マイナ保険証の利用率が低下!?

 厚労省サイトより作成

 5月29日(?)、厚労省は新しいマイナ保険証の利用率を公表した
 それによると、従来公表してきた方式※では、4月の利用率は49.87%で、なんと3月の50.37%から0.5%減少し、2月の49.89%より下回った。マイナ保険証の利用率を公表しはじめてから、利用率が低下したのは初めてだ。
 なお厚労省が今年(2026年)1月から変更した新方式※は、集計が一カ月遅れで公表されるため、今回公表された3月の利用率は 67.21%で、2月の65.50%から上昇している。
 4月は転職・就職などで医療保険の切替が多いため、一時的な低下の可能性もあるが、マイナ保険証の利用率は低迷し、健康保険証・資格確認書との事実上の併用状態になっている。
※新方式=レセプト件数ベース利用率
 マイナ保険証利用人数 ÷ レセプトの発行件数
※従来の方式=オンライン資格確認件数ベース利用率
 マイナ保険証利用件数 ÷ オンライン資格確認利用件数

 社会保障審議会医療保険部会(2025年12月18日)資料2

 厚労省は暫定的に認めてきた有効期限の過ぎた健康保険証の利用を、2026年7月末に終了すると述べている(こちら参照)。しかし不便なマイナ保険証より、健康保険証を使いたいとの声は多い。それだけでなく、マイナ保険証を使いたくない理由として個人情報への不安が大きいことが、会計検査院の報告でも示されている。
 会計検査院は5月15日、「マイナポイント事業に関する会計検査の結果について」を報告した。その中で、マイナポイント事業によって増加したマイナ保険証の登録についての分析も行っている。
 マイナポイントは、2020年7月から2021年12月を申込期間として最大5000円相当のポイントを付与した第1弾につづき、2022年1月から2023年9月までが申込期間の第2弾が実施された。
 第2弾では、第1弾を利用しなかった場合に最大5000ポイントを付与する(施策1)とともに、マイナ保険証の利用登録をすると7500ポイント付与(施策2)、公金受取口座の登録をすると7500ポイント付与(施策3)、計2万ポイントが付与された。あわせて予算2兆円以上の大事業だった。
 会計検査院報告では、まずマイナ保険証の有効登録件数と第2弾の申込者数がほぼ連動していることから、第2弾マイナポイント事業の実施がマイナ保険証の利用登録の誘因になっていたと指摘している(64頁)。

  会計検査院報告63頁より

 会計検査院の報告によれば、第2弾マイナポイント終了時のマイナ保険証の登録数は7051万余件で、人口1億2541万余人との差の5490万余人はポイント付与によってもマイナ保険証の利用登録をしなかった。その理由を調査した結果、「個人情報の漏えいが心配だったから」(24.3%)、「手続を忘れていたから」(15.2%)、「国に健康情報、病歴等を把握されるのが怖いから」(14.6%)となっており、個人情報への不安が大きかった(65頁)。
 ちなみに公金受取口座についても、同様に登録しなかった6287万余人を調査した結果は、「個人情報の漏えいが心配だったから」(32.0%)、「手続を忘れていたから」(13.0%)、「買い物履歴等の決済情報が民間企業や国に把握されてしまいそうだったから」(12.1%)となっている(67頁)。
 会計検査院は、この調査結果を総務省・厚労省・デジタル庁の間で共有していなかったことを、問題点として指摘している。

 またマイナ保険証の利用登録解除の申請件数が2025年7月時点で計15万余件となっていることについて(2026年4月現在では26万件を超えている)、厚労省が一部の保険者に解除申請の理由を聴取したところ、「個人情報の漏えいが心配だから」「マイナ保険証を利用する必要性やメリットが感じられないから」「紛失時の懸念があり持ち歩きたくないから」「紙の資格確認書を持っていたいから」などの理由が挙げられたとしている(74頁)。
 さらにマイナンバーカードの自主返納理由については、2024年3月の効果測定調査の結果では、「マイナンバーカードのセキュリティに不信感があるから」(33.1%)、「政府に対して不信感があるから」(29.4%)、「マイナンバー制度に不信感があるから」(28.3%)などだったと報告されている(71頁)。
 従来からマイナンバーカードを所持・利用しない理由として、「必要を感じない」「手続が面倒」「個人情報が心配」が指摘されてきたが、利用が広がるにつれて個人情報への不安が大きくなっていることが見て取れる。
 政府の宣伝するマイナカードの安全性はセキュリティーのことばかりで、市民が自分の意思と異なる個人情報の利用(悪用)に不安を抱いていることとかみ合っておらず、説得力がない。自己情報のコントロール権(情報自己決定権)を政府が認めないことが、デジタル化の足をひっぱっている。