例時報1504号 106頁)でも、暴行後の一連の学校長・教師の行為・態度は、「事後的対応の不誠実さを示すものとして慰謝料算定の一事由に取り入れられるべき」と判じされていることが紹介されている。


●裁判の難しさ
 事実認定の難しさ
 裁判になると、訴えた側に立証責任がある。しかし、学校・教委に調査権限があり、ある程度の情報開示はここのところ急速に進んだものの、まず事実が出てくることが難しく、原告側が主張するような指導の事実があったということが認められることが難しい。とくに、いじめ以上に、生徒指導は密室で行われることが多く、当該教師と被害者の2人だけで目撃者がいないこともある。仮にいたとしても、とくに部活動などでは部の廃止や対外試合の禁止、実績のある指導者がいなくなること、指導者から目を付けられ、いじめにあったり、レギュラーから外されたり、学校推薦を受けられなくなることを恐れて、証言者がいない。あるいは、嘘の証言をするものさえ現れる。

 違法性立証の難しさ
 暴力が伴うものは判断しやすいが、暴力を伴わないものは、指導のどこまでが合理的で、どこからが違法性の高いものかを分ける基準がはっきりしない。教師の裁量権内とされてしまったり、多少の行き過ぎはあったものの「違法」と言えるほどのものではないと判断されやすい。
 適切な指導とはどういうものなのか、不適切な指導とはどういうものなのか、もっと国や教育界で議論され、指針が出ることが望まれる。

 自殺の予見性の問題
 文科省は児童生徒の自殺予防ら取り組んでおり、いろいろな資料が配られているとはいえ、生徒側の死を予見させるような具体的な言動がないと、とくに中高生においては、教師が自殺を予見できたと認められることは難しい。
 ただ、指導死の事例が集まり、指導によって子どもが死ぬことがあると多くの人が認識することで、指導をする際には子どもの心身の状態に配慮しなければならないという根拠になるのではないかと思う。
それは裁判だけでなく、教師の認識を変え、指導死を防止することに役立つと思う。指導死を批判し、遺族の声をふさげば、その分、社会的認知が遅れ、子どもたちは死に続けるだろう。


●参考になる資料

参考になる通知・法律・ほか
(直接は関係なくとも、考え方などで参考になる場合があります)

通知時期 主な内容
1947/3/31
学校教育法(昭和22年法律第26号)
http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000944.html
第11条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

1948/12/22
児童懲戒権の限界について
国家地方警察本部長官・厚生省社会局・文部省学校教育局あて
法務庁法務調査意見長官回答

第1問の回答
3  放課後教室に残留させることは、前記1の定義からいって、通常「体罰」には該当しない。ただし、用便のためにも室外に出ることを許さないとか、食事時間を過ぎても長く留めおくとかいうことがあれば、肉体的苦痛を生じさせるから、体罰に該当するであろう。

4  右の、教室に残留させる行為は、肉体的苦痛を生じさせない場合であっても、刑法の監禁罪の構成要件を充足するが、合理的な限度をこえない範囲内の行為ならば、正当な懲戒権の行使として、刑法第35条により違法性が阻却され、犯罪は成立しない。合理的な限度をこえてこのような懲戒を行えば、監禁罪の成立をまぬかれない。

第2問の回答
義務教育においては、児童に授業を受けさせないという処置は、懲戒の方法としてはこれを採ることは許されないと解すべきてある。
学校教育法第26 条、第40 条には小、中学校の管理機関が児童の保護者に対して児童の出席停止を命じ得る場合が規定されているが、それは当該の児童に対する懲戒の意味においてではなく、他の児童に対する健康上または教育上の悪い影響を防ぐ意味において認められているにすぎない。故に遅刻児童についても、これに対する懲戒の手段として、たとえ短時間でも、この者に授業を受けさせないという処置を採ることは許されない。

