連載:シオニスト『ガス室』謀略の周辺事態 (その29)

世界各国に歴史見直し論の動き澎湃!

2000.3.3

 前回の(その28)で紹介したパレスチナ人からの通信には、スウェーデンの“ラディオ・イスラム”が、歴史見直し論運動の中心地のひとつとなっている、と記されていました。その前の(その25)は、逆の立場からの情報でしたが、ポーランドで大学の歴史学博士が、「ホロコースト見直し論」の本を頒布し、同国の反・見直し論の刑法に触れるにも関わらず「不起訴」となったとの情報でした。

 これらの動きは決して孤立したものではありません。これまでに私が、『歴史見直しジャーナル』で報じた各国の状況は、すべてを網羅しているものではありませんが、並べて見ると、まさに「澎湃!」の感がありますので、以下、簡略に紹介し直します。

スイス:

 左派系フランス語新聞、『ル・ヌヴォー・コティデアン』[新・日刊紙](1996.9.2/3)が、ガロディの本(拙訳『偽イスラエル政治神話』)をきっかけにして、「ホロコースト」見直し論に対する言論禁止の法規制を疑う記事を2日、ともに広告なしの完全な1頁の全面で連載しました。

 題名は、「ガス室に関する論争」。少なくとも「言論で勝負すべきだ」という主旨の主張を、様々な角度から発表しているフランススの有力な論客として、写真入りで紹介されている4人の一番上には、ユダヤ人で、しかも、元欧州議会議長という超々有名人の女性、シモーヌ・ヴェイユが並んでいます。

トルコ:

『フォワード』(1996.7.26)と題するアメリカの新聞の「短信」欄記事によると、イスタンブール発の「ユダヤ電報通信」が、「トルコ人作家が名誉毀損で提訴」と題する以下のような記事を配信しました。

 トルコ人作家が、ホロコースト否定論者として告発する論説記事によって人格と名誉を毀損されたと提訴した。その論説記事は、コラムニストのベドリ・バイカムが、5月19日付けのトルコ語日刊紙、シヤハ・ベヤズ(黒・白)に寄稿したもので、『ホロコースト/ユダヤ人の作り事』と題する本を、「卑劣なプロパガンダ」として弾劾していた。

 画家および作家として著名なトルコ人のバイカム氏は、インタヴューに応じて語った。「この本は、トルコのユダヤ人市民だけでなく、世界中のすべてのユダヤ人を傷つけると信ずる。私は、この長い歴史を持つ民主的な共和国のイスラム教徒の市民である。この国では、いかなる言語、宗教、人種による差別をも許してはならない」

 この本は、ヌリ・オズブダクハルム・ヤハヤのペンネームで書き、この国のイスラム教福祉党と連携関係にあるトルコ語新聞で賞賛されたのだが、この党の指導者、ネクメッティン・エルバカンは、最近、首相になった。オズブダク氏は、この本の中で、アドルフ・ヒトラーとユダヤ人との間に緊密な協力関係があったこと、ホロコーストで死んだ六百万のユダヤ人は、実際には集団的なチフスの流行の犠牲になったことなどを主張している。この本によると、ナチは集中収容所を、罹病した住民を隔離し、疫病の流行を阻止するために使用した。

 オズブダク氏の弁護士、マヘメット・サヒムは、この本が、四つの異なる言語からなる百以上の記録の広範な調査に基づいていると語った。彼はまた、人々が、ホロコーストを、ユダヤ人に対するジェノサイドだと思い込むようになったのは、ユダヤ人のプロパガンダの結果だと語った。

ロシア:

 ソ連崩壊後、「常任理事国」の議席を継承するロシアでは、『ルスキー・ブェツニク』[ロシア新報](1997,23~24号)が「ホロコーストは嘘」と題する16頁特集を組みました。以前には世界で最大発行部数だった超有名新聞、元共産党機関紙の『プラウダ』[真実](1997.1.24)も、同趣旨記事を掲載しました。ロシアでは、上記のガロディの本が大評判とのことです。

