日本ジャーナリストクラブ(JCJ)

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最終更新: 13週 3日前

JCJ8月集会:記念講演「監視社会とメディア 共謀罪後の言論の自由とは」

2017/09/13(水) 09:02
小笠原みどりさん(元朝日新聞社記者、カナダ・クイーンズ大学大学院修士課程在籍)
(2017年8月19日 千代田区・プレスセンターホール)
スノーデン氏にインタビューした小笠原みどりさん。日本における監視社会の深化を警告し、言論領域を少しでも広げるために批判のボトムラインをアップしようと訴える。ジャーナリスト必見の講演。
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FmA自由メディア 撮影:吉田・大場・東野 広報:小林・はた

≪ワールド・ウオッチ≫「若い三代目」の冒険心、止まず=伊藤力司

2017/09/12(火) 11:23
 ひょっとしたら米朝開戦化と心配させた8月危機は寸前で回避された。北朝鮮の独裁者金正恩労働党委員長が、米領グアム周辺へのミサイル発射計画を巡り、(実行するかどうか)「米国の行動をもう少し見守る」と言明したことが15日公表された。

 訪韓中のダンフォード米軍統合参謀本部議長は14日、北朝鮮が本当に挑発行動に出れば「強力な対応」を取ると言明、一触即発の危機だった。
 核・ミサイル開発を進めている北朝鮮の外貨獲得を封じるため国連安保理は5日、厳しい制裁決議を採択した。決議にそって最大の貿易相手国の中国は北の石炭と海産物の輸入を全面禁止、中朝関係は緊迫している。
 06年に北朝鮮が最初の核実験を行って以来、北の核・ミサイル開発は世界的危機の焦点である。先代の独裁者金正男総書記は核・ミサイルを持たない限り、イラクのフセイン、リビアのカダフィのように潰されると信じ、万難を排して核兵器開発を進めた。その遺訓を背負った正恩委員長に核開発を放棄させるのは至難の業だ。

 米朝開戦寸前の危機は23年前にも起きていた。北朝鮮は1993年核不拡散条約(NPT)から脱退、94年に発電用原子炉を利用して原爆開発を進めていたことが暴露された。米朝協議が行き詰まり、時のクリントン米大統領は北朝鮮への軍事攻撃を計画した。しかし38度線から韓国の首都ソウルまでは「長距離砲の射程範囲であり、北の反撃で100万単位の死傷者が出るとの予測から韓国側が開戦に猛反対、在韓米軍も同調した。結局開戦には至らず、カーター元大統領が平壌を訪問して初代の金日成と会談して事を収めた。
 こうした事情は現在も基本的に変わっておらず、米軍当局も本心では開戦に消極的だ。

 トランプ米大統領対金委員長のチキンレース(度胸試し)は、とりあえずかたが付いた。しかし北朝鮮は核開発を断念したわけではない。そういう北朝鮮への制裁を強化する安保理決議が採択されたことは、世界の大勢を示している。
 だが「若い三代目」はまだ冒険心を持ち続けているようだ。朝鮮危機はまだ続くと覚悟すべきだろう。

【今週の風考計】9.10─16年目の「9・11」とアウンサンスーチー

2017/09/10(日) 09:00
■<9・11同時多発テロ>から16年─今も米国では、イスラム教徒への暴力・迫害は続き、ヘイトクライムは勃発前の5倍にのぼるという。■トランプ大統領は就任してわずか1週間後、1月27日、「テロとの闘い」を名目に、中東7か国からのイスラム教徒の入国を90日間停止、さらに難民は120日間受け入れを停止する大統領令に署名した。その後も、多様な民族との融和を拒む言動が続く。

■こうした排他的な動きは、なにもトランプだけではない。いまや世界に広がる。近くはミャンマーでの武力衝突をめぐるアウンサンスーチー国家顧問の態度も、同類と見ていいのではないか。■ミャンマー西部ラカイン州に居住する少数派のイスラム教徒・ロヒンギャ族への対応である。迫害されてきた歴史を背景に組織されたロヒンギャ武装集団と政府治安部隊との戦闘で、無辜の住民27万人が隣国のバングラデシュに避難している。にもかかわらずアウンサンスーチーは、ロヒンギャ武装集団という「テロとの闘い」を理由に、住民を保護せず、融和のための対策を取ろうとしない。

■同じノーベル平和賞受賞者でパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは、この3日、アウンサンスーチーの積極的な発言を期待し、「世界とロヒンギャ・ムスリムが待っている」と、暗に今の態度を批判した。■ロヒンギャ問題に対して、何も対策を取っていないアウンサンスーチーに対し、賞を取り消すよう求めるインターネットの署名サイトも立ち上がり、すでに署名は38万人分を超す。インドネシアでもイスラム教徒がミャンマーへの抗議行動を強めている。世界の厳しい視線がアウンサンスーチーに向けられている。(2017/9/10)


フォトアングル 8月

2017/09/05(火) 16:27


「靖国反対」「戦争反対」「合祀反対」「安倍は辞めろ」のシュプレヒコールを挙げるデモ参加者の手にはキャンドルが掲げられている。
 2005年以来12回目の「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」だ。デモ行進は、周囲に多くの右翼が出没して、マイクでがなりたてるのを、機動隊が制止して、もみあうという緊張の中で進み、目的地まで行き、無事解散した。=8月12日、東京都千代田区で、酒井憲太郎撮影

