編集部
職場や公的機関への提出書類に必ずある年月日記入欄。そこで元号記入を迫られた時、そしてそこに抵抗を感じた時、どうするのか。
私たちには元号を二重線で消し、西暦を書き込むという習慣がついてしまっている。
だけど、いつまで経っても、なんだか異端者であることをわざわざ人前にさらされているような力を感じ、不愉快な気分が残る。
2023年11月、とても便利で勉強にもなり、急場で助けてくれる「元号レッドカード」という心強いな味方が登場した。発行者は「西暦表記を求める会」。『東京新聞』(11月27日)にも紹介された優れものだ。
入手法など詳細は以下から。
https://seirekiheiyo.blogspt.com/
元号は、「大日本帝国憲法」下では天皇一代に一元号など、旧皇室典範や登極令に規定されていた。要するに元号とは天皇の在位期間を示す年号で、天皇の時間でこの国の時間を表し、そのことで天皇制を生活の中に浸透させるものとしてあった。
戦後、元号は慣習としてそのまま使われ、法的な根拠は剥奪されたままだったが、戦後34年を経た1979年、「元号法」は国会の内・外からあがった反対の声を無視して可決・成立した。昭和天皇の死亡後すぐに新たな元号を立てるために制定されたのである。
そもそも、植民地主義を国是とし、侵略戦争でアジアの人々に対して文字通り取り返しのつかない殺戮と破壊を繰り返し、占領・植民地化してきた日本の歴史は、元号でいうと「明治」「大正」「昭和」にまたがっている。その植民地主義や侵略戦争の第一の責任者であった天皇と天皇の年号「昭和」が戦後もそのまま踏襲されたこと自体が大きな戦後日本社会の問題である。
しかし当然ながら、そのような元号を使って良いはずがないと考える人たちも多い。また元号の不便さは、政財界においても混乱を作り出していて、元号を使わない(使えない)領域は増えている。それなのに学校や職場、役所などの窓口等における暗黙の強制は相変わらず多く続いているというのが実情だろう。
強制はしないというのが決まり文句の「元号法」で、実際、法令等の文言に強制や罰則等の明記はないが、「上位下達」「忖度」「同調圧力」が当たり前の天皇制の文化がこの曖昧な条文・文言に力を与えている。
一体どうなっているのだろうか、この社会は…。
職場や役所などに提出する書類等にあらかじめ元号が書き込まれている年号記入欄。その元号に二重線を上書きし、西暦を書き込むことにストレスを感じる人は多いはずだ。
だけど、理不尽な暗黙の強制・強要に対して、天皇制的な「忖度」政治や「上位下達」概念で受け入れるのではなく、「同調圧力」も跳ね除けたい。
そんな時、この小さなカードは助けてくれるに違いない。あるいは自分の代わりに自分の立場を表明してくれるのでは。
財布やパスケースに収まる名刺サイズなので携帯しやすく、必要な時に確認したり提示したりできる。カードを見て、同調圧力を跳ね除けようと考えている人たちが少なくないことも思い出せる。それだけでない。元号の問題を伝える小さなメディアにもなる。
友人・知人に手渡すのもいいかもしれない。
ぜひバッグやお財布に元号レッドカードを!