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イラク攻撃、有事法制、イラク特措法成立以後の動き 2003年11月    ()(戻る


2003年11月

2003年11月1日

■イラク北部モスルの警察署前で爆発があり、車で通りかかった米兵2人が死亡5月1日以降の敵対行為による米兵の死者は計120人。

■ブッシュ大統領は1日のラジオ演説で「早すぎる撤退は、テロリストを勇気づけ、米国の危険を増す」「米国は犠牲者の死を無駄にしない」「戦い、勝つまでとどまる」と述べた。

■イラク北部サマラの南西約110キロで1日夜、バグダッドと北部キルクークを結ぶパイプラインが炎上。ティクリットでもパイプラインが炎上。

2003年11月2日

■2日、イラクの首都バグダッド西方で米軍の輸送ヘリコプター1機が武装勢力の地対空ミサイルに撃墜され米兵15人が死亡、21人が負傷。5月1日以降の米兵の死者は計135人。米軍ヘリの撃墜は3機目。

ラムズフェルド米国防長官は2日イラクで起きた米軍ヘリ撃墜にいて「悲劇的な日だ」と述べると共に「今後もこういう日はある」としてテロとの戦いの継続を言明。また「テロに対してはまっているだけではダメで、こちらから攻撃に出る必要がある」、米軍は「犠牲者を大幅に上回る敵を殺害し、捕らえている」とも述べた。

■アフガニスタン現地で医療活動などを続ける非政府組織(NGO)「ペシャワール会」がアフガニスタン、クナール川からの取水口建設のため爆薬で岩盤を砕く作業をしていたところ、上空を旋回していた米軍ヘリ5機のうち2機から数分間にわたり機銃射撃を受ける。現場や周辺には中村医師ら邦人2人の他現地スタッフ約20人と作業員約600人がいた。現地では、反政府ゲリラによる米軍や政府機関などへの襲撃が激化しており、米軍は地上での移動を極力避けることを強いられているとのこと。(11月12日報道される)

2003年11月3日

■拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は衆院立候補者を対象にアンケートを実施、3日東京都内で結果を公表。回答した975人(回答率84、2%)の92、8%が「拉致はテロ」と答えたが、経済制裁を可能にする法整備については「賛成」が50%台で、政党によって意見が割れた。

■イラクの首都バグダッド西方のファルージャで2日駐留米軍と契約している米国人の車が道路沿いに仕掛けられた地雷で爆破され、米国の民間人2人が死亡。また同日バグダッドでも爆発があり米兵1人が死亡。また米CNNテレビは2日の米軍ヘリの撃墜で米兵の死者が16人と報道。2日夜のファルージャでの米軍と反米勢力の銃撃戦に巻き込まれ、11歳の少年が死亡。北部キルクークでは住宅地への迫撃砲とみられる攻撃でイラク人2人が死亡、6人が負傷。さらに3日朝には首都北東のバクバで道路沿いの爆弾がバスを直撃しイラク人男性1人が死亡

アフガニスタン北東部のコナル州、ヌリスタン地方で「民家が空爆を受け8人が死亡、16人が負傷」との報道。飛行機の機種やどこから飛来したのかは不明。

2003年11月4日

スペインのパラシオ外相は4日、イラク治安情勢の悪化を理由に、バグダッドから代理大使以外の駐在外交官を一時的に本国に引き揚げさせたことを明らかにした。スペインはイラク戦争開戦前から米国支持を鮮明に打ち出していた同盟国。スペインは現在多国籍軍の一員とし1250人を派遣している。

■イラクに復興支援部隊を派遣しているタイ軍が、緊急事態に備えた部隊の撤収計画を作成し始めたことが4日明らかになった。ソムタット国軍司令官が関係部局に命じた。同司令官は「緊急事態のみ」と強調し「判断は政府が行う」とも述べた。タイはイラク中部の都市カルバラに約450人駐留。カルバラでは3日夕、3人が死亡する爆発があった。

イラク・バグダッドの路上で4日、米兵らが爆弾による攻撃を受け1人が死亡、2人が負傷。

イラク・バグダッドで4日夜、駐留米軍の司令部のある地区に少なくとも3発の砲弾が撃ち込まれた。連合軍暫定当局(CPA)に所属する3人を含む4人が負傷。

2003年11月5日

■タイ上院議員65人が5日、イラク中部の都市カルバラに派遣している約450人のタイ軍の復興支援部隊を撤退させるよう求める文書に署名し、タクシン首相に提出。上院では外交委員会も10月28日、即時撤退を政府に求めている。

防衛庁は5日、陸上自衛隊のイラク派遣に必要な物品調達のための入札を行った。先月31日に続いて2回目の入札で政府の派遣決定がないまま、準備だけがなし崩しのうちに進んでいる。入札は派遣用と明記された特殊作業手袋39組、下着に当たる防暑下衣156組など。11月21日に陸自関東補給処松戸支処に納品する分と12月10日に北海道補給処に納品する分。石破防衛庁長官はブッシュ大統領が来日した10月17日陸海空幕僚長に口頭で準備を指示。派遣部隊は北海道旭川市の北部方面隊第2師団が主力となる。