ベルギー・ドイツ:

 ベルギーで発行されたドイツ語の雑誌、『自由な歴史研究のための季刊誌』(1997.3)の表紙には、上記のガロディの著書の主張への支持を表明したアベ・ピエール神父が写真で紹介され、「歴史見直し論の勝利」と大きく記されていました。

レバノン・ヨルダン・カタール・アラブ首長国連邦:

『スミス・リポ-ト』(1998.2)によると、『偽イスラエル政治神話』発表後、ガロディは、ベイルート(レバノン)のアラブ民族フォーラム、シリアの情報省、ヨルダンの著述家協会などから招かれて、アラブ諸国を回りました。

 カタールでは、「ロジェ・ガロディ支持委員会」がメディア・キャンペーンと献金の受付開始を発表しました。この委員会は、宗教的指導者たちがガロディ支持の談話を発表する集会を企画しており、その際、ガロディの談話は衛星放送によって放映されました。

 その他にも、AFP電(98・1・14)によると、カタールやアラブ首長国連邦の「高位の人々」からの献金は、5万ドル(約六五〇万円)に達しました。ヨルダンの青年会議は、ガロディ支持の集会を開き、『偽イスラエル政治神話』は「イスラエルの拡張主義戦略を批判するもの」であり、ガロディが「神話」として批判した「ガス室」には「イスラエルがこれまでにパレスチナで要求し獲得してきたすべてを正当化する」意図ありと発表しました。その直後、ヨルダンのアラブ人権擁護機構は、「ナチのガス室の存在を否定してパリで裁判に掛けられているフランスの著述家で哲学者のガロディへの支持」を発表し、「彼の主張と政治的見解は、多くの知識人や歴史家によって認められ採用されている」と表明しました。

イラン・スウェーデン・アメリカ・フランス・日本:

 最新技術が歴史の変化を加速しています。「中東のメディアが、ホロコーストの真実と、ホロコーストに関する言論弾圧に関して、トランポリンの役割を果たすなどということは、一年か二年前には誰も想像できなかった」。これが、アメリカで「唯一の見直し論月刊誌」を誇る「スミス・レポート」(1998.4)の表現です。

「トランポリン」とは、アラブ諸国ばかりか同じイスラム教国のイランで、宗教指導者がフランスのホロコースト言論弾圧を非難する演説を行い、それが短波放送でヨーロッパ向けに発射された事実を指しています。スウェーデンの“ラディオ・イスラム”についても、この記事に続けて紹介されていました。

「スミス・レポート」の編集・執筆・発行者で、アメリカの大学教授、ブラッドレイ・スミスが中心となって構築しているインターネット情報基地「CODOH」(ホロコースト公開討論委員会)のヒット数は、ガロディ裁判の時期(1998.1)に、約30%高まったそうです。その大部分がイスラム圏と推定されています。

 スミスは、「日本」の私(木村愛二)の活動も何度か紹介してくれました。私のホームページにも、CODOHへのリンクを設定してあります。そこからさらに世界中の見直し論情報基地へのサーフィングが可能です。

 私自身が、パリ地裁のガロディ裁判(1998.1)傍聴の場で知り合いになったパレスチナ人、バジル・アブエイドは、当時、大学院でぴったりのテーマ、博士論文「民主主義とテクノロジー」を作成中でした。

 バジルは私を、郊外のマンションの広々とした自宅に2度も招待してくれました。40歳で、フランス人女性の妻と二人の住まいです。そこで、日本では超々高級のトリュフを10個も使う家庭料理まで振る舞ってくれました。「仕事はインターネット」と称して、3畳ほどのインターネット専用室を設けていました。「収入は」と聞くと「モネー」(通貨の相場)と答えました。当時はバブル崩壊の日本の円の動きにも詳しくて、「欲張ってはいけない。必要なだけ相場から取り出す」と言っていました。こんな、したたかなアラブ人、モズレムが、世界の各地にいるのでしょう。

以上で(その29)終わり。(その30)に続く。