現職自衛官による「君が代」歌唱に抗議

渡辺厚子(「日の丸・君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市民会議)

「日の丸・君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市民会議では、4月29日に、現職自衛官による自民党大会での「君が代」歌唱に抗議し抗議文を、首相官邸、自民党本部、自衛隊本部の3箇所に送った。

「日の丸・君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市民会議とは、2020年3月1日、「日の丸・君が代」強制中止を勧告したセアート(ILO/ユネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会)勧告を日本政府に実施させるために立ち上げられた市民団体である。教員、元教員、研究者、弁護士などが集う。

以来、市民集会や学習会をはじめ、文科省、外務省交渉を行い、また当事者である都教委指導部との交渉などを行ってきた。ブックレット、パンフレット、リーフレットも作成し、広くこの問題を知ってもらおうと努力してきた。

文科省はセアート勧告を、“我が国の実情や法制を知らずに、申立団体の言い分を聞いて出したもの”と切り捨てる。都教委に至っては、国に宛てて出されたものであるので、自分たちは見解を述べる立場にない“と逃げまくる。2003年以来20年以上にわたって厳しく行って教育行政政策なんだから堂々勝負しろ、と言いたいが、何しろ出てくるのはそれしか言えない官僚だからいつも壊れたテープレコーダーだ。

こうして取り組んできた6年の間には自由権規約委員会からも強制是正勧告を得ることができた。行政の対応は相変わらずだが、国際的人権条約機関からの圧力は高まっている。

しかしながら、今、「昭和100年行事」が開催され、国旗損壊罪が画策され、自衛官が自民党大会で「君が代」歌唱する状況になった。見過ごしにはできない。そこで「昭和100年記念行事、国旗損壊罪制定をやめてください」声明に賛同し、自衛官「君が代」歌唱に抗議し、これから国旗損壊罪反対の緊急院内集会を行う。

6月22日緊急の院内集会にはぜひ多くの方に集まっていただきたい。
ここに自衛官歌唱に抗議文を掲載していただく。編集部に感謝。ご一読を!


自民党総裁 高市早苗 殿
統合幕僚長 荒井正芳 殿
内閣総理大臣 高市早苗殿
*送付は各人宛

現職自衛官による自民党大会での「君が代」歌唱に抗議する

2026 年 4 ⽉ 29 ⽇

「⽇の丸君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市⺠会議
共同事務局⻑ ⾦井知明、寺中誠、⼭本紘太郎

2026 年 4 ⽉ 12 ⽇、⾃⺠党の最⾼意思決定機関である党⼤会において、陸上⾃衛隊中央⾳楽隊に所属する現職の⾃衛官が、 ⾃衛官として招かれ、 ⾃衛官として登壇して「君が代」を歌唱した。

当該の⾃衛官は、 司会から「初めてとなる声楽要員として⼊隊した」と⾃衛隊員である⾝分を明⽰して紹介されただけでなく、陸上幕僚⻑の指⽰によってのみ着⽤が許される正式な演奏服装(儀仗服) を着⽤しており、 会場には上司の⾳楽隊副隊⻑も同席していた。とうてい、 ⾃衛官個⼈の私的な⾏為に過ぎないとする弁明が通⽤する状況ではない。「再びの戦前の到来」がささやかれている今、⾃⺠党と⾃衛隊の双⽅が、「君が代」 の歌唱を媒介として、 相互の癒着関係を誇⽰する意図を露わにしたものとして、事態の危険性を看過し得ない。

政権与党である⾃⺠党は、政権が強引に押し進めている武器輸出解禁や防衛費・抑⽌⼒増強路線の延⻑線上に、 ⾃衛隊の私物化を展望しての第⼀歩を踏み出したものと強く指弾されなければならない。また、実⼒組織である⾃衛隊には、厳格な政治的中⽴性が求められているところ、この点の⾃覚に乏しく⾃⺠党・⾼市内閣に擦り寄る姿勢を⾒せていることが寒⼼に耐えない。

⾃⺠党は⼀連の経過を明らかにした上で、⾃衛隊に違法な政治的⾏為を求めた責任を認めて関係者を処分し、 国⺠に謝罪すべきである。また、 ⾃衛隊は、 隊員に⾃衛隊法 61 条1項において禁⽌された政治的⾏為があったことを認めて、関係者をしかるべき懲戒処分としなければならない。⾃衛隊法における政治活動の禁⽌は、旧⽇本軍の政治への介⼊と戦争突⼊の悲劇の教訓からの規定である。この度の事態に対する、 ⾃⺠党・⾃衛隊双⽅の真摯な反省と再発防⽌策があるまで、政権と⾃衛隊への信頼を回復することはできない。

本件では、政権与党と⾃衛隊とを象徴的に結びつける媒介の役割を「君が代」が担った。「国歌⻫唱に問題はない」のではなく、「君が代⻫唱に⼤きな問題がある」ことを無視してはならない。1999年 8 ⽉国旗国歌法の成⽴によって、「君が代」は法的には国歌となった。しかし、当然のことながら同法に国⺠に対する「国旗・国歌(⽇の丸・君が代)」の尊重義務は書き込まれていない。「君が代」を、我が国の象徴としてふさわしい国歌と認めるか否かは国⺠⼀⼈ひとりの判断にかかっている。

客観的な歴史的事実として、「⽇の丸・君が代」 は、 ⼤⽇本帝国下の侵略戦争や植⺠地主義を精神的に⽀えた。⽇本国憲法下の国旗国歌としてふさわしいものとはいいがたい、と考える少なからぬ意⾒が存在する。

しかし、 改憲を結党以来の党是としてきた⾃⺠党は、「⽇の丸・君が代」 が象徴する戦前の⽇本を肯定的に捉えている。特に⾼市総裁は政権を担い、憲法改悪、 軍事⼒強化、 外国⼈排斥、 スパイ防⽌法・ 情報会議の設置など 「新しい戦前」へ猛ダッシュしている。

今回の事件を通じて明るみに出た事態は、現政権と与党が⾃衛隊を抱き込み、危険な国家主義的性格をさらに⼀歩、押し進めようとしている⽬論みであり、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、⼀部の奉仕者ではない(憲法15条2項)」はずの⾃衛隊の特定勢⼒との深い癒着である。その癒着の核⼼に「君が代」 があり、 政権政党の⼤会での⾃衛隊員の「君が代」歌唱は、 危険な軍国主義・国家主義推進を象徴する重⼤な事態である。

これまで、 学校現場では、 ⼊学式・卒業式において、 校⻑が職務命令を下して「⽇の丸・君が代」「起⽴・⻫唱」を強制し、服従しない教員には執拗な懲戒処分をはじめ不利益が課されてきた。また、 起⽴しない⼦どもを無理⽮理起⽴させるなども⾏われている。このような教育⾏政は、 ⼈権よりも⺠主主義よりも、 権⼒主体としての国家こそがすべての価値の根源とする、国家主義のイデオロギーから導かれている。 今回の事態は、さらに国政全体を軍国主義へ転換する危険を孕むものとして強く抗議する。

私たちは、 ⾃⺠党と⾼市内閣ならびに⾃衛隊と防衛省に、 以上の抗議の意思を伝え、違法⾏為の再現なきようしかるべき措置を求めるものである。

以上

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6・22国旗損壊罪反対緊急院内集会
日時:6月22日(月) 15:00〜
会場:参議院B109会議室
講演:志田陽子さん、鵜飼哲さん、他

通行証配布 14:30
資料代500円
主催:「日の丸・君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市民会議
連絡先:03-5802-0081(澤藤法律事務所)

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