【声明】自衛隊幹部の靖国神社参拝に抗議する

2024年1月27日
「紀元節」と「天皇誕生日奉祝」に反対する2.11&2.22 連続行動

自衛隊の高級幹部が、公然と靖国神社を参拝する行為が相次いでいる。

1月9日、小林弘樹陸自幕僚副長ら10数名が靖国神社を集団参拝し、玉串を奉納した。私的な参拝だとしているが、「新年の安全祈願」という名目で、陸自の担当部署の作った細かな実施計画書に沿って行われた組織的な行為である。さらにその前日には、冨樫勇一東部方面総監など高級幹部数人が公用車を利用し、靖国神社で行われた偕行社の「新春賀詞交換会」に参加した後、制服姿で参拝していた。

防衛省は「政教分離」の観点から、神社等への「部隊としての参拝」や「隊員への参加強制」を禁じた、1974年の防衛事務次官通達に抵触する可能性があるとして、調査に乗り出している。しかし、現実に自衛隊は、靖国神社への組織的な参拝を続けてきた。

2015年には、さいたま市にある陸自化学学校が、「精神教育」の一部として、40人ほどの隊員をマイクロバスに乗せて靖国参拝をさせている。また、確信犯的に毎年8月15日に制服姿での靖国参拝を呼びかけている自衛官「有志」のグループも存在している。

自衛官の靖国神社参拝が政教分離違反にあたることはもちろんである。しかし、そもそも靖国神社は、「軍人が戦争で死ぬこと」を賛美・顕彰し、「先の」侵略戦争を美化し肯定する、政治的・軍事的な宗教施設である。自衛官・とりわけその幹部が、この戦争神社に参拝する行為が、軍隊と靖国の結びつきを改めて確認させ、「国のために死ぬこと」を礼賛し、その思想を隊員に改めて注入する目的を持っていることは明白である。もちろん、首相の靖国神社参拝が許されないことも、首相が「自衛隊の最高指揮官」である点からも全く明らかだ。

靖国神社のみならず、護国神社や一般の神社と自衛隊との結びつきも強くなっている。山口県護国神社には戦後45人の殉職自衛官が「合祀」されている。夫を亡くした遺族である中谷さんの合祀取り下げ要求にも応じなかった。また、この1月10日には、陸自宮古島駐屯地の比嘉隼人司令以下、幹部隊員約20名が制服を着用し、公用車を使って宮古神社に参拝したことが明らかになっている。

自衛隊と靖国神社等とのこうした結びつきの拡大は、現在の「戦争国家」体制づくりに向けた動員攻撃の一環だといわねばならない。大軍拡が進行し、辺野古への強制代執行など琉球弧の「犠牲」のもとに社会全体の軍事化が進んでいる。こうした中で、「国のための犠牲」を自衛隊員と「国民」に受け入れさせるための攻撃が進んでいるのだ。

すでにこの間の事件をめぐって、右派メディアでは「自衛隊員が靖国神社に参拝するのは当然のこと」「時代遅れの通達こそ廃止すべき」などといった言説が広がっている。元日に発生した能登半島地震の救援活動に自衛隊が投入され、その活動に目が向けられる中で、軍隊とその精神的な動員装置としての靖国の結合も、それは当然のことであり、正面から許容されるべきであるという世論形成が図られようとしている。

私たち反天皇制運動の共同行動は、こうした動きに強く抗議し、2.11&2.22の行動への参加を、合わせて呼びかけるものである。

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