なぜ警視庁は異例の警告を受けたのか 「密着尾行はプライバシー・思想・表現の自由侵す」を読む

桜井大子

佐々木央・共同通信記者による上記タイトルの記事が、6月15日、『47NEWS』にアップされた。以下だ。

https://nordot.app/1041629986516730786?c=39546741839462401

この記事は、本サイト『反天ジャーナル』4月更新時に掲載した「『天皇弾圧』(公安警察つきまとい)に対する人権救済申立て」を強力に補足してくれるものとなっているので紹介したい。

4月の本サイトの記事は、2023年3月23日に発表された東京弁護士会の上記「人権救済申立て」と、それを報道配信した共同通信の短い記事をもとに簡単にまとめたもので、目的は「人権救済申立て」がなされた事実とその内容を伝えることだった。

その後、佐々木記者が被害者当該や東京弁護士会へのインタビューなど取材を重ね、
「人権救済申立て」を読み込む記事を発表した。それがいま上記『47NEW』で無料で読めるようになったようなのだ。ぜひ上記URLをクリックし、「密着尾行」の実態と問題について知ってほしい。

天皇制に反対の意思表示をすることが困難な社会にあること自体が問題であること、その単なる意思表示が警察による監視や尾行を招き、そういった事態を思想信条やそれに基づく表現の自由を犯していると判断させない、「人権侵害」と感じさせないこの社会は深刻だ。それだけでなく、天皇制に反対するのだから「これくらいの監視」は当たり前といった日本社会の「常識」という、さらに大きな問題もある。そして、「天皇制反対」の声をあげるにはそれなりの覚悟が必要といった、運動の側においても陥りがちな、悲しい諦めのような「常識」も。

実際のところ覚悟などしてもしなくても、弾圧の憂き目にあうことが現実としてあるのだから、この現実をどのように認識しながら行動し、あるいは人々に呼びかけたりするのか。問題はそう単純ではないようにも見える。

反天皇制の運動にはたくさんの考えるべきことがあるのだけど、このどうにも手に負えなさそうな社会の「常識」をどうするのか、機会がある毎に考えておく必要があるのだろうと、思うのだった。

現実的には「天皇弾圧」が顕在し、まずはそのことを問題にすることが大切なのだな、と思う。そして同時に、そのような「弾圧が当たり前」といった条件があるなかで運動を進めるためには、どのような議論のなされ方が必要で、何が重要だったりするのか。楽観的にも悲観的にもならず、客観的に、しかも絶望からできるだけ離れた位置で、誰かとつながりあい続けること…。ああ、難題だ。なんて面倒くさいことか。

そして、生きること自体も含め、目の前の課題にアクセクさせられているこの世知辛い社会で、そのような思考や議論自体が遠い課題に属することがらであると考えられたり、乱暴に扱う(扱われる)可能性(危険性)を私たちは常にかかえているのかもしれない。

やはり、超難題であるのだ。だからこそ、こうやって誰かが動いた時には、真摯に考えるタイミングであると認識したい。考えるためのチャンスは受け取らねばと思う。

 

カテゴリー: 天皇制/王制論, 天皇制問題のいま パーマリンク