(APC) 2022年 Internet Governance Forumにおける優先課題について

以下は、APCが公表した2022年インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)に向けて提起した優先課題についての文書の日本語訳です。


出典:https://www.apc.org/en/node/38378
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APC
Published on 21 November 2022
Page last updated on 21 November 2022

1. はじめに

進歩的コミュニケーション協会(APC)は、グローバル・インターネット・ガ
バナンス・フォーラム(IGF)を、グローバル・セッションのみならず会期中
の活動を通じて、幅広いステークホルダーとのインターネット政策に関する議
論に実質的に関与し貢献できる場として高く評価している。

以下では、2022年のグローバルセッションに関する基本的な情報を提供すると
ともに、APCの今年の戦略的優先事項を紹介する。

1.1 テーマ

第17回世界IGFは、「Resilient Internet for a Shared Sustainable and
Common Future」という包括的テーマの下、2022年11月28日から12月2日までエ
チオピアのアディスアベバでオンラインとハイブリッド開催することが決まっ
た。

会議のプログラムは、国連事務総長の報告書「Our Common Agenda」の中の
「Global Digital Compact」から導き出された5つのテーマによって進められ
ます。

  • すべての人をつなぎ、人権を守る
  • インターネットの断片化を回避する
  • データの管理およびプライバシーの保護
  • 安全、セキュリティ、アカウンタビリティの実現
    ,Li>人工知能(AI)を含む先進テクノロジーへの対応

1.2 ハイブリッド・モダリティ

IGFのセッションは、スピーカー、モデレーター、報告者が完全にオンライン
で参加することもあれば、混在して参加することもある。しかし、各セッショ
ンには、会場の物理的な部屋が割り当てられ、Zoomルームをプロジェクション
するスクリーンが設置される予定である。セッションはアディスアベバの現地
時間に従って行われる。

前回のIGFでは、ポーランドのカトヴィツェでの直接会議の前に、準備段階が
延長さ れた。APCは、ポーランドでのセッションに参加できなかった人々や、
ポーランド時間が難しい時間帯に拠点を置く人々を考慮し、異なるタイムゾー
ンの多様なステークホルダーをIGFセッションに含める努力の証として、その
取り組みを歓迎していた。2022年中は不可能であったが、2023年に向けて同様
の取り組みを再考することを提案する。

1.3 セッションの種類とスペース

IGFのプログラムは、メインセッション、ワークショップ、オープンフォーラ
ム、タウンホール、ネットワーキングセッション、ライトニングトーク、打ち
上げ/表彰、ダイナミックコアリション(DC)セッション、国家・地域・若者
イニシアティブ(NRI)セッションで構成される。また、ハイレベル、議会、
ユースの各トラックも設けられる予定だ。合計で255以上のセッションが予定
されている。全アジェンダはこちらでご覧いただけます。

APCのスタッフおよびメンバーは、これらのセッションの多くに参加する予定
だ。2022年IGFのAPCアジェンダはこちらでご確認ください。

IGF期間中、関心のあるステークホルダーは、会議の展示エリアとオンライン
にある物理的および仮想の展示ブースからなるIGFビレッジで、インターネッ
トガバナンス関連の活動についての関連情報を展示または配布することができ
る。APCは例年通り、現地でブースを出展する予定だ。

2. エチオピアの人権状況

2022年の「アフリカにおけるインターネットの自由に関するフォーラム
(FIFAfrica)」において、CIPESA(東・南アフリカにおける国際的なICT政策
に関する協力)とAPCは共同で、インターネットガバナンスコミュニティにエ
チオピアの人権とメディアの自由の状況について学び、議論する機会を設けた。
このセッションの目的は、IGFに参加を予定している市民社会組織とIGF事務局
およびエチオピアIGF委員会との間の交流を可能にすることであった。また、
アフリカや世界の市民社会、デジタル上の権利活動家、技術者コミュニティの
メンバーと、エチオピアで活動する市民社会、学術関係者との交流を図ること
を目的とした。また、このセッションは、今年のIGFへの参加を希望する人々
が、最近の同国北部での紛争を背景に、安全面などに関する疑問を質問する機
会にもなった。

