Google Chromeをお使いの会員の皆さんへ
――ユーザー行動追跡の仕組みFLoCが問題視されています――

JCA-NET理事会
2021年4月23日

GoogleはFLoC (The Federated Learning of Cohorts: コーホートの連合学習)
と呼ばれる広告技術の導入実験を現在、Google Chromeで試験運用しています。
この仕組みは、欧州のGDPR(一般データ保護規則)に違反する恐れがあるために、
EU以外で実施されています。

FLoCとは

Googleが計画しているFLoCは、個人の嗜好や思想信条など様々な性格のプロファ
イリングをChromeで行います。自分のパソコンやスマホにインストールされて
いるChromeは何を閲覧したかなどウエッブにアクセスしてどのように行動した
のかに関するデータを収集してどのような人間なのかを判断するための仕組み
になってしまいます。そしてこうしたプロファイリングからFLoC IDと呼ばれ
る識別子を設定します。この識別子は、現在では2000人の集団ごとに割り振ら
れるようになっているようです。つまり同じような趣向や行動をしている人た
ちをまとめてグループ化するわけです。そしてこのFLoC IDを多くの広告主が
共有して広告宣伝に利用できるようにしようというものです。Googleは個人が
特定されないのでプライバシーは保護されると主張しますが、プライバシー団
体などはこのGoogleの主張を否定しています。少なくともこのブラウザを作っ
ている企業、Googleは誰がどの集団に割り振られているのかを識別できます。

こうした機能が及ぼす深刻な影響は多岐にわたります。個人の性的なアイデン
ティティ、政治や宗教の思想信条などがFLoC IDに組み込まれる可能性があり
ますし、独裁政権がこの仕組みをつかって、政府にとって好ましくないサイト
にアクセスする集団を把握するなど、反政府運動を弾圧したり監視することも
可能になります。零細なビジネスサイトを訪問した客を大企業が横取りするこ
とも容易になります。

Google ChromeのFLoCは実験段階ですが、今後、FLoCを組み込むのかどうかが
ブラウザの性格を二分する重要な問題になるかもしれません。現在、FLoCを組
み込むと思われるのは、Googel ChromeとChromiumです。ほぼ同じ仕組みを用
いているMicorsoft EDGEの態度は極めて曖昧なので、組み込む可能性がありま
す。

他のブラウザの対応

他方で、Chrome同様Chromiumuをベースに開発されていても、明確に反対して
いるのは以下のブラウザで、この機能は削除するとしています。
Brave
Vivaldi
また下記のブラウザはそもそもFLoCを組み込めない仕組みになっています。
Firefox
Safari

自分が使っているブラズザにFLoCが組み込まれているかどうかは下記で簡単に
調べられます。
https://amifloced.org/
上記にアクセスして、ボタンを押すだけです。

対策は?

この機会に、別のブラウザ、とくにプライバシーを重視しているブラウザに切
り替えることをお勧めします。

Firefox
日本語のページ
https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/
Firefox のダウンロードとインストールの手順 (Windows)
https://support.mozilla.org/ja/kb/how-download-and-install-firefox-wind…
Internet Explorer や Microsoft Edge からお気に入りやその他のデータを
インポートする
https://support.mozilla.org/ja/kb/import-bookmarks-internet-explorer-or…

Brave
https://brave.com/ja/
インストールは「Braveをインストール」ボタンをクリックして、実行ファ
イルをダウンロードして「実行」します。
Braveにはユーザーを追跡しない広告スポンサーをサポートする仕組みがあ
ります。これは好き嫌いがあるところかもしれません。

Vivaldi
https://vivaldi.com/ja/
ダウンロード
https://vivaldi.com/ja/download/
ファイルをダウンロードして実行します。(やり方はBraveと同じです)

なおLinuxの場合は、各ディストリビューションでそれぞれ配布されています。

ブラウザの選択と切り替えについてはセミナーでも取り上げたいと思います。