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末期にさしかかった安倍政権

2018/05/07(月) 17:39

「政界の狙撃手」との異名をとった故・野中広務氏の「お別のれ会」が4月14日、京都市内のホテルで営まれた。京都国際会議場に次ぐ「京都では2番目」(野中事務所関係者)の広さを誇る会場だが、別れを惜しむ関係者が次々と訪れ、入りきれぬ出席者が続出した。

本誌4月13日号『新・政経外科』で佐高信氏は、麻生太郎財務大臣こと“阿呆太郎”が、野中氏を派閥の会合で「部落出身者」と指摘し、その後の自民党総務会で野中氏から激しく詰め寄られ赤面したエピソードを紹介している。

その麻生氏こそ出席しなかった(できるわけがない)が、麻生氏を頼みとする自民党総裁の安倍晋三首相が弔辞を述べた。「平和の番人たる先生の発する言葉の一つ一つは心の奥まで響くすごみがあった」と語ったが、果たしてその言葉を泉下の野中氏はどのように聞いただろうか。自らの責任を顧みようとせず、官僚に責任を押しつけ、それら官僚を「ウミ」とまで言い切る厚顔無恥な姿勢を厳しく糾弾するに違いない。

党主催の「お別れの会」だけに、二階俊博自民党幹事長は「正義を貫き、不正を憎み、弱き者に寄り添った」と讃えたが、野中氏ならばやはり、「空虚」な弔辞を並べる安倍首相に「あなたにあいさつはしてほしくはない」と言い放ったであろう。

前述の佐高氏は「方程式」をキーワードに論を展開しているが、その言葉をお借りすれば、従前の永田町の方程式からすれば、政権はすでに末期に差し掛かっていると言っていい。

森友学園問題に関する財務省の文書改竄、防衛省による自衛隊の日報隠蔽、さらには福田淳一財務事務次官による「セクハラ発言」の“容認”、東京労働局長の恫喝発言など、政府の腐敗ぶり、傲慢ぶりは止まるところを知らない。加えてこれをすべて官僚のせいにする安倍首相、麻生財務大臣の無責任さは、もはや国民の代表である政治家の資格すらないといって過言ではないだろう。

すでに政権崩壊の兆しは表れている。世論の動向を測るものは、一つは国政選挙をはじめとする内外の選挙であり、もう一つは世論調査の内閣、政党支持率である。一つ目の国政選挙は来夏の参議院選挙まで予定されているものはないが、毎月定期的に行なわれる報道機関の世論調査がどのような支持率を出してくるかどうかが、重要な要素である。その数字を基に、政権を支え続けるのか、新たな総裁を担ぐのが党のため、言いかえれば一人一人の議員の利にかなうのかを判断するのである。

もう一つ、政党の重要な役割は法案の成立を期することにある。現下の安倍政権ではこの国会の重要法案である「働き方改革」関連法案の衆院上程すら目処が立っていない。(注)

最低2カ月の審議時間が必要とされているだけに、5月連休明けには審議が始まらなければ、廃案となりかねない。タイムリミットは迫っているのである。国民に支持される総理総裁を創ることと法案を成立させること、与党にとってこの二つの使命が成されなければ、自民党そのものが国民の信を失い、政権を手放すことになる。

安倍退陣を迫るのは野党の役割ではない。国民の意思と政権与党である自民・公明の責任が問われているのである。

(注)
〈衆院厚生労働委員会は(5月)2日、安倍晋三首相が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案の質疑を始めた。立憲民主党など野党6党は、森友学園や前財務事務次官のセクハラの問題などを理由に麻生太郎財務相の辞任を求めて国会審議の拒否を続けており、この日も終日欠席した。〉(毎日新聞公式サイト)

(さとう こういち・ジャーナリスト。2018年4月20日号)

東電元副社長が津波対策先送り社員が原発事故公判で証言

2018/05/07(月) 14:01

4月10日の第5回公判開始前、東京地裁前での東電の原発事故対応に抗議する「福島原発刑事訴訟支援団」メンバーら。(撮影/明石昇二郎)

東京電力・福島第一原発事故の刑事責任を問う強制起訴裁判の第5回公判と第6回公判が、4月10日、同11日と2日続けて東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。