■政府は5日、来年の通常国会提出をめざす有事の際の国民保護法制について、外国からの攻撃で火災などの大規模災害に見舞われた場合、住民に「退避」を指示する権限を都道府県知事に与える方針を固めた。また有事の際に国への協力を求められる「指定公共機関」に日航や全日空など民間航空会社を含めることにした。(国民保護法制=日本が外国から武力攻撃を受けるなど「有事」の際に住民の避難や救援をはじめ国や地方自治体の役割を具体的に定める法律)

■政府は5日、イラク復興支援の検討を本格化するため内閣府に設置せいているイラク復興支援担当室(内閣官房イラク復興支援推進室を兼務)の体制を強化することを正式に決定。同日付で24人を増員し、支援担当室野人員は31人となった。

■米国のラムズフェルド国防長官が14日から3日間の日程で来日することが5日、固まった。

■スリランカのクマラトゥンガ大統領は5日、国内全土に非常事態宣言を発令。期間中は治安部隊による逮捕状なしの身柄拘束などが可能となる。

■トヨタ自動車は5日、2003年9月中間連結決算(米国会計基準)を発表。売上高は前年同期比8、0%増の8兆2242億円、本業のもうけを示す営業利益が12、1%増の7677億円。

2003年11月6日

イラク・バグダッド南東のムサイブ近郊で6日、ポーランド軍の車列が攻撃を受け、撃たれた兵士1人が死亡。ポーランド兵が攻撃を受けたのは初めて。

政府は国際社会へのアピール度が高いとの理由で6日、イラク復興支援特別措置法に基づく人道支援で、治安が悪化している首都バグダッドに自衛隊以外の公務員、民間技術者や医療関係者からなる文民を派遣する方向で調整に入った。バグダッド市内での活動には米英軍の警護を要請するとのこと。バグダッドは米軍や各国政府機関、援助団体へのテロで極度に治安が悪化しており改善の見通しは立っていない。

イラク中部のナジャフ州のマハディ知事は6日、米軍が主導するイラク駐留軍の治安政策に抗議し辞意を表明。知事に近い複数の筋は7日、州行政府への大幅な権限移譲を軍政当局に求めるデモを8日、ナジャフで実施する予定を明らかにした。

2003年11月7日

イラク北部のティクリット近郊で7日、飛行中の米軍ヘリコプター「UH60ブラックホーク」がロケット弾攻撃で撃墜され米兵6人が死亡。

イラク北部の都市モスルで米軍の車列が攻撃を受け米兵1人が死亡、6人が負傷。ほかにも米兵3人が地雷で負傷。

トルコ政府は7日、先に国会で承認されたイラクへの軍派遣を見合わせ、当面派遣しない方針を固めたもよう。

イスラエル軍は6日から7日にかけ、ガザ地区で武装したパレスチナ人3人を射殺。また戦車の砲撃でパレスチナ人少年1人が死亡。

ラムズフェルド米国防長官は来年1月から米軍部隊約12万8千人をイラクに順次派遣し、現在展開中の部隊約13万人と交代させる方針を明らかにした。交代要員として州兵や予備役を投入、5月までに10万5千人規模に縮小させる見通し。

■ブッシュ大統領は、総額875億ドル(約9兆6千億円)のイラク関連追加歳出法案に署名し、米軍の駐留経費など軍事費647億ドルを盛り込んだ史上最大規模の補正予算が成立した。復興費186億ドルは無償供与。

米軍、7日夜、イラク・ティクリット近郊で爆撃機から少なくとも3発の爆弾を投下し、迫撃砲による砲撃を加えた。またティクリット周辺で米軍に発砲したイラク人など計5人を殺害。

2003年11月8日

赤十字国際委員会(ICRC)は8日、イラクの首都バグダッドと南部バスラの計2事務所の一時閉鎖を決定したと発表。ICRCスポークスマンは一時閉鎖の理由について現地の治安が「極めて危険な状況にあるためだ」と語った。またスポークスマンは要員の安全確保について「われわれは事務所や要員を軍隊に守ってもらうことはできない」。中立を維持するためにも米軍による事務所の護衛を要請するつもりはないと言明。しかし北部の事務所は活動を続ける。

米軍、イラク・ティクリット周辺で大規模な掃討作戦を展開。戦車を投入し、米軍に敵対する武装勢力の隠れ家とみられる建物などを破壊。

■イラク・バグダッド西方のファルージャで8日、米軍の車両が道路沿いに仕掛けられた爆弾に爆破され米兵2人が死亡、1人が負傷。

2003年11月9日

■第43回衆院選投票日。

■9日、サウジアラビアの首都リヤドの西近郊の住宅地で自爆テロとみられる爆発で子ども5人を含む17人が死亡、120人以上が負傷。

■9日、イラク・バグダッド南方50キロの地点でロケット砲攻撃で米第8憲兵旅団所属の兵士1人が死亡

2003年11月10日

■第43回衆院選の開票結果がでる。自民237、民主177、公明34、共産9、社民6、保守新4、無所会1、自由連1、諸派0、無所属11、計480。自民党は解散時議席247議席ばかりでなく単独過半数の241議席にも届かなかった。しかし、自民、公明、保守新の与党3党で絶対安定多数の269議席を確保。民主党は解散時の137議席を大幅に伸ばした。投票率59.73%、前回の62.49%を下回った。保守新党は自民党に合流することを決定。