第3問の回答
児童が喧嘩その他の行為によりほかの児童の学習を妨げるような場合、他の方法によつてこれを制止しえないときには、-懲戒の意味においてではなく-教室の秩序を維持し、ほかの一般児童の学習上の妨害を排除する意味において、そうした行為のやむまでの間、教師が当該児童を教室外に退去せしめることは許される。

第6問の回答
教師は所問のような訊問を行なっても差し支えない。ただし、訊問にあたって威力を用いたり、自白や供述を強制したりしてはならないことはいうまでもない。そのような行為は強制捜査権を有する司法機閥にさえも禁止されているのであり(憲法第38条1項、第26条参照)、いわんや教職員にとってそのような行為が許されると解すべき根拠はないからである。

1958/4/10
施行
2015/6/24
最終改正

学校保健安全法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33HO056.html

(国及び地方公共団体の責務)
第3条  国及び地方公共団体は、相互に連携を図り、各学校において保健及び安全に係る取組が確実かつ効果的に実施されるようにするため、学校における保健及び安全に関する最新の知見及び事例を踏まえつつ、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものとする。

第3 章 学校安全
(学校安全に関する学校の設置者の責務)

第26条  学校の設置者は、児童生徒等の安全の確保を図るため、その設置する学校において、事故、加害行為、災害等(以下この条及び第29条第3項において「事故等」という。)により児童生徒等に生ずる危険を防止し、及び事故等により児童生徒等に危険又は危害が現に生じた場合(同条第1項及び第2項において「危険等発生時」という。)において適切に対処することができるよう、当該学校の施設及び設備並びに管理運営体制の整備充実その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(危険等発生時対処要領の作成等)
3  学校においては、事故等により児童生徒等に危害が生じた場合において、当該児童生徒等及び当該事故等により心理的外傷その他の心身の健康に対する影響を受けた児童生徒等その他の関係者の心身の健康を回復させるため、これらの者に対して必要な支援を行うものとする。この場合においては、第10条の規定を準用する。
1994/5/20
「児童の権利に関する条約」について
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19940520001/t19940520001.html

6 学校における退学、停学及び訓告の懲戒処分は真に教育的配慮をもって慎重かつ的確に行われなければならず、その際には、当該児童生徒等から事情や意見をよく聴く機会を持つなど児童生徒等の個々の状況に十分留意し、その措置が単なる制裁にとどまることなく真に教育的効果を持つものとなるよう配慮すること。
また、学校教育法第26条の出席停止の措置を適用する際には、当該児童生徒や保護者の意見をよく聴く機会を持つことに配慮すること。

2006/5/
「生徒指導体制の在り方について」調査研究報告書 /  国立教育政策研究所
https://www.nier.go.jp/shido/centerhp/seito/seitohoukoku.pdf

P15 「懲戒を実施する上での留意点」
① 教育的観点から安易な判断のもとで懲戒が行われることがないよう、その必要性を慎重に検討して行うこと。

② 適正な手続きを経て処分を決定すること。(適正な手続きとは、例えば、十分な事実関係の調査、本人等からの事情聴取等弁明の機会の設定、保護者を含めた必要な連絡や指導、適切な処分方法等の通知、などが考えられる)

③ 体罰に該当するような懲戒は認められないこと。(略)  

④ 日常のしっ責や注意の在り方に留意すること
 ア:その場の環境や対象となる児童生徒の発達段階や実態に応じて、効果が変わるので、的確な判断が必要であること (機械的、形式的な処置であってはならないこと)
 イ:懲戒の理由が児童生徒等に理解されていること
 ウ:公平であること (不公平、不当さがあるような処置であってはならないこと)
 エ:感情的であったり、他の子ども達への見せしめであるような処分ではないこと
 オ:教師間で指導や処分に差やブレが生じないようにすること
 カ:処分中又は事後の教育的な指導を適切に行うこと
  など

2006/6/5
児童生徒の規範意識の醸成に向けた生徒指導の充実について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/052.htm

