清水雅彦(日本体育大学教授・憲法学)
昨年(2024年)1月、『反天ジャーナル』に「天皇制問題のいま:天皇制/王制論」の一本として、「憲法から考える天皇制」という論稿をまとめた。この中で、憲法論として民主主義と法の下の平等に反し、国民主権とも相容れないため、憲法を改正して天皇制は廃止すべきとの観点から論じ、地道に天皇制やそれにかかわることのおかしさを多くの人に伝えていく必要性について書いた。
今回は論文ではなく、簡単なコラム的記事として別の角度から見てみたい。天皇制が続くことで、天皇家・宮内庁、そして警備にかかる費用が発生する。2025年度の予算では、皇室費(内廷費・皇族費・宮廷費)が約114億円、宮内庁費が約109億、皇宮警察本部費が約 74億万円となっている。さらに、天皇・皇族が地方へ行けば、当該自治体の諸費用がかかってくる。これらは日本が共和制国家なら、全く不要な費用である。
先の論稿では、天皇の行為として認められるのは、私人としての私的行為と、憲法に規定のある国事行為のはずであるが、このどちらでもない象徴としての地位に基づく天皇の行為(「公的行為」又は「象徴としての行為」)が行われてきたことについても述べた。このような余計な行為の是非をきちんと問う必要がある。この一つに、 全国植樹祭への出席がある。
全国植樹祭は、国土緑化運動の中核的な行事として、1950年以降、2020年を除き毎年春に開催されているもので、国土緑化推進機構と開催都道府県(全都道府県の持ち回り)が主催している(今年で75回開催)。そして、大会式典には天皇・皇后が出席し、「お手植え」を行う。式典会場は既存の施設を使うことが多いが、2001年に山梨県で開催された第52回全国植樹祭は、瑞牆山の麓に会場を作り、開催したのである。この主会場跡地が「みずがき山自然公園」(約1.1ヘクタール)として残っている。式典には約7500人が参加したので、広大な空間が森林の中にできているのである。
以下の写真を見ていただきたい(2025年10月28日撮影) 。
みずがき山自然公園
植樹祭主会場跡地の芝の広場。奥に写っているのが瑞牆山。この写真だとわかりづらいが、石碑の奥には広大な芝の広場がある。
みずかき山自然公園
左端・奥に写っているのが駐車場や管理棟。
1枚目写真にある石碑を拡大したもの
みずがき山自然公園に通じる道路
左側の道路には通常の白い鉄製のガードレールがあるが、会場に通じる右側の道路には丸太で作った特製のガードレールがある。
みずがき山自然公園に通じる道路
カーブミラーには屋根が付いている。
みずがき山自然公園に通じる道路
警備のためか、道路横も木が少ない。この会場の敷地は、木の伐採が不要な県有林の無立木地のみを利用したと説明されているが、本当にこれだけの空間で木を全く伐採しなかったのであろうか 。

Google マップの航空写真
Google マップの航空写真
上写真2枚、これだけの空間に木がないのは不自然である。すなわち、天皇・皇后がやってきて、わずかな木を植える式典用の会場を作るために木を伐採し、会場に至る道路もお金をかけて特別仕様の道路にしているのである。緑化のための式典のために木を伐採し、膨大な税金を投資する。このようにして行われる天皇・皇后が参加する式典は本当に必要なのであろうか。