このセッションでは、IGF事務局長が、IGF会議の企画を支配してきた原則につ
いて概説した。エチオピア代表は、企画委員会の構成や委員としての活動、
IGFにおけるエチオピア政府の役割(特にイノベーション・テクノロジー省)
についてより詳しく説明するよう求められた。アジスアベバ大学からは、学術
界を代表するスピーカーが、エチオピアの最近の歴史と、それが現在の政治状
況にどのようにつながっているかを短く説明する役割を担った。続いて、エチ
オピアの人権とメディアの専門家が、エチオピア人が直面している人権上の課
題について概要を説明した。彼女は、エチオピアの人々が深刻でエスカレート
した人権侵害の時代を生きていると主張した。ティグレの紛争は広く報道され
ているが、それ以外の地域、特にオロミアや南部では、メディアの関心がそれ
ほど高くない紛争が起きていることを指摘した。アムネスティ・インターナショ
ナルとエチオピア人権委員会(EHRC)は、これらの紛争に関わるすべての当事
者に対し、戦争犯罪や人道に対する罪などの人権侵害を呼びかけてきたと指摘
した。彼女は、深刻な人権侵害が最も脆弱なコミュニティや少数民族に影響を
及ぼしていると指摘した。続いて、アクセス・ナウの#KeepItOnキャンペーン
のマネージャーは、アクセス・ナウのシャットダウントラッカー最適化データベー
スによると、エチオピアはサブサハラアフリカにおけるインターネット遮断の
主要加害国であり、2015年から2021年の間に少なくとも22件のインターネット
遮断を記録していると説明した。過去2年間、ティグレの人々はインターネッ
トへのアクセスを拒否され、接続性の欠如による影響は悪名高いものとなって
いる。

共有された情報を踏まえて、次のような問いを中心に議論が行われた。IGFは
エチオピアで開催されるべきなのか?IGFは本当に異論を唱えるための場になっ
ているのか?人権擁護者は、IGFで国家的な議題について発言する場を与えら
れるのか?行動規範は彼らのそうした能力に影響を与えないか?IGFに参加す
る参加者の安全やセキュリティに懸念はないのか?

イベントは共同行動の呼びかけで締めくくられた。現地の人権活動家は、市民
社会組織が集まり、自分たちの経験を共有し、共通の闘いについて現地のエチ
オピアの市民社会組織と協力するよう、公開の招待状を提出した。司会者は、
参加者がエチオピアのIGFに参加し、その中でこの議論を継続し、国家やその
他の者が人権を守らないことについて懸念を示す方策を見つけるとともに、イ
ンターネット関連事項に関する対話と議論のためのオープンで包括的なマルチ
ステークホルダー・プラットフォームとしてのIGFを活用してほしいと表明し
た。

議論の全容は、こちらでご覧いただけます。

IGFの進展が証明しているように、IGFの価値の重要な部分は、批判的な討論と
会話を促し、特定の国の状況についての情報を共有し、人々、グループ、コミュ
ニティがそれぞれの文脈で異なる要因によって影響を受ける多様なあり方に対
応する可能性を議論する、その可能性にある。

APCは、IGF行動規範を、特に批判的な声を聞くべき状況に対応させる方法を見
極めるために貢献したいと考えている。

3. IGF2022におけるAPCのテーマ別優先事項

3.1 グローバルなインターネットガバナンスとデジタル協力の未来を想像する

インターネットは、世界の様々な場所にある無数の機関、組織、団体によって
運営されている。その分散化が、初期の拡大を特徴づけた革新性、創造性、開
放性の理由であると長い間賞賛されてきた。しかし、今日、インターネットは
よりコントロールされ、私物化され、武器化された空間になっている。

このような現状において、インターネットをどのように統治するかは、より重
要かつ緊急な問題になってきている。しかし、その答えはまだほとんどなく、
権利と自由、革新と開放性を保証できるような人間中心のモデルへのコミット
メントに欠けている。特に無視されているのは、インターネットガバナンスと
環境の持続可能性、ジェンダーの正義との相互作用に関する懸念だ。