【今週の風考計】9.3─終わっていない朝鮮戦争とミサイル発射

2017/09/03(日) 12:06
◆9日、北朝鮮は建国69周年を迎える。その日、グアム周辺に向けミサイルを4発、同時発射する計画が取りざたされている。愚かな選択による戦争の勃発は、絶対に避けなければならない。◆こうまで北朝鮮と米国の軍事緊張が続くのは理由がある。根源は、いまだに朝鮮戦争が1953年の「休戦」という形のまま、国連や関係国の間で「停戦」協定が結ばれていないことにある。

◆北朝鮮は米国に対し再三にわたり、休戦協定を平和条約へと前進させ、朝鮮半島の平和を確立するための提案をしてきた。だが64年が過ぎた今も締結されていない。米国は国連軍として朝鮮戦争に参加し、わずか3年の間に、北朝鮮の2百万人を超す人びとを殺害した。◆だが米国は北朝鮮の提案を無視するだけでなく、北朝鮮を敵国扱いし続け、韓国とともに北朝鮮への軍事圧力を強化してきた。しかも日本は当事者ですらないのに、この米韓軍事同盟に同調してきた。さらに日本は、国連に加盟している北朝鮮を、国として認めず、国交も結んでいない。

◆アジア地域の平和を目指すなら、今こそ日本がイニシアチブをとり、朝鮮戦争の「停戦」と平和協定の締結に向け、率先垂範して国連への働きかけを強めるときである。北朝鮮への石油禁輸など、さらなる経済制裁を呼びかけたり、PAC3の配備やミサイル発射3分後に鳴るJアラートに血道をあげ、国民を困惑させたりする前に、日本政府が果たすべき役割があるだろう。◆それはトランプ大統領に「火炎と憤怒」などの好戦的な言動でなく、米国は朝鮮戦争の「停戦」を宣言し、平和協定を締結すると、国連で表明するよう迫ることだ。(2017/9/3)

権力批判記事を掲載し続ける「通販生活」編集人がインタビューに答えた=橋詰雅博

2017/08/31(木) 14:38
 通販生活は(カタログハウス発行)ユニークな雑誌だ。販売する商品紹介に加えて読み物記事が約250ページの半分を占める。しかも脱原発や安保法制、集団的自衛権行使容認、米軍基地の沖縄一極集中などに反対した記事が目立つ。今年の春・夏・盛夏号では憲法改正の是非を問う国民投票法の問題点に取り組んだ特集を各号で掲載。読み物編集担当編集人の平野裕二さん(51)に3回連続で掲載した狙いなどを聞いた。
   ☆    ☆
――なぜ国民投票法にテーマを絞ったのですか。
 国民投票の実施が近づいていると考えたからです。安倍晋三内閣は、集団的自衛権行使容認を閣議決定して、安保法制を成立させた。これによって南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊は戦闘に巻き込まれる可能性がある駆け付け警護の新任務を負わされた。現行9条は実質的に改正されてしまったと考えています。その上に自衛隊を憲法九条に明記する改憲案を安倍首相は提示した。これで改憲されたら自衛隊は海外に出て行き戦争する危険性が高まる。通販生活はこれには断固反対の立場です。にもかかわらず国民投票法の中身や問題点を国民の多くは知りません。改憲は国民の生活スタイルや生き方にまで影響を及ぼす一大事です。このため3回続けて特集を組んだ。

スイス取材夏号で

――2007年の国民投票法成立前から特集を掲載していたそうですが……。
 国民投票が法制化されそうだというので、05年に重要な問題を国民投票で決めるスイスに取材に行き夏号で6ページ特集を組んだ。特に有料テレビCMの実態に力を入れた。メディアでは国民投票での有料テレビCMを一番早く扱ったと思う。その後、07年夏号、11年と14年にそれぞれ秋・冬号で掲載した。

――今年夏号で有料テレビCMは、「全面禁止にすべき」と主張していますが、なぜですか。
 投票日14日前以外は、テレビCMは自由ですからお金を持っている側は影響力の強いテレビCMをバンバン流せるが、お金をあまり持っていない側は限られる。資金が潤沢な改憲側が賛成テレビCMを大量に打てば、国民は洗脳されて改憲側が勝ってしまう可能性が高い。負けた護憲側は「金の力に負けた」と思い結果に納得できない。国民の間に分断が生まれます。だから全面禁止と訴えたが、最低でも賛成側と反対側が公平になるようなルールをつくる必要がある。

民放5社に質問書

――国民投票法の付帯決議では、有料広告のルール作りをメディアに求めているが、業界では何か動きがあるのか。
 国民投票成立後に放送事業者の業界団体の日本民間放送連盟(民放連)は「自主・自律による取り組みに委ねられるべき」と声明を出しました。それから10年が経過。編集部は今年3月16日に民放連に自主ルール作りについて問い合わせたところ、番組部は『ルール作りについては社会の動静を見ながら進めるべきだと考えている』と回答してきた。これは夏号に載せました。また、その後、在京の民放キー局5社に有料テレビCMの公平性の確保について『局内で検討されたことがありますか』と質問書を送付。『個別事案について従来からお答えしておりません』と各局ともほぼ同じ文言での横並び拒否回答でした(盛夏号に掲載)。民放連や民放各社に任せていてもルールづくりはなかなか進みません。