■自公保、与党3党は首相指名特別国会を19日に招集することを決定。自衛隊のイラク派遣問題などの審議は行わない方針。

■イラク・バグダッドの駐留米軍は10日までに、10月にウルフォイッツ米国防副長官が滞在中のアルラシードホテルがロケット弾攻撃を受けた事件に関連しイラク人35人を逮捕。また、連合軍暫定当局のブレマー文民行政官は駐留米軍がこの2、3日で米兵攻撃などの容疑でイラク人計140人を逮捕したと語った。

ラムズフェルド米国防長官は10日、ワシントン市内で会見し、イラクの治安状況について「衝突の90%が中部のバグダッドやティクリットで起きている」と述べ、日本政府が文民派遣予定のバグダット周辺は極めて危険との見解を示した。

2003年11月11日

■自衛隊のイラク派遣を検討している防衛庁は米英軍の共同統合任務部隊司令部(CJTF7)との調整役に複数の幹部自衛官をバグダッドに常駐させる方針を固めたとの報道。派遣される自衛官はイラク南部のサマワで活動する予定の陸上自衛隊の活動内容や、隣国クウェートを本拠地にバグダッドや南部バスラへ米英軍物資を空輸する航空自衛隊のC130輸送機の運航について米英軍と調整する。責任者となる二等陸佐を筆頭に、統合幕僚会議や陸海空自衛隊から合計一〇人程度の幹部を派遣するほか、防衛庁内局からも複数の職員を派遣するとのこと。イラク復興支援特別措置法は、活動地域を「戦闘が行われていない地域」に限定しているため、特別国会後に閣議決定される基本計画ではバグダッドを「非戦闘地域」と認定しなければ、派遣できない。

■イラク南部のバスラで路上に仕掛けられた爆弾が爆発、イラク市民4人が死亡、3人が負傷。

■イラク駐留米軍のサンチェス司令官は11日、テロ組織アルカイダに関係しているとして約20人を拘束したことを明らかにした。アルカイダに所属しているかどうかは不明。

韓国の盧武鉉大統領は11日の安保関係閣僚会議で、イラクへの追加派遣部隊の規模について、当初予定していた3千人を超えないよう指示。(13日、スポークスマンが発表)

2003年11月12日

イラク南部ナシリヤの駐留イタリア警察軍司令部のビルに12日、爆弾を積んだトラックが突っ込み自爆イタリア人兵士15人と民間人2人の計17人が死亡。ロイター通信によると、このほかにイラク人8人が死亡、80人以上がけがをした。カイロ・アメリカン大学のワリード・カゼーハ教授(政治学)は、今回のテロについて「抵抗勢力は意図的にイタリアを標的とした。(ドイツやフランスなど)他の欧州主要国と違って、米英軍に協力的な立場をとってきたからだ」と指摘。その上で「日本などが米軍の傘下で部隊を派遣するなら、標的にされるだろう」と語った。イタリアの最大野党・左翼民主党のピエトロ・フォレ議員は「兵士らはイラクの炎の中に送り込まれたが、それは政府がただブッシュ政権に気に入られようとして危険を考慮しなかったからだ」と批判し、他の野党もただちにイラクからのイタリア兵士らの撤退を求めた。

■12日、イラク・バグダッドで米軍車両が仕掛け爆弾による攻撃を受け兵士1人が死亡、1人が負傷。

福田康夫官房長官は12日の記者会見で、「(自衛隊を)年内に派遣するという考えはしっかり持っている」と強調。

■ポーランド国防相のゼムケ副大臣は12日イラク中南部の治安維持のため国際治安部隊に加わっているポーランド軍について「2005年には撤退することになるだろう」との見通しを明らかにした。

■イラク・バグダッドで米軍がイラク統治評議会のメンバーでイスラム教シーア派の聖職者モハマド・バハル・アルウルーム師の車に発砲、運転手が負傷。

2003年11月13日

■アメリカのCNNテレビなどが米中央情報局(CIA)が「イラク情勢は急速に悪化している」とする最新報告をまとめたと報じたとの報道。

■ブッシュ大統領は13日、「イラク人にもっと国政に関与してもらいたい」と述べ、悪化するイラク情勢に対応し、暫定政権の樹立など早期の主権移譲を目指すことを確認した。

■イラク北部・キルクークと首都西方のファルージャで、13日、米軍車列への爆弾攻撃があり、兵士計3人が負傷

2003年11月14日

ラムズフェルド米国防長官が来日小泉首相と会談。首相は、イラク情勢について「決して楽観を許さない厳しい状況が続いている」と述べ、政府方針だった自衛隊の年内派遣にこだわらない意向を表明。また、イラク復興について「日本としてできるだけのことはやるつもりだ。米国の同盟国として貢献したい」と強調。これに対しラムズフェルド国防長官は「ブッシュ大統領は絶対やり遂げる決意だ」と治安改善に全力を挙げる意向を表明。日本の総額50億ドル(約5500億円)の資金拠出について「寛大な資金協力をすることでリーダーシップを示した」と高く評価。また「イラク国民の圧倒的多数派フセイン前政権からの解放を喜んでいる。数千人だけが不満を持っている」と米側の行動の正当性を強調。