2021年、APCとそのパートナーは、2025年にインターネットガバナンスがどう
あるべきかを議論することを目的とした、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ
における一連のマルチステークホルダー地域ダイアログを実施した。これらの
インプットは、グローバルなIGF2021のセッションの基礎として使用され、未
来のシナリオを考えるための方法論を通じて、IGFプロセスを把握し、人々を
中心としたボトムアップでインパクトのあるインターネットガバナンス、真に
意味のあるマルチステークホルダー主義、インターネット関連の国際政策プロ
セスのより優れた協調に向けた未来の代替原則、様式、構造、力学について検
討さ れた。

2022年、APCはALAI、APNIC、Derechos Digitales、Dot.Asia、KICNTANet、
Pollicyと共同でフォローアップセッションを開催し、プロセスに継続性を持
たせ、グローバルデジタルコンパクト構想への貢献としてインターネットの将
来に関連した地域の視点を提供する。特に環境正義を促すインターネットガバ
ナンス、ジェンダー正義とフェミニストの将来を促すインターネットガバナン
スという二つの問題に焦点を当てたセッションを開催予定である。

インターネットガバナンスの未来を想像する取り組みの一環として、APCはメ
ンバーのIntervozesと共同で、インターネットプラットフォームの規制につい
て議論するセッションを開催し、グローバル・サウスからの視点と経験を持ち
寄る予定である。

3.2 COVID-19後のデジタル上の権利の優先順位と戦略の変化

今年、私たちはグローバル情報社会ウォッチ(GISWatch)の 15 年を祝った。
APCが最近発表した一連の考察では、この強力なプロジェクトの起源を探りな
がら、未来に目を向けている。

2022年のIGFでは、この画期的な出版物の新版が発売される予定だ。この版の
ために準備された調査は、パンデミックがデジタル上の権利の優先順位と戦略
にどのように挑戦し、市民社会組織のアドボカシー活動の方法にどのように影
響を与えたかについて、世界各国からのグローバル・サウスの声を紹介してい
る。

調査結果によれば、Covid19の大流行により、持続可能な開発目標の達成に向
けた進捗は何年も後退している。指摘された傾向は憂慮すべきものである。プ
ライバシー、表現の自由、デジタル上の権利と危害、移民、知的財産などの主
要分野における市民社会の集団的なアジェンダの弱体化は、デジタルと社会の
格差の深化により悪化する可能性が高い。インターネット需要の急増は今後も
衰えることなく、より多くの人がより頻繁にオンラインに接続する傾向が続く
と思われる。社会から疎外されたコミュニティがインターネットに アクセス
できないことは、彼らの権利(教育や労働といっ たもの)を利用する能力に
悪影響を与えているが、小規模 なインターネットサービスプロバイダは、そ
のサービス に対する前例のない要求によって危機的状況に追い込 まれている。
オンラインのジェンダーに基づく暴力の根絶に取り組む人々にとって、加速す
るデジタル化の中でオンラインのジェンダーに基づく暴力を表現する新たな方
法が生まれ、状況は変化している。パンデミックの圧力は、市民社会の新しい
集団的な関与のモデルに対して感じられるだろうが、これを結集させるために
は、新しい関与の方法を作り出さなければならないだろう。今回の寄稿者たち
は、これらの課題にどう対処するか、そしてインターネットの権利と関連する
アドボカシーの優先事項に対するパンデミックの長期的な影響をよりよく理解
するための行動ステップを提案している。その中には、マルチステークホルダー
政策プロセスへの草の根の参加を再活性化することが含まれている。APCは、
IGFを、声、現実、対応を可視化するための貴重なプラットフォームと見なし
ている。

