反天と選挙の距離

将来的には天皇制をなくすと言ってきた日本共産党が、今年1月、『安保条約 自衛隊 天皇 共産主義… あたなの「?」におこたえします 日本共産党綱領の話』というリーフレットを出した。

天皇制については「与党になったら天皇制は廃止?そんなことは絶対にしません。私たちは綱領で、天皇制制度をふくめ『憲法の全条項を守る』と決めています」と、1章まるごと擁護した。

天皇は戦前から国会の開会式で「おことば」を述べてきた。「主権在民原則に逸脱する」として開会式を欠席し続けてきた共産党は、2015年12月24日、記者会見で「天皇の発言の内容に、憲法上の問題がなくなっていることを踏まえ、今後、国会の開会式に出席する」と述べ、翌年1月4日の通常国会開会式に出席、現在に至っている。

徳仁も即位後ずっと国会開会式に参加し、言葉を述べているが、毎回以下の文言が挿入されている。

「国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」

誰かが街頭で叫んでもおかしくないセリフではある。だがその意味合いはまったく違う。「国権の最高機関」である国会に対し、その議場で、赤い絨毯が敷かれた最上段から、「使命を十分に果たし、国民の信託に応えよ」と述べる。こんなこと、いったい誰ができるというのか。戦前のまま、主権者の代表たちが集まる国会の上に天皇を「戴き」続け、何が民主主義だ。2015年以降、そのことに異議申し立てする政党がなくなった。

また、「西暦だけでは不便」「元号も入れてほしい」といった読者の声に応えるとして、2017年4月1日以降、『しんぶん赤旗』の日付は「元号」併記に変更された。そして今年のリーフ。

議会内で反天皇制を掲げる野党は皆無。そういうなかで選挙は繰り返されてきた。そしてもうすぐ参院選。せめて憲法三原則「基本的人権の尊重・主権在民・平和主義」を原則とする候補者を探すしかない。この三原則を重んじるならば、いずれ天皇制も戦争もなくなる。とはいえ、この原則が大いに軽んじられている社会である。まだまだか…。

結局のところ「反天!反戦!」の声を上げ続けるしかないのだ。声を上げられない社会が到来する前に、だな。(橙)

*タイトルを「また選挙だ…の巻」から変更しました

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