改憲は遠のいたか

――「森友」と「加計」の両疑惑などで安倍内閣の支持率が急落、改憲は遠のいたという見方があるが、どう見ているか。
 改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めている国会の下では、改憲発議ができます。遠のいたとは言えない。安倍首相が退陣しても、自民党政権が続けば、改憲はついて回る。安倍がいなくなったからもういいやと安心はできません。確かに野党が国政選挙で3分1以上の議席を獲得すれば、発議を阻止できる。そうした運動もあるが、改憲反対側が国民投票で勝てるように戦略を立てることも重要。その一つが国民投票における有料テレビCMの規制です。通販生活は今後もこれを記事で主張し続けていきます。

――ところで通販雑誌が反権力的な記事を載せる理由は。
 買い物は暮らしそのものであり、暮らしは政治に直接影響を受けます。戦争に突入したら、真っ先に制限されるのが買い物です。だから憲法や安全保障などの問題を積極的に取り上げるべきだと考えています。カタログハウス創業者・斉藤駿(現相談役)の理念です。

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

通販生活 創刊は1982年。9割以上が定期購読者(定価180円)。60代以上の主婦が購読者の中心で、発行部数は110万〜120万部。年4回発行。

※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年8月25日号

《ネットメディア最新事情》「ショールーム」の投げ銭方式

2017/08/30(水) 15:24
 スマホの画面の上半分にはアイドルグループ「AKB48」のメンバーが映し出され、視聴者に向かって熱心に話しかけている。画面の下半分は視聴者たちを表す「アバター」と呼ばれる数十個のキャラクターで埋め尽くされ、彼女を応援している。ここは仮想のライブ会場なのだ。
 これは新しいライブ配信サービスとして注目を集める「ショールーム(SHOWROOM)」の画面。アイドルやミュージシャンとして芸能活動をしていきたいと考えている人たちが自分でライブ配信を行って、スマホの前の観客に直接語りかける身近さが特徴だ。「演者」として登録している配信者は15万人以上、視聴者として利用登録している人は100万人以上にのぼるという。

 ショールームのようなライブ動画の配信サービスは現在、ネットでブームになっている。ほかにもニコニコ生放送、ユーチューブライブ、LINEライブ、AbemaTVなど百花繚乱の状態だ。
そんな中でショールームが独特なのは、視聴者が有料のアイテムを購入し、自分が応援したい配信者に寄付する「投げ銭」システムが導入されていることだ。それほど有名ではないアイドルやミュージシャンたちは、路上でパフォーマンスする大道芸人のように視聴者にアピールして、投げ銭を得ることができるのだ。

 運営会社の社長である前田裕二さんは6月、ショールームの創業ストーリーをまとめた著書「人生の勝算」を出した。本の中で前田さんは「あらゆる人が均等にチャンスを得て、投じた努力量に応じて報われ、夢が叶っていく」社会を作っていきたいと記している。
ショールームの特徴である「投げ銭」システムが、ニュースなど他のメディアにも広がっていくのか、注目したい。亀松太郎(ネットジャーナリスト)
『ジャーナリスト』2017年8月25日号への寄稿

《リアル北朝鮮》米国に「正しい選択」求める―落しとしどころ模索

2017/08/30(水) 14:32
 一触即発の状態が続いていた米朝関係に緊張緩和の兆しが見えてきた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が8月14日、朝鮮人民軍戦略軍司令部を視察し、「愚かな米国の行動をもう少し見守る」と述べたと、「労働新聞」15日付が報じた。

 周知のとおり、同戦略軍ではグアム島の周囲にミサイルを撃ち込む計画を検討している。同戦略軍報道官は8日の声明で「グアム島の主な軍事基地を制圧けん制し、米国に警告のシグナルを送るため、中長距離戦略弾道ロケット(ミサイル)『火星12』型でグアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦方案を慎重に検討している」と警告していた。最高指導者の金委員長が様子見を表明したことで、「軍事衝突」の危機はひとまず回避されたといえよう。

 金委員長は、「軍事衝突を避けるためには米国がまず正しい選択をして行動で示すべき」だとも述べたとされる。先の戦略軍報道官声明でも、「米国は正しい選択で、明日になって今日を後悔するべきではない」と主張していた。北朝鮮は緊張を高めつつ、落としどころを模索していたと考えられる。

 実際、北朝鮮では15日を前後して「白頭山偉人称賛国際祝典」なるイベントが開催され、外国から多数の人士を招いている。もし本当に戦争が起きると思うなら、外国人客を招いて呑気に祝典など開くはずもない。

 では、北朝鮮が米国に求める「正しい選択」とは何か。短期的には、軍事演習の中止だろう。中期的には朝鮮戦争停戦協定の平和協定への転換。そのための協議を北朝鮮は繰り返し求めてきた。長期的には、体制を認めさせ、国交を正常化することだ。

 北朝鮮の最終目標は米国による「敵視政策」の転換と核攻撃を含む軍事的脅威の清算だ。それがなくならない限り、「核と弾道ロケットを交渉のテーブルに挙げることはあり得ない」(李容浩・北朝鮮外相)。
文 聖姫(研究者・博士[東京大学])

《スポーツコラム》創設する日本版NCAA、難問山積=大野晃

2017/08/30(水) 14:21
 8月は大学体育会やサークルの夏合宿が盛んに行われ、高原などが若い熱気に包まれた。
 歴史的に、日本スポーツをけん引してきた大学スポーツだが、近年はプロ化の急進展で、プロ競技者にトップの座を譲り学生競技者の影は薄くなった。古くから企業チームに大学チームが対抗して日本一を争ってきたラグビーも、今年度から日本選手権に大学の参加枠はなくなった。大学体育会出身者が多くを占めるとはいえ、集団球技の日本一はプロと企業チームが争うのが当たり前になった。五輪代表も大学生は少ない。大学スポーツの沈滞が顕著である。

