ユーゴ空爆の背景 利権と歴史と謀略と侵略と(32)

ユーゴ戦争:報道批判特集

アメリカ下院国際関係委員会で極秘メモ暴露

1999.7.9 WEB雑誌『憎まれ愚痴』28号掲載

1999.7.8.mail再録・増補。

『日本経済新聞』(1999.7.5)で、『宝石』(1999.8.最終感謝号)の広告を見ました。左側に一番大きなスペースで、パソコン検索データの駆使で先駆けた広瀬隆の「いま“民衆の敵”となれ」が紹介されていて、副題は「コソボ紛争・環境問題・マスコミ・軍需産業・経済危機・原発問題」「2000年に向かって『真実』を見つめる勇気を」とあります。

 何だか盛り沢山だなと思いつつも、一応、広告を切抜いておいたら、翌日の6日、留守の間に、民衆のメディア連絡会の仲間(氏名は次に追記)の伝言が録音されていて、上記の記事のコピーが入ったファックス通信の紙が長く垂れていました。有り難いことです。

(以下、追記)

 送り主は、つい最近、四国から上京し、目下、アジア記者クラブの運営委員をヴォランティアしたり、ユーゴ問題などの市民集会の熱心な定連となっている追谷信介さん。自前のパソコンはまだ持っていないのですが、新宿周辺のインタ-ネット喫茶店で、わがホームページを見てくれています。この記事のmail発信以後に、またファックス受け取り確認の電話があったので、協力者として氏名を記す了解を得ました。

 ファックスの内容は、まさに、「さもありなん」と言ったところですが、これまたやはり、「読売新聞だけが報道した」事実のようなので、ユーゴ問題に関する「国際ザル報道」の典型の一つとして紹介します。

 『宝石』の広瀬隆さんの記事の方では、「いかなる軍事問題にも、巨大な利権がある」としながら、つぎのように記しています。


 コソボ紛争の本質も、まったく同じものだ。平和解決を世界中が求めている最中、アメリカのオルブライト国務長官宛ての極秘メモが、タルボット国務副長官から出されていたことがアメリカで露見した。

 驚くまいことか、「アナン国連事務総長が和平仲介に乗り出すのを阻止する」と書かれていたという。この事実は、アメリカの議会で議員によって暴露され、日本では5月15日の読売新聞だけが報道した。


 ファックス通信には、上記の「5月15日の読売新聞」記事も添えられていました。これは短いので、全文を紹介します。


国務省「露や国連の仲介阻止」

(縦3段。黒地紋に白抜きゴシック文字)

米下院で極秘メモ暴露

(縦3段。明朝文字)

【ワシントン13日=林路郎】コソボ紛争の政治解決の主導権維持のための基本目標を記しだオルブライト米国務長官あての極秘メモが13日、下院国際関係委員会で暴露され国務省高官が激怒する一幕があった。

 このメモは、コソボ和平をめぐり精力的に対ロシア外交を展開しているタルボット国務副長官が起案したもので、共和党のクリストファー・スミス議員が議場で読み上げた。

 それによると、副長官は

(1) ミロシェビッチ・ユーゴ大統領に取引の手掛かりを与えぬよう、チェルノムイルジン大統領特使らロシア要人のユーゴ訪問は阻止する

(2) 同盟国など(の指導者)がロシアを訪問する際は事前に十分協議する

(3) アナン国連事務総長が非生産的な和平仲介に乗り出すのを阻止する

(4) 国連安全保障理事会でロシアが空爆停止や対話開始につながる決議を上程する事態を阻止する

 との4方針を長官に進言したという。

 スミス議員は、ロシアや国連の仲介を極力避ける方針を掲げながら、ロシアと協議を続けるやり方を「クリントン政権の言行不一致」と批判した。

 証人として出席していたピカリング国務次官は、「そんなメモは見たことがない」と反論したが、度重なるスミス議員の政権批判に業を煮やしたのか、最後には怒りもあらわにした口調で、「ロシアとの交渉は、ユーゴにのませる条件への同意をロシアから取り付けるためだ。それがかなうまでは、中途半端な仲介は見たくもない」と、本音を吐露した。


 さてさて、ここまでして、国連(正しくは諸国家連合)と凋落大国ロシアを「こけにしよう」と図ったのに、「腐っても鯛」、元ワルシャワ条約機構の大親分、ロシア軍は、その裏をかいてか、NATO諸国軍に先駆けるコソボ進駐、プリシュティナ空港確保を果たしてしまったのでした。この経過についても、幾つかの記事が出ていますが、それらと、上記の情報を比較してみてください。

 なお、湾岸戦争後にも、アメリカ発の暴露情報は、かなりありましたが、今度は、いわゆる右の共和党が大統領の椅子を奪い返すべく、さらに多くの暴露をするでしょう。この私の予測を友人に電話で話したところ、「共和党から、ねえ」と溜め息が聞こえました。しかし、右でも、左でも、利権でも、腐敗でも、独裁よりは風通りが良い部分があるのです。ああ、どこまで漂流するのか、泥沼の人類史よ!

 以上。


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