【ワオ・コーポレーション裁判の記録-Ⅱ】 Seeking justice: The record of truth.会社の答弁書への反論「第9準備書面」を大阪高等裁判所へ提出
2026.05.20「第9準備書面」を大阪高等裁判所へ提出しました。被控訴人の反論に対して9ページに及ぶ反論をしました。
内容は随時更新します
第1 はじめに
被控訴人は,控訴理由書に対する認否において,その大半の部分について,控訴人の「思い込み」であるとか,「独自の見解にすぎない」等として,具体的な反論をしていないことを指摘する。・・・
被控訴人(会社)は,令和7年(ネ)第47号の,審理不尽による差し戻し判決の重みを理解していないと言わざるを得ません。今回の控訴答弁書でも,控訴人を排除した合理的な理由(なぜ他の7人は雇って控訴人だけ拒否したのか,代表者発言との整合性は何か)を何一つ説明できず,抽象的な反論に終始しています。これこそが,被控訴人に正当な理由が何もないことの現れであり、この点を第9準備書面において強く指摘し、5月21日口頭弁論を経て結審を迎えました。
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(3) 継続雇用された者は3つに類型化される。
すなわち、ア.教材開発部署に所属して継続雇用される(た)者、イ.教材開発部署に所属していなくて継続雇用される(た)者、ウ.教材開発部署に所属しているが、教材作成以外の業務を担当し、継続雇用される(た)者、である。
「ア.教材開発部署に所属して継続雇用される(た)者」は、①②の2名である。
「イ.教材開発部署に所属していなくて継続雇用される(た)者」は、③④⑤⑥⑦⑧の 6名である。
「ウ.教材開発部署に所属しているが、教材作成以外の業務を担当し、継続雇用される(た)者」は、⑨の1名である。
控訴人は. 教材開発部署に所属し、教材作成以外の業務を担当していた。上記類型の「ウ.教材開発部署に所属しているが、教材作成以外の業務を担当し、継続雇用される(た)者」に該当するが,上記⑨と平等に継続雇用されなければならない。また、被控訴人が不知とする「イ.教材開発部署に所属していなくて継続雇用される(た)者」が6名存在することの整合性が取れない。
被控訴人がどれだけ「期待権はない」と主張しても、「実際に65歳以上で働いている者がいる」という類型(ア・イ・ウ)の具体的事実で、被控訴人の論理が破綻している。
上記、継続雇用をされた方々は勤務日数等、通常の正社員とは異なるので、継続雇用として働いているということは社内で周知の事実であった。従って、被控訴人が主張するような、単なる伝聞推定を記載したものではなく、正しい認識である。
被控訴人は他の従業員の所属や雇用形態について「不知」とするが、会社が自社の従業員の配属先や雇用継続の有無を把握していないはずがなく、このような主張は極めて不自然で失当である。控訴人の認識が正しいか分からないという形をとることで、事実関係をあやふやにしようとしている。これは、自社に不利益な事実を隠蔽しようとするもので、「不知」による争点化の回避であり、民事訴訟法上の誠実義務に反する。
控訴人が本件で主張しているのは、特定の個人のプライバシーを暴くことではなく、「会社の雇用慣行(実態)」という客観的な事実である。「個人情報」は拒絶の正当な理由にならない。他人の所属や年齢はプライバシーに当たるとして、類型化(ア・イ・ウ)の有効性を検討するための比較対象を法廷に出したくない、という意図だと窺えるが、これらを「個人情報」として一蹴することは、「個人情報」を盾にした情報遮断で裁判所の事実認定を妨げる立証妨害に等しい。
被控訴人は「請求原因(期待権)との関係が不明」とするが、「誰がどこに所属していようが、控訴人の契約終了の正当性とは関係がない」と主張することで、代表者の発言や他者の実例を、本件の判断基準から外そうとして「請求原因との関係不明」による無価値化をしているが、以下の通り直接的に関連する。
1.被控訴人代表者が「70歳まで」と述べた発言が、単なるリップサービスではなく、実際に「ア・イ・ウ」の類型で運用されているので、控訴人が抱いた継続雇用の期待には客観的かつ合理的な理由が認められる。
2.控訴人と類似の状況にある他の社員が雇用継続されている一方で、控訴人のみが排除された事実から、それは選別基準が恣意的であり,継続雇用に対する期待権の侵害であることは明らかである。
(4) 被控訴人は,控訴人の主張について「間違えた内容を含んでおり」とするが,どの部分がどのように間違っているのか明らかにされたい(求釈明)。
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第3 終わりに
控訴人の心情に基づく,とりまとめ主張を行う。
被控訴人は「自ら退職届を提出した」「控訴人が無理な要求をしたから和解できなかった」「WEBサイトに書かれたから和解できない」と主張するが,これは裁判の争点とは一切関係ないとする主張は責任転嫁と本質からの逃避である。
1 労働者の正当な権利行使
そもそも退職届の提出は,被控訴人が「65歳以降の継続雇用を拒否する」という違法・不当な意思表示を行ったために,失業保険を得るために,労働者としてやむを得ず形式上の手続きを踏まざるを得なかったものに過ぎない(訴状5ページ(3)参照)。これを「自発的な退職」とすり替える論理は破綻している。