この2回の公判に出廷した証人は、東京電力社員の高尾誠氏。同事故発生前に、福島第一・第二原発の津波対策を担当していた人物である。

北海道の奥尻島が津波に襲われ、甚大な被害を出した1993年の北海道南西沖地震や、東電柏崎刈羽原発が被災した2007年の新潟県中越沖地震等を経て、原発を持つ電力各社は国(旧原子力安全・保安院)から、原発の地震・津波対策の見直しを求められていた。

東電「土木調査グループ」の課長だった高尾氏は07年11月より、福島での津波対策を検討し始める。そして同グループは、国の専門機関「地震調査研究推進本部」(推本)が02年に出した地震予測「長期評価」を無視して津波対策は立てられないとの結論に達する。

この「長期評価」では、

「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」

として、過去に津波被害の記録がない福島沖でも巨大津波が起きる可能性を指摘していた。そこで高尾氏らは東電子会社「東電設計」に、「長期評価」に基づく津波高シミュレーションを発注する。

こうした東電の意向は、同じ太平洋側に原発を持つ日本原子力発電にも伝えられていた。のちに東北電力、日本原子力研究開発機構(JAEA)も加わって「4社情報連絡会」となり、4社合同の津波対策会議が開催されるようになる。この場でも高尾氏は「(東電は)長期評価を取り入れる」と明言。また東電は、青森県下北半島の太平洋側に計画している同社の東通原発(青森県東通村)の地震動評価でも「長期評価」を取り入れていた。第5回公判では、同原発の設置許可申請書に書かれた「長期評価」の文言が、証拠として法廷の大型モニターに映し出された。

【最後まで津波対策を諦めなかったが間に合わず】

そうした「長期評価」を受け入れず、津波対策の“壁”となったのが、当時の原子力・立地本部副本部長だった武藤栄被告である。

08年6月10日、高尾氏ら「土木調査グループ」は武藤氏に、「最大15・7メートル」との津波高シミュレーション結果を報告。しかし翌7月31日の会議で武藤氏は、

「研究を実施する」

と高尾氏らに指示。つまり、早急な津波対策ではなく、さらなる「津波研究」をせよ、と命じた。この時を振り返り高尾氏は、

「力が抜けてしまって、その後のことは記憶に残っていない」

と証言。この際、武藤氏からは、津波対策先送りの理由も示されなかったという。

だが、高尾氏は津波対策を諦めなかった。それまでは社内の各グループが個別に津波対策を検討しており、設備全体を見渡した津波対策を取れる状況にはなかった。そこで翌09年6月、高尾氏は直属の上司に対し、津波対策をとりまとめるリーダーの必要性を進言。しかし上司は「不要である」と取り合わなかった。

それでも高尾氏は諦めず、10年7月に自身が「土木調査グループ」のグループマネージャー(GM)に昇進した後、「福島地点津波対策ワーキンググループ」(WG)を発足させる。東電の津波対策がやっと始動した。WG会議は11年3月までに4回開催され、同年3月30日には幹部も出席する「原子力企画会議」の場で、津波対策が議論される予定になっていた。が、その20日前の3月11日、福島第一・第二原発は巨大津波に襲われた――。

こうした「津波対策の失敗の連続」を明らかにしないまま、原発事故の教訓を今後に生かすことなど、できるはずがない。それは、東電旧経営陣の3被告に刑事罰を科すかどうか以前の話である。刑事告訴とそれに続く強制起訴がなければ、同様の失敗は何度でも日本で繰り返されたことだろう。

(明石昇二郎・ルポライター、2018年4月20日号)

【続報】再春館製薬所バドミントン部移籍騒動“パワハラ”研修レポートと社長への質問状を全文公開

2018/05/04(金) 00:47

強豪チームである再春館製薬所バドミントン部元監督の今井彰宏氏と元有力所属選手の移籍をめぐってただならぬ事態が起きている。

2018年5月2日に当サイトでは、入手した資料などにもとづき再春館製薬所で起きている移籍騒動の背後で起きていたとされる「パワハラ」疑惑について<再春館製薬所トップがパワハラか  バド部元監督・今井氏による告発文書を入手>と題して報じた。