防衛庁首脳は14日、イラクへの自衛隊派遣に関連し、現時点ではイラク全土が自衛隊の活動が可能となる「非戦闘地域」に当たるととの考えを示した。同首脳は「戦闘地域でも危険ではないところはあり、非戦闘地域でも危険なところがある。米軍やイタリア軍へのテロはだれが行ったかわかっておらず、『国又は国に準ずるものによる組織的な攻撃』としての戦闘行為が行われているとは言えない」と述べ、イラクでのテロは戦闘には当たらないと強調。

イラク南部で14日、ポルトガル治安部隊の取材に向かっていたポルトガル人記者の車列が襲われ、テレビ局の女性記者1人が負傷、ラジオ局の男性リポーター1人が誘拐された。

■イラク・バグダッド北方サマラで米軍の車列がロケット弾で攻撃され、米兵2人が死亡、3人が負傷

アフガニスタン北東部コナル州のアサダバードで14日、米軍車両が爆破され米特殊部隊の兵士1人が死亡、1人が負傷。コナル州知事はこれに対し、付近で米軍車両が地雷を踏んで米兵3人が死亡と語っている。

タイ上院外交委員会のクライサック委員長は14日までに中日新聞とのインタビューで「標的が米軍以外に広がっているのは明らか」、日本の自衛隊派遣も「今回の派遣で、日本がある勢力なり人々から敵意を持たれれば、せっかくの地位を失いかねない」と憂慮。

2003年11月15日

自衛隊制服組の専門調査団がイラクへ出発。

■イラク北部の都市モスルで15日夕(日本時間16日未明)米軍の武装ヘリ2機がゲリラによる攻撃を受け住宅街に墜落。搭乗していた兵士17人が死亡、5人が負傷。ゲリラに撃墜された米軍ヘリは10月以来5機目。ヘリ撃墜による死者は39人。地上の住民に死傷者が出ているかは不明

■15日、トルコ最大の都市イスタンブールでユダヤ教会堂2カ所の前でほぼ同時に爆発があり、少なくとも20人が死亡、250人以上が負傷。

■イラク・サマワの連合軍暫定当局(CPA)サマワ事務所へのテロを予告した脅迫状が、米兵が滞在するCPA事務所のほか、サマワに駐留するオランダ軍兵士の殺害も予告していたことが15日分かった。脅迫状が本物とすれば、サマワの駐留外国軍兵士すべてを標的にしていることになる。自衛隊の派遣候補地であるサマワ当局はテロ発生に対する警戒を強めている。

■15日、イラク・バグダッドで走行中の2台の米軍車両近くで爆弾が爆発、米兵1人が死亡、2人が負傷。米軍は12日から武装勢力掃討作戦を展開している。

イラク派遣の準備を進めている陸上自衛隊は第一陣となる北部方面第2師団を中心とする派遣要員約500人の選考を終え、本人に伝えた。また、自衛官10人前後が含まれているとの報道。派遣部隊は、第2師団を中心に編成される施設、輸送、給水、医療、本部管理の各中隊のほか、防衛庁長官直轄の自衛隊中央病院から派遣する医官、看護官や警備隊も含まれる。部隊の名称は決まっていないが、大隊規模になり指揮官には一等陸佐をあてるとの報道。

■アフガニスタンで、医療活動などを続ける非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の中村哲医師は15日、中日新聞の取材でイラクへの自衛隊派遣の動きに対しアフガンでも反日感情が起きていると指摘し「派遣すれば、日本人全体がテロの標的になる」と強く警告した。また、「米軍に加担する日本の姿勢にアフガンでも親日感情は崩れている」と話し、同会は「“仲間”とみられたら危険」として来月から車両や建物の日の丸や「JAPAN」の文字を消すという。また中村医師は「日本政府も国民も自衛隊派遣が引き起こす事態の深刻さが分かっていない」と指摘。「米兵が殺されても世界は驚かないのでテロリストはことさら日本人を選んで攻撃するだろう。非常に大きなショックや揺さぶりを与えられるから」と語った。また、自衛隊派遣について「もし(自衛隊が)アフガニスタンに来るようなことがあったら、私たちは退去する」と断言した。

■社民党は辞任を表明した土井たか子党首の後任に福島瑞穂幹事長を選出。

イラク南部ナシリヤの自爆テロで死亡した駐留イタリア軍兵士16人と民間人2人の遺体が15日、ローマ郊外のチャンピーノ空港に特別機で悲しみの帰国をした。

■イラク南部で14日武装集団に誘拐されたポルトガル人男性記者が15日無事解放された。身代金を払ったかどうかは不明。

2003年11月16日

アフガニスタン南東部ガズニ州で16日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフランス人女性職員ベティナ・ゴアラさん(29)が2人組の男に銃撃され死亡。旧タリバン政権の崩壊以降、アフガニスタンで国連職員が射殺されたのは初めて。

政府は16日、日米で共同研究している次世代型の弾道ミサイル迎撃システムの開発に支障があるとして対米技術供与を除き武器輸出を事実上全面禁止する「武器輸出3原則」の緩和を検討する方針を固めた。日本の技術を米国が日本以外の第三国に輸出・供与する場合、三原則がじゃまになるため。

■訪日中のラムズフェルド米国防長官は16日、イラク統治評議会が暫定政権を来年6月までに樹立する計画を発表したことについて「統治評議会が描いているスケジュールはイラクの統治に関連するものであって、治安は別の問題だ」として占領統治の終結以降も米軍がイラク駐留を続ける意向を表明。