3.3 表現の自由とジェンダーの公正

APCは、表現の自由の解釈と実施に交差的ジェンダー正義の視点を適用するこ
とから生じる重要な問題を探求することを目的とした一連の活動を展開してき
た。

そのような問題の中で、表現の自由とオンライン・ジェンダーに基づく暴力
(OGBV)の交錯が重要な関心事となっている。APCは、世界各地での一連のワー
クショップや協議を通じて、テクノロジーの進歩が、女性やジェンダーの多様
な個人の表現や情報の自由を直接的に損なうOGBVの新たな顕在化にどのように
つながっているかを確認する活動に取り組んでいる。特に、APCはジェンダー
にかかわる偽情報の推進者、媒介者、行為者に関する情報を収集し、その重大
性と影響力の観点からヘイトスピーチとみなされうる女性差別的言論の拡散に
ついて議論してきた。APCはその政策活動において、概念的な明確さと法的認
識の欠如が、女性が不当に直面している表現の自由の侵害を不可視化すること
につながらないよう、また、より明確な分類がより的を射た改善された対応に
つながるよう、努めている。

このプロセスの一環として、またIGFの傍ら、APCは国連表現と意見の自由に関
する特別報告者と連携して、アフリカにおける表現の自由とオンラインのジェ
ンダーに基づく暴力について話し合う地域協議会を開催し、事例と対応をマッ
ピングする予定である。IGFの期間中、私たちはユネスコと共同で、ジャーナ
リストに対するオンラインのジェンダーに基づく暴力とインターネット・プラッ
トフォームの責任について議論するセッションを開催する予定だ。

APCスタッフはまた、ジェンダーとデジタル上の権利に関するベストプラクティ
スフォーラム(BPF)の活動を支援してきた。このBPFは、デジタル上の問題に
対する規制の広範な利用が、女性の権利、特に表現の自由、集会・結社、宗教
の権利にどのような悪影響を及ぼす可能性があるかを調査している。BPFは報
告書を作成し、専用セッションでIGFコミュニティと共有・議論する予定だ。
私たちはこの点で、BPFジェンダーによって進められている活動を歓迎し、高
く評価する。

3.4 デジタル・インクルージョンとアクセス

革新的な補完的アクセスネットワークとソリューションモデルが、接続されて
いない人々を接続し、コミュニティがデジタル領域への接続方法に関して自己
決定権を行使する必要性を認識する声が高まってきている。IGF期間中、APCと
Rhizomaticaは、グローバル・サウスにおける有意義なアクセスのためのロー
カルソリューションの創造と管理のための不可欠な能力開発プロセスについて、
経験と考察を共有する場を設けることを目指す予定だ。

コミュニティトレーニングプログラムの設計と実施を通じて、電気通信サービ
スへの意味のあるアクセスのための戦略を推進する組織、団体、個人の国際ネッ
トワークを構成する関係者のネットワークを強化する上で、さらなるメカニズ
ムとしてパネルが組織される。特に、2020年以降、ブラジル、ケニア、ナイジェ
リア、南アフリカ、インドネシアで開催された最初のコミュニティ・ネットワーク
全国スクールの開催に携わった組織が参加する予定だ。

断絶されたコミュニティの人々をトレーニングすることで、接続とアクセスの
プロジェクトは、ラストマイルの通信ネットワークが開発されるコミュニティ
のニーズ、夢、特徴を直接知っている人々によって管理されるため、長期にわ
たって有意義で持続可能なものになる。また、このようなトレーニングプロセ
スには、開発される地域ごとの知識や学習方法に対応した、異なる学習モデル
が必要であり、APCは、このような学習モデルの開発にも取り組んでいます。

このワークショップは、Connect Humanity、Internet Society、APCが共同で
行った、コミュニティ接続プロバイダーの成功を支援するための運営モデルや
資金調達メカニズムの分析を継続するもので、APCは「Financing mechanisms
for locally owned internet networks」と題したワークショップも共同主催
する予定だ。これらの取り組みは、コネクティビティ・キャピタルが作成した
レポートに集約されており、ブロードバンド・インフラの建設や資金調達を行
う人々が、接続性を拡大しデジタル・エクイティを加速できる持続可能なソ
リューションを特定・支援できるよう、設計されている。この報告書は、こち
らで入手できます。

APCは、階級、アイデンティティ、性別、障害、居住地に関係なく、すべての
人がいつでも手頃な価格で有意義なインターネットにアクセスできるようにす
るための活動を行っている。IGFは、この重要な問題に関して、会議を開き、
知識を交換し、戦略を練るためのダイナミックなプラットフォームであり続け
ている。

