本多勝一の墓碑銘 朝日の威を借る捏造記者の末路 5

その5:旧友・和多田も改竄非難

1998.12.07

1999.3.1.追記。以下、JCA-NET:AML(Altenative Mailing List)公開E-mailの転載。冒頭に付した[aml 10257]などの番号により文書全体の検索が可能。本誌では、読み易いように、一部を省略。

[aml 10257] 本多勝一ファン必見!-- 『金曜日』初代編集長からご返事

以下、本多勝一様(株式会社「金曜日」社長)のカンボジア大虐殺全面否定発言ならびにその後の著作改変(aml9941)に関して和多田進様(『週刊金曜日』初代編集長、「すずさわ書店」前代表)からいただいたご返事を、和多田様御当人のご承諾をて公開します。和多田様にはご多忙の中を迅速にご回答いただき、マスコミ界にこういう律儀な方もいらっしゃるということがわかって感激いたしました。

お読みになる方の便宜を考え、和多田様にさしあげた質問状の質問項目を再掲します。

質問は次のとおりでした。

(1)[ 『貧困なる精神・第4集』における、クメール=ルージュの大量虐殺を否定する文言の ] 断わり書きなしの「書き換え」は、どのような意図によってなされたのでしょうか。

(2)このような処置をとることは、結果として読者を騙すことにならないでしょうか。

(3)御社 [ 「すずさわ書店」 ] の他の刊行物においても、同様の「書き換え」が断わり書きなしになされているのでしょうか。また、今後も同様の処置をなさるのでしょうか。

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(和多田進様からの返事ここから)

拝復

98年8月17日にエア・メールを受け取りました。できるだけ簡単にご質間にお答えしたいと存じます。

まず第一に、私は現在「すずさわ書店」とは経営上の関係を直接持ってはおりません。

 従って「すずさわ書店の和多田」としてお答えするわけには参りません。ただし、本多勝一氏夫妻の要請によって91年春から92年未ごろまで私がすずさわ書店の代表になった経緯があることと、私の後を引き継いで下さった大矢みか氏(現すずさわ書店代表取締役)とは物心両面にわたってすずさわ書店継続のために現在も協力している関係上、佐佐木様のご質間にお答えする資格が必ずしもないわけではないだろうと判断した次第です。もちろん、大矢氏ともこの件については相談しており、私たちの見解は完全に一致していることをはじめに申し述べておきます。

1・ご質問の(l)ですが、「書き換え」の「意図」は私どもには不明です。本多さんご本人以外に答えることは不可能かと存じます。

2・(2)のご質間も本来は著作者である本多さんに発せられるべきかと存じます。

3・(3)については、「書き換え」は本来著作者の専権事項に属すると考えられ、出版社にその責はないのではないかと私どもは考えています。「書き換え」「断わり書き」は著者の考えによるでしょうし、「断わり書き」を書くかどうかは「書き換え」の量や内容にもよるでしょう。私どもとしては、著作者の意志に従って基本的には今後ともこれまで同様の措置を取らざるを得ないと考えています。ただし、今回の経験に照らして言えぱ、今回のように著者の主張がまったく逆転してしまうような場合については「断わり書き」を書かれるよう著作者に進言しなくてはなるまいと考えます。

4・佐佐木様が意識的に脱落されたのかどうか不明ですが、9刷末尾には「く第9刷からの追記>」として、「この脱出華僑の話はすべて正しく、鎖国カンボジアは全土が刑務所化していたことが、この四年後に明らかになる。詳細は拙著『検証・カンボジア大虐殺』(朝日文庫)参照。」という「断わり書き」があります。推察しますに、本多さんはこの「断わり書き」によってご白身の見解の転換を示したおつもりではなかったでしょうか。

5・以下は私どもの感想です。佐佐木様の今回のお手紙を読んでびっくりしたというのが正直なところです。木村愛二さんから話を間いてはいましたが、今回のお手紙を読むまで私は本文にあたってはいなかったのです。フェアか否かという点で言えば、私たちはやはり本多さんの態度がフェアだとは思えません。本多さんは「立場が変わるということはあり得ることだが、その場合は必ず自分の立場の変更について説明・公表すべきだ」という主旨の主張を常日頃からしてこられ、私どももその言説に共感して参りました。そうした経緯に照らしてみて、今回のことにびっくりしたという次第です。なお、小さなことですが、佐佐木様が指摘されている『貧困なる精神』第4集のぺ一ジ数「63ぺ一ジ」は64ぺ一ジの誤りです。また、本多さんの「書き換え」は9刷以降で8刷までは7刷と同様です。

6・この返信は全て公開して下さって結構です。また、この件について本多さんと相談したというようなことも一切ありません。この見解は私たち自身のものであることを申し添えさせていただきます。

1998.8.20

佐佐木嘉則様

和多田進

(和多田様からの返事ここまで)

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追記

和多田進様から上記のご返事をいただいた後、『貧困なる精神・第4集』第8刷の発行時期を問い合わせるお手紙を再度さしあげ、「1987年3月25日」というご返事を頂戴しました。その問い合わせの手紙の中ではあわせて、件の論文が書き換えられた当時のすずさわ書店の担当者のお名前と連絡先・すずさわ書店の沿革などもおうかがいしたのですが、これらの件については“当人の承諾なくして連絡先は教えられない”・“適当な外部者向け資料がない”などの理由でご回答いただけませんでした。

いずれにせよ、和多田様がご多忙の中2度にわたってご返事をくださったことにつき、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。現在では和多田様はすずさわ書店と経営上の関係はなく、しかも『貧困なる精神・第4集』は和多田様の御著書でもないだけに、その和多田様が御丁寧に御返事くださったことに対してなおさら深く感謝いたしております。

なお、和多田様とのやりとりは先日次のサイトにも投稿いたしました。

「はなしのひろば-週刊金曜日広島読者会」--「とうしょ広場」
http://www.ne.jp/asahi/minna/hiroba/
http://www.ne.jp/asahi/minna/hiroba/anssys.html

参考資料
「本多勝一論--『カンボジア大虐殺』は、“まぼろし”?!」
http://www.coara.or.jp/~pwaaidgp/honda.html

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_SASAKI_, Yoshinori (佐佐木 嘉則)
E-mail: Y.Sasaki@unsw.edu.au
University of New South Wales
School of International Business
Faculty of Commerce and Economics
Sydney, Australia 2052

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 以上で転載終わり。