鯨が増え過ぎて生態系を破壊する「反捕鯨」の大嘘(その11)

環境保護運動の育成は「新道徳武装」CIA謀略だった!

1日本政府が捕鯨再開で敗戦後56年の対米従属外交の壁を破れるか否か

2001.1

 わが『憎まれ愚痴』編集部、または私、木村愛二個人が、自称「嘘発見」名探偵の腕の見せ場どころか、事実関係ではすでに底割れ状態の捕鯨問題に、あえて総力を挙げて取り組む気になったのは、他でもない。当然、様々な思惑、魂胆があってのことである。

 もとより、私の意図が、単なる水産庁などの官庁、または官僚の後押しなどにあるはずはない。すでに、この問題に関する状況について、「挙国一致」などと古めかしい言葉を使ったが、これにも若干どころか、かなりの皮肉を籠めている。分かりやすい軍事用語で言えば、私は、彼らが戦列を乱さぬように、前後左右上下から監督するインターネット督戦部隊の指揮官を、勝手に買って出たのである。迷惑などとは言わさぬぞ、各々方!

外務省・通産省・農水省水産庁の各省庁が珍しくも一体?

「盥回し」は行政の習性である。捕鯨問題でも基本的な状況は変わらない。しかし、「食い物の恨みは恐ろしい」のである。日本人なら当然の不満の鬱積、特に「マイワシとサンマ、それらを餌とする肉食魚、マグロの高値」が決定的である。これで少しは面白い状況になってきた。尻に火が付いた状況ゆえか、日本の官庁にしては珍しくも、一体となって、商業捕鯨再開に、邁進しようとする機運が見られるのである。

 外務省の担当の漁業室などに確かめたところ、捕鯨問題には日本国内で、農水省、通産省、外務省が関わっているが、あえて主管官庁はと問えば、農水省の中でも独立の庁の資格を持つ水産庁であると言う。外務省は、対外的な窓口でしかない。

 昨年の春、私は、持病の杉花粉アレルギーが高じ、行政=産業の公害なりと怒り心頭に発し、わがホームページで優に単行本1冊になるほどの連載記事を発表した。その際、科学技術庁を主管とする関係官庁、厚生省、農水省の林野庁、東京都などへの直撃電話取材、インターネット検索を行ったが、杉花粉問題では、どの官庁も腰が引けていた。責任の押し付け合いというよりも、不様な逃げ腰の競争であった。杉花粉アレルギー患者、特にその重傷の患者は、何と言っても少数派なのである。

 ところが、今度は、鯨が食いたいだけの多数派ではない。マイワシ、サンマ、マグロまでが鯨の増え過ぎで不漁続きとなれば、多数派どころか、どこにでもいる一部の無為徒食の思考錯乱分子を勘定外としすれば、完全な全日本の、絶対的な、ゆるぎなき団結は、今や史上稀に見る必至の状況なのである。チャ、チャ、チャ、チャ、チャ、チャ、チャ、飢えた! 飢えた! 聳ゆる富士山よ、オー、オー、日本!

わが様々な思惑の一端と督戦部隊の必要性を事前公開

 もちろん、私は、秘密警察型の支配は大嫌いなので、思惑と同時に、危惧すべき点、督戦部隊の必要性などについては、事前に天下に明らかにしつつ、ことに臨む。

 今回は、その第1として、下記の「水産庁長官・中須勇雄氏」の提灯記事の全文を、スキャナー読み込みで誤字だらけの校正の苦労までして紹介しつつ、問題点を指摘する

 いかに水産庁、通産省、外務省が、日本の官庁にしては珍しくも一体となって商業捕鯨再開に邁進しようとも、敗戦後56年にわたる対米従属外交の壁を破り得るか否かはについていは、疑問なしとしないのである。

 相手の「カンター代表」の正体とアメリカ式の日本の高官ひねりの手口については、すでに本シリーズ(その8)で紹介した。折りしも、外務省に関しては、「大臣官房の元要人外国訪問支援室長(55)が首相外遊などの際に支給される『外交機密費』の一部を流用していた疑惑」(『日本経済新聞』2001.1.24)が表面化した。これが氷山の一角でしかないとすれば、彼らに際どい交渉を任せるのは危険ですらある。この人、大丈夫かな?

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『日本経済新聞』(2000.10.10)

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日米クジラ論争/着地点探る

「日本の文化」粘り強く説得

水産庁長官・中須勇雄氏

 水産庁の中須勇雄長官(56)が、日本の調査捕鯨拡大に対して経済制裁の発動をちらつかせている米政府とどう渡り合うか、戦略を練っている。1998年7月に長官に就任して以来、日韓、日中の新漁業協定をまとめるなど、対外交渉で実績を残してきたが、クジラ論争は感情的になるとこじれかねない問題だけに、失敗すると日本の商業捕鯨の再開に暗雲が広がることになる。

 日本は北西太平洋の調査捕鯨の対象として、従来のミンククジラに、今年からニタリクジラとマッコウクジラの2種を追加した。これに大統領選を控えて環境重視をアピールしたい米政府が敏感に反応。米国の200カイリ経済水域内で日本の漁業を禁止した。日本製品の輸入制限といった制裁も検討している。

 長官はいまのところ、米国が振り上けこぶしをどうふりおろのか読み切れずにいる。だが、クジラ2種の捕獲をやめることが制裁回避の条件という米国の言い分には一歩も引かない構えだ。科学データを収集するための調査捕鯨の意義を強調するとともに、「野生生物の中でクジラだけを例外扱いすることの根拠は乏しい」と言い切る。

 農林水産省内では、熊沢英昭農林水産審議官、高木賢食糧庁長官と同じ1967年入省組。日韓、日中の新漁業協定では相手国の漁業の立場に配慮しながら交渉をまとめた実績を持つ。来年の通常国会に向け、水産行政を根本から見直す水産基本法案の提出も計画している。かつて部下だった農水省のある幹部は「中須さんは常に目線の高さを相手に合わせて交渉する人。上司や部下の信頼が厚い」という。

 捕鯨問題では歴代の水産庁長官が訴えてきた主張を引き継ぎ、「クジラを絶滅させて良いわけはないが、日本の文化に理解を示してほしい」と、粘り強く米国の説得を続ける考えだ。(武)

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(その12) ノルウェ-は米など恐れず鯨を輸出、日本は買うのも恐れる腰抜けか
「反捕鯨」の大嘘の目次
『憎まれ愚痴』62号の目次