強制連行・強制労働の現場 長生炭鉱の闘い--坑口を開けるぞ!

上田慶司(長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会)

1941年12月8日、日本は太平洋戦争に突入した。それから2か月後の1942年2月3日、山口県宇部市の海底炭鉱は増産体制を強いられ水没事故が起こり多数の方が生き埋めになった。183名が亡くなり、そのうち136名が朝鮮人である。当日は朝からネズミが逃げ回り、水が出る危険があると労働者たちは坑外に出てきた。現場監督は無理やり坑内に戻らせ事故が起こった。長生炭鉱は朝鮮炭鉱とよばれるほど、朝鮮人労働者が危険な労働現場で働かされていた。

今年、7月15日現地の追悼の広場で「みんなの力で、坑口を開けようスタート集会」が行われた。韓国から元副総理を含む弁護士や支援者の訪問団35名が日帰りで参加した。韓国高校生も入れて60名が韓国から参加。全体では170名の参加になった。名実共に日韓市民集会となった。1時間のスタート集会の後、当時の坑道への入り口である2本の排気塔の見える床波海岸の海から50mほどの坑口近辺の清掃活動にも100名が参加した。事故の後、危険だと坑口は閉められた。その場所は窪地になり、戦中、戦後粗大ごみが投げ入れられた。生き埋めになった人たちの坑口にごみを捨てるのも人間である。そしてその場所からごみを取り除き、遺骨を収集しようと努力するのも人間である。坑口付近の清掃活動には近所の方も何人も来られていた。そのお一人は「結婚して宇部にきた。おばあちゃん(義母)から、事故の時、朝鮮の人がアイゴーアイゴーと泣いていたと何度も聞かされた。だからここを清掃するのをチラシで知って行かなくてはと思って来た」とのことだ。

この土地、坑道入り口付近は我々刻む会の土地ではありません。戦後、大日本帝国の力を弱体化させる目的でポツダム政令が出た。町会や部落会・隣組などの所有財産は新しい市町に没収された。それは、政令廃止後も続いてきた。この土地は、登記は旧町会(地元任意団体)となっているが実質は宇部市の所有である。宇部市は我々の坑口を掘る使用許可を求める交渉に怖気づいて「宇部市は登記していなので関係ないし、関係ないのでどう使おうと何も言わない」と主張しだした。さらにポツダム政令との関係では「使用する目的がなかったので登記しなかった」と主張しだした。一方の登記している地元任意団体も、所有権を持っている認識も持つ意思もない。そのためこの土地は所有権を主張する者のいない土地になっている。宇部市は市の財産を登記していないこと自体が問題であり、百歩譲って使用目的がないという主張も認められない。遺骨を遺族に返し、坑口を平和と人権のための遺構として残すという使用目的があるはずだ。そんなこと考えもつかなかったとかいうことは何十年も我々刻む会と交渉している経過から言うこともできないはずだ。7月16日刻む会は、この土地問題抜いての記者会見の後宇部市に工事通告をした。8月末までに、なにも異議がなければ工事に入ることを通告した。我々は国が動けば宇部市は動くと確信している。

宇部市が市の財産だと認めて異議を申し立ててくるならば、遺骨収集の行為許可を求めた協議になる。異議がなければ、刻む会は10月26日坑口を開ける。そしてその後に日本政府と調査を進めるための交渉を行う。ぜひ皆様参加してほしい。

7・15スタート集会では工事に入る業者の工務店もスタート集会で発言いただいた。行政と使用をめぐり争っているこの工事に携わることにメリットなど何もない。しかし工務店の社長は「人としてこの工事をやらねばと思っている」と力強く発言した。会場が大きな連帯と感動の拍手に包まれたのは言うまでもない。

我々がどんな工事をするのか、4mも土の下に坑道入り口はある。おそらく10mぐらいの広さがあるだろう。会社子孫が海側からの侵入を拒否しているので、裏側から木をなぎ倒して道をつくり大規模な工事をしていく。すごい大きな坑口が現れるだろう。

水中探検家の伊佐治佳孝さん方が協力したい連絡をいただきピーヤ(海にある旧入口・排気塔)の潜水調査も行っています。まさにスーパー応援団の登場だ。1997年に行われた調査では沖のピーヤで10m潜水しましたが障害物がありそこで止まりました。今回7月31の調査では、その障害物をかいくぐりほぼ底の27mまで到達しました。27m先には折れたパパイプなどが重なり進めなかったようですが、「それは取り除くことができそうで、坑道は生きている」と報告された。船を朝から何度も出すなど漁協の人たちの大いなる協力を得ている。そんな潜水調査も山口県内ではマスコミは詳細に報道し続けている。

山口県は安倍晋三の地元です。この10年韓国への植民地問題の解決を否定してきた張本人の地元だ。その山口で頻繁に長生炭鉱の遺骨調査や坑口を開ける計画のことが報道されている。長生炭鉱は、強制連行・強制労働の見本のような現場だ。朝昼晩と地元のTVが全社報道を繰り返し、共同通信が山口から全国配信を続けています。NHKも4回も報道するが山口でとどまっている。山口朝日放送の取材はついに報道ステーションが全国報道し、昨日TBSが全国報道を決めた。10月26日は坑口を開ける日になる。山口に来ますか、来なくてもNHKも、さすがにたまらず全国報道するでしょうからそれを見たらいいです。我々は安倍晋三の山口から全国に発信している。刻む会の会長は近所の人に言われたそうです。「朝も昼も、また今日もテレビに映ってたよ」って。これが今の山口の闘いだ。

皆さん、私たちにお金がいることわかっていただけると思う。7月15日スタート集会からクラウドファンデングを始めている。坑口を掘るのに650万円。調査に150万円。8月7日現在で400万円が集待っている。1000円が1万人集まれば1000万円。そんな闘いを目指している。私どもと一緒に立ち上がってください。

●クラウドファンデングはアドレス
https://for-good.net/project/1000940
もしくは、FOR GOOD で検索

●KRY 山口放送・7・15スタート集会報道
戦時中に事故で水没…旧長生炭鉱の遺骨発掘調査の実現目指し集会・宇部|KRY NEWS NNN (ntv.co.jp)

●7・15みんなの力で坑口を開けようスタート集会 YouTube配信、約55分
坑口開けよう!スタート集会 (山口県宇部市・2024年7月15日) youtube.com

●NHK山口/ 現地清掃活動の報道
82年前の海底炭鉱水没事故 遺骨収集に向け準備作業 宇部 |NHK 山口県のニュース

●東京新聞・共同通信が全国に配信
遺骨残る海底炭鉱を調査へ 戦時中に事故、山口・宇部市沖|東京新聞 TOKYO Web

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