『本多勝一"噂の真相"』 同時進行版(その8)

和多田「編集長」と「元恋人」本多勝一の「お返事」集

1999.2.19

 前半は、わがホームページ「墓碑名5」と重複するが、後半と続けて読む方が分かり易いので、ここにまとめて紹介する。


[aml 10257] 本多勝一ファン必見!-- 『金曜日』初代編集長からご返事
Sent: 98.11.30 10:01 AM
From: SASAKI, Yoshinori, Y.Sasaki@unsw.edu.au

 以下、本多勝一様(株式会社「金曜日」社長)のカンボジア大虐殺全面否定発言ならびにその後の著作改変(aml9941)に関して和多田進様(『週刊金曜日』初代編集長、「すずさわ書店」前代表)からいただいたご返事を、和多田様御当人のご承諾を得て公開します。和多田様にはご多忙の中を迅速にご回答いただき、マスコミ界にこういう律儀な方もいらっしゃるということがわかって感激いたしました。

 お読みになる方の便宜を考え、和多田様にさしあげた質問状の質問項目を再掲します。質問は次のとおりでした。

(1)[ 『貧困なる精神・第4集』における、クメール=ルージュの大量虐殺を否定する文言の ] 断わり書きなしの「書き換え」は、どのような意図によってなされたのでしょうか。

(2)このような処置をとることは、結果として読者を騙すことにならないでしょうか。

(3)御社 [ 「すずさわ書店」 ] の他の刊行物においても、同様の「書き換え」が断わり書きなしになされているのでしょうか。また、今後も同様の処置をなさるのでしょうか。

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(和多田進様からの返事ここから)

 拝復

98年8月17日にエア・メールを受け取りました。できるだけ簡単にご質間にお答えしたいと存じます。

 まず第一に、私は現在「すずさわ書店」とは経営上の関係を直接持ってはおりません。従って「すずさわ書店の和多田」としてお答えするわけには参りません。ただし、本多勝一氏夫妻の要請によって91年春から92年未ごろまで私がすずさわ書店の代表になった経緯があることと、私の後を引き継いで下さった大矢みか氏(現すずさわ書店代表取締役)とは物心両面にわたってすずさわ書店継続のために現在も協力している関係上、佐佐木様のご質間にお答えする資格が必ずしもないわけではないだろうと判断した次第です。もちろん、大矢氏ともこの件については相談しており、私たちの見解は完全に一致していることをはじめに申し述べておきます。

1・ご質問の(1)ですが、「書き換え」の「意図」は私どもには不明です。本多さんご本人以外に答えることは不可能かと存じます。

2・(2)のご質間も本来は著作者である本多さんに発せられるべきかと存じます。

3・(3)については、「書き換え」は本来著作者の専権事項に属すると考えられ、出版社にその責はないのではないかと私どもは考えています。「書き換え」「断わり書き」は著者の考えによるでしょうし、「断わり書き」を書くかどうかは「書き換え」の量や内容にもよるでしょう。私どもとしては、著作者の意志に従って基本的には今後ともこれまで同様の措置を取らざるを得ないと考えています。ただし、今回の経験に照らして言えば、今回のように著者の主張がまったく逆転してしまうような場合については「断わり書き」を書かれるよう著作者に進言しなくてはなるまいと考えます。

4・佐佐木様が意識的に脱落されたのかどうか不明ですが、9刷末尾には「〈第9刷からの追記〉」として、「この脱出華僑の話はすべて正しく、鎖国カンボジアは全土が刑務所化していたことが、この四年後に明らかになる。詳細は拙著『検証・カンボジア大虐殺』(朝日文庫)参照。」という「断わり書き」があります。推察しますに、本多さんはこの「断わり書き」によってご自身の見解の転換を示したおつもりではなかったでしょうか。

5・以下は私どもの感想です。佐佐木様の今回のお手紙を読んでびっくりしたというのが正直なところです。木村愛二さんから話を聞いてはいましたが、今回のお手紙を読むまで私は本文にあたってはいなかったのです。フェアか否かという点で言えば、私たちはやはり本多さんの態度がフェアだとは思えません。本多さんは「立場が変わるということはあり得ることだが、その場合は必ず自分の立場の変更について説明・公表すべきだ」という主旨の主張を常日頃からしてこられ、私どももその言説に共感して参りました。そうした経緯に照らしてみて、今回のことにびっくりしたという次第です。なお、小さなことですが、佐佐木様が指摘されている『貧困なる精神』第4集のぺ一ジ数「63ぺ一ジ」は64ぺ一ジの誤りです。また、本多さんの「書き換え」は9刷以降で8刷までは7刷と同様です。

6・この返信は全て公開して下さって結構です。また、この件について本多さんと相談したというようなことも一切ありません。この見解は私たち自身のものであることを申し添えさせていただきます。

1998.8.20

佐佐木嘉則様

和多田進

(和多田様からの返事ここまで)

