オランダで共和制をめざして活動している団体・Republiekが、オランダ国王を提訴した。オランダの法制度における国王の役割が、ヨーロッパの人権条約に反しているという理由からである。
RepubliekのHPには、「この訴訟の目的は、立法、行政、司法のさまざまな側面で、国王が多くの権限を持っているかどうか、法廷の裁定を得ることです」とある。
オランダでは、国政における国王の権限は、1848年の憲法改正以降形式的なものとなっている。ただ、総選挙後の組閣過程で国王が一定の政治的影響力を及ぼすことが可能で、実際に2010年の組閣過程で、当時のベアトリクス女王(Beatrix)が組閣に影響を及ぼそうとしたと指摘されている。こうした動きを受けて、形式的となっている国王の権限を更に徹底させるための措置も講じられているという。
Republiekは、司法における国王の権限を次のように指摘する。「裁判においても、裁判官は国王によって任命され、あなた自身の弁護士は国王への忠誠を誓い、法律は国王の署名がある場合にのみ有効である。また、法廷には、国王の肖像画が正面に掲げられている」。そして「こうした状況下で、国王に対する訴訟で公正な裁判を受けることが出来るのか」との問題を提起している。
オランダの現在の国王・ウィレム・アレキサンダーは、COVID-19の流行時に、政府が国民に移動の自粛を求めた直後であるにもかかわらず、夫婦でギリシャ旅行に出かけて強い批判を浴びている(国王はビデオ声明で謝罪)。もともと国内での人気は芳しくない(王制支持派は50%前後。日本では天皇制の支持は80%を超える)。
Republiekは、「私たちはウィレム=アレクサンダーという人物には関心がありません」、しかし、「国王は、人々が信じているよりもずっと大きな力を持っている」と警鐘をならす。憲法上で「形式的」役割しか持たないとされている国王の権限を、常に監視して、実際に「形式的なものに止めていくことが重要で、この裁判もその一環」として提起された。
日本の天皇制も、「象徴」とはいいつつ、その「象徴」の中身は天皇自身によって決められているし、公的公務の拡大、皇室外交の拡大など、明らかに法を超越してその行動は拡大し続けている。しかしそれに対して具体的な歯止めをかけようとする動きはどこにもない。「野放し」の状態である。
アレキサンダー一家と仲良しの徳仁一家だが、オランダのRepubliek
に習って、この「象徴」に、まずはきちっと鈴をつける(権限を制限
する、よけいなことをさせない)ことが、我々にも必要とされている
のではないか。そしてゆくゆくは天皇に退場していただこう。
(Alleycat)