今回、今井氏が再春館製薬所から半年間の「研修」を課された際に自らを反省した直筆の文書、及び、今井氏が西川正明社長にあてた質問状を公開することにした。

今井彰宏氏が書かされた「研修を終えて」。手書きで7枚にも及ぶ。(撮影/週刊金曜日オンライン取材班)

 

 

今井氏は「研修を終えて」と題された文書を書かされた経緯などについて、西川正明社長あてに質問状を内容証明で送っていたのである。

この質問状において今井元監督は再春館製薬所が「会社への帰属意識」と「感謝」を強要されたことを指摘している。専門外の工場勤務を命じ、「お詫び」を強要するレポートを毎日のように書かせる社員研修が事実だとすれば、あまりにも時代錯誤な社員への洗脳教育、典型的な職場のいじめがあったと言えるのではないだろうか。

2020年の東京五輪も迫るなか、日本の企業スポーツのあり方に一石を投じた、今井元監督の文書をお読みいただきたい。

 

 

再春館製薬所トップがパワハラか バド部元監督・今井氏による告発文書を入手

2018/05/02(水) 17:39

くまもと再春館製薬所バドミントンチームの公式サイト。

「人として、社会人として、再春館の社員としての帰属意識が全く足りなかった。監督として、管理者としての責任、自覚のなさ、世間一般常識的な、人、物、お金への価値観のづれ(ママ)、感謝、どれもこれも、足りませんでした」

自己否定の言葉が続くこの手書きレポートの書き主は、「ドモホルンリンクル」のCMで知られる再春館製薬所(熊本県上益城郡、西川正明社長)バドミントン部の元監督、今井彰宏氏(現、岐阜トリッキーパンダース所属)である。バドミントンの世界ではおよそ知らぬ者はいないであろう指導者が、なぜ、魂が抜けてしまったようレポートを書いていたのか。

再春館製薬所バドミントン部といえば言わずとしれた強豪チームである。4月26日にBWF(世界バドミントン連盟)が発表した世界ランキングで1位の座を維持した山口茜選手をはじめ、「フクヒロ」と呼ばれる福島由紀選手、廣田彩花選手ペアは昨年、世界ランキングが20位から5位へと急上昇し、世界バドミントン連盟(BWF)から「最成長選手賞」を受賞している(4月26日発表の最新ランキングでは4位)。4月1日にはテレビ朝日「ビートたけしのスポーツ大将」にも出演し人気も急上昇中だ。もちろん2020年東京五輪でもメダル獲得に期待がかかっている。

そんな有力選手を多数抱える再春館製薬所バドミントン部をめぐって各メディアでは金銭問題やパワハラ問題が取りざたされ、ただならぬ事態になっている。

金銭問題とは選手が海外遠征で獲得した報奨金の一部を今井氏が流用したとされるもの。再春館製薬所が4月上旬に日本バドミントン協会に提出した告発状をもとに調査が進められているとされるが、今井氏側は現在まで反論をしていない。その理由について今井氏側は「何をもって金銭的不正としているのか、こちらには調査も何もきていないので反論のしようがない」としている。再春館製薬所の告発に対し、泰然自若として闘う意思を示した格好だ。

今井氏はさらに、再春館製薬所を今年2月限りで退社したのは「会社からのパワハラでうつ状態になったため」と内情を明らかにした。これについて再春館製薬所は「パワーハラスメントと認識していない。監督復帰を前提として半年間の研修を課した」と応じている。

今井氏の主張する「パワハラ」と「研修」の中身について、取材班は、今井氏が再春館製薬所に内容証明で送った文書を入手した。いずれも再春館製薬所という会社組織の体質を物語るような中身である。

中学の性教育授業に日本会議系の都議が“介入”

2018/05/02(水) 12:20

またぞろ、実態をふまえない的外れの教育への介入が起きた。

東京・足立区の区立中学校が今年3月、全卒業生を対象に人権教育の一環として総合学習の時間に行なった性教育の公開授業について、自民党の古賀俊昭都議(70歳、日本会議地方議員連盟副会長)が同月16日の都議会文教委員会で「学習指導要領に沿っておらず不適切」と、校名、校長名、教員名を名指しして質問。都教委が答弁で区教委を指導する姿勢を示した問題を考える集会が4月13日、東京・千代田区で開かれ、教育関係者や市民ら160人超が参加した。