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追記

 和多田進様から上記のご返事をいただいた後、『貧困なる精神・第4集』第8刷の発行時期を問い合わせるお手紙を再度さしあげ、「1987年3月25日」というご返事を頂戴しました。その問い合わせの手紙の中ではあわせて、件の論文が書き換えられた当時のすずさわ書店の担当者のお名前と連絡先・すずさわ書店の沿革などもおうかがいしたのですが、これらの件については“当人の承諾なくして連絡先は教えられない”・“適当な外部者向け資料がない”などの理由でご回答いただけませんでした。

 いずれにせよ、和多田様がご多忙の中2度にわたってご返事をくださったことにつき、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。現在では和多田様はすずさわ書店と経営上の関係はなく、しかも『貧困なる精神・第4集』は和多田様の御著書でもないだけに、その和多田様が御丁寧に御返事くださったことに対してなおさら深く感謝いたしております。

 なお、和多田様とのやりとりは先日次のサイトにも投稿いたしました。

「はなしのひろば-週刊金曜日広島読者会」--「とうしょ広場」
http://www.ne.jp/asahi/minna/hiroba/
http://www.ne.jp/asahi/minna/hiroba/anssys.html

参考資料
「本多勝一論--『カンボジア大虐殺』は、“まぼろし”?!」
http://www.coara.or.jp/~pwaaidgp/honda.html

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_SASAKI_, Yoshinori (佐佐木 嘉則)
E-mail: Y.Sasaki@unsw.edu.au
University of New South Wales
School of International Business
Faculty of Commerce and Economics
Sydney, Australia 2052
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[aml 10358] 本多勝一ファン必見!-- 「公開質問状」発送3周年記念
Sent: 98.12.9 9:04 AM
From: SASAKI, Yoshinori

 本多勝一様の“カンボジア大虐殺=「全くウソ」”発言ならびにその後の著作「書き換え」に関して本多様御当人に1995年12月6日づけの質問状をお送りしてから、まる3年が経ちました。

 当初の質問の骨子は次のとおりでした。

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(1)本多様が1975年に書いた「カンボジア革命の一側面」と題する記事中にある「例によってアメリカが宣伝した『共産主義者による大虐殺』などは全くウソだった」という記述の背景は何か。

(2)どうして『貧困なる精神・第4集』増刷時に、この文言を「事実そのものが全くわからず、噂や一方的宣伝ばかりでは軽々に論じられない。」とするなどの書き換えをしたのか。

(3)どうして書き換えたことを明記しないのか。(これは読者を騙すことになるのではないか。)

(4)他の著作でも同様の無断書き換えをしているのか。今後もするのか。

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 これに対して、今日に至るも本多様から回答はございません。

 なお、この件に関しては、今春すでに社会通念に照らしてこれ以上いくら待ってもご回答はいただけないものと断念し“公開質問を打ち切りにしたい”旨を質問者側から本多様に打診・通告したことは、過日ご報告申し上げたとおりで(aml9941、1998年11月投稿)。その後もこの件に関して本多様からご連絡はございません。

 ところがそのあと今夏、福岡在住の医師・西村有史様が本多様とメールをやりとりする過程でこの質問状の件を持ち出したところ、本多様はそれに対して“自分は多忙である。したがってこのような件に一々とりあっている暇はない。しかし質問状を握りつぶしたわけではない。いつかきっと回答する。回答は『潮』に寄稿するであろう。”

 と反論なさったそうです。(やりとりにオフレコはかかっていなかったそうですので、ここで本多様の御発言の要旨を御紹介します。)これをそのまま信じるならば、本多様はなお回答のご意志がおありということになります。それならばどうして質問者側に対してその旨ご連絡いただけないのか腑に落ちませんが、ともあれ私の寿命が尽きるまでに誠意あるご回答がいただけることを祈るのみでございます。(因みに、このままの状態であと25か月弱経過しますと実に2千年紀にまたがる「世紀の公開質問」ということになります。次に流星群が飛来する33年後の西暦2031年までにはご回答いただけるでしょうか?)

 なお、本多様は

“自分のその後の取材が実質的には質問に対する答えになっている。こういう質問をするのは、自分の報道活動の展開を知らない人間であろう。”

 という主旨のこともおっしゃっておられるそうです。(いったいどういう意味でしょうか?私は本多勝一著『検証・カンボジア大虐殺』を3度読み直しましたが、どこをどう読んでも上記の質問に対する答えは発見できませんでした。)

 以上、何はともあれ状況御報告まで。

*** 参考資料 ***

西村有史様のホームページ
http://www.coara.or.jp/~pwaaidgp/

「『カンボジア大虐殺』は、“まぼろし”?!」
http://www.coara.or.jp/~pwaaidgp/honda.html

「『金曜日』初代編集長に質問状を出しました」
http://www.jca.ax.apc.org/aml/9811/10256.html

「『金曜日』初代編集長からご返事をいただきました」
http://www.jca.ax.apc.org/aml/9811/10257.html

「はなしのひろば-週刊金曜日広島読者会--とうしょ広場」
http://www.ne.jp/asahi/minna/hiroba/
http://www.ne.jp/asahi/minna/hiroba/anssys.html

(この件に関する議論は、バックナンバーのNo. 20以降に収録されています。)


 以上で(その8)終わり。次回に続く。


(その9)「美人弁護士」に異議を唱えた「市民派弁護士」
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