「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」

1939年(昭和14年)5月22日に昭和天皇が荒木貞夫文部大臣に与えた勅語。東京の宮城前広場(現・皇居外苑)で、陸軍現役将校学校配属令の施行15年を記念する全国学校教職員及び学生生徒御親閲式が行われた。この親閲式には昭和天皇が臨席し、全国から学生生徒代表3万1000余名、教職員代表4500余名が参列した。式終了後の同日午後、昭和天皇は荒木貞夫文部大臣を宮中に呼び、青少年学徒に対する勅語を与えた。

天皇機関説事件に端を発する国体明徴運動に象徴される、それまでの大日本帝国憲法体制すらも否定するよりファシズム的に変容した社会には、「教育勅語」「戊申詔書」「国民精神作興ニ関スル詔書」も対応出来なくなったからである。

*戦後には、1948年6月19日、第2回国会において、衆議院本会議で「教育勅語等排除に関する決議」、参議銀本会議で「教育勅語等の失効確認に関する決議」が行われ、「教育勅語」と合わせて「戊申詔書」「国民精神作興ニ関スル詔書」「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」は廃止され、効力を失っていると決議された。

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青少年学徒ニ賜ハリタル勅語(1939年(昭和14年)5月22日)

國本ニ培ヒ國力ヲ養󠄁ヒ以テ國家隆󠄁昌ノ氣運󠄁ヲ永世ニ維持セムトスル任タル極メテ重ク道󠄁タル甚タ遠󠄁シ而シテ其ノ任實ニ繫リテ汝等靑少年學徒ノ雙肩󠄁ニ在リ汝等其レ氣節󠄁ヲ尙ヒ廉恥ヲ重ンシ古今ノ史󠄁實ニ稽ヘ中外ノ事勢ニ鑒ミ其ノ思索ヲ精ニシ其ノ識見ヲ長シ執ル所󠄁中ヲ失ハス嚮フ所󠄁正ヲ謬ラス各其ノ本分󠄁ヲ恪守シ文󠄁ヲ修メ武ヲ練リ質實剛健󠄁ノ氣風ヲ振勵シ以テ負󠄁荷ノ大任ヲ全󠄁クセムコトヲ期セヨ

【現代語訳】
国家の基礎と国力の増強により国家繁栄の気運を永遠に持ち応えようとする任務は、極めて重要であるとともに、極めて難しい。この重大な任務は、幼稚園から大学まですべての学校に学ぶ青少年学徒の双肩にかかっている。青少年学徒は、気概を持ち恥を知り、古代から今に至る歴史的事実と国内外の情勢をよく顧みてその思考を見つめ、反省することにより、思考を高めるように努め、行いや思想が中正の道から外れないように、それぞれが各自の本分を守り、文武の修練に励み、質素着実な気風を発揮して、この国家繁栄という重大な任務を全うすべきである。

*現代語訳は、小野雅章『教育勅語と御真影』(講談社現代新書)pp.171-172より

 

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