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アフガニスタン攻撃、テロ特措法成立以後の動き 2003年1月    ()(戻る


2003年1月

2003年1月1日

■ロイター通信は米陸軍当局者の話として、米陸軍が対イラク攻撃に備え砂漠戦を専門とする第3歩兵師団第1、3大隊の1万1千人に対し、ペルシャ湾岸地域への派遣命令を出したと報道。米軍は既に、陸海空各軍と海兵隊約6万人の兵力を展開。さらに1月中旬までに最大5万人の増派を終える予定。

2003年1月2日

■日本政府が中国、台湾との領有権問題がある尖閣諸島(中国名・釣魚島)の民有地所有者との間で貸借契約を結んでいた事が2日明らかとなった。政府筋は「固有の領土である尖閣諸島について毅然たる態度を示すために借り上げた方が政府としてきちんと対応できる」と説明。昨年4月から今年3月までの1年間について2千200万円で契約したとのこと。

2003年1月3日

■防衛庁は、新年度予算に周辺国の施設を高高度から撮影する対空型無人機の装備をめざし、2億6千万円の研究費を計上、07年度までに総額19億円を投じて開発・配備に必要な技術データーを収集するとの報道。

■ ブッシュ米大統領、テキサス州のフォートフッド陸軍基地で約4000人の兵士を前に演説、対イラク武力行使について「わが国の安全を保障し平和を守るために軍事力が必要になれば、アメリカは慎重に、断固として行動し、勝利する」「準備はできている」と述べ、イラクが大量破壊兵器の武装解除に応じなければ攻撃に踏み切る決意を示す。

2003年1月5日

■韓国の金恒経・外交通商次官とロシアのロシュコフ次官がモスクワで協議。両国は朝鮮半島の非核化を支持し、交渉の余地がある限り、北朝鮮問題を国連安保理に付託するのは望ましくないとの認識で一致。

■日本政府が尖閣諸島(中国名・釣魚島)の三島の民有地を借り上げた問題で中国の王毅外務次官は5日未明、阿南惟茂駐中国日本大使を外務省に呼び「一方的行為は不法かつ無効であり受け入れられない」と抗議。

2003年1月8日

■福田康夫官房長官は議院運営委員会理事会に出席し、第156通常国会を20日に召集する方針説明。会期は6月18日までの150日間。政府は10日の閣議で「20日召集」を決定する。

■欧州連合(EU)議長国のギリシャの外交筋は8日、ロイター痛心の取材に対し、EUが対イラク攻撃の回避をねらい、2月初めにもアラブ7カ国に使節団を派遣すると述べた。

■米軍がイラクを攻撃すれば、開戦当初に50万人の手当が必要になるとの予測に基づく支援計画を国連が策定。10万人が戦闘で、40万人が家屋倒壊などで負傷すると見ている。

■マレーシアのサイドハミド外相はボルトン米国務次官との会談後、「米国は国連決議の順守に関し、イラクに多大な責任を負わせている」攻撃は「世界を不安定化し、経済を混乱させる」と反対の立場を表明。

2003年1月9日

■イラク査察を実施している国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は国連安全保障理事会の非公開協議で中間報告。委員長は「我々はほぼ2カ月にわたり、広範囲に査察を続けているが、決定的な証拠は何も発見できていない。決議は査察期限を区切っていない。2月には査察は終わらないだろう」とし今月27日以降も査察を続行する必要があるとの認識を示した。

■フランスのシラク大統領は9日、内外報道陣との新年祝賀会でイラク問題について「武力に訴えるのは恒に失敗を認めることであり、最悪の解決法だ」「軍事介入はすべての他の可能性が完全に失敗した場合にだけ検討されるべき」で「国連安全保障理事会の決定だけによるべきだ」と強調。

■ブレア英首相は9日の閣議で国連の大量破壊兵器査察に関し「査察チームには十分な時間と余裕を与えるべきだ」と攻撃の判断を急がない考えを表明。

2003年1月10日

■小泉首相とプーチン大統領がクレムリンで日ロ首脳会談。両首脳は朝鮮民主主義人民共和国の核拡散防止条約(NPT)脱退宣言に「遺憾の意と深い懸念」を表明するとともに、速やかな撤回が「不可欠」と訴え、核開発計画の即時断念を要求することで一致した。

■朝鮮民主主義人民共和国の朴吉淵国連大使は核拡散防止条約の即時脱退宣言は「米国による核の脅威」によって決定を余儀なくされた。安保理で経済制裁が決定されれば「宣戦布告と受け止める」と述べた。

■オーストラリアのハワード首相は10日の記者会見で、同国軍が米国のイラク攻撃参加に向けて準備を始めた事を公式に表明。特殊部隊などが数週間内にも中東に派遣される可能性があると明らかにした。首相はイラク攻撃に参加するかどうかはまだ決定していないとも述べた。