・生徒指導上の対応に係る学校内のきまり及びこれに対する指導の基準をあらかじめ明確化しておくこと。
・指導基準の適用及び具体的指導に当たっては、全ての教職員間の共通理解を図った上で、一貫性のある、かつ、粘り強い指導が行われることが重要であること。
・問題行動等への対応に当たっては、児童生徒の規範意識の向上を図るための取組みと併せて、個々の児童生徒の状況に応じて、教育相談等を通じて、問題行動等の背景やそれぞれの児童生徒が抱える問題等をきめ細かく把握して対応することが必要であり、このような観点からの教育相談・カウンセリング機能の一層の充実に努めること。


別紙  「生徒指導体制の在り方について」調査研究報告書(概要)
 -規範意識の醸成を目指して-
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/052/002.htm

・生徒指導に当たっては、児童生徒の発達段階や個々の子どもたちの成長に合わせた指導が大切である。
・児童生徒の個別の事情や、特別な背景等に対する考慮も必要であり、その場合には、児童生徒又はその家庭に対する特別な配慮が必要である。
・ 「出席停止の措置」を効果的に運用していくためには、「措置までの手順」「措置する場合の支援」「措置後の対応」などに関する教育委員会規則等での提示、保護者・住民等への周知について、具体的な手だてを講じる必要がある。

2007/2/5
問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/07020609.htm

・一時の感情に支配されて、安易な判断のもとで懲戒が行われることがないように留意し、家庭との十分な連携を通じて、日頃から教員等、児童生徒、保護者間での信頼関係を築いておくことが大切である。
・教員等は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合においても、身体に対する侵害(殴る、蹴る等)、肉体的苦痛を与える懲戒(正座・直立等特定の姿勢を長時間保持させる等)である体罰を行ってはならない。体罰による指導により正常な倫理観を養うことはできず、むしろ児童生徒に力による解決への志向を助長させ、いじめや暴力行為などの土壌を生む恐れがあるからである。

別紙 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方

・教員等が児童生徒に対して行った懲戒の行為が体罰に当たるかどうかは、当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する必要がある。
・個々の懲戒が体罰に当たるか否かは、単に、懲戒を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、上記(1)の諸条件を客観的に考慮して判断されるべきであり、特に児童生徒一人一人の状況に配慮を尽くした行為であったかどうか等の観点が重要である。

2009/3/27


「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」のマニュアル及びリーフレットの作成について

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/gaiyou/1259186.htm

第2章 自殺のサインと対応
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/
2009/04/13/1259190_5.pdf

P8  子どもの場合は、人間関係が家庭と学校を中心とした限られたものになっています。
そのなかで問題が起きると、大人とは比べものにならないストレスが子どもを襲います。

2001/11/6
出席停止制度の運用の在り方について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/013.htm

・児童生徒の問題行動に対応するためには、日ごろからの生徒指導を充実することが、まずもって必要であり、学校が最大限の努力を行っても解決せず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合に、出席停止の措置が講じられることになる。
・教職員が児童生徒の悩みや不安を受け止め、カウンセリングマインドを持って接するよう努めること。
・出席停止を保護者に命ずる際には、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならない。命令の伝達は文書の手交又は郵送によることとし、口頭のみにより命ずることは認められない。
・出席停止を命ずる文書には,理由及び期間のほか、当該児童生徒の氏名、学校名、保護者の氏名,命令者である市町村教育委員会名、命令年月日等について記載することが適当である。また、理由の記載に当たっては、根拠となる法律の条項や要件に該当する事実を明示することが必要である。
・「出欠の記録」の「出席停止・忌引等の日数」欄に出席停止の期間の日数が含まれ、その他所定の欄(例えば「備考」など)に「出席停止・忌引等の日数」に関する特記事 項が記入されることとなること
・「総合所見及び指導上参考となる諸事項」については、その後の指導において特に配慮を要する点があれば記入することとなること