岡本行夫首相補佐官は16日のテレビ朝日の番組などで、イラクへの自衛隊派遣について「テロリストに抑止体制を見せ(攻撃すれば)必ず反撃されると(の認識を)徹底すれば危険も減る」と述べ派遣部隊は重武装などで抑止力を強める必要があるとの考えを示した。また、「国内的に世論の反対の中で行けば余計にテロリストが狙う。国民の祝福を受けてと甘いことは言わないが、理解してもらっていかねばならない」と述べた。

アラブ圏紙アルハヤトは16日、「本当の戦争が始まった」というタイトルの論説を掲載。その中で、「(フセイン)元大統領への求心力が再びイラク国民の中で高まり始めている」と指摘。また、同紙は政権末期のフセイン元大統領の「米軍をゲリラ戦におびき寄せる。このゲリラ戦は長期にわたり、米軍を疲弊させるだろう。すでに計画と具体的な準備は完了している」との言葉を引用し、論説で「当時は誰にも相手にされなかった言葉が、最近のゲリラ戦の“戦果”によって現実味を帯び始めている」と指摘。「この言葉の現実味が増すことにより、実際に一般国民のレベルで多くの支援者が旧政権勢力に集まりはじめ、米軍を撃退できるのではないかという空気さえ広がり始めている」と論評した。

■北朝鮮の外務省スポークスマンは16日、核問題をめぐる次回6カ国協議に関連し「何度も言明したように、米国の(北朝鮮に対する)敵視政策が根本的に撤回され脅威が実践的に除去される段階になれば、われわれも米国が憂慮する核計画を実際に放棄する用意がある」と述べ核開発放棄は米国による「安全保障」と同時に行う考えを強調した。

■米軍は16日、イラク北部の拠点をたたく、衛星誘導ミサイルを発射。

2003年11月17日

アフガニスタンの東部パクティカ州で17日、米軍の空爆でアフガン人6人が死亡した。

■ラムズフェルド米国防長官は17日、韓国の盧武鉉大統領とイラクへの追加派兵問題で会談。

■パウエル米国務長官は17日、イラク復興で早期の権限移譲計画が決まったことに関して「国連が活発な役割を担えないか探る時に来ている」として、イラクにおける国連の役割拡大を容認する方針を示唆。

2003年11月18日

■ブッシュ大統領が英国訪問。

■イラク、バグダッドの日本大使館の建物に向けて銃弾が発砲されイラク警備員が応戦。大使館を狙った犯行とみられる。

■イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊のイラク派遣に備えた専門調査団が18日、イラク南部サマワに駐留するオランダ軍のキャンプ・スミッティに到着、近郊ナシリヤで起きた自爆テロの情報収集を含め、現地の治安状況を中心に本格的調査を開始した。調査団は10日間から2週間程度イラクに滞在する見込み。調査結果は政府の自衛隊派遣時期毛艇に大きな影響を及ぼす。

■べーカー駐日大使が2005年日本国際博覧会に米国として参加する意向を伝える手紙を川口順子外相に送っていたことが分かった。

■フィリピンのアロヨ大統領はイラク戦後復興支援チームとして医師や国軍兵士に関し「治安状況を検討しながら選択肢を考えていく。国民の安全確保のため、流動的状況から必要となれば、速やかに撤退させる」との考えを明らかにした。

■アフガニスタン東部ガズニで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフランス人女性職員が16日、殺された事件を受け、国連はアフガン東部、南東部、南部での活動を停止した。イラクでも北部を除き外国人要員を退去させている。

2003年11月19日

■第158回特別国会が召集される、首相指名が行われる。第2次小泉内閣が正式発足。特別国会では、イラクへの自衛隊派遣、年金改革などが焦点。

■18日起きた在イラク日本大使館周辺での発砲事件について、アルサワル政治週刊誌(エジプト)のハムディ・レスカ副編集長は今回の事件について「軍派遣に対する威嚇のメッセージだろう。イスラム過激派を名乗る最近の声明からも、反米勢力が日本の軍派遣に注目しているのは明らかだ」と分析したとの報道。

■米軍は19日、ペルシャ湾に展開する空母の艦載機でキルクーク付近などを空爆。

イラク南部の北西約150キロのカルバラに駐留しているタイ軍の駐留キャンプ地の近くで迫撃砲が2、3発爆発。

■河野洋平衆院議長は19日の就任記者会見で「新しい議員に、戦争、戦後の苦しい経験を持つ人たちの気持ちをつなぐ架け橋にならなければいけない」と宣言。イラクへの自衛隊派遣問題では、政府に説明責任を果たすよう注文を付けた。

2003年11月20日

■ブレア英首相とブッシュ米大統領がロンドンで会談。「よりよい世界のための効果的な多国間主義」と名付けた共同声明を発表。声明は米英同盟の結束をたたえ、世界的諸課題に対処するため民主主義国は国際機関を活性化する責任を負っているとしているとし、具体的には大量破壊兵器の拡散問題で、イランと北朝鮮の「危険な核開発」への対応を強化する必要があると指摘。そのほか@中東の民主化Aテロとの戦いBエイズ抑止C解放された貿易体制の推進−などでも協力を呼びかけている。

