【おすすめ本】武田 砂鉄『なんかいやな感じ』―近過去を斜めに活写 蘇る橋本治の匂い=鈴木耕(編集者)

3 months ago
 紙面が匂い立つことがある。私はこの著者のファンでほとんどの著作は読んでいるけれど、それは彼の文章の匂いに惹かれるからだと言ってもいい。でも、本書の匂いにはどこかで接したことがあるなあ…と読みながら思っていた。「あとがき」に辿り着いてその謎が解けた。あ、この匂いは橋本治さんなんだな。文体が似ているというわけではない。けれど橋本さんの『ああでもなくこうでもなく』(全5巻マドラ出版)が私の頭に浮かんだ。「あとがき」によれば、本書はいわゆる純文芸誌「群像」に<その死によって中断し..
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【リレー時評】安倍派の瓦解と政治家の「話す力」=山口昭男(JCJ代表委員)

3 months ago
 能登半島地震に見舞われた年明けの日本列島、岸田政権はますますレームダック化している。 いま改めて岸田文雄首相の「話す力」の乏しさを思う。ひるがえってみれば、菅義偉の言葉は迫力がなかったし、安倍晋三は饒舌だったが、中身がなかった。というより安倍の場合は、その場限りの無責任な言葉だった。 私は一度だけある書籍の出版記念会で、安倍の挨拶を間近に聴いたことがある。5分余り、何のメモも見ず、800頁を超える大部な学術書のあらすじを簡潔に説明した後、自分はどこに感銘を受けたかを語ってい..
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