2010/2/1
高等学校における生徒への懲戒の適切な運用の徹底について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/1309914.htm

・指導の透明性・公平性を確保し、学校全体としての一貫した指導を進める観点から、生徒への懲戒に関する内容及び運用に関する基準について、あらかじめ明確化し、これを生徒や保護者等に周知すること。
・懲戒に関する基準等の適用及び具体的指導について、その運用の状況や効果等について、絶えず点検・評価を行い、より効果的な運用の観点から、必要な場合には、その見直しについても適宜検討すること。
・懲戒に関する基準等に基づく懲戒・指導等の実施に当たっては、その必要性を判断の上、十分な事実関係の調査、保護者を含めた必要な連絡や指導など、適正な手続きを経ること。

2010/3/
生徒指導提要
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/04/__icsFiles/afieldfile/
2011/07/08/1294538_01.pdf


P44  交友関係の把握は生徒指導においては特に重要であり、どのような友人とどのような交際をしているのかを学校の内外を通じて把握することが大切です。(中略)また児童生徒が交友関係のなかでどのような位置にいるかも知る必要があります。

P168  3 問題行動を起こした児童生徒への効果的な指導の進め方
 ・問題行動の事実を正確に把握し、その背景を明らかにするとともに、教員間の十分な共通理解を図った上で、校内での指導、家庭への支援・措置、関係機関との連携などの措置を講じなければなりません。

P170 教員は、共感的な態度で指導を行い、児童生徒が、自分を理解してくれる、存在を認めてくれるなど自己存在感を持つよう指導しなければなりません。

P180 3  少年非行への対応の基本
 (1) 正確な事実の特定
 (2) 本人や関係者の言い分の聞き取りと記録
 (3) 非行の背景を考えた指導

2012/2/
初版

文部科学省 国立教育政策研究所 生徒指導リーフレット
http://www.nier.go.jp/shido/leaf/

リーフ1  生徒指導って、何?
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf01.pdf

・同じような働きかけを行ってはいても、個々の教師が時々の必要性から判断して行っている、
気がついたときに行うようにしている、気になる児童生徒には行ってきた、一部の教師が責任を持って行っていると思う、可能な限り行っているが十分かどうか自信はない、正直言うと生徒指導を行っているという自覚は持っていなかった…などの状況であるとすれば、意図的に生徒指導が行われているとは言えません。
・自校の児童生徒をどのような児童生徒へと育んでいくのか、どのような働きかけであれば望ましい大人へと成長・発達していってくれると考えられるのかを明確にし、それが実現するような働きかけを計画的に行う。

2013/1/18
資料8.大阪市立桜宮高校の男子生徒の自殺事案について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/attach/1347559.htm

体罰の禁止について
個々の懲戒が体罰に当たるか否かは、単に、懲戒を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、上記(1)の諸条件を客観的に考慮して判断されるべきであり、特に児童生徒一人一人の状況に配慮を尽くした行為であったかどうか等の観点が重要である。

2013/6/28
2013年6月28日成立 9月28日施行
いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)
2013年9月21日(土)、NPO法人ジェントルハートプロジェクト
第8回「親の知る権利を求めるシンポジウム」 武田配布資料
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20130921boushihou.pdf
2013/10/11
「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25 年10 月11 日 文部科学大臣決定)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1340770.htm  から抜粋
「重大事態への対処」 
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/2013ijime_judaijitaihenotaisho.pdf 
2013/8/9
体罰根絶に向けた取組の徹底について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1338620.htm

・教育委員会及び学校は、実態把握の方法が十分であるか点検し、日頃から主体的に体罰の実態把握ができる方策を講じ、継続的に体罰の実態把握に努めること。
・体罰等の報告・相談があった場合、学校の管理職は、直ちに関係する児童生徒や教員等から状況を聴取し、その結果を教育委員会へ報告するとともに、被害児童生徒の受けた心身の苦痛等を踏まえ、その回復のため真摯に対応すること。