そのため、APCは「意義あるアクセスに関するポリシー・ネットワーク(PNMA)」
を支援している。ポリシーネットワークはIGFの会期中活動の一種で、インター
ネットガバナンスに関する幅広いテーマについて専門家主導の枠組みネットワー
クを構築し、マルチステークホルダーによる綿密な取り組みのためのスペース
を作るために作られたものだ。PNMAの目的は、IGFで既に議論されたグッドプ
ラクティスやポリシー勧告を評価・収集し、これらが実施されない主な障壁は
何かを特定し、そのテーマに関わる全てのステークホルダーグループの関係者
間のネットワーキングを促進することである。PNMAは2021年6月に正式に活動
を開始し、事務総長の「デジタル協力のためのロードマップ」や「持続可能な
開発目標」に沿った有意義で普遍的なインターネットアクセスを実現する方法
について、インパクト重視の具体的かつ実行可能な政策提言を形成することを
目指している。2022年、PNMAは3つの包括的なテーマ別ワークストリームに焦
点を当て、接続性(インフラとビジネスモデル)、市民中心のアプローチによ
るデジタルインクルージョン(アクセス性と多言語性:地域のニーズとリソー
スに基づいた地域の言語によるサービスとコンテンツ)、能力開発(技術スキ
ルトレーニング)に取り組み、強調された目標と提案された結果に注意を払っ
た上で活動した。意義のあるユニバーサルアクセスを促進するための具体的な
行動や介入を知らせることができる良い実践や経験のケーススタディを文書化
する目的で、IGFコミュニティや関心を持つあらゆる利害関係者の十分な参加
のために、入力のための呼びかけが発表された。選択された貢献は、IGF期間
中に利用可能となる出力報告書に含まれている。

3.5 環境問題がインターネットガバナンスと交差する場所

環境正義と持続可能性は、IGFにおけるAPCの関与の優先課題としてあり続けて
いる。2021年、IGFは、国連持続可能な開発のための2030アジェンダによって
枠組みされた環境に関するポリシーネットワーク(PNE)を主催した。2021年
初頭にマルチステークホルダーワーキンググループが結成され、報告書の作成
に取り組みました。APCのスタッフとメンバーは、(1)環境データ、(2)食
糧と水のシステム、(3)サプライチェーンの透明性と循環性という3つの課題
分野に焦点を当てた報告書の起草など、PNEの活動に貢献し、さらに包括的な
課題、機会、リスクの章も含まれている。

報告書では、デジタルインクルージョンと有意義なアクセス、透明性、信頼、
意思決定への市民参加など、各章に共通するテーマが盛り込まれている。また、
デジタルテクノロジーは天然資源の採取と利用を通じて環境にリスクをもたら
すことを強調し、環境と人権の侵害を特定し対処するための政策提言を行って
いる。

PNE報告書は、環境の持続可能性とインターネットガバナンスの間に無数の関
連性があることを示した。私たちは、その作業を基礎とし、それを拡大し、他
の関連するステークホルダーを取り込み、IGFをより広い持続可能な開発アジェ
ンダと結びつけるために行った活動が継続できるようにしたいと考えている。

PNEは廃止さ れたが、環境に関するダイナミック連合(DCE)が創設された。
2022年のIGFでは、DCEの初会合が開催され、2021年のPNEの成果のフォローアッ
プに主眼が置かれる予定だ。このセッション自体は、IGFの中でこのテーマに
取り組んでいる様々なグループをまとめるために行われた活動の集大成となる
ものだ。このセッションの目標は、DCEの活動を正式に開始することであり、
同時に、このテーマに関心を持つステークホルダーを集め、環境、持続可能性、
インターネットガバナンス(環境データ等)の文脈で横断的な問題に対処する
ためのマルチステークホルダーハブを作ることである。

3.6 IGFの強化及びWSIS+20の準備

インターネットガバナンスプロセスは、アクセス可能で、民主的で、透明性が
あり、説明責任を果たし、包括的であるべきである。しかし、過去20年間にお
けるこれらのプロセスの急増は、分断と分散化を招き、同時に役割とマンデー
トのギャップと重複を生み出してきた。最近の取り組みでは、こうした課題に
対処することが目指されています。中でも、国連事務総長が主導するいわゆる
「デジタル協力プロセス」は、政治的な意思、資源、官僚機構を動員する可能
性があるという観点から、特に重要視されています。2021-2022年におけるこ
の点に関する2つの重要な進展は、テクノロジーに関する国連特使の任命とIGF
リーダーシップ・パネルの指名である。