トルコのイスタンブールで20日、英国領事館と英大手銀行HSBCのトルコ本店ビルを狙った連続爆弾テロがあり、少なくとも26人が死亡、450人以上が負傷。ロジャー・ショート同総領事館が死亡。アルカイダが犯行声明を出したとの報道もある。この日の米英首脳会談に合わせたテロとみられている。

■イラクで19日夜から20日にかけて北部キルクークのクルド人事務所など2カ所で爆弾テロがあり計6人以上が死亡した。

■ブレア英首相は20日の首脳会談後に記者会見し、イスタンブールで発生したテロに関連し「テロリストは無差別に無実の人を襲う悪魔」と表現。ブッシュ大統領は「テロリストの本性があらためて露呈した。自由が尊ばれる国々を嫌がっているのだ」と表現。

■福田康夫官房長官は20日の記者会見でイラクへの自衛隊派遣に向け現地で活動中の専門調査団について、「状況をよく把握する意味では、人が(常に)行っているのが一番いい。できるだけのことをすべきだ」と述べ、調査団の一部は帰国せず、現地に常駐する方向で検討していることを明らかにした。

■中部電力は20日、定期検査中の浜岡原発1号機の炉心隔壁(シュラウド)株の溶接部分に、60カ所のひび割れが見つかったと発表。

■イランの核開発問題を協議する国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が20日、ウィーンの本部で始まる。ウラン濃縮やプルトニウム抽出などの核燃料計画が判明したイランを非難しIAEAへの協力を求める決議を採択する見通し。

2003年11月21日

アルカイダは21日サウジアラビア紙アルマジャラにメッセージを寄せ、トルコのイスタンブールで20日に起きた同時爆弾テロについて犯行を認めた。AFP通信が入手したメッセージは「アルカイダと世界中の協力者が二つの迅速な攻撃を実行した」「米国と日本で新たな作戦が行われる」と警告。また、アルカイダのスポークスマンを名乗るアブモハメド・アルアブラジの名で送られてきたメッセージは「日本の最初の兵士がイラクの土を踏んだ瞬間に、アルカイダは東京の最中心部を攻撃する。日本がわれわれの真の能力を知るのはその時だ」と予告。さらに、日本は「極めて破壊されやすく、日本人は、その現実を知っている」と強調した。

■政府は21日、「国民保護法案」の要旨をまとめた。要旨では、有事における国民の非難・救援措置が大規模テロでも準用される方針が盛り込まれた。野党側は「国民の権利が不当に制限される恐れがある」と警戒している。

■自民党は21日、北朝鮮への経済制裁を可能にする関連法案を来年の通常国会に提出し成立を目指す方針を固めた。安部晋三幹事長が北朝鮮による拉致被害者「家族会」のメンバーに会い「(経済制裁関連の)法案を通したい」と伝えた。

■21日付、英主要各紙の多くはトルコ・イスタンブールの同時テロについて「ブレア首相のブッシュ外交の帰結」「イラク戦争に参戦した罰」などと米国との同盟関係を最重要視する首相の姿勢を厳しく追及する論調を掲げた。ガーディアン紙は、「長い間、英国が大きな被害を免れていたのが不思議なぐらい」「テロも大規模デモもすべて首相自身の判断が招いた直接の結果」と指摘。またインディペンデント紙は「ブッシュの『テロとの戦い』につきあった高い代償」と論評。タイムズ紙は「西欧の価値観でイスラム諸国やパレスチナに干渉した代償をトルコが支払わされた」と分析。

イラクの首都バグダッド中心部のパレスチナホテルなど3カ所に21日、相次いでロケット弾が撃ち込まれた。少なくとも2人が負傷。ホテル内には日本を含む各国メディアの支局や米国企業の事務所などが設置されていた。ロケット弾はロバが引く荷車から発射され、パレスチナホテルの15、16階に少なくとも3発が着弾。またイラク復興を担う石油相ビルにも数発のロケット弾が撃ち込まれ炎上。イタリア大使館付近でも同様の荷車が発見されている。

■イラク駐留米軍は旧フセイン政権下のイラクでナンバー2だったイブラヒム元革命指導評議会副議長の殺害や拘束につながる情報提供者に、1千万ドル(約11億円)の懸賞金を出すと発表した。米軍当局は最近、頻発する米軍襲撃の背後にイグラヒム氏がいるとの見方を強めているとの報道。

2003年11月22日

■イラクの首都バグダッドで22日、連続自爆テロ。イラク人警官ら少なくとも計18人が死亡した。

■バグダッド国際空港で22日、国際宅配便DHL社の輸送機がミサイル攻撃を受け緊急着陸。DHLはベルギーに本社があるドイツ系の空輸会社で、220カ国に17万人の従業員がいる。

■小泉首相は22日、東京・北の丸公園の日本武道館で開かれた「自衛隊音楽まつり」を鑑賞。小泉首相が音楽祭りに参加するのは初めて。

■アフガニスタンの首都カブールのインターコンチネンタル・ホテル敷地内で大きな爆発。

■イラク北部・キルクークにある国営北部石油会社の所有する建物に22日複数のロケット弾が撃ち込まれ、兵士を含む米国人4人とイラク人の計7人が負傷。

■イスラエル・エルサレム東部でイスラエルが建設中の分離フェンス建設現場で22日、イスラエル人の警備員2人が武装グループに銃撃され、まもなく死亡した。

2003年11月23日

■レバノンのイスラム教シーア派政党「ヒズボラ」のモハマド・ラード議員団長はインタビューでイラク占領など米国の強引な中東政策が地域の安定を脅かしたとの認識を強調。イラクへの自衛隊派遣問題について「米国の傘下で派兵するのでなく、米主導を国連主導に切り替えるように本が積極的な役割を果たすことを、アラブは望んでいる」と語ったとの報道。

