リパブリック(英国の反王制団体)は言う 「王制廃止が、王室の反LGBTQ+の伝統を葬る唯一の方法だ」

要約・翻訳:編集部

Patrick Kelleher
“PinkNews”* 2023年1月10日

*世界最大かつ最も影響力のあるとされるLGBTQ+メディア。ウェブサイト、ソーシャルメディア、アプリを通して、全世界で月に1億人以上の、かけがえのない人々に情報を届けている(”PinkNews”ホームページより)https://www.thepinknews.com/2023/01/10/royal-family-monarchy-abolish-lgbtq/

エリザベス2世の死去、チャールズ3世の即位、ハリー王子の告発など、王室の未来はかつてなく不透明だ

グラハム・スミスは王制の廃止を目指す運動団体「リパブリック」のCEOである。なぜ王制に反対するのか?——王室という制度があらゆる民主的な原則に反するということを示す、数えきれない理由があるからだ。

そのひとつとしてスミスは、LGBTQ+の人々に、王室がクィアの権利に対してやってきたことを考えてほしいという。彼は、王室がLGBTQ+の人たちを気にかけていないと考えている。「王政は非常に深く保守的な態度に染まっている」とスミスはPinkNewsに語る。「国王はイギリス国教会のトップだが、つい数ヶ月前、カンタベリー大主教が同性愛は依然として罪だと述べた。聞くに堪えないおぞましい発言だが、このような発言は、同性愛は治療できると考えているような人たちに力を与えてしまうのだ」。「私に言わせるなら、王制はかなり有毒な制度だ。我々は、どんどん開放的でリベラルになっていく国の中で、根深く保守的な国家元首とその一族に身動きをとれなくさせられている」。

国王がLGBTQ+の権利について公言した記録はない。一方、新皇太子で王位継承者であるウィリアム王子は、その流れに逆らい、LGBTQ+の人々を支持する発言を広く行っている。2019年には、自分の子どもたちがゲイやレズビアンであることをカミングアウトしても「まったく問題ない」と発言している。しかしスミスは、国王と故女王が率いる旧大英帝国から生まれた国家群である英連邦に存在する反同性愛の法律について、王族が沈黙していることに懸念を抱く。英連邦加盟国のほとんどは、英国の植民地支配下で制定された法律に基づいて、LGBTQ+の人々を犯罪者としている。

もし沈黙が共謀だとしたら、彼らは答えなければならない多くの問題を抱えている。
——リパブリックCEO、 グラハム・スミス

「英国そして英連邦の元首である女王や国王がこの件に関し何か発言してもよさそうなものだ。だが、女王はこの件に関して何も言わなかったし、チャールズも言っていない。私の知る限り、ウィリアムもだ」とスミスは言う。「もし沈黙が共謀だとしたら、英連邦の多くの地域で生死に関わる深刻な問題であるにもかかわらず、なぜLGBTの問題に全く関心を示さないのか、彼らは答えなければならないはずだ」。

人種差別疑惑に対する王族の対応が「雄弁に語っている」

人種差別の問題も考えなければならない。王室のメンバーが生まれてくる子どもの肌の色についてあれこれ言ったという、ハリー王子とメーガン・マークルの主張は非常に話題になった。この疑惑の件と、それに対する王室の対応は、彼らがいかに「一般社会からかけ離れているか」を「雄弁に語っている」とスミスは言う。

「基本的な良識の基準、公の場で人と話す方法や人について話す方法について、彼らは自分たちがどんな人間であるかを私たちに教えてくれているようなものだ。」「彼らが既に、このようなことを理解し、どう行動すべきかをわかっていて、人種差別や同性愛嫌悪といった微妙な問題やその他の問題をすべて理解していると思っている人もいるかもしれない(がそんなことはない)」。

同性愛者の国王は王位を子に譲ることはできない

スミスはまた、王室のメンバーが異性間の結婚以外で子をもうけた場合、その子が王位継承順位から外されることを決めた、「同性愛嫌悪的」な王位継承法を変える動きは全くないと指摘する。2013年の王位継承法案では、継承法から男女差別が削除されたが、同性の王族夫婦から生まれた子が王位に就くことができるようにするためには何も行われなかった。当時の貴族院の議論では、夫と妻との間に生まれた子だけが王位継承順位に就くと理解されていることが明らかになった。

この問題が提起されたとき議員たちは、それは法案の範囲外であり、したがって検討する価値はないとの見解を示した。2013年の法案にはこの問題は含まれていなかったので、スミスはこの法律が、同性愛の君主が結婚して子どもを産み、その子どもが後継者となることを阻むことになると考えている。「この法律は、イングランド国教会の深く保守的な態度を強調するものであり、我々の多くが考えていることと大きく食い違うものだ」と彼は付け加える。

リパブリックは、5月のチャールズ皇太子の戴冠式に合わせて、王政の廃止を求める抗議行動を組織している。スミスは、現在の王室への注目の高まりによって、王政が目的に適っていないという事実に人々が気づき、この問題を真剣に受け止めるようになることを望んでいる。

「王制は我々皆の利益を最優先する制度ではなく、我々一般人に全く興味を示さない制度だ。王制はソープオペラでもなければ、タブロイド紙の見出しでもない。これは深刻な問題であり、根本から対処しなければならない問題なのだ。彼は続ける。「こんな茶番に付き合う必要は全くない。王族には道徳観念がなく、英国にとっても民主主義にとっても害悪だ。戴冠式は、抗議して立ち上がる機会であり、王制を廃止することは絶対に可能だ」「チャールズを我慢する必要はない。実際、我々は選択できるのだ」。

 

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