■政府は閣議で第156回通常国会を20日に召集することを決定。会期は6月18日までの150日間。

2003年1月11日

■11日付のワシントンポスト紙は、英国、フランスなど同盟国からの圧力で、米軍が2月中に対イラク戦を開始する可能性は低くなりつつあると伝えた。

2003年1月12日

■小泉首相、ロシアのプリコフスキー極東管区大統領全権代表と会談。

■イスラエル軍、12日未明から夕にかけガザ地区に戦車などで侵攻、パレスチナ人計4人が死亡。同日未明、パレスチナ自治区ベイトハヌーンとハンユニスで住宅や金属加工工場などを破壊。

■ベネズエラの大統領退陣を求めるゼネスト、40日を超える。

■12日付、ワシントン・ポスト紙は「ブッシュ大統領は米中枢同時テロから6日後の2001年9月17日、すでにイラク攻撃計画の策定を命じる秘密文書に署名していた」と報道。

2003年1月13日

■国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、米紙タイム最新号とのインタビューでイラクは現時点で後くじの核兵器製造能力を保持していないとの見解を明らかにした。事務局長はIAEAの査察活動が「進展している」と自信を示し核開発計画があったとしてもイラクが完全に隠し通すのは困難」と述べた。

■国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長はイラクの大量破壊兵器疑惑に対する国連査察はできるだけ早く終えるのが望ましいが「完了までに数ヶ月は必要。イラクの協力次第」と述べた。

■米国のケリー国務次官補(東アジア・大平洋担当)は13日、盧武鉉次期大統領との会談が会見し、朝鮮民主主義人民共和国の核開発問題について「核問題解決後に、米国と他の国による国家レベル、または民間投資で問題を解消する方法を模索できると思う」と述べた。

2003年1月14日

小泉首相、靖国神社を参拝。中国政府は、「強烈な不満と憤慨」を表明、「A級戦犯をまつっている靖国神社を再び参拝したことに厳重な申し入れを行う」とした。韓国政府も、「平和を祈るといいながら、平和を破壊した戦犯がまつられている靖国神社を引き続き参拝した事は理解しがたい」と抗議した。

2003年1月15日

■インドやバングラデシュなど南アジアを襲った寒波で15日までに1300人近い死者がでているとAFP通信が報道。バングラデシュ、インド、ネパールの貧困層を中心に暖房器具、毛布、衣類の不足で老人、病人、乳幼児が相次いで寒波の犠牲になった。

■イラクの大量破壊兵器疑惑を調べている国連査察団はバグダットにある大統領宮殿の2回目の査察を行った。

2003年1月16日

■イラクの大量破壊兵器開発疑惑を調べている国連査察団の植木安弘報道官は16日、化学兵器を搭載するできる空の弾頭が11個見つかったことを明らかにした。

■韓国の盧武鉉次期大統領は16日川口外相と会談し、小泉首相の靖国参拝について遺憾の意を表明。

2003年1月17日

■イラクで化学兵器を搭載できる空の弾頭11個が発見されたことについて、フライシャー米大統領報道官は、「未申告の弾頭を保有していた事実は、やっかいで深刻な問題だ」と述べ、非難した。

■UNMOVICのブリクス委員長はイラクで見つかった11個の空の弾頭について、「空の弾頭は忘れられていたもの。良いことではないが、大量とも言えない」「(イラクの国連決議違反を証明する)決定的証拠ではない」と語った。

2003年1月18日

■「ブッシュを武装解除せよ」「政権交代は米国で」などのプラカードが掲げられ、アメリカのイラク攻撃に反対する集会・デモが全世界で取り組まれる。ワシントンで50万人、サンフランシスコ20万人、他に日本、アイルランド、エジプト、スペイン、アルゼンチン、南アフリカ、ヨルダン、ベルギー、シリア、香港、ロシア、ドイツ、イギリスなど、30カ国以上で協調して取り組まれた。

■カナダ紙グローブ・アンド・メールが18日公表した世論調査によると、米国と国際テロ組織のアルカイダのどちらが世界の平和にとって脅威かとの質問にたいし、米国との回答が36%でアルカイダの21%を上回った。

■朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の崔鎮洙・駐中国大使は北京の北朝鮮大使館で共同通信と単独インタビューに応じ、米国が@北朝鮮の自主権を認定A不可侵を確約B経済発展の障害を作らない、という対応をとれば、核問題を対話を通じて解決できると強調した。

2003年1月19日

■武力行使回避に向けイラク側に査察への徹底した協力を求めるため、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長がバグダットを訪問し、イラク当局者と会談。

2003年1月20日

■国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は20日、サーディー大統領顧問らイラク側高官との2日目の協議後、イラク側が文書の追加提出など査察へのさらなる協力を約束した共同声明を発表した。10項目に及ぶ声明によると、化学兵器を搭載できる空の弾頭が見つかるなど国連への申告漏れが指摘された問題で、イラク側はすすんで協議に応じるとし、弾頭についてすでに調査チームを編成、他に同様のケースがないか精査して報告すると約束した。

■第156回通常国会召集。

2003年1月21日

■国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長はイラクの大量破壊兵器に対する査察作業の完全な終了までにはさらに数ヶ月必要と表明。

