集会:私たちも君主はいらない バルバドスはなぜ共和制を選んだのか?

                      加藤匡通(戦時下の現在を考える講座)

バルバドスは人口29万人、種子島程の大きさのカリブ海の島国である。イギリスの植民地だったが1966年に独立した。独立後は旧宗主国の王エリザベスを元首とする英連邦王国加盟の立憲君主制をとっていたが、昨21年12月1日から王制を廃し共和制に移行した。今世紀に入り王制を廃止した国は3つ目となる。

これは大変衝撃的なニュースのはずだ。なのにこの国ではとても小さな扱いで、インターネットで調べても新聞のベタ記事同様のものしか出てこない。天皇制に及ぼす影響を恐れての配慮?いや、多分それですらない。無関心だ。でも僕たちは知りたい。だから企画した。

お話を太田昌国さんにお願いした。太田さんは1時間の話にはもったいないくらいに詳細なレジュメをもって話に臨んだ。バルバドス初の女性の首相ミア・モトリーが牽引する形で今回の移行はなされ、そこには「君主制を廃止しなければ、自分たちが本当に独立国なのか、自国の運命に本当に責任を負っているのかとの疑問を常に持ち続けることになる。」と言う明確な意志があること、他にもこの首相はいくつかの印象的な、極めて真っ当で力強い演説をする人物であることを報告してから、カリブ海域での帝国主義国の振る舞いの歴史を語った。分量的にはこちらの方が多い。それは今回の背景として当然理解しておくべきことだから、ではある。

もう1つの理由は、バルバドスに関する情報が少ないから、である。太田さんですら国内の情勢などは調べられなかったと言う。王制廃止が決定されるまでの議会内外の様々な議論や、世論の動向、廃止反対派の動きなど知りたいことはいくらでもある。だがそれらは分からないままだ。

これにはこの国の他国、他地域への関心の偏り、というよりは関心の無さが見事に反映しているのだと思う。僕たちはずっと前から自国第一主義の只中にいる。今回の企画のためにバルバドスについて調べて、研究者がいないらしいことに気づいて愕然とした。比較の対象がなければ自分たちがどれだけおかしなことをしていても気づかない。もっとも、今回のニュースを聞くまでバルバドスに関心を持っていなかった僕たちも同じ穴の貉である。それでも貉なりの努力を続けたい。

2月6日、つくば市吾妻交流センターにて。参加11名。

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