皇室が存在し制度を維持するために日々使われているお金はすべて税金。
毎年、国家予算として計上される主な項目は、宮内庁予算として、皇室費(内廷費・宮廷費・皇族費)と宮内庁運営費、そして皇宮警察予算だ。
2023年度の皇室費と宮内庁運営費はそれぞれ約67億800万円、約115億7700万円(詳細は別表、宮内庁資料より)、皇宮警察予算は約82億4269万7000で、総額、約265億2800万円であった。
●この数字が大きいのか小さいのか。年間五兆5000億を超える防衛省の予算に比べれば微々たるものという声もある。しかし、この比較が妥当であるのか。
天皇・皇族、たった7世帯・17人が生活し活動する費用が265億円以上とは。
比較するならば、当然ながら市民7世帯の平均的な年間生活費であろう。
予算枠とそのおおまかな内訳は大体以下のようになる。
1 内廷費
2 宮廷費
3 皇族費
4 宮内庁運営費
5 皇宮警察予算
●内廷費・皇族費は皇室経済法に規定があり、それをもとに算出される。それらも含め、すべて国会の予算委員会で決められる。
それぞれは概ね以下のように。
1 内廷費:天皇・上皇夫妻・内廷にある皇族(雅子皇后と愛子内親王)の、日常の費用その他内廷諸費(生活費や私的な活動費としての「お手元金」)に充てるもので、法律により定額が定められ、毎年支給される。2023年度は、3億2400万円。これらは宮内庁の経理に属せず、要するに使途に関する報告の義務はない。その定額を変更する場合は皇室経済会議から内閣に意見提出する(皇室経済法第4条)
*内廷:現在の皇居では、公的儀礼に用いられる新宮殿に対して、天皇とその家族の私的生活の場である居住地を指す。
2 宮廷費:儀式、国賓・公賓等の接遇、「行幸啓」、外国訪問など、皇室の「公的」活動等に必要とされる経費、皇室用財産の管理に必要な経費、皇居等の施設の整備に必要な経費など。特別な行事等により、その年によって金額は変更する。これらは「宮内庁の経理に属」し、宮内庁管理。2023年度は61億2386万円(詳細は別表1&別表2、宮内庁資料&財務省資料より)
3 皇族費:「皇族としての品位保持の資に充てるもの」として定額を毎年支給。また、皇族が独立あるいは離脱する際に「皇族である(あった)者としての品位保持の資に充てるために」一時金を支出する。年額・一時金は法律で定める定額に基づき算出。皇族それぞれの「身分」により定額は詳細に規定されている。また、皇族の構成の変化(未成年が青年になる、皇族が独立する等)により、その年額も変更する。皇族費も「お手元金」として支給され、宮内庁の経理に属しない(皇室経済法第6条)。2023年度は2億6016万5000円(詳細は別表、宮内庁資料より)
4 宮内庁運営費:国会予算委員会で予算額が決定。主に人件費で、2023年度は115億7700万円。宮内庁予算として2023年の計上された額は皇室費とあわせて約182億8500万円
5 皇宮警察予算:ほとんどが人件費で、2023年度予算82億4269万7000円
(詳細は別表、19内閣府所管「令和5年度歳出概算要求書」より)
●上記以外に、天皇・皇族が地方に巡行するたびに受け入れ先では道路や施設の整備費、警備費など特別に支出されるし、皇室行事そのものにも多額の費用がかかっている。それらは当該の自治体によって賄われていることが多い。実際のところ、皇室がどれだけの税金を使っているのか把握できていないし、把握している者はいないのかもしれない。
*今後も、皇室関連予算として、定期的に情報を届けられるようにしたいと考えています。