 そこで文科省は、今春「大学スポーツ振興に関する検討会議の最終とりまとめ」を発表し、新たな大学スポーツ振興策を提示した。米国の全米大学競技協会(NCAA)をお手本に組織、人材の養成や民間資金調達などを検討し、来年度中に産官学連携の日本版NCAA創設を目指すという。
 アメリカン・フットボールやバスケットなどでテレビ放映権料を軸に年間1000億円の収入があるというNCAAの潤沢な資金にあこがれ、企業スポンサーに期待して全国の組織を改編し、儲けながら日本スポーツを支える大学に変えようというのだ。
 大学はスポーツの研究や指導法、人材の育成などで貢献してきたが、今後はトップだけでなく、積極的に地域や学校の指導に乗り出して施設開放などにより地域貢献も目指すべきで、スポーツ団体役員の養成も不可欠としている。

 現実にはOBやOGの指導、支援に頼る大学がほとんどで先細りが目立つ中、机上論で国の施策とは思えないとの批判も多い。野球やラグビーなどの大衆人気が落ちているから、企業スポンサーに頼れるかは疑問だ。
しかも、体育会やサークルは課外活動と位置付けられ学生の主体的な運営で継続されてきた歴史がある。
 変わってきているとはいえ体育会では伝統が重視され、各校、各部で色彩が違う。伝統校の中にはプロ予備軍や企業支援を拒否した自負もある。同時に、閉鎖的で封建的な体質が色濃く残り、大学当局とのあつれきも少なくなかった。
 競技間格差も大きい。同一歩調をとるには難問続出だろう。米国とは歴史が異なるのだ。
 何よりも、学生の主体性が尊重されねばなるまい。大学当局や企業スポンサーの成果主義が、自由で自主的な運営への管理圧力になって学生の創意的な姿勢を阻害する恐れがある。自主的な努力により、古い体質からの脱却が求められるだけになおさらだ。大学の社会貢献は必要だが、効率重視で上からの改編を急ぐべきではない。(スポーツジャーナリスト)

≪支部リポート・香川≫「美ら海を未来へ」上映 高松空襲跡地を歩いた=刎田鉱造

2017/08/30(水) 11:57
 毎年高松空襲の7月4日から8・15にかけてはJCJ香川支部にとって一番やりがいのある出番の時期です。今年38回目を迎える「8・15戦争体験を語るつどい」の実行委員会の一員として「沖縄の現在(いま)と私たち」に取り組みました。映画「美ら海を未来へ」上映とトークのつどいです。
 辺野古・高江の米軍新基地建設反対ドキュメンタリー作品で、香川在住の中井信介監督を囲んでのトークは時間を忘れさせる盛り上がりでした。

 3月に沖縄旅行した高校生が作文を読み上げました。「私にとって戦争は社会で習った昔あったことでしたが、米軍の攻撃の中で、がま(洞穴)で自爆に追い込まれる人々のことを資料館で知りました。平和の日々の大切なことを多くの人に伝えていく」と、沖縄で見たことを訴えました。
 辺野古埋め立て用の土砂をとる小豆島の闘いが映画で紹介されています。この島からも土を運ばせない運動にかかわる人が参加、「島でもぜひ上映したい」と話しました。
 感動が広がる中、「戦争を止めるためにできることはなにか」と中井監督がまとめました。

 7月4日、高松空襲の日は「第28回高松空襲跡を歩く」でした。中心商店街、丸亀町の広場に集まってちょうど高松空襲展を開いていた「たかまつミライエ」5階の「平和記念館」まで約1・2キロを、午後6時から1時間かけて歩きました。約80人が参加して途中、空襲当時、路面電車の「出晴(ではれ)停留所」跡に近い八坂神社で犠牲者に黙祷。ここでは南新町にあった田中産婦人科で被災した体験者が、手から先を失い焼け跡に立っていた観音像の話をしました。
 平和記念館は戦時下と戦後の高松の生活、核兵器廃絶、平和への取り組みなどを常時展示している市の施設です。昨年12月にリニューアルオープンしました。  

 参加した若い女性は「戦争はいけないという思いが伝わってきました。私たち若い世代も戦争を考えなくてはいけない」と述べました。
(香川支部)

《焦点》  2017年度JCJ賞を獲得した「日米合同委員会の研究」の著者・吉田敏浩さん=橋詰雅博

2017/08/30(水) 11:23
2017年度の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の出版部門でJCJ賞を獲得したのは、「日米合同委員会の研究」(創元社)だ。

その著者でジャーナリストの吉田敏浩(59)さんは1966年にビルマ(現ミャンマー)北部のカチンなど少数民族が自治権を求めた生活と文化を取材した「森の回廊」(NHK出版)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。他に「密約 日米地位協定と米兵犯罪」(毎日新聞社)などの著書がある。現在、立教大大学院特任教授も兼ねている。

 吉田さんは1952年に発足した「日米合同委員会」について2008年から調査してきた。同委員会は、日本の外務省北米局長などエリート官僚6人と、米国の在日米軍司令部副司令官など7人の合計13人で構成される。毎月2回開く会議では、米軍の基地使用や軍事活動の特権、米軍関係者の法的地位などを定めた日米地位協定の解釈と運用を協議している。