古賀都議は質問で、学習指導要領にはない「性交」「避妊」などの言葉を使った授業は性交を助長する可能性があり、発達段階にふさわしいと言えず不適切、と主張。都教委は、「性交」は小中高の保健体育学習指導要領にはない言葉で、「避妊」「人工妊娠中絶」は高校で扱う内容だとして、担当部長が「区教委を指導する」と答弁した。

集会では、日本性教育協会の調査(2011年)によると、中学生の性経験率は女子5%・男子4%だが、高校生になると女子24%・男子15%に跳ね上がり、10代の出産は年間1万件超、人工妊娠中絶は約1万5000件に達する点を示し、「オブラートに包んだ教育内容では未成年の妊娠リスクは伝わらない」との発言や、刑法の「性的同意年齢」は13歳なのに、義務教育で「性交」を教えないのは矛盾だ、などの指摘があった。

また、同都議らが03年に旧都立七生養護学校の性教育を非難、都教委が教員を処分した事件で、東京地裁、高裁が都議や都教委の行動の一部を「教育に対する不当な支配」と判断した点について「同じ過ちを許してはならない」との訴えもあった。

区教委は「10代の望まない妊娠・出産を防ぐための授業で、生徒と保護者のニーズにも合っている」と話している。

(小宮純一・ジャーナリスト、2018年4月20日号)

沖縄県知事選にらみ政治的な駆け引きが加速

2018/05/01(火) 17:13

オール沖縄で翁長雄志知事を支援する企業のかりゆしグループが4月3日、「オール沖縄会議」からの脱会を表明した。3月13日に共同代表を正式に辞任した金秀グループの呉屋守將会長に続く脱会は、今後の沖縄の動向にどんな影響を与えるのか。

かりゆしグループと金秀グループは保守・経済界の主要企業、「オール沖縄」の顔としてこれまで同会議の主要な構成幹事団体として活動を共にしてきたが、県民投票の実施方法をめぐる意見の不一致や、名護市長選挙での大敗の責任を取る形で相次いで同会議から脱会した。両グループが脱会に至った一番の要因は県民投票とされる。しかし、それぞれのグループでもその実施方法や考え方には大きな隔たりがある。

金秀グループの呉屋会長は「県民が署名を集め県民主体で実施することで反対の民意が再び示される。埋め立て承認撤回の公益性の根拠になる」と主張。一方、かりゆしグループと沖縄県議会の与党「会派おきなわ」は知事が先頭に立ち知事発議で行なう県民投票の実施を提案。与党3会派(社民・沖縄社会大衆党・結連合会派、会派おきなわ、共産党会派)がまとまり県議会で知事へ伝える時期を探ってきたが、3会派内でも意見は割れ、結論が出せていない。

また、連合沖縄や自治労といった「オール沖縄会議」の構成団体は過去に県民投票を実施した経験から慎重論を展開。県民投票を行なうことで生じるリスクよりも、数々の違法工事を強行する政府に条件を突きつけ、知事が「撤回」を行なうことが重要だと訴えている。同会議事務局は撤回の時期については政治的な判断になる可能性が高いとして、知事に全てを委ねる考え方を示している。

【「知事を支える」変わらず】

そんななか、翁長知事の膵臓に腫瘍が見つかったというニュースが飛び込んだ。4月10日、知事が浦添市内の病院で記者会見し明らかになった。県内外では翁長氏の去就など、秋に予定される知事選への影響を注視する動きが広がったが、複数の与党県議は、「2期目への出馬が既定路線。県民投票を巡っては意見が分かれているのが実情だが、知事を支えていくという思いはどの立場であっても決して変わらない」と語りオール沖縄の体制の再構築に奔走する。

一方、自民党側も天王山である沖縄県知事選挙へ向けて候補者選考の動きを加速させている。1月下旬、医療・福祉界からは県医師会副会長の玉城信光氏(69歳)を推す声があがった。2月中旬、県医師会は7支部(北部・中部・浦添・那覇・南部・宮古・八重山)の代表を集め、知事選へ意欲を示している玉城氏の投票を行なった。結果は3対4で否決。会長の安里哲好氏らは玉城氏の出馬を抑制する動きを見せていた。