・教育委員会は、体罰を行ったと判断された教員等については、客観的な事実関係に基づき、厳正な処分等を行うこと。特に、以下の場合は、より厳重な処分を行う必要があること。
 1 教員等が児童生徒に傷害を負わせるような体罰を行った場合
 2 教員等が児童生徒への体罰を常習的に行っていた場合
 3 体罰を起こした教員等が体罰を行った事実を隠蔽した場合等

2014/9/14
子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)[ 概要]
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/
2014/09/10/1351863_01.pdf


 ・調査対象は,自殺又は自殺が疑われる死亡事案
 ・詳細調査への移行の判断
  ⇒ 全ての事案について移行することが望ましいが,難しい場合は,
    少なくとも次の場合に詳細調査に移行する
  ア)学校生活に関係する要素(いじめ,体罰,学業,友人等)が背景に疑われる場合
  イ)遺族の要望がある場合
  ウ)その他必要な場合
2014/9/14
子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(平成26 年7 月改訂版)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/
2014/09/10/1351863_02.pdf


 P13 アンケート調査や聴き取り調査を実施する場合,
  これらは詳細調査において,専門的な見地から適切かつ計画的に実施されるべきである
 一方で,アンケート調査や聴き取り調査は可能な限り速やかに開始することが望ましい
  このため,設置者は,学校から基本調査の結果の報告を受け,詳細調査への移行を判断
 する際に併せて,詳細調査の組織の設置まで更に1週間以上を要するなど時間がかかる
 場合には,この時点で詳細調査に先行して,アンケート調査や聴き取り調査を実施する
 かどうかを速やかに判断
2016/4/8
学校事故対応に関する指針
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/__icsFiles/afieldfile/2016/04/08/1369565_1.pdf


「指導死」に関する武田の記述(「日本の子どもたち」 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/ 内)

わたしの雑記帳 
2004/5/28
男子生徒がカンニングを疑われ?自殺
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2004/me040528.htm
2005/1/23
長崎市立小島中学校、安達雄大くん(中2・14)自殺事件の裏に隠された、学校・教師の問題
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2005/me050123.htm
2005/2/16
寝屋川市の小学校侵入・教師刺殺事件と、寄せられたメール
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2005/me050216.htm
2005/10/23
部活動における「過呼吸」の陰にひそむ問題 (2005/10/29追記)
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2005/me051023.htm
2006/10/9
所沢高校・井田将紀くん
(高3・17)自殺事件。教師の叱責による自殺について
教師の叱責による自殺・自殺未遂・登校拒否一覧
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/messege2006/me061009.htm
2007/8/10
全国学校事故事件を語る会の文科省訪問と、教師によるしっ責自殺ゼロについて
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2007/me070810.html
2008/8/17
北海道立稚内商工高校の男子生徒(高2・16)の教師しっ責後の自殺について
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2008/me080817.html
2009/1/12
指導死・西尾健司くん(020323)の場合。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2009/me090112.html
2009/5/3
最高裁の「体罰と認めず」の判決(2009/4/28)に思うこと。
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2009/me090503.html
2009/8/
指導死遺族が、文科省を訪問
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2009/me090802.html

オリジナル資料 (武田作成資料 PDF)
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/takeda_data.html
2009/9/15
2009年9月15日、
文部科学省の自殺予防に関する調査研究協力者会議でのヒヤリング
で武田が使用した資料
★ 文科省数字と警察庁数字の差
★  教師の体罰やしっ責によると思われる自殺 39例を一覧
  (当時は「指導死」という言葉の認知は低かったこと、公式文書に使われている言葉では
なかったことから、この言葉を使用)

「教師の体罰やしっ責によると思われる自殺」
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/0909shiryou3.pdf

2009/9/15
2009年9月15日、
文部科学省の自殺予防に関する調査研究協力者会議でのヒヤリング
で武田が使用した資料
★ 「提案」のところでは「指導死」という言葉を使用している