 「合同委員会の議事録や合意文書は原則非公開。このため省庁や最高裁などの秘密資料・部外秘資料、在日米軍の内部文書、米国政府の解禁秘密文書などを入手して調べたところ、米軍優位を保障する数々の密約があることが分かりました」

 「裁判権放棄密約」もその一つ。米軍人・軍属・それらの家族が関わった犯罪事件で、日本にとって著しく重要な事件以外は、日本側は裁判権を行使しないとしている。

「密約は米軍に事実上の治外法権を認めたものです。日本の主権を侵害している。安倍政権は、この問題に手をつけて、真の主権回復を目指すべきだ」

《焦点》2017年度JCJ賞を獲得した「日米合同委員会の研究」の著者・吉田敏浩さん=橋詰雅博

2017/08/30(水) 10:39
 2017年度の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の出版部門でJCJ賞を獲得したのは、「日米合同委員会の研究」(創元社)だ。

その著者でジャーナリストの吉田敏浩(59)さんは1966年にビルマ(現ミャンマー)北部のカチンなど少数民族が自治権を求めた生活と文化を取材した「森の回廊」(NHK出版)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。他に「密約 日米地位協定と米兵犯罪」(毎日新聞社)などの著書がある。現在、立教大大学院特任教授も兼ねている。

 吉田さんは1952年に発足した「日米合同委員会」について2008年から調査してきた。同委員会は、日本の外務省北米局長などエリート官僚6人と、米国の在日米軍司令部副司令官など7人の合計13人で構成される。毎月2回開く会議では、米軍の基地使用や軍事活動の特権、米軍関係者の法的地位などを定めた日米地位協定の解釈と運用を協議している。

 「合同委員会の議事録や合意文書は原則非公開。このため省庁や最高裁などの秘密資料・部外秘資料、在日米軍の内部文書、米国政府の解禁秘密文書などを入手して調べたところ、米軍優位を保障する数々の密約があることが分かりました」

 「裁判権放棄密約」もその一つ。米軍人・軍属・それらの家族が関わった犯罪事件で、日本にとって著しく重要な事件以外は、日本側は裁判権を行使しないとしている。

「密約は米軍に事実上の治外法権を認めたものです。日本の主権を侵害している。安倍政権は、この問題に手をつけて、真の主権回復を目指すべきだ」


 

秋のJCJジャーナリスト講座が始まります=須貝道雄

2017/08/30(水) 01:10
10月~11月:秋のJCJジャーナリスト講座
新聞やテレビの 第一線の記者らからリアルな「現場」の話を聞き、取材の方法などを学びます。メディアの世界を目指す人たちの参加をお待ちしています。

★ 10月21日 (土) 午後 1 時半から5 時まで★
「テレビの仕事とは何か」講師:交渉中

会場:日比谷図書文化館4階小ホール ( 定員40人 ) =参加費1000円

テレビ局ではどのような仕事をするのか。活字とは異なる映像メディアの面白さと難しさ、その特徴を語っていただきます。

★ 10 月 28 日 ( 土 ) 午後 1 時半から 5 時まで★
「記者の仕事とは何か」講師:共同通信東京編集部デスク・新崎盛吾さん

会場:日比谷図書文化館4階小ホール ( 定員40人 ) =参加費1000円

共同通信は全国の新聞やテレビ局に記事を配信している。記者たちは日々、どのような取材をしているのか。
記者にとって大事なこと、欠かせない視点など、を考えます。

報道文章講座シリーズ・全4回
◎ 11 月 17日 (金) 午後6 時半から9 時まで
「報道文章の書き方~~作文力をつけるゼミ①」

会場:日比谷図書文化館4階セミナールームA (定員20人) 22日・24日も同
講師:東京都市大学教授・高田昌幸さん(元高知新聞記者)

読み手に内容が的確に伝わる文章をどう書くか。書くことは取材をどうするかにもつながります。作文を書き、講師が添削をします。メディアの世界をめざす学生向けの4回連続講座=参加費1回 1500円・4回一括は5000円

◎11月22日(水) 午後6 時半から9 時まで
「報道文章の書き方~~作文力をつけるゼミ②」

◎11月24日(金)午後6 時半から9時まで
「報道文章の書き方~~作文力をつけるゼミ③」

◎ 12月2日(土)午後1 時半から5時まで
「報道文章の書き方~~作文力をつけるゼミ④」=この回のみ会場未定・後日連絡します

◇◎要予約:受講ご希望の方はメールで、氏名、連絡先の電話番号、メールアドレス、受講希望日を明記し、下記のアドレスに、またはファクスでお申し込みください。
sukabura7@gmail.com ファクス:03・3291・6478

主催:日本ジャーナリスト会議(お問い合わせ03・3291・6475=月水金の午後)

【講師のご紹介】
◎ 新崎盛吾(あらさき・せいご)さん
共同通信社東京編集部デスク=10月28日
1967年生まれ。90年4月に共同通信入社。山形、千葉、成田の各支局で3年ずつ、計9年を過ごし、99年4月から08年9月まで社会部。 警視庁公安、羽田空港分室、国土交通省などの記者クラブを担当し、遊軍ではイラク戦争、北朝鮮、赤軍派などを取材。その後、さいたま、千葉の支局デスク、関東・甲信
越の支局を管轄する東京編集部デスクを経て、14年7月から16年7月まで新聞労連委員長。昨年9月から東京編集部デスクに職場復帰し現職。沖縄県出身。