■グルジア議会選挙をめぐる混乱の責任をとり23日、シュワルナゼ大統領が辞表に署名。大統領は、野党勢力が選挙している議会などを明け渡す条件付で「(2005年の)大統領選の前倒しや、議会選のやり直しを含むすべての問題を協議する用意がある」と表明していた。野党勢力は大統領府も占拠し無血の「ビロード革命」達成を宣言。

■中国共産党の中央たいがい連絡部当局者は23日、日中関係者との会談で、北朝鮮の核開発問題をめぐる次回6カ国協議について「12月17日から19日まで(北京)で開かれることでほぼ固まった」と明らかにした。

■イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の現地派遣をめぐり、防衛庁内で陸上自衛隊に先立ち、航空自衛隊を派遣し輸送業務に当たる案が再浮上してきた。防衛庁首脳が23日、「選択肢の一つ」と明らかにした。検討されているのはクェートに拠点を置き、空自のC130輸送機でバグダッド国際空港やイラク南部の複数の空港に治安維持に当たっている米軍向けの支援物資を運ぶ業務。また、人道・復興支援の側面を打ち出すために、医薬品や食糧の輸送も積極的に行う方向で米側と調整する考え。C130は空自小牧基地所属で、当初から年内派遣を念頭に準備を続けている。また同機は熱源を発出して赤外線誘導のミサイルを回避する「フレア」などを装備しており、防衛庁首脳は「ミサイルに対する安全確保は可能だ」との認識を示している。

■アフガニスタン、カブールで23日、未払いの給料支給を求めてデモを行っていた元兵士ら数百人のうち一部が暴徒化し国防省に乱入。警備隊と銃撃戦となり、デモ参加者1人が死亡、双方で6人が負傷。

■イラク北部のモスルとバクバで23日、反米勢力による米兵を狙った攻撃が相次ぎ、米兵計3人が死亡、2人が負傷。モスルでは米兵2人が何者かにのどを切り裂かれて殺された。バクバでは走行中の米軍車両が通過中に爆発があった。

■アフガニスタンの首都カブール郊外のバグラム空軍基地近くで23日、米軍ヘリコプターが墜落、少なくとも米兵5人が死亡、7人が負傷。

2003年11月24日

■日本国内で罪をおかした米兵容疑者の取扱をめぐる日米両政府の協議で、日本の警察が現行犯逮捕した米兵の取り調べにも、米国側が米政府関係者の立ち会いを求めていることが分かったとの報道。

■ブッシュ大統領は24日、総額4千10億ドル(約44兆円)の国防予算を盛り込んだ国防権限法案に署名し同法が成立。これまで禁止していた小型核兵器の研究を容認したうえ、ミサイル防衛(MD)の初期配備に向けて関連予算を約20%増額した。

■イラク南部サマワに駐留するオランダ軍当局者は24日、自衛隊のイラク派遣準備のためサマワに滞在していた日本の専門調査団の全員が同日、サマワ周辺での治安状況などの調査を終え、帰国の途についてことを明らかにした。

■自衛隊のイラク派遣をめぐり、日本政府が物資の空輸にあたるC130輸送機の派遣先として交渉した中東のカタール政府が、派遣隊員の刑事責任の扱いなどを定める「地位協定」の内容を秘密扱いとし、対外的に公表しないよう求めていたことが分かったとの報道。日本側は「内容を秘密扱いとした協定は過去に例がない」(外務省筋)として拒否、地位協定の締結交渉は事実上、決裂。先月20−22日航空自衛隊のトップである津曲義光航空幕僚長らがカタールを訪問したが、同国政府が秘密協定を求めたことや、イスラム教の戒律が厳格で刑罰内容が折り合わなかったことなどもあり、物別れに終わった。

■24日付、米保守系ワシントン・タイムズ紙は、在韓米軍の一部をイラクやアフガニスタンに再配置すると共に、ソウルにある在韓国軍司令部の米軍要員約7千人を1年以内に配置換えする方針だと報じたとの報道。

■イラク北部の都市モスルで23日殺害された米兵2人は襲撃された後、群衆にコンクリート片で顔を殴打され足などを切断されていたことが分かったとの報道。

■24日、イギリスを訪問中のフランスのシラク大統領は記者会見で米英が来年6月までにイラク人に主権を返還する方針に転換したことについて「前向きだが、時間がかかりすぎ。不十分だ」と述べ、一定の評価をしつつも不満を示した。

2003年11月25日

■小泉首相は25日の衆院予算委の質疑で自衛隊のイラク派兵について「(今年中の派遣は)無理だと断定する状況にない。対米協力、国際協調、日本の国益も考えて人的貢献もしたい」と述べた。またイラク派遣する自衛隊は標的になるとの指摘に「派遣した部隊を標的にするテロリストの動きは出てくる。しかし、安全面に十分配慮すれば、そこは戦闘地域にはならない場合がある」とし、危険地域も米軍の警護があれば非戦闘地域になり得るとの判断を示した。また、自民党が北朝鮮への経済制裁を叶にする法案の提出を目指していることに関連し「経済制裁は現時点では考えていないが(北朝鮮が)この状況を悪化させれば、今後検討しないといけない」と述べた。