「子どもの自殺防止のためには、何をするべきか?」
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/0909teian.pdf
2012/11/17
第1回 「指導死」シンポジウム(東京開催)で武田が講演で、使用した資料

★「指導死」事例41件の分析
 ・こんな指導が子どもを追いつめる ・指導死をふせぐために ・指導死データ
 ・教師のいじめ(アンケート結果) ・事例

「指導死の特徴」
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/shidoushi_shinpo.pdf
2014/5/8
「指導死」統計の更新
★指導死一覧 78件 
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20140508shidoushi_ichiran.pdf
★指導死一覧 報道・警察・文科省数字
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20140508shidoushi_toukeihikaku.pdf
 P1~2 1952年から2014年報道された指導死  
 P3~4 警察庁の統計 1977年から1988年、2007年から2012年
 P5~6 文科省(文部省)の統計 1994年から2012年
  
2015/11/10
学校等事件事故第三者調査一覧 (事案ごとの分類)
 (「指導死」事案有)
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20150410_chousaiinkai_jian.pdf

学校等の事件事故第三者調査一覧  いじめ・指導死が疑われる事案
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20150410%20ijime%20shidoushi%20chousa.pdf
2016/2/28
「指導死」一覧 83件
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/201602%20shidoushiichiran.pdf

体罰裁判一覧(一部「指導死」を含む)
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/201602%20taibatsuhanreiichiran.pdf
2016/5/26
更新「指導死一覧」
 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/Shidoushi%20ichiran.pdf 参照)

1952年から87件 平成(1989)年になってから66件(未遂10件を含む)



「指導死」に関する文献ほか
 
発行年 「指導死」に関する文献ほか
2008 「指導死」 生きる力を奪われた子どもたち
/ 大貫 隆志
世界子ども通信プラッサ
28号(2008年11月発行)
2009 県立所沢高校「事実確認後生徒自殺事件」に関する意見書
/ 明治大学名誉教授  日本教育法学会会長  伊 藤 進  

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/sosho_no/040526itouikensho.html
2009年1月25日
東京高裁に提出
2009 「教師6人で繰り返された指導の『行き過ぎた部分』
/ 須賀 康
フライデー 9/18号
(2009/9/4発売)
2009 「密室の不適切な指導が自殺に発展 表には出ない“指導死”という恐怖
/ 奈良林 和子
サイゾー 
(2009年10月発行)
2012 いじめ・暴力 (※指導死についても言及)
/ 武田 さち子 
子どもの安全・安心
ガイドブック
子どもの権利研究第20号
2012年2月 日本評論社
2012 死を招く「指導」という名の「教師のいじめ」
/ 奈良林 和子
サンデー毎日
(2012年12月16日号)
2013 知っていますか 指導死  積り積もった絶望
/ 編集局 亀田 早苗
2013年1月23日付夕刊
毎日新聞
2013 文科省の怠慢が指導死を招く
/ 粟野 仁雄  奈良林 和子
サンデー毎日
(2013年1月27日号)
2013 「指導」という名の「いじめ」  指導死「41人」の衝撃
/ 編集部 野村 昌二
AERA
(2013年2月4日号)
2013 教育界の隠蔽体質が悲劇を繰り返す 大阪・高2自殺で指導死遺族が訴え
/ 奈良林 和子
サンデー毎日
(2013年2月17日号)
2013 教師の「言葉の暴力」が子どもを追い詰める
/ 奈良林 和子
サンデー毎日
(2013年3月3日号)
2013 桜宮高校男子生徒自殺事件 
生徒指導による子どもの自殺 「指導死」の視点から
/ 大貫 隆志
季刊 教育法 176号
(2013年3月25日発行)
2013 教育現場に潜む「指導死」という名の闇
/ 取材・文 奈良林 和子
婦人公論
(2013年5月7日 号)
2013 『指導死』  追い詰められ死を選んだ七人の子どもたち」
/ 大貫 隆志 編著 / 京都精華大学人文学部教授・住友 剛 / 武田さち子
高文研
(2013年5月発行)
2014
教師から「行き過ぎ」た生徒指導を受けた児童・生徒が自殺した場合の
民事責任について  - 一つの中間報告的考察 (1) -
/ 金沢大学教授・長谷川 隆
判例時報 No.2215
(2014年5月11日号)
2014
教師から「行き過ぎ」た生徒指導を受けた児童・生徒が自殺した場合の
民事責任について  - 一つの中間報告的考察 (2・完) -
/ 金沢大学教授・長谷川 隆
 