◎高田昌幸(たかだ・まさゆき)さん
東京都市大学メディア情報学部教授=11月17、22日、24日、12月2日
法政大学法学部政治学科入学。卒業後、一般企業を経て、北海道新聞に入社。ロンドン支局、東京支社国際部次長などを経て、本社運動部次長。2011年6月に退社し、フリーを経て、2012年から高知新聞記者。2017年4
月から東京都市大学メディア情報学部教授。道新時代に北海道拓殖銀行の破綻と営業譲渡、地元百貨店の乱脈経営、地元信用金庫の不正融資事件などを取材。「北海道警の裏金問題取材」で新聞協会賞、JCJ大賞、菊池寛賞、新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞。近著に「伝える技法――プロが教える苦手克服文章術」

【会場の案内】
◆日比谷図書文化館 (旧都立日比谷図書館)
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅

このジャーナリスト講座は12月以降も順次開催していきます。

スノーデン氏インタビューの小笠原みどりさん記念講演=須貝

2017/08/30(水) 00:38
「全てを見張る」日本でも~~共謀罪の批判は重要
 「全てを収集する」という米国の方針で、個人情報は全て監視されている――ジャーナリストの小笠原みどりさんは8月19日、JCJ贈賞式の記念講演で、エドワード・スノーデン氏が暴露した機密文書の意味を語った。
 スノーデン氏は米国の通信傍受を専門にするスパイ組織、国家安全保障局(NSA)の契約社員だった。NSAはスパイ活動のため全米から数学者を集めている。スノーデン氏は大量・無差別の個人情報(メールやチャット、ネットの閲覧履歴)の収集を疑問視し、2013年6月に機密文書を暴露した。

グーグルなどネット大手9社も協力
 証言によれば、NSAの主要な監視ルートは大陸間を結ぶ海底ケーブルだ。大手通信会社が設けたケーブル上陸地点の施設にNSAが部屋を確保。電話の内容など全情報をコピーしている。グーグル、アップルなどインターネット大手9社の協力で、個人のネット検索、メール内容なども掌握している。
 2016年5月、小笠原さんはネットを通じてモスクワに亡命中のスノーデン氏にインタビューした。彼女が問題にしたのは、NSAの無差別監視が日本でどう起きているかだ。インタビューで、東京の米軍横田基地にNSAの日本本部があり、スノーデン氏は2009年から会社員を装って横田に勤務していたことがわかった。
 今年4月、新たに日本に関するスノーデン文書が公になった。米国の調査報道メディア「インターセプト」とNHKが特ダネで報じた。NHKは定時のニュースと「クローズアップ現代+」で取り上げた。だが「米国に監視される日本」という話が中心で、日本政府が持つ監視能力や、NSAと組んで何をしているかの報道はなかった。

「エックスキースコア」を日本に提供
 「番組で共謀罪という言葉を一度も使わなかった」ことを小笠原さんは不自然だと語った。ちょうど国会では共謀罪法案(テロ等準備罪法案)が審議中だった。実際の犯罪行為が無くても「会話のレベル」で犯罪を成立させる共謀罪にとって、すべての人の会話の傍受は捜査の上で必須となる。スノーデン文書では、NSAは日本に監視システム「エックスキースコア」を提供とあった。共謀罪と密接にかかわる問題だ。
 沖縄のアンテナ施設「象のオリ」を移設し、ネット監視用の高性能施設をキャンプ・ハンセン内に設けることに日本政府が600億円支払ったことも文書にあった。このことをNHKは伝えなかった批判した。一方で小笠原さんは「NHKにはもっと頑張ってほしい」というエールも送った。
 米国メディアには、政府の秘密などを報道する際に影響を小さくするための「暗黙のルール」がある。その一つが「中道語」の使用だ。記事のインパクトを弱める言葉で、例えばサーベイランス(監視)をバルクコレクション(一括収集)と言い換える。興味深い話だった。

 最後に小笠原さんは共謀罪ができた今、言論の自由は意識的に努力しないと、自然消滅する危機にあると指摘した。日常生活で政治批判ができるよう「批判のボトムラインを上げていくこと」が、情報操作を広げないためにも重要と結んだ。

≪リレー時評≫NHK「クロ現+」にみる権力代弁=白垣詔男

2017/08/29(火) 10:24
 NHK会長が籾井勝人さんから上田良一さんに代わって半年、7月29日に福岡市で「NHKを考える福岡の会」主催の「NHK これでいいのか? 言いたか放題」と名付けた集会があった。「言いたか」は博多弁で「言いたい」の意味だ。大牟田市や福智町などの遠隔地からも含め50人が参加して発言が途絶えることなく盛況だった。
 初めに「最近のNHK」について事務局の私から2点を報告した。①6月19日午後10時からの「クローズアップ現代+」<波紋広がる〝特区選定〟~独占入手 加計学園〝新文書〟>について、文書を入手した社会部が政府の〝疑惑姿勢〟に言及したのに対し政治部・原聖樹記者(首相官邸記者クラブキャップ)が国家戦略特区諮問会議有識者議員の言い分を代弁する解説をした②テレビを持たなくてもパソコンやスマートフォンを持っている人から受信料を徴取しようという動き―。