■21日付の英紙ガーディアンが掲載した世論調査によるとイラクへの武力行使に賛成する意見は30%と同士が昨年8月に定期調査を始めて以来、最低水準に落ち込む一方、反対意見が47%に達した。

■ブッシュ大統領は21日、イラクでの大量破壊兵器をめぐる査察について「(フセイン大統領が)武装解除していないのは明らかだ。時間切れは近づきつつある。我々は武装解除させる意思を持つ国々の連合(軍)を率いる」と、対イラク攻撃開始の決断時期が近づきつつあるとの考えを表明した。

2003年1月22日

■フランスのシラク大統領は22日、ドイツのシュレーダー首相との会談後の記者会見で、イラク問題への対応について「戦争を回避するためのあらゆる手段がなされなければならない。ドイツとフランスは同じ判断を持っている」と述べ、戦争回避で意見が一致したことを明らかにした。

■サウジアラビアのニザル・マダニ外務次官は米国が計画する対イラク軍事作戦に参加しないとの立場を強調するとともに「国連安全保障理事会を通じて問題の解決をはかるべきだ」と述べ、ペルシャ湾岸への兵力増強などを進める米国の動きを牽制した。

■22日付の米紙ワシントン・ポストが掲載したABCテレビとの合同調査によると、ブッシュ大統領の対イラク軍事行動を支持すると答えた人は57%で、過半数を占めたものの、昨年2月の前回調査より5%下落。一方、不支持は41%で前回より6ポイント上昇。

2003年1月24日

■政府は24日、米国がイラク攻撃に踏み切った場合、内閣府に経済対策本部を設置する方針を固めた。

■ロシアのプーチン大統領と仏蘭西のシラク大統領は24日の電話会談でイラク情勢について武力ではなく政治解決を目指す方針を確認した。

2003年1月25日

全世界でインターネット障害発生。データーを破壊する動きはないが次の感染先を探すため大量のデーターをネットに発信する「ワーム」型のコンピューターウィルスが原因。3万9千台以上のコンピューターに被害が及んだと推定されている。

■イスラエル軍が戦車などでパレスチナ自治区のガザ地区に侵攻。非戦闘員を含むパレスチナ人少なくとも12人が死亡。65人が負傷。

■米誌ニューズウィークの世論調査によるとブッシュ大統領の不支持率が38%と大統領就任以来で最高になった。

ラムズフェルド米国防長官が22日「欧州全部が独仏のようだと思うのは間違い。あれは古くさい欧州だ」と発言したのを受け、仏独で閣僚やメディアが猛反発。仏のアリヨマリ国防相は「(米国は)思い通りにいかないたびにいらつく。しかし、それは自分の責任だ」と厳しく批判。ドイツでもフィッシャー外相が「長官に言いたいことは一つ。頭を冷やせだ」と述べた。また新聞各紙も「長官発言が明らかにしたことは。米国が同盟国・欧州の独立を認めていないことだ」(ルモンド)、「古いからなんだ?新しいならまともか」(フィガロ)、「米国の侮辱」(リベラシオン)などと社説や特集で一斉に批判した。

■英紙タイムズは英国の複数の大手生命保険会社が、対イラク戦に備えて湾岸地域に派遣された英軍兵士の保険を引き受けない方針を決めたと報じた。

2003年1月26日

■韓国北部の京畿道華城市で駐韓米軍第5偵察大隊所属の偵察機「AF80 U2」が墜落。周辺住民3人が負傷。パイロットは墜落前にパラシュートで脱出。

2003年1月27日

■国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は27日安全保障理事会の公式協議に出席してイラク査察の正式報告をした。ブリクス委員長はイラクがおおむね協力しているものの、積極的とまで言えないとしイラクが決議の定める「無制限」「無条件」「完全」な査察と協力には至っていないと厳しい評価を下した。

■名古屋高裁金沢支部は27日、もんじゅ設置許可を無効とする判決を出した。川崎和夫裁判長は「安全審査に重大な誤りがあった場合、放射性物質が原子炉の外に出る具体的危険性を否定できず、人間の生存が脅威にさらされる」と原子力行政より住民の安全を優先させる判断を示した。

2003年1月28日

■アセアン加盟国外相はブリュッセルでイラク問題などについて協議。フィリピンのオプレ外相によるとASEANは「イラク問題が平和的に解決されるよう強く希望する」ことで一致。

■ブッシュ米大統領28日、一般教書演説。イラクの大量破壊兵器問題について「独裁者は武装解除しておらず、世界を欺いている」都市、政権打倒に向け、武力行使に踏み切る決意を強調した。

■イスラエル総選挙でシャロン首相率いる右派政党リクードが圧勝。

2003年1月31日

■02年平均の完全失業率が前年比0、4%上昇し5、4%で調査開始以来最悪となった。完全失業者数は前年比19万人増の359万人。

■ブッシュ米大統領、ホワイトハウスでブレア英首相と会談、イラク武力行使回避に向けた外交努力は「数ヶ月でなく数週間の問題」との認識で一致。



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