また、県内で大手流通企業グループを率いる安里繁信氏(48歳)も立候補に動き出した。事実上の後援会組織となる「新しい沖縄を創る会」を2月26日に立ち上げ、同日浦添市で、3月16日には糸満市、22日宜野湾市、23日宮古島市で集会を開いた。

この動きを警戒・察知したのが自民党県連だった。3月31日に那覇市内のホテルで知事選候補者準備会を立ち上げた。選考委員には、仲井眞弘多前知事、チーム沖縄と称し翁長知事とは袂を分かつ島袋俊夫うるま市長や下地敏彦宮古島市長をはじめ自民党県連に所属する県議や国会議員らが名を連ねた。さらに、石嶺傅一郎沖縄電力会長や安里哲好県医師会会長、國場幸一國場組会長なども選考委員に加わった。

準備会終了後の記者会見で翁長政俊自民党県連副会長(県議)は、「次の委員会までには、選考基準をしっかりつくりたいと思っています。当選可能な人、人格高潔で能力の高い方、さらには、県民に幅広い支持の得られる方。こういうことが基本的な基準になっていく」と語り具体的な人選作業に入ったことをアピールした。

11月の天王山、県知事選挙に向けた各方面の動きが加速している。

(本誌取材班、2018年4月20日号)

森林環境税(仮称)は二重課税

2018/04/28(土) 08:00

昨年末、2018年度税制改正大綱に「森林環境税(仮称)」と「森林環境譲与税(仮称)」の創設が決まった。何度も浮上しては継続審議となっていたが、「森友学園問題」で予算委員会が紛糾する間隙を縫って、ほとんど審議もされないまま成立した。

森林環境税(仮称)は、個人住民税の均等割の納税者から、国税として1人年額1000円を上乗せして市町村が徴収する。税収については、市町村から都道府県を経由して国の交付税および譲与税配布金特別会計に入る。

個人住民税均等割の納税義務者が全国で約6200万人いるので、税の規模は約620億円となる。時期については、東日本大震災の住民税均等割の税率引き上げが23年度まで行なわれていること等を踏まえ、24年度から課税される。

一方、森林環境譲与税(仮称)は、国にいったん集められた税の全額を、間伐などを実施する市町村やそれを支援する都道府県に客観的な基準で譲与(配分)する。森林現場の課題に早期に対応する観点から「新たな森林管理システム」の施行と合わせ、課税に先行して、19年度から開始される。

譲与税を先行するにあたって、その原資は交付税および譲与税特別会計における借入により対応することとし、譲与額を徐々に増加するように設定しつつ、借入金は後年度の森林環境税(仮称)の税収の一部をもって償還する。譲与額を段階的に増加させるのは、主体となる市町村の体制の整備や、所有者の意向確認等に一定の時間を要すると考えられることによるもので、19年度は200億円から開始することとなっている。

だが、森林環境税には、大きな問題点がある。

第一に、都市部住民は森林環境税を支払っても、森林整備に対する受益がほとんどない。実感を得られないものに対する納税となる。第二に、森林環境税は、林業など特定の業種に対する補助金のような性質を持ち、特定の業種だけにメリットがある。補助金であるならば、予算から割り当てるのが原則で、国税としての徴収は問題がある。第三に、すでに地方自治体が導入している森林環境税との棲み分けや区分をどうするのか。二重課税になるのではないか、という点だ。

すでに、40近い県が森林環境税を導入している。各県の森林環境税は、県民税の超過課税である。超過課税とは、地方税法上で定められている標準税率を超える税率を条例で定めて課税する方式で、簡単にいえば、県民税に森林環境税が上乗せされたかたちのものだ。しかし県民税は使途が特定される目的税ではなく普通税のため、当時から「森林環境税が、本来の目的外の用途に使われるのではないか」という問題が指摘されていた。

そこに環境省や林野庁がほぼ同様の目的の「森林環境税(仮称)」を創設しようとしており、明らかな二重課税だと言えよう。

国民が無関心とはいえ、わずか年間1000円の増税だとしても、国会が森友問題で揺れるなかで十分に審議されることもなく増税が決まった。それも、東日本大震災の復興関連増税が終わった後に、森林環境税を導入するという姑息な方法だ。