 このうち、①の加計学園〝新文書〟については、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表で東大名誉教授の醍醐聡さんが中心になって7月24日に要旨次のような質問を原記者に送った。
 「原記者が『すべての決定の過程が議事録に残っている』と解説したが、重要な意思決定の過程が議事録に残されておらず、事実に反する。原解説は事実に反する関係者の主張を主体的に検証することなく紹介した」「原解説の中に、諮問会議有識者議員の真実でない発言を冷静に見極めることなく、そのままなぞる内容だったのは『NHK放送ガイドライン2015』(正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。虚構や真実でない事柄が含まれていないか冷静な視線で見極めようとする姿勢が求められる―など)に反する」「原解説は、特区選定の手続きは適正で違法性はないと諮問会議有識者議員の主張をなぞった」―など。
 これに対し、NHKは7月31日付で次のような回答をしてきた。
 「ご指摘のあった政治部・原記者の解説は、番組のテーマである国家戦略特区の選定に関して、国家戦略特区諮問会議の立場や見解についても政府内外の取材を尽くしたうえで、より多角的な観点から理解や議論を深めていただこうと行ったものです。特区選定の報道に関しましては、視聴者の皆様から多様なご意見・ご指摘を頂いており、それぞれ貴重なご意見として受け止めさせて頂くとともに、今後の番組制作にいかしてまいります。2017年7月31日 NHK クローズアップ現代+」

 回答内容は、「原解説は正当で権力を代弁した」ことを認めたものと言える。「政府内外の取材を尽くしたうえで、より多角的な観点から」諮問会議の代弁だったとは。NHKの官邸記者クラブのキャップの姿勢が、いかにお粗末なのかも認めたと言ってもいいだろう。(JCJ代表委員)

JCJ機関紙「ジャーナリスト」8月25日号より

【今週の風考計】8.27─東芝の「泥沼」に続く、もっと重大な危機

2017/08/27(日) 11:42
●WH買収からWDへ売却─東芝の哀れな結末である。11年前、6200億という破格の値段で、米国原子炉メーカー・ウエスチングハウス(WH)を買収した。●それが「躓きの石」となって、経営危機に陥ったあげく、ついに米国の半導体大手ウエスタンデジタル(WD)連合に、大切な「東芝メモリ」を2兆円で売却する。

●いま<東芝問題>で問われなければならないのは何か。「原子力立国」を謳い、原発の国内増設・海外への輸出拡大プランを、国策として推進した安倍政権の責任である。とりわけ<3・11フクシマ>後も、経産省がとり続けた原発政策の罪は重い。

●「国策」の泥沼による悲劇は、なにも東芝だけではない。「アベノミクス」そのものも「泥沼」じゃないか。安倍政権の言いなりになる日銀<黒田バズーカ>は、異次元緩和政策をブッパなして4年以上が経つ。物価上昇2%は幻と消え、発行国債の4割も使って日銀が購入する、上場株の異常な「爆買い」は拡大する一方だ。保有額は時価ベースで16兆円に上る。

●日銀が日本企業の独占株主となり、経営を支配しかねない異常事態だ。これを見越してコバンザメのように、ついて離れない投資家や便乗する銀行も出てきている。●現に不動産取引のJリート市場は、日銀が年920億円も買い増しをしている結果、地方銀行は低金利のあおりを回収しようと、販路を求めてJリート市場へのノメリコミが進む。いまや新バブル状況となり、コケた時の経済不安が言われている。まさに「アベノミクス」が始まって10年、10年周期の経済大変動が近い。(2017/8/27)

《編集長EYE》 築地ブランドはよみがえれない

2017/08/25(金) 13:07
 東京都の小池百合子知事は、豊洲に市場を移転させた後、築地跡地を売却せず、5年後をメドに再開発し、「食のテーマパーク」にする方針だ。これは「築地ブランド」を守るためだと説明するが、築地ブランドとは何を指すのか。市場関係者は、それは「築地の魚」を指すという。築地の魚というだけで値段は高めだが、消費者は納得する。だから築地の魚というブランドを残したいため2つの市場の併存を小池知事は思いついたのだろう。

 築地の魚が世間から高く評価されるようになったのは、品質を見抜き、それに応じた値段を設定する〝目利き〟に優れた仲卸業者いたからだ。仲卸は卸業者から鮮魚などを買い、それを小売店や飲食店など「買い出し人」に売るのが仕事。

 築地で30年、鮮魚を扱う仲卸として働く東京中央卸売市場組合長の中澤誠さんは、こう言う。

 「かつて沖縄のマグロが高額でセリ落とされたことがある。ブロンド力のない生産者でも築地に持ち込めば、仲卸業者がちゃんとした値段をつけて買ってくれるという信頼性が広まった。従って漁師は『いい魚をとろう』とする。出荷する際もぞんざいに扱わない。目利きができる仲卸業者が取引する値段に信頼を置くから築地にいい魚が集まる。これが『築地の魚』というブランドが生まれた背景です」

 市場と言えば、威勢のいい掛け声が場内に響きわたるセリをイメージするが、築地では現在その割合は1割程度。卸業者と仲卸業者が話し合って値段や量を決める相対取引がメインだ。

 「仲卸はこの鮮魚ならこの値段であの小売店が買ってくれると頭で思い描きながら取引する。セリが少なくなっても、目利きの重要性は変わらない。しかし、土壌汚染の無害化ができない豊洲に市場が移転すると、豊洲を嫌う仲卸業者や小売店の廃業は続出します。移転した時点で、築地ブランドは消えます」(中澤さん)

