「Fuck imperialism, abolish monarch」

エリザベスの死去から葬儀にいたる過程で、少数ながら、王政に反対する人びとが、反対・抗議の声をあげている。

エディンバラのメルカットクロスで行われた追悼式に集まった群衆のなかから、「Fuck imperialism, abolish monarch(くたばれ帝国主義、王政廃止)」と女性が叫び声をあげた。オックスフォードで行われた新君主の宣誓式では、男性が「誰が彼を選んだんだ」と叫んだ。

「NOT My King(私の王ではない)」等のプラカードを掲げたデモンストレーションも国会議事堂前で行われた(https://www.youtube.com/watch?v=eWakQAubm-c)。

当然ながらこうした声を封じ込めるべく警官が大動員されている。

「女王の葬儀を『ロンドン橋作戦』と呼び、テロや犯罪を阻止するために史上最多の治安警護の人員を投入した。ロンドン橋作戦は、1960年に計画が樹立され、今年4月に再検討が行われたと、英紙タイムズは伝えた。/(略)/約100万人が集まった同日の葬儀には、五輪の時よりも多くの警官が動員された。ロンドン警察庁のスチュワート・コンディ副局長は、『200年の英国の警察史上最大の治安作戦』と話した。警察は、ロンドン中心部に総延長36キロのバリケードを設置した」。
(東亜日報電子版 https://www.donga.com/jp/article/all/20220920/3646561/1

「Fuck imperialism, abolish monarch」と叫んだ女性が逮捕された際には、「彼女を放せ、言論の自由だ」と当然にも警察に抗議する人もいた。表現の自由のために活動するNGOなども「深く憂慮すべきこと」と批判し、「この国の市民が享受する表現の自由を侵害する目的で、偶然または意図的に、今のこの行事が利用されないよう、私たちは警戒しなくてはならない」と警鐘をならしている。

これらの声を受けてか、ロンドン警視庁のスチュアート・カンディ副総監補は声明を出し、そのなかで「市民にはもちろん抗議する権利がある。警察が現在行っている臨時の活動に携わる全警官には、このことを明確に伝えている」と述べている。また、首相報道官も、圧倒的多数が喪に服している期間だとしながら、「それでも抗議する基本的権利が、私たちの民主主義の要であることに変わりはない」と言ったという(BBC NEWS JAPAN https://www.bbc.com/japanese/62885091)。

警察幹部や首相報道官のこうした言葉は、民主主義を標榜するだけのエクスキューズにすぎず、とうてい真に受けることはできない。

表現の自由(抗議の自由)は「民主主義の要」であるのは間違いないが、なにより「abolish monarch」こそが「民主主義の大前提」であるのだ。

(Alleycat)

 

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