私たちは、IGFリーダーシップ・パネルを、グローバルなデジタル協力を形成、
維持、強化するための実行可能な方法を特定するためのプラットフォームとし
てIGFを強化するために10年前に始まった多くの取り組みの一つであると捉え
ています。APCは、IGFリーダーシップ・パネルが国連システム内におけるIGF
の強化及び知名度向上に貢献する必要があり、その努力を補完するためにIGF
マルチステークホルダーアドバイザリーグループ(MAG)と手を携えて活動し
なければならないと考えている。IGFリーダーシップ・パネルは、長年のMAGの
運営から得られた教訓を基にする必要がある。

2022年のIGFで行われる議論において、APCはこれらの新しいガバナンス機構と
の完全な関わりを促進することを求め、特に世界情報社会サミット(WSIS+20)
の20周年に向けて、グローバルなデジタル協力とガバナンスにおける調整と補
完性を確保するための彼らの努力を擁護していくつもりである。

私たちは、IGFがインターネットガバナンスのエコシステムの重要な一部であ
り、グローバルなインターネットガバナンスとグローバルなデジタル協力にお
ける調整と協力の改善に資するプラットフォームとして、その成果を基に強化
されなければならないと考えている。IGFがそのような役割を果たし続けるた
めに、APCは、IGFの将来及びより広くグローバルなインターネットガバナンス
の将来に関する戦略的議論を促進し、これらのプロセスが社会、ジェンダー及
び環境正義と人権に貢献するインターネットガバナンスにつながることが重要
であると考えている。

4. IGFにおけるAPCの活動

IGF2022の期間中、APCとそのメンバーが主催・参加するイベントの全リストはこちらでご覧いただけます。

5. IGF2022でAPCをオンラインでフォローする

ツイッター APC_News および @GenderITorg

フェイスブック:https://www.facebook.com/APCNews/

インスタグラム:https://www.instagram.com/apc_network/

メディア連絡先: flavia@apc.org 英語、スペイン語、ポルトガル語(会場外)、leila@apc.org 英語、スペイン語(会場内)。

出版物のページでは詳細な資料を、また、今年のIGFの準備のための具体的な推奨文献はこちらでご覧いただけます。


インターネット・ガバナンス・フォーラムとは

インターネットガバナンスは、情報社会に関する世界サミット(WSIS)、および2015年の持続可能な開発目標(SDGs)採択を受けた総会によるその後のWSIS+10レビューにおいて、最も議論を呼んだ課題の1つでした。WSISでは、インターネットガバナンスのアプローチは包括的で応答的であるべきであるという事実を認識し、国連事務総長にマルチステークホルダー政策対話のためのグローバル・インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)の開催を義務付けた。2006年7月18日、国連事務総長によってIGFの開催が発表された。

IGFは議論のプラットフォームとして、様々な人々やステークホルダーが対等の立場でテーブルにつき、インターネットやテクノロジーに関する情報を交換し、優れたポリシーやプラクティスを共有する場となっている。IGFは意思決定の権限を持たないが、意思決定を行う人々に情報を提供し、インスピレーションを与える。IGFは、インターネットの機会を最大限に生かし、リスクや課題に対処する方法についての共通の理解と知識共有を促進する。

また、IGFは、途上国を含む全ての国の利害関係者にインターネットガバナンスに関する議論に参加する機会を提供し、これらの利害関係者が既存のインターネットガバナンス機関や取り決めへの参加を容易にするための知識やスキルを構築できるよう、能力開発に寄与している。最終的には、先進国から途上国まで、政府から国際機関まで、民間から市民社会まで、すべてのステークホルダーの関与が、インターネットガバナンスにおけるダイナミックな公共政策の推進にとって必要である。(IGFのウエッブより)

https://www.apc.org/en/node/38378