 小池知事が守るといった築地ブランドは甦れない。

 橋詰雅博(JCJ事務局長も兼ねる)



※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年8月25日号

《出版界の動き》ちっぽけな出版の世界にも露骨に現われてきた「一強支配」は、この国の「文化の危機」でもある=田悟恒雄

2017/08/25(金) 10:05
 「書店ゼロの自治体、2割強に」という、24日付の朝日新聞記事には、商売柄、さすがに驚きを隠せません。
 「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増え、北海道58、長野41、福島28… いやいや、もう結構。なかでも、従来から読書人口が多いと見られてきた信州の「41自治体」は、ショッキングでした。
 書店調査会社アルメディアの調べでは、この5月現在、全国の書店数は1万2526軒で、2000年の2万1654軒から「4割強も」減っているとのこと。
 お題目のように唱えられてきた「活字離れ」はもとより、「読書人口」どころか、そもそもの「人口」が減っている。そして何より、雑誌はインターネットに食われ、書籍も、アマゾンなどネット書店の鼻息の荒さを前に為す術を失ってしまった。

 そして、最盛期(1986年)の半分ほどに落ち込んでしまったパイをめぐり、大手書店チェーンによる「仁義なき出店競争」が展開され、「街の書店」は次々弾き出されるばかり。
 その結末が、「書店ゼロ自治体」となるわけです。
 そんなこともあり、最近になってようやく、わが出版界のあちこちから、アマゾンの芳しからぬ風評が頻繁に聞こえてくるようになりました。
 つい最近の出来事でも、公取に目を付けられて「見直し」を余儀なくされた「電子書籍契約の最安値条項」や、「日販への突然のバックオーダー発注終了通告」(Cf.「前門のアマゾン、後門の取次」)など、「一強の横暴」は枚挙にいとまがありません。

 「一強支配の弊害」は、べつに政治の世界の専売特許ではありません。このちっぽけな出版の世界にも、同じ弊害(独占)が露骨に現われてきた、ということなのでしょう。
 では、この国の「文化の危機」ともいえる状況を前に、読者は何をなしうるのでしょう?
 まずは、「リアル書店」で本の実物を確かめる習慣を取り戻したいこと。そして「ネット通販」を利用するにせよ、他の「ネット書店」にも広く目配りするなど、アマゾンへの一極集中を避ける試みも考慮されるべきかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」08/24より http://www.liberta-s.com/

【今週の風考計】8.20─共謀罪の導入と「エックスキースコア」

2017/08/20(日) 11:08
■19日に行われたJCJ賞贈賞式の記念講演で、小笠原みどり氏は「監視社会とメディア」と題し、衝撃的な報告をされた。その内容を多くの人と共有したい。■米空軍横田基地で09年から2年間勤務していたエドワード・スノーデンが暴いた文書の中身である。アメリカ国家安全保障局(NSA)は、60年以上にわたり違法な監視システムを、日本にも秘密裏に導入し、私たちの日常生活に関わる全ての情報や通信を盗聴し収集してきた事実である。

■しかも日本政府は、これら米国の施設や運用を財政的に支援するため、膨大な金額を負担してきた。その見返りにNSAは、ネット上の電子情報を幅広く収集・検索できる「エックスキースコア」、別名<スパイのグーグル>といわれるシステムを、防衛省情報本部電波部に提供している。■東京の米軍横田基地に諜報活動の通信機器を修理・製造する施設を造る際、7億円の建設費を日本側が負担したという。ここで製造されたアンテナなどの機器は「アフガニスタンでのアルカイダ攻撃を支えた」と記載されている。

■また沖縄にある米軍の諜報・通信施設「象のオリ」を、キャンプ・ハンセンに移設する600億円の費用も、日本は全額負担している。しかもスノーデンは「秘密保護法は実はアメリカがデザインした」と証言しているように、共謀罪法を始め、安倍政権の異常ともいえる数々の監視法制の強行は、日米両政府の共通目標なのだ。■不都合な真実を消そうとする権力、それに抗う声をつぶすための監視─メディアに携わる私たちは、秘密を暴露し真実を知らせる作業を強めねばならない。(2017/8/20)

08・19 JCJ賞贈賞式・記念講演のお知らせ

2017/08/17(木) 09:08
2017年のJCJ賞受賞者・作品は以下の通りです。贈賞式の前に、恒例の記念講演を行います。元CIAのエドワード・スノーデン氏に単独インタビューした小笠原みどり(元朝日新聞記者)さんに、「日本や世界に広がる監視社会の恐怖」(仮題)を語っていただきます。

講演および贈賞式
日時:8月19日(土)13:00~
会場:日本プレスセンター・ホール(東京・内幸町)
アクセス http://www.presscenter.co.jp/access.html

<2017年度JCJ大賞、JCJ賞>
◇JCJ大賞 朝日新聞取材班
 「森友学園」への国有地売却と「加計学園」獣医学部新設をめぐるスクープと一連の報道
◇JCJ賞 吉田敏浩(よしだとしひろ)
 著書『「日米合同委員会」の研究─謎の権力構造の正体に迫る』創元社に結実した研究成果
◇JCJ賞 「沖縄タイムス」高江・辺野古取材班
 高江・辺野古の基地建設強行を問う一連の報道
◇JCJ賞 北日本新聞
 政務活動費不正のスクープと地方議会改革の一連のキャンペーン
◇JCJ賞 チューリップテレビ
 富山市議会における政務活動費の不正を明らかにした調査報道



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