対日本戦勝記念日(VJデー)80周年に当たり 英国王のメッセージ

https://www.royal.uk/news-and-activity/2025-08-15/a-message-from-his-majesty-the-king-on-the-80th-anniversary-of-vj-day
2025.08.15
翻訳:編集部

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多くの苦難を回想する中で、我々はその大義の偉大さと勝利の甘さを忘れるべきではありません。VJデーの英雄たちは我々に自由をもたらしてくれただけでなく、自由をどのように守ることができるのか、また、守られなければならないかという模範を示してくれたのです。

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 家の無線機(ラジオ)を囲む数百万の家族たち、そして彼らの愛する、故郷から遠く離れた地でまだ任務に就いている人たちにとって、それは戦いに疲れた世界が長年待ち望んできたメッセージでした。「戦争は終わった(The war is over)」と、私の祖父であるジョージ6世国王は、80年前の今日、英国と英連邦の人々への演説で宣言しました。6年間にわたる流血、恐怖、苦悩の末の、たった4つの単語から成る短い言葉でした。シンプルなメッセージが、安堵と祝賀、そして自由の夜明けの輝きを見ることなく逝った者たちへの悲しみの入り混じった感情に、これほど共鳴しあったことがあったでしょうか。 

 この大いなる記念の日に、私が皆様にお話しするのは、自由勢力の勝利のために任務につき犠牲を払ったすべての人々を改めて称えるのと同様の、記念と祝賀の精神においてです。

 太平洋戦線での最終的な勝利は、我々の強力な同盟国である米国の戦略指揮下で達成されましたが、東南アジアの戦況は、私の大叔父であるマウントバッテン卿のリーダーシップのもと頂点に達しました。私はマウントバッテン卿から、あの戦場の最前線で目撃された特別な恐怖と英雄主義について、多くのことを学びました。彼の下に集まった部隊は、多くの異なる国、宗教、コミュニティから成る100万人を超える男女で構成されていましたが、共通の目的と不屈の精神で結ばれていました。29のヴィクトリア十字勲章は彼らの勇気を雄弁に物語っていますが、私は多くの人々が支払った代償を十分に理解しています――それは墓石だけでなく、生存者の心と体に刻まれた傷跡にも表れています。

 ウィリアム・スリム将軍という献身的な戦場指揮官の揺るぎない支援にもかかわらず、現地の部隊は時折自分たちを「忘れられた軍隊」と自称していました。しかし、私は現在「ビルマ・スター記念基金」のパトロンであり、アルベール・ホールで開催された「ビルマ・スター再会の集い」にマウントバッテン卿と共に参加した際には、勲章を授与された数千人の退役軍人がホールを埋め尽くしていました。私は、退役軍人たちに、彼らとその戦友たちは決して忘れられることはないと確信させる機会を得るという特権を享受したのです。彼らは今日、我々の思いの中で孤独ではありません。なぜなら、モンスーンに襲われるジャングルの上空で、連合軍のパイロットたちは戦闘機、爆撃機、輸送機を操って敵の砲火と自然の猛威の中に飛び込み、自らの勇敢さを示したからです。 

 我々はまた、過酷な捕虜生活に耐えた捕虜たちを思い出します。飢餓、病気、残虐行為が人間の耐え忍ぶ限界を試した日々です。占領地域の無辜の民間人たちは、同様の悲惨な苦難に直面しました。彼らの経験は、戦争の真の代償が戦場を越えて生活のあらゆる側面に影響を及ぼすことを教えてくれます。これは、現在世界中で起こっている紛争が、あまりにも鮮明に示している悲劇です。 

 そしてこの記念すべき周年を機に、我々は戦争の最終段階で、広島と長崎の市民が払った莫大な代償にも思いを馳せるべきです。我々は、この代償を再びどの国も払うことがないように祈っています。

 しかし、これほど多くの苦難を回想する中でも、我々はその大義の偉大さと勝利の甘さを忘れるべきではありません。VJデーの英雄たちは我々に自由だけでなく、それがどのように守られ、守られなければならないかという模範を示してくれたのです。

 これまで一度も共に戦ったことのない国や共同体は、地理的な距離や宗教、文化の壁を越えて協力する方法を学びました。我々は共に、戦争の時も平和の時も、最も強力な武器は手に持つ武器(arms)ではなく、お互いに組み合った腕(arms)であるということを証明しました。これは、今日においても重要な教訓です。

 すべての兵士の家族の皆さん、そして残念ながら減少傾向にある存命の退役軍人の皆さんへ。人類の最も暗い時代において示された勇気と団結は、永遠に燃え続ける炎です――過去を称え、未来を導く灯台です。

 だから我々は、彼らが遺してくれた価値観の「用心深い守護者」となることを誓いましょう。そして何よりも、コヒマの戦場にある英連邦戦没者墓地の碑文を思い出しましょう。「あなたが故郷に帰ったなら、私たちのことを伝えてください。私たちはあなた方の明日のために、自分の今日を捧げたのだと」。 

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