■国連食料農業機関(FAO、本部ローマ)は25日、1999−2001年の世界の飢餓(栄養不良)人口は95−97年比で1800万人増加して8億4200万人に達し、国際社会の「飢餓との戦い」は後退しているとする2003年次報告を発表した。

■岐阜県は25日、武力攻撃事態を想定し、県民の声明・身体・財産を守る立場で作成した県独自の「県民保護対策の手引き」を公表した。鳥取県がすでに有事の際の「住民非難マニュアル」を作成したが体系的な手引きは全国初。原稿法制上では困難な「緊急時、知事が自衛隊を指揮監督下に置く」との文言が盛り込まれた。

2003年11月26日

■イラクへの自衛隊派遣を検討している防衛庁は、現地に送り込んだ陸上自衛隊による専門調査団約10人のうち、幹部2人を南部のバスラに残す方針を固めた。防衛庁は部隊の派遣時、米英軍による共同統合任務部隊司令部(CJTF7)などとの調整のため、バグダッドとバスラに連絡幹部を常駐させる方針。すでにバグダッドの日本大使館では陸自の幹部2人が今月から常駐を始めているとの報道。

■国際原子力機関(IAEA)定例理事会は26日、イランが長年、未申告でウラン濃縮やプルトニウム抽出を進めたことに対し「最大限に深刻な懸念」を表明するとともに、今後は、保障措置(核査察)協定の文言と精神を固守するよう求めた英仏独提出の決議を全会一致で採択した。

■25日に引き続き、26日行われた衆院予算委員会で小泉首相は「米英軍が手を引いたらどうなるか。『米軍は帰れ』とのテロリストの声に乗れば、困るのはイラク国民だ」との認識を示した。また川口外相は「米国追随と言われるが、日米協調は日本の国益から出ているものだ。独仏は米国と軸を変えて意見を言うが、米国の側に立って米国にアドバイスするのがわが国の立場。そうして初めて小泉首相の声がブッシュ大統領や米国に聞いてもらえ、実際に役立つことになる」と答弁。

■26日、石破茂防衛庁長官は防衛庁で韓国の゙永吉国防相と会談し、北朝鮮の核開発問題解決のため、外交努力に加え「圧力が大切だ」と強調。これに対し、国防相は「忍耐をもって北朝鮮が軍事的に間違った判断をしないよう抑止していくことが重要だ」と指摘し冷静な対処が必要だとの考えを伝えた。また弾道ミサイル防衛について北朝鮮を念頭に「脅しに屈しないために必要だ」と述べた。

■中部電力は26日、調整運転中の浜岡原発3号機(静岡県浜岡町)のタービン建家内の復水給水系配管から、約2リットルの水が漏れたと発表。3号機は近く営業運転を再開する予定。

2003年11月27日

■レバノンのイスラム教シーア派組織のヒズボラ幹部モウファク・ジャマル政治局員は取材でイラクでの反米勢力による米兵襲撃について「占領軍が抵抗を受けるのは当然」との認識を示した。

■第9管区海上保安本部(新潟)は27日、新潟沖で不審船対応訓練を行った。海上保安官約130人と高速特殊警備船「つるぎ」など巡視船5隻、航空機2機が参加した。

2003年11月29日

■イラク北部ティクリットの近郊で4輪駆動車で移動中の日本人外交官2人が銃撃を受け死亡。

■バグダッド北方でコロンビア人の建設業者1人が死亡、2人が負傷。

■29日、北朝鮮の軍事拠点などを偵察する情報収集衛星2基を積んだH2Aロケット6号機の打ち上げが失敗。個体ロケットブースターの分離に失敗したため。

■29日、イラク、バグダッドの南方でスペインの情報機関員8人が攻撃され、7人が死亡、1人が負傷。

■イラクで11月中に死亡した米兵は少なくとも75人に上り、イラク戦争が3月20日に開戦して以来、月別では最多の死者数となったことが29日、米国防総省やイラク駐留米軍の統計を基にしたAP通信の集計で明らかになった。

2003年11月30日

■イラク北部のティクリットの高速道路で30日、乗用車が何者かに襲撃され韓国の民間人2人が死亡、2人が負傷。

■イラク駐留の米軍当局者は30日、首都バグダッドの西約300キロのシリア国境付近で米軍第3機甲連隊の隊列が襲撃され米兵2人が死亡、1人が負傷。

■30日、日本人外交官殺害事件で現場検証にあたった警察官セイフ・サアド氏は現場検証や日頃の住民感情から動機を「あらゆる外国勢力への憎悪」と推測し、「住民は外国人を憎んでおり、新しい車に乗った外国人が高速道路の途中で無防備に止まれば当然起きうることだ」と述べた。また、イラク人運転手も10発以上の銃弾を受けたことについて「協力者として外国人と同罪にみなされた可能性が高い」とも述べた。バグダッドからティクリットにかけての「スンニ・トライアングル」では、米軍による掃討作戦で住民にも多くの犠牲が出ている。



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