中部モプチ州での活動

モプチでの活動

モプチ地域は、マリ共和国のちょうど中心に位置していて、年間降水量500mm以下の比較的乾燥した地域です。
ニジェール河とバニ河の2大河が合流して、大きな氾濫原と大小の湖沼が広がっています。
その水資源の恩恵を受け、船を操り魚を採る漁労民、ウシなどの家畜を率い草を求めて季節的に移動する遊牧民、湿地を利用した水田でのコメ栽培や畑地での穀物栽培を行う農耕民が混在しています。

 

州都のモプチは植民地時代に大きな港がつくられ、水運の要衝として栄えました。
陸運が盛んになった現在でも要衝としての地位は変わらず、隣接するセバレと共に発展を続けています。
また、マリにある4つの世界遺産のうち2つがあり、古都ジェンネのモスク、ドゴン族の仮面舞踊で表わされる独特の世界観は、多くの観光客をひきつけています。
モプチ地域に住む人々は、マリ北部ほどではないにせよ、年々減少・不規則化傾向にある降雨に左右され、農業などの生業や生活が厳しくなっています。
耕地とその周りに広がる潅木林、雨期の水の通り道沿いのまとまった森林全てが、村の人々に密接に関わる大切な資源です。

1993年当時、トンブクトゥ州で活動をしていましたが、北部地域での民族紛争が激化しつつあり、唯一の活動地が止まると会の存続にも関わってくるため、比較的政情の安定しているモプチ地域(セバレ以北のファトマ郡、コンナ郡)で新たな活動を始めることになりました。

この地域で始めた時には、村に住み込み、木を植えるだけでなく、村人が抱える問題を探り、ニーズを掘り起こして活動を進めていきました。そのため、乾期野菜栽培とそれに使う水を確保するための井戸掘り、識字教育、穀物銀行、グループ活動への資金貸付など多肢に渡りました。


村に住み込むという活動スタイルは、村人の生活や考え方を肌で感じ、
多くの情報を得ることができる半面、村のしがらみや繋がりにある程度縛られるようになりました。
村人と同じ暮らしをしているとスタッフの健康上の問題も多く現れたり、
宗教観の違いから資金の取扱の問題が発生したりしたため、
その後会員に向けた会の活動に関するアンケートを行った結果、
多くの会員が望む植林への活動に絞り、
現在の活動形態が生まれるきっかけとなりました。

活動を始めてから20年以上経った現在、砂漠化や人口増加などの影響により、
村々の森林資源はさらに減少しています。
降雨が少ない分、それらが回復する速度も遅く、人々は今まで以上に危機感を抱いています。
2000年以降この地域での活動を中断していましたが、2008年からまた定期的に訪れ、
村人たちが自分達で植え育て、自由に使うことができる小さな林づくりを進めています
(治安の関係上、2012年から再度中断)。