(わしお こういち・経済ジャーナリスト。2018年4月13日号)

森友文書改ざんで市民の会が財務省職員24人を刑事告発

2018/04/27(金) 16:36

財務省が学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却に関わる決裁文書を改竄した問題で、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(八木啓代代表)は4月9日、売却と決裁および改竄時に関連する業務に関わっていたとされる財務省理財局と近畿財務局の24人を、公用文書等毀棄罪、虚偽有印公文書作成および同行使罪の疑いで東京地検に刑事告発した。

告発されたのは、同国有地の売却(2016年6月決裁)時の理財局長だった迫田英典氏、迫田氏の後任で文書改竄時の理財局長だった佐川宣寿氏をはじめ、元理財局長の田中一穂氏、当時の国有財産審理室長で安倍昭恵氏付きの政府職員だった谷査恵子氏からの問い合わせに応じた田村嘉啓氏、同じく当時の近畿財務局長だった武内良樹氏、同統括管理官として売却を担当した池田靖氏ら。このほか、理財局の総務課や国有財産企画課、国有財産業務課の職員らも告発の対象となった。

告発状提出後、東京地裁内の司法記者クラブで会見した「市民の会」の八木代表は、文書改竄について「削除しただけで改竄とは言えないとか、虚偽内容でなければ改竄には当たらないなどという声もあるが、文書の意味がまったく違っているのだから改竄後の文書は虚偽。

また、改竄前の文書を捨てて新しい改竄文書を国会と会計検査院に開示したのだから、公用文書等毀棄罪も完全に成立している」とし、「最低限守るべきルールが守られないというのは法治国家でも民主国家でもないということ。それが裁かれない国になってはならない」などと述べた。

同会は昨年5月に迫田氏、佐川氏ら7人を公用文書等毀棄罪で東京地検に告発。現在、大阪地検で捜査されている。

「今回の告発は検察審査会に申し立てすることも想定している。検察はきちんと捜査してほしい」(八木代表)とあらためて訴えた。

(片岡伸行・編集部、2018年4月13日号)

まず“阿呆太郎”を引きずりおろそう

2018/04/27(金) 10:15

4月6日に京都府知事選の市民派候補、福山和人の応援に行って、記者会見で「麻生太郎が日本の新聞のレベル(は低い)と言ったが、くやしくはないのか。問われているのは、選挙民と共に、あなた方新聞記者だ」と挑発した。

麻生太郎ならぬ、“阿呆太郎”如きにここまでナメられて首も取れない、それこそ日本の新聞のレベルも問題だが、かつて旧大蔵(現財務)官僚の接待汚職があった。

「ノーパンしゃぶしゃぶ」というコトバが世界をかけめぐったスキャンダルである。

あの責任を取って、当時の蔵相、三塚博は辞任した。

今度の公文書改竄はそれ以上の大失態なのに、なぜ麻生は辞めないのか?

彼らの言うように、前理財局長の佐川宣寿が勝手にやったことだとしたら、それをコントロールできない麻生は無能ということで、直ちに責任を取らなければならないだろう。麻生とコンビを組み、佐川に責任を押しつけて逃げ切ろうとする安倍晋三も辞めなければならないことは言うまでもない。

大体、麻生は首相はもちろん、議員にもなってはいけない人だった。差別意識が骨がらみになっている人間だからである。

歴代首相と「方程式」の話

魚住昭著『野中広務 差別と権力』(講談社文庫)に、2003年9月21日の自民党総務会のことが出てくる。議題は党三役人事の承認で、楕円形のテーブルに総裁の小泉純一郎(当時、以下同)、幹事長の山崎拓、政調会長の麻生ら約30人が座っていた。総務会長は堀内光雄で、堀内の目の前に座っていた野中広務が、「総務会長!」と声をあげて発言した。

「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で、『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」

総裁候補に擬せられた野中を、麻生が自分の派閥の会合でけなしたのである。

それを知った野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついたという。麻生は顔を真っ赤にしてうつむいたままだったとか。

そんな麻生こそ絶対に首相にしてはならない人だった。しかし、その麻生が後に総裁になったということは、自民党は日本差別党だということだろう。あるいは差別主義者党である。ヘイトスピーチ党と言ってもいい。

