Natricia Duncan and Anthony Lugg
The Guardian 2024/12/13,Fri
https://www.theguardian.com/world/2024/dec/13/jamaica-king-charles-republic
要約・翻訳:編集部
“他の植民地と同様、カリブ海諸国は1962年の独立後も英国君主を国家元首とした”
ジャマイカ政府は、チャールズ国王の元首解任に向けた第一歩を踏み出し、立憲君主制を廃止して共和制に移行する法案を議会に提出した。
多くの旧イギリス植民地と同様、ジャマイカは1962年の独立後も英国の君主を国家元首として維持し、ジャマイカの総督が王の代理を務めている。この取り決めはほとんどが儀礼的なもので、英国がジャマイカの統治に口を出すことはないが、植民地支配の名残とみなされることも多い。新法が成立すれば、ジャマイカの大統領が儀礼的な国家元首となる。
水曜日に法案を提出したジャマイカのマレーネ・マラフ・フォルテ法務・憲法担当大臣は、これは憲法改正を求めるジャマイカ国民の声に応えたものだという。「毎年、8月6日に独立を祝うときジャマイカは、独立以来成し遂げたことを振り返るのと同時に、まだやり残していることは何かを反芻する。そして毎年、いつ王制を廃止し、いつジャマイカ(独自)の国家元首を擁立するのかという問いが発せられるのだ」と、彼女はガーディアン紙に語った。
法案はまた、ジャマイカの市民権の定義や、上院が「政党から独立して任命される上院議員を含むように」拡大する内容を含んでおり、国の政治構造そのものにも影響を与えることになる。
ただしこの法案は、合同委員会による精査、議会での投票、国民投票など、まだいくつかの段階を経なければならない。野党はすでに、来年の国政選挙を目前に控えたタイミングであることや、ジャマイカの最高裁判所を英国を拠点とする枢密院からカリブ海司法裁判所に置き換える規定がないことなどについて懸念を示しており、ハードルにぶつかることが予想される。
「私たちは、枢密院を最高裁判所として維持したままでは、完全に脱植民地化されたとは言えないと考えている。つまり、国王の元を離れても、国民に正義を届けたいときには国王に請願しなければならないのだ。この状況で枢密院が最高裁判所だなんて時代錯誤だ」と、主要野党である国民党の司法担当スポークスパーソンを務めるドナ・スコット・モトリー上院議員はいう。
しかしモトリー上院議員は、野党はこの法案について「立場を超えて」取り組む見込みだとも述べる。「結局のところ、これは政党の問題ではなく、私たちの国の問題だ。国民のためであり、国民が独立の輪を完成させるためのものなのだ」と彼女は語る。
マラフ・フォルテは、アンドリュー・ホルネス首相の政権は「段階的な改革アプローチ」を採用しており、「裁判所に関する事項は次の段階に設定されている」と述べ、次のように付け加える。「改正を行うためには、憲法の君主制に関する条項を変更する法案を提出する必要があり、それらの条項は最も深いレベルで保護されている」。
キングストンの街角では、この法案に関するニュースに対する人々の反応は様々だった。「英国は我々の国のために実質的なことを何もしていないのだから、彼らが国家元首であることに意味はない。それに、私たちはどの国よりもイギリスに行くのが大変なのだから……ぜひとも王制を廃止してほしい」とモーリーン・ブラマーは述べる。一方、マレーネ・デイリーは「いい動きだと思う……でもまだ英連邦にいられることを望んでいる」と述べる。しかし懐疑的な意見もあった。D・シムズはいう。「共和国になる前に、家の大掃除をしなければならない。この国は腐敗しすぎている」。匿名を希望する別の通行人は、政府は共和制の準備ができていないとして次のように語った。「私たちは1962年に独立したが、変わったのは通貨だけだ。王制を廃止しようがしまいが、国は良くならない」。
カリブ海諸国では、旧植民地12カ国のうち4カ国が共和制に移行している。ガイアナ、トリニダード・トバゴ、ドミニカ、そして最近ではバルバドスである。近頃は王族がカリブ海諸国を訪問する際に、大西洋横断奴隷制の惨禍に対する抗議や謝罪要求に直面するようになった。
これは最近の賠償運動の高まりを受けたものである。10月にサモアで開催された英連邦首脳会議においては賠償運動が重要課題となった。そこでは、アフリカとカリブ海の56の国々が奴隷制に対する賠償正義のためのカリブ共同体10項目計画を議題とすることを要求したのである。
賠償研究センターの所長であるソンジャ・スタンリー・ニア博士は、ジャマイカの法案は正しい方向への一歩であるという。彼女は述べる。「この法案の提出は、ジャマイカがこのプロセスにコミットしているという重要なシグナルだ……我々は真の主権への前進を支持できることを望んでおり、これが今起こりつつあることだと思う。ジャマイカは主権を真剣に捉えているが、その主権とは自国の政府形態を自身で決められるという水準の主権だ」。