ユーゴ空爆の背景 利権と歴史と謀略と侵略とメディアの嘘と(34)

ユーゴ戦争:報道批判特集

ユーゴの次はロシア分解で狙うカスピ海底油田

1999.7.9 WEB雑誌『憎まれ愚痴』29号掲載

1999.7.14.mail再録。

 本日、1999.7.14.夕刻、日頃からわが手製個人新聞類との無料「交換献呈」の関係にあるタブロイド版の月刊紙、『人民新聞』(1995.5.15)が届きました。このところ当方がWeb週刊誌『憎まれ愚痴』の定期発行に追われ、印刷物発信の方は少ないので、先方の郵送料倹約のためか、次の6.15号と同封されてきたので、1カ月遅れの入手となっています。

 5.15号の記事、「われわれは今、邪悪の道を歩んでいる……アミン、NATO軍のユーゴ空爆を告発」によると、先にも簡単にmailしたエジプトの経済学者、サミール・アミンの(1931~)の最新論文、「混沌の世界」「進歩的で民主的な国際的秩序のために」を収めたパンフレット、『渡辺政治経済研究所学習資料』(B4判28頁。販価700円。郵送料140円)が完成しています。

 上記のパンフレットは、下記へ申し込めば郵送してくれます。私自身は、本日、上記の記事を読むなり直ちに電話で、振込用紙を添えて20冊送るように頼みました。これも別途mailした7.17のユーゴ問題の集会等で普及する予定です。

人民新聞社:
住所:552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL: 06-6572-9440 FAX: 06-6572-9441
E-mail: people@x.age.ne.jp
振替口座: 00950-4-88555

 上記の『人民新聞』(1995.1.15)の紹介記事によると、アミンは、ユーゴがNATOの「分解」の対象として狙われた理由は、「市場経済の世界化」に消極的だからと論じているようです。さらに、ユーゴの次の「分解」目標として狙われているのはロシアだと予測しており、その理由についての説明は、次のように要約されています。

「(ロシア共和国連邦の)加盟国の一つアゼルバイジャン共和国は豊富な石油資源を持っており、これに今西側の投資が集中しています。この輸送手段としてチェチェン自治区を通って黒海へパイプラインを通すのが西側にとって有利なので、チェチェンのロシアからの分離独立を西側が尻押ししてます」

 この説は実は、私自身が、すでに5半年前に拙著『国際利権を狙うPKO』(緑風出版)を出した時から、折にふれて、ユーゴ関係者に提供していた経済情報の数々と一致します。上記の拙著で私は、「ひしめく国際ゼネコン開発計画」の章を設け、軍事的にはアメリカの大失敗に終わったソマリア出兵についても、「なぜ『石油は?』と疑って調べ、本音を問わないのか」と指摘しました。実は、日本の企業「日石共鉱」までが、「ソマリア鉱区」の権益を獲得したことが、『日経産業新聞』(1993.1.1)で報道されていたのです。

 しかも、その時すでに、現在の「分解」への道程が予測されていたのです。上記の拙著の「アメリカ国務省は『国土分割』を予測」の章では、「アメリカ国務省主任地理学者」による21世紀における国境線の変化の予測研究を報じた『ロサンゼルス・タイムズ』(1992.8.25)記事、題して「外側の境界?」(The Outer Limits?)、世界中の「分解」予測地図入り4頁特集の存在と、その記事の入手経過を記しました。

 このアメリカの国務省筋による「分解」の予測作業は、これも拙著『湾岸報道に偽りあり』の「はしがき」(p.1)の次の部分の作業と、同時並行で進んでいたのでした。

「湾岸戦争の余震は今も続いている。今春[1992]早々、ニューヨーク・タイムズは2度にわたり、アメリカ国防総省(通称ペンタゴン)作成の内部文書をスクープ報道した。2月17日には『今後10年に7つの地域戦争を想定した作戦計画』、続いて3月8日には『アメリカの第1の戦略目標は、新たなライバルがふたたび台頭するのを阻止することである』という趣旨の『国防計画指針』である。これらの計画は、アメリカが世界中の『地域紛争』に国連を飛び越えて介入する方針を露骨に示したものとして、日本の大手メディアでも報道され、世界的な反響を呼んでいる」

 ユーゴ問題は、この時期にすでに始まっていた「地域紛争」の最大のものだったのです。しかし、このような近未来予測作業をするアメリカの国務省や国防総省の背後には、当然、世界最大規模の財界、それも今やアメリカの財界というよりはアメリカを最大拠点とする超巨大多国籍企業が控えています。常に「経済が土台」なのです。

 その後にも、上記のアゼルバイジャン共和国が広い海岸線を有するカスピ海の海底油田の埋蔵量の推定や、パイプライン設置についての各国の思惑などについて、説明地図入りの経済紙誌報道が続いています。

 この種の情報は、経済紙誌を丹念に見てさえいれば、かなり前から明々白々だったのですが、おそらく戦前からの蔑称、「エセ紳士」こと朝日新聞とか、「マヤカシ」こと毎日新聞とか、薄味プロパガンダ専門の政党機関紙とかしか読まない日本の自称平和主義者たちには、なかなか通じないのです。

 しかも、こうした経済紙誌は、高い料金を払って宅配の定期購読をする必要すらなく、ほとんどの主要公共図書館に行けば、閲覧し、コピ-ができるのですから、およそ、国際政治を論じて原稿料を稼ぐ商売人ならば、知らぬ存ぜぬで済むわけはないのです。

 私は、貧乏暇無しだけが唯一の自慢ですが、上記の拙著執筆当時には、十種ほどの経済紙誌の必要記事を、図書館で1週間に半日を費やすだけで、全部見て、重要記事をコピーし、自宅でファイルを作り、各頁にインデックスを貼って、すぐに参照できるようにしていました。

 これぐらいの労力を費やしもしない怠け者の自称平和主義者たちが、私の粒々辛苦の「シオニスト『ガス室』謀略」説に対して、拙著を読みもせずに歯向かってくるのですから、これは「せせら笑う」にも値しません。あれで「臍が茶を沸かす」ようだと、燃料費も時間も倹約できて助かるのになあ、本当に役立たずの連中だなあ、と、ついつい、ボヤキたくなってしまうのです。

 といったわけで、またまた「憎まれ口」を叩いてしまいましたが、とりあえず、G8とやらの皆様に、第3世界、エジプト発の情勢分析への手掛りを、お届けします。怠け者の自称平和主義者の皆様、特に「ガス室」妄想患者の皆様には、その豊かな空想力を発揮して、せめて、「臍が茶を沸かす」方法を、ご検討下さるよう、伏してお願い申し上げます。呵々。

 なお、上記の『人民新聞』(1995.5.15)の1面記事は、わがホームページからの転載、「ラチャクの死者はほんとうに虐殺されたのか」(クリストフ・シャトレ記者・訳:萩谷良(翻訳業)『ル・モンド』(1999.1.21)でした。ただし、わがホームページ紹介の項でのURLでは、記号のチルダ(~)の部分が、%7Eと化けていました。惜しいことに、サイバー空間で迷子になっている人がいるかもしれませんね。私の道具でも、やはり、記号の一部が化けるのですが、これもCIAの謀略なのでしょうか?

 以上。


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