最終陳述

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(日本語仮訳PDF)
Vusimuzi Madonsela (p.82-85)

最終陳述(Final Submission)
1.裁判長、南アフリカが本裁判所に求めている暫定措置を読み上げます。
2.求められている措置を正当とする理由についてはすでにお聞きになられました。要約すると、暫定措置の指定は、私たちが認識するところでは、その下にある主張の巧拙に関わりがありません。とはいえ、この段階で示された証拠は、ガザ地区におけるパレスチナ人に対する重大な暴力及びジェノサイドの行為を示しており、ジェノサイド条約の明白な違反であり、かれらの権利を侵害するものです。
3.南アフリカが本裁判所に来たのは、ジェノサイドを防止し、かつ、本条約において南アフリカおよびその他すべての国が負う国際的責務に答えるためです。明確な、特定化された、個別の暫定措置を指示しないことによる結果は、――しかも、私たちの見るところ、イスラエルがその国際的な責務を無視しているにもかかわらず、介入する手段を講じないことによる結果は、私たちの危惧するところですが、実にきわめて重大なものとなるでしょう。さらにジェノサイドの行為にさらされる現実的なリスクを負っているガザのパレスチナ人にとっても、南アフリカの権利にとっても、及び本条約の下における諸権利の実効的な実現を与えられる権限を備えており、かつ、この権限を行使すべき本裁判所の評価においても、重大な結果を導くでしょう。
4.その意味するところは、南アフリカが求める暫定措置並びにこれに加えて本裁判所が適切と思われるその他いかなる措置が必要であるということです――これがまさに私たちの主張するところです。正義、そしてパレスチナ人の権利に対する公平な尊重に照らせば、危機的な状況で求められているこれらの暫定措置には、圧倒的に是とすべき事情があります。
5.裁判長、南アフリカが求めている暫定措置を読み上げます。上記に述べた事実に基づき、
「南アフリカは、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約の締約国として、本裁判所に対して、敬意をもって、極めて緊急性の高い案件として、本件に関する本裁判所の決定を待って、ジェノサイド条約によって保護されるべき集団としてのパレスチナ人民に関する次に掲げる暫定措置を指示するよう、敬意をもって本裁判所に求める。これらの措置は、南アフリカのイスラエルに対する紛争の主題を構成する権利に直接関連するものである。
(1)イスラエル国は、直ちにガザにおける、かつ、ガザに対する軍事作戦行動を停止しなければならない。
(2)イスラエル国は、それによって指揮され、支援され、または影響を受けたと思われるいかなる軍事部隊又は非正規の武装組織体並びにその支配、指揮または影響に服すると思われるいかなる団体及び人も、第1項に掲げる軍事作戦行動の推進において一切関与しないことを確保しなければならない。
(3)南アフリカ共和国及びイスラエル国は、相互に、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約のもとにおけるその責務に従って、パレスチナ人民に関連して、ジェノサイドを防止するため、その権限の範囲内において、合理的な措置をとらなければならない。
(4)イスラエル国は、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約のもとにおけるその責務に従って、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約 によって保護される集団としてのパレスチナ人民に関連して、本条約の第2条の範囲内におけるいかなる、かつ、あらゆる行為の実行を控えなければならない。とりわけ
(a)集団構成員の殺害
(b)集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること
(c)全部又は一部に肉体的破壊をもたらすことを意図した生活条件を集団に対して故意に課すること
(d)集団内における出生を妨げることを意図する措置を課すること
(5)イスラエル国は、上記(4)(c)に従って、パレスチナ人に関して、以下に掲げる行為を防止するため、関連する命令、制限及び/又は禁止の撤回を含むその権限の範囲内におけるあらゆる措置を執り、並びにこれらの命令、制限及び/又は禁止を控えなければならない。すなわち、
(a)彼ら(パレスチナ人)の追放及び家庭からの強制移住する行為
(b)以下に掲げるものを剥奪する行為
(ⅰ)十分な食料及び水へのアクセス
(ⅱ)十分な燃料、シェルター、電気、衛生及び衛生設備へのアクセスを含む人道的支援へのアクセス
(ⅲ)医療上の必需品及び援助
並びに
(c)ガザにおけるパレスチナ人の生活の破壊
(6)イスラエル国は、パレスチナ人に関して、その軍隊並びにそれによって指揮され、支援され又はその他影響を与えられたと思われるいかなる非正規の武装した部隊若しくは人及びその統制、指揮若しくは影響の下にあると思われるいかなる組織及び人が、上記(4)及び(5)に記載するいかなる行為を行い、又はジェノサイドを実行することを直接かつ公然と教唆することに従事し、ジェノサイドを実行する共謀に従事し、ジェノサイドを実行しようと企て、又はジェノサイドの共犯として関与し、並びに、これらの者が上記の行為に関与している場合には、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約第1条、第2条、第3条及び第4条に従って、その処罰に向けて手段をとることを確保しなければならない。
(7)イスラエル国は、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約第2条の範囲内における行為の存在に関する主張に関する証拠の破壊を防止し、かつ、これらの証拠の保全を確保する措置を執るものとし、かつ、そのために、イスラエル国は、事実調査団、国際的委任を受けた者及びその他の組織がガザにアクセスし、上記証拠の保全及び保持を確保することを補佐することを否定し、又はその他の方法で制限してはならない。
(8)イスラエル国は、この命令のあった日から起算して、1週間以内に、かつ、その後においても、本裁判所が命令する定期的な間隔において、本件に関する最終的な判決が本裁判所によって下されるまで、この命令を実効あるものにするために取られたあらゆる措置に関して、本裁判所に報告書を提出しなければならず、かつ、この報告書は本裁判所によって公刊されるものとする。
(9)イスラエル国は、本裁判所に提起された紛争を悪化させ又は拡大し、又は解決を一層困難にさせるおそれのあるいかなる行動も控え、かつ、このようないかなる行動もとることにないように確保しなければならない。」
 裁判長並びに裁判官の皆さん、ありがとうございます。これをもって南アフリカの陳述を終わります。
裁判長:南アフリカの代表に感謝します。この発言をもって、南アフリカの第一回口頭弁論は終結し、本日午前の期日は終了します。本裁判所は、イスラエルの第一回口頭弁論を聴取するため、明日、2024年1月12日午前10時に再開します。これにて閉廷します。
法廷は午後1時20分に閉廷した。

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