松元ヒロと私の共著『安倍政権を笑い倒す』(角川新書)で松元が麻生の声色を真似てこう言っている。

「下々のみなさん、こんにちは。麻生太郎です。私はみなさんとはラベルが違いますよ。実家は福岡の飯塚にあります。敷地面積は広いですよ。東京ドームが1個スポッと入ります。まだ入れたことはないけどね。(東京は)渋谷にあります私の私邸は、実勢価格40億円です。40億。わかりますか、貧乏人のみなさん」

それに続けて私も自家製の「方程式の話」をした。

「小泉純一郎はアメリカ一辺倒で、日米関係と日中関係の二次方程式を解けなかった。次の安倍晋三は一次方程式も解けない。その次の福田康夫は最初から解く気がなくて、福田の次の麻生は方程式の意味がわからなかった」

こう話すと、笑いが起こるが、現在は一次方程式が解けない安倍と、方程式の意味がわからない麻生のツートップである。

まずは麻生から引きずりおろさなければならない。

(さたか まこと・『週刊金曜日』編集委員、2018年4月13日号)

【南北首脳会談緊急企画】韓国統一部元長官が語る北朝鮮の非核化、平和構築

2018/04/27(金) 00:17

平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックを契機に、北朝鮮の対話ムードが加速している。金正恩朝鮮労働党委員長は3月26日、中国を訪問して習近平主席と会談した。4月27日には韓国・文在寅大統領との首脳会談が開催され、またトランプ大統領との米朝首脳会談も予定されている。朝鮮半島の戦争終結と平和構築のための歴史的な合意がなされるのか。盧武鉉政権時に韓国統一部長官として南北首脳会談の準備を企画総括した李在禎(イ・ジェジョン)氏に話を聞いた。

 

――4月27日に南北首脳会談が開催されます。その意義は?

イ・ジェジョン  現在は京畿道教育庁教育監。2007年南北首脳会談当時、盧武鉉政権最後の統一部長官として会談準備を企画統括した。27日に予定されている南北首脳会談では、準備委員会諮問団委員。

今回、開催される南北首脳会談は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が1月1日の「新年の辞」で明らかにし、平昌五輪期間中に直接特使を派遣して文在寅(ムン・ジェイン)大統領と協議し、その後、文在寅大統領の特使が金正恩委員長を訪問して確定した。この過程で南北は米朝首脳会談を推進することにした。文在寅大統領は米国に特使を派遣し、トランプ大統領に米朝首脳会談に向けた金正恩委員長の意志を伝えた。それをトランプ大統領が電撃的に受け入れたことで、今年の首脳会談開催が発表された。その意味で最も重要な意義は、韓国・北朝鮮・米国の3者が、同時に意志を持って首脳会談を開催することで合意したということだ。

 

また、南北首脳会談が板門店「平和の家」で開かれることも非常に重要な意味を持っている。「平和の家」は南(韓国)の地であり、施設である。金正恩委員長が軍事境界線を越えて南にくる、最初の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の最高指導者になるということだ。

 

――予想される議題は?

今回の南北首脳会談は大きな枠組みでの対話となるだろう。朝鮮半島の非核化、米朝外交関係の正常化と北朝鮮体制への積極的な支援、朝鮮半島の平和構築が議題の中心にある。過去数年間、北朝鮮が核実験とミサイル発射を行なうたびに、国際社会は国連安全保障理事会で強力な制裁決議をしてきた。とくに最近、米国は北朝鮮に対してあらゆる手段を動員し、最も強力な経済制裁による圧力を加えてきた。今回の首脳会談では、まず、金正恩委員長が韓国特使を通じて明らかにした「非核化の原則」と、それを推進するための基本的な原則を議論することになるだろう。非核化の原則と行程については、すでに1994年の「ジュネーブ合意」から2005年の6カ国協議での「9・19共同声明」まで数多くの合意と履行の過程があった。今回の会談では、北朝鮮の核兵器とミサイル開発の全面的な廃棄の問題とともに、北朝鮮と米国の外交的な正常化を通して、北朝鮮の体制をいかに保証していくか、ということが話し合われるだろう。それは同時に、終戦宣言と朝鮮半島の恒久的な平和を実現するための、平和体制に関する議論でもある

 

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