判例時報 No.2216
(2014年5月21日号)
2016
「教育における子どもの人権救済の諸相」
/ 中川 明
エイデル研究所
(2016年2月12日発行)
    

●その他

データ
2010年GHP 被害者アンケート
学校等における事件事故で、心身に被害をうけた当事者や家族・遺族を対象とした調査結果。

NPO法人ジェントルハートプロジェクト http://npo-ghp.or.jp/  資料集 http://npo-ghp.or.jp/data/
からダウンロード
知識
子どもに何があったのか 真実を知るための、いくつかの方法

学校等における事件・事故で、大切なお子さんを失ったご遺族に向け、「我が子に何があったのか」を知るための代表的な方法を収録した資料集です

NPO法人ジェントルハートプロジェクト http://npo-ghp.or.jp/  資料集 http://npo-ghp.or.jp/data/
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知識
~闘う人びとのために~  いじめ・体罰・学校とのトラブル 問題解決のヒント集
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/step.htm

知識
第三者委員会を立ち上げるなら

最近よく耳にする第三者調査委員会ですが、当法人では立ち上げを検討されている方や、成り立ちに疑問を持たれている方のために、注意点や、条件等をまとめてみましたので、是非参考にしてください。


NPO法人ジェントルハートプロジェクト http://npo-ghp.or.jp/  資料集 http://npo-ghp.or.jp/data/
からダウンロード
知識
隠ぺいの背景 相関図

2012年11月24日 NPO法人ジェントルハートプロジェクト
第7回 親の知る権利 シンポジウム 「なぜ学校は隠ぺいするのか」
武田発表資料

オリジナル資料 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/takeda_data.html
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/nazeinpeisurunoka.pdf

知識
いじめ自殺を例に、学校・教育委員会の隠ぺいの手口

2012年11月24日 NPO法人ジェントルハートプロジェクト
第7回 親の知る権利 シンポジウム 「学校はなぜ隠ぺいするのか」
武田発表資料

オリジナル資料 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/takeda_data.html
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/201507%20inpeinotegichi.pdf

提言

データ

学校事故事件の事後対応の主な問題点と課題
オリジナル資料 http://www.jca.apc.org/praca/takeda/takeda_data.html

2015年11月10日 文部科学省の
「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議 第4回
ヒアリングに、NPO法人ジェントルハートプロジェクトが呼ばれました。
小森美登里さんと、武田さち子が話をしました。

【武田資料】

資料1 「学校事故事件の事後対応の主な問題点と課題」、「事後対応への
     提言と要望」(レジュメ代わり)
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20151110_monka_takeda_resume.pdf

資料2 「外部調査委員会設置にみる学校事故事件の事後対応の主な
     問題点と課題一覧」
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20151110_jikotaiourei.pdf

資料3 「保育学校事故事件外部調査委員会一覧」
     (資料4の目次・索引代わり)
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20151110_chousaiinkai_mokuji.pdf

資料4 「保育・児童施設及び学校における事件事故の調査・検証委員会
       (外部調査委員会) 一覧」 2015年11月3日更新版 108件
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20151110_chousaiinkai_list.pdf

資料5 「武田さち子 発表要旨」 記者会見用レジュメ
http://www.jca.apc.org/praca/takeda/pdf/20151110_monka_takedayoushi_media.pdf



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