要約・翻訳:編集部
リチャード・オレンジ(Richard Orange)
“THE LOCAL” 2024/01/11
https://www.thelocal.dk/20240111/interview-if-we-continue-our-work-we-can-turn-denmark-against-the-monarchy
*”THE LOCAL” 「ザ・ローカル」は外国人向け情報を扱うヨーロッパ9か国のオンラインメディア。本部はストックホルム。2004年創設
デンマークの反王制団体「リパブリック・ナウ(Republik Nu)」のマッズ・ルンドストローム(Mads Rundstrøm)会長は、デンマークではいずれ世論が王制に反旗を翻す可能性があると考えている。
昨年末、デンマークの中心的共和制運動団体がその歴史を閉じようとしていた。だが、この団体の若い新会長は、マルグレーテ2世女王の退位を機に、復活に期待をかけている。
マルグレーテ2世の退位により、反王制運動グループ「リパブリック・ナウ」のマッズ・ルンドストローム会長がスポットライトを浴びることになった。27歳の彼はここ数週間、デンマーク王室の将来について議論するため、数え切れないほどのテレビ番組に出演している。「先週からデンマークのあらゆるメディアに登場していますが、街を歩いていると、私に気づいた人たちから変な目で見られます」と彼はザ・ローカルに語った。
彼はしばしば、対立する政治家たちから嘲笑され、攻撃されてきたという。「昨日の夕方、私はデンマーク人民党の前党首であるピア・ケアスゴアと生放送で討論した。彼女はとても皮肉で、とても卑屈なレトリックを吐いていた。でも、私は自分の信じるもののために戦っているので、そんなことはどうでもいい」。その結果、ルンドストロームが率いる弱小団体の会員数は12月以降、50%も急増したのだ。「1月1日にプレスリリースを発表して以来、100人ほどの新メンバーを獲得しました」。組織全体では現在、約300人の会員がいるという。
日曜日(1月14日)に退位するマルグレーテ2世は、デンマーク王室にとって非常に人気の高い時期に退位することになる。エピニオン社が公共放送DRのために12月30日に発表した調査によると、70%の人々が王制を維持すべきと考えており、廃止に賛成しているのはわずか17%であった。そして約84パーセントがフレデリク皇太子に対して好意的だと答えた。
ルンドストロームは、王制に反対するのは民主主義に対する熱い信念から自然に生まれたものだと語る。「人が生まれながらにして爵位を持っていることに民主主義的なものはない。『民主的でないことには同意するが、しかし…』と言う人がいるが、偽善的だと思う。『しかし』のあとは何?民主的か民主的でないか、どちらかだ」。
だが、彼は自分の運動が敗北の歴史であることは認めた。「私が率いている組織は何年も活動していない。秋に閉鎖されるところから私が救ったんだ。幹部会は基本的に年寄りの集まりで、『これ以上闘い続けるエネルギーはない、 だから組織を閉鎖した方がいい』って感じだった」。彼によれば、7000人以上の会員を擁するスウェーデンの共和国協会が介入し、スウェーデンの組織がデンマークの姉妹組織の役員にスウェーデン南部からメンバーを送り込み、ルンドストロームがそれを引き継いだのだという。
彼は、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーにおける王族人気は、「ストックホルム症候群」の一種だという。ストックホルム症候群とは、人質がその捕獲者に対し、(自らの安全確保のために)愛情を抱き始める現象である。「私たちは私たちの民主主義と人権、そしてスカンジナビアの国としての行動を誇りに思っています。しかしながら、私たちは民主的でない憲法を持っているのです」。
ルンドストロームは、将来のフレデリク10世のもとでは、人気のあったマルグレーテ2世の時よりも共和制を求める運動がしやすくなると考えている。彼は、反王制団体「リパブリック」が月曜日に発表した世論調査で、王制支持率が初めて50%を下回った英国の状況を挙げ、デンマークでも「間違いなく」起こりうることだと言う。「私たちが活動を続け、リパブリックが行ってきたようなハードで一貫した活動を続けていけば、(英国のような状況を)絶対に実現できる」。