2024年11月9日、東京・飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターにて、「Stop! 辺野古埋立キャンペーン10周年記念シンポ&『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』刊行を祝う会」が行われた。
Stop!辺野古埋め立てキャンペーンは、2013年の沖縄・仲井眞県知事の「埋め立て承認」を受けて開始された辺野古沖での米軍基地建設に反対し、工事を受注する企業(ゼネコンや調査・コンサルティング会社など)に対する抗議・要請行動に取り組むために、2014年2月に「辺野古への基地建設を許さない実行委員会(通称:辺野古実)」に集う仲間の有志によって結成された少人数のグループ。
結成から今日まで、毎月1回午後5時半から、大成建設(第3火曜日)、五洋建設(第4火曜日)、大林組・日本工営(それぞれ各月で第2火曜日)本社前での抗議・スタンディング行動を活動の基本として続けている。それ以外には、上記企業(主に大成建設)の株主総会や入社式や、サンゴ移植を請け負ったエコーという調査会社や軟弱地盤改良工事に関わる不動テトラといった企業にも申し入れや抗議行動を行ってきた。
防衛省など公的機関に対しては、私たちは主権者としての「要請」する権利を有する、なので公的機関は「要請」を受け取ることは拒否できない。しかし民間企業は違う。上記の多くの企業は、「要請書」を受け取ることさえ拒否をするという。辺野古の工事は、私たちの税金を使用したある意味「公共工事」であるにもかかわらずである。
戦争加担企業への責任追及――基地・兵器・強制動員をめぐって
そうした企業に対してどのように私たちの声を届け、企業活動を変えていくことができるのか。そうした視点から、この集会の第1部は、「戦争加担企業への責任追及―基地・兵器・強制動員をめぐって」と題されたシンポジウムであった。
発言は、まず、Stop!辺野古埋め立てキャンペーンの共同代表である加藤宣子さんが「キャンペーン」の10年の活動を振り返り報告。辺野古の基地建設を止めるには、基地建設に群がる企業(そのほとんどが「本土」の企業)に建設を止めさせることが重要と考えこの活動を始めたこと、具体的な成果は残念ながらあがっていないが、大成建設など、抗議行動を気にしていることは感じられるので、今後も粘り強く続けたい、と語った。
続いて、杉原浩司さん(武器取引反対ネットワーク(NAJAT))が発言。10月16日~19日に東京ビッグサイトで行われた国際航空宇宙展(ガザ虐殺兵器展)への抗議や防衛省によるイスラエル製の攻撃型ドローン輸入を止める取り組みなどを報告。イスラエルのパレスチナ占領政策を国際法違反と国際司法裁判所が勧告したこともあって、伊藤忠商事の100%子会社が、イスラエルの軍事産業大手「エルビット・システムズ」と結んでいた協力関係の「覚書」を中止に追い込むなど成果も出た。しかし、エマニュエル駐日米国大使は、「岸田首相は2年間で、70年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費のGDP比2%への増額、反撃能力保有、そのためのトマホークの購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもメドをつけた。日本は今や米国にとって完全なる安全保障のパートナーだ」(2024年4月7日)と言っているように、この(安保3文書以降の)2年間で、やられたことを少しでも押し返すように、平和運動を立て直すことが重要だと強調した。
3番目に、竹内康人さん(歴史研究)は、朝鮮人強制動員に対する企業の戦争責任追及について発言。「アジア太平洋戦争時の企業の戦争責任の追及について強制動員をめぐる動き」などから報告を開始した。竹内さん自身によるこの報告のまとめが、http://www.pacohama.sakura.ne.jp/no24/2411ookura.htmlに掲載されているので、ぜひ、そちらを参照してください(本サイト『反天ジャーナル』と最も関連するところでもあります)。
集会の第2部は、加藤宣子さんの『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』刊行を祝う会で、著者の加藤宣子さんが、出版の過程での「基地巡り」を写真を使って説明した。沖縄の基地建設に反対する思いとそこへの企業の関わりにつての関心は、戦後の占領期の沖縄での基地建設が、「米軍の銃剣と日本のツルハシ」と言われていたことを知ったことがきっかけという。自身の生活や友人・家族との関わりの中で「「会社」教」とでも呼べそうな、会社中心主義の存在(基地建設や自然破壊を個人としては否定していても会社の従業員としてはできる!)への疑問もあって、この本の執筆に至ったと語った。『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』(ここから刊行、本体1800円)もぜひ読んでほしい。(K)