またやるのかマイナポイント
1兆8千億円の無駄遣い

●マイナポイント第2弾の予定が明らかに

 2021年12月で終了したマイナポイント第1弾に続いて、2021年度補正予算で1兆8134億円の費用をかけて実施が決まったマイナポイント第2弾の予定が固まってきたようだ。
 マイナポイント第2弾は下図のように、
(1)第1弾と同様にマイナンバーカードの新規取得者に、最大5000円相当(キャッシュレス決済利用額の25%)のポイント
(2)マイナンバーカードの健康保険証利用登録をした者に7500円相当のポイント
(3)公金受取口座の登録を行った者に7500円相当のポイント
を付与するというものだ。
 (1)は第1弾と同じ仕組みで2022年1月から始まった。マイナンバーカードを以前取得していてマイナポイント第1弾を利用しなかった人も対象としている。
 (2)(3)は新たな仕組みが必要で実施時期が未確定だったが、2022年1月20日の参議院本会議で岸田首相が「6月ごろ」からポイント付与の予定と明らかにした。翌日金子総務大臣は記者会見で、 (2)(3) は6月ごろから申込受付・ポイント付与をスタートし、ポイントの申込期間は2023年2月末までとすること、第2弾の対象者は本年9月末までにマイナンバーカードを申請した人とすることを明らかにした。

  2021年12月23日総務省自治行政局説明会資料2より

●予算の半分しか利用されなかったマイナポイント

 マイナポイント第1弾は、予算の増額や期間の延長を繰り返して、最終的に5000万人分の予算で2021年12月まで実施された(下図参照)。しかし利用申込したのは約2531万人にとどまり、予算の半分に終わった(朝日デジタル2022年1月7日)。
 にもかかわらず 利用されなかった理由を検証することもなく、 9500万人が利用すると想定して、第1弾で利用しなかった6950万人×5000円の予算を付けてしつこく継続しようとしている。

  2021年12月23日総務省自治行政局説明会資料2より

●お金で釣らないと普及しないマイナンバーカード

 2020年11月のスタッフブログに「お金で釣らなければ普及しない「マイナンバーカード」って何?」を掲載した。その後の経過を見ても、下図のようにお金で釣ったときしかカードの申請は増えていない。
 低迷していた申請が2020年5月に増加したのは、10万円の特別定額給付金をマイナンバーカードを使いマイナポータルでオンライン申請すると早く支給されるかのよう政府が宣伝したためだった。第1回の緊急事態宣言下で三密回避を求めていたにもかかわらず、市町村窓口は大混雑になった。しかし結果的には郵送で申請した方が早くなり、次々とオンライン申請は中止になった。
 2020年7月からは、9月利用開始のマイナポイントの申込がはじまり申請が増加し、利用のためのマイナンバーカード取得締切りの 2021年3月(4月に延長)に月684万件と申請が急増した。しかし5月以降は申請が急低下してしまう。。
 それが突然2021年11月に申請増加したのは、マイナポイント2万円分付与が自民・公明で合意した報道がされたためだ。マイナンバーカードを取得すると2万円もらえると誤解したためか市町村窓口に殺到したが、すぐにもらえるわけではないとわかり申請はまた元の水準に戻った。
  マイナンバーカードを全国民に所持させる、ということが目的化してしまって、お金で釣るという邪道で普及を図ろうとしている。

  2021年12月23日総務省自治行政局説明会資料2より

●「便利になる」保険証利用や口座登録になぜ付与

 さらに第2弾では、マイナンバーカードの保険証利用登録をしたり、公金振込口座登録をすると、各7500円のポイントも付与することにしている。
 政府はマイナンバーカードの保険証利用も、公金振込口座の登録も便利になると宣伝している。本当に便利だとしたらポイント付与という利益誘導をしなくても利用は広がるはずで、この1兆8千億円は無駄な費用だ。普及のためにポイントをばらまこうと考えていること自体、魅力のない保険証利用不安が広がる口座登録を無理やり押しつけようとしていることを認めているようなものだ。市民が嫌がることを鼻先に7500円の餌をぶら下げて、一つ一つ受け入れさせようとしている。

 1兆8千億円は大変な金額だ。住民税非課税世帯に対する1世帯10万円給付の補正予算が1兆4323億円だ。18歳以下を対象とした1人10万円給付の補正予算分が1兆2162億円だ。約2兆円あったらどれだけコロナに苦しむ困窮者の支援ができるのか、国会審議でも指摘されていた。
  2023年3月までに全国民にマイナンバーカードを所持させるという国策遂行(下図参照)のために、しゃにむに利益誘導することしか考えていない。なぜ便利だと感じられないのか、なぜ不安を抱いているのか、制度の見直しからはじめるべきだ。

2021年1月22日全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議資料16より