ハローワークへの「会社都合」申請の要求は控訴人の友人である,岡山県本部所属の貝谷氏が退職時,被控訴人から「会社都合」にしましょうかという実例に即したものであり(第1準備書面 3ページ(7)参照),いわば,慣例に準じたものある。そして,有給休暇の権利主張は,労働者として当然の正当な権利行使である。
組合WEBページへの掲載(乙8)に関しては,確定していない裁判であっても,労働組合がその経過を広く社会や組合員に公表することは,憲法28条が保障する正当な組合活動(知る権利・表現の自由)である。これをもって「和解が不可能」と言い訳することは,控訴人の組合活動を理由としたさらなる不利益取扱い(不当労働行為の継続)であり,到底許されない。
2 和解協議で拒否したのは被控訴人である
和解協議の過程で被告は労働組合への報告すら禁止する「極めて厳しい守秘義務」を要求した。控訴人が破れば「解決金全額返還」というペナルティを課す一方,被控訴人側の守秘義務やペナルティは理由なく拒否した。被控訴人の,「被控訴人が守秘義務を破ることはない」という根拠なき主張は,これまでの準備書面における「不知」「独自の見解」との主張と方向性を同じくしており,被控訴人は対話やギャップを埋める姿勢が欠如し,一方的な提案に終始した。
尚,被控訴人が提示した「所属労働組合を含む第三者への開示禁止」は,控訴人の本人尋問でも述べたとおり,分会長である控訴人から組合活動の根幹である団交や報告義務を奪うもので,過度な守秘義務による「労働組合法(不当労働行為)」の形骸化である。そして,控訴人が違反した場合のみ「解決金全額返還」というペナルティを課す一方,被控訴人側の守秘義務や違反時のペナルティは拒否する姿勢は,あからさまな「不平等条約」であり,和解を決裂させた控訴人の判断は極めて合理的である。
これらの,過度な口封じと不平等な条件の押し付けに対して,控訴人は「会社に非がないなら守秘は不要。憲法の表現の自由にも反する」と考え,和解の席上で反論した。高度な守秘義務を飲むなら「解決金上乗せ」,通常の守秘義務なら「増額なし」という2つの現実的な妥協案を示した。最終的に「解決金は一切不要なので,通常の守秘義務(組合への報告容認)で和解する」という究極の譲歩を提案したが,被控訴人が拒否したため決裂に至った。
控訴人が「ジャスティス(正義)」のために,解決金をゼロにしてでも通常の守秘義務での解決を提案したにもかかわらず,被控訴人はこれを拒否した被控訴人のこの態度は,被控訴人が「金銭の損得」ではなく,「自らの不当労働行為や差別を社会や労働組合に一切口外させない口封じ」を最優先にしている証左といえる。
これを「法外な要求」と決めつけ,さも控訴人側に非があるように描く態度は,労働法軽視の姿勢そのものであり,和解決裂の真因は被控訴人の不誠実さから生じたのである。
3 被控訴人の態度から控訴人主張の事実を的確に争っていないこと
被控訴人は,控訴答弁書でも,控訴人が強く主張している「大阪本社で過去7人の対象者が全員継続雇用されており,控訴人だけが排除された,差別的取扱い」という決定的な事実に対して,被控訴人側が一切具体的な認否をしていない。
民事裁判において,相手方の具体的な主張に対して反論(否認)をしないことは,法律上「その事実を認めた(自白した)」とみなされる。なぜ控訴人が継続雇用されずに排除されたのか,他の7人との「客観的・合理的な違い」を何一つ説明できていない以上,被控訴人側の継続雇用拒否は「裁量権の濫用」であり「不当労働行為」であることが,この答弁書によってむしろ浮き彫りになった。
4 「代表者の発言」は事実認定済みであること
原判決は,令和4年7月28日のミーティングにおいて,被控訴人代表者が,「教材作成は70歳までOKと考えていつ 頭ボケなければ」と「解することのできる発言をしたものと認めることができる。」との認定をしている(原判決9頁24行目~10頁5行目)。
被控訴人は「そんな発言があったかどうかさえハッキリしない」と,極めて不誠実な一文で片付けようとしているが,発言があった事実は,上記のとおり,既に認定されており,被控訴人の主張は,「発言した事実を否定できていない(否認すらできない)」ことを自白したに等しいものである。
WEB会議という公式な部署の集まりにおいて,会社代表者である西澤代表自身が「教材作成は,70歳までOKと考えてい」ると解することのできる発言のあった事実は消えない。人事担当者の世間話とは異なり,代表取締役の発言は会社の意思決定そのものである。これを信じて定年後も働き続けられると考えた控訴人に,継続雇用についての法的な期待権が生じることは明らかである。
5 人事権がない者の雇止め通告は無効
被控訴人は,団体交渉に出席していた被控訴人担当者森氏は,被控訴人代表者から団体交渉を任されていたし,そもそも法的な請求原因となっていない旨主張をしている。被控訴人は,原審は判断を示す必要がないとするが,人事権がない者が行った「継続雇用を行わない」という通告は,会社としての正当な意思決定を経ていない「無権限の専断行為」であり,無効で控訴人に対して法的な雇止めの効果を発生させない。会社自らが定めた「職務上の権限を超えて専断的なことを行ってはならない」という就業規則第五条(12)違反の服務規律にその職員自身が違反している。実際,本社勤務者,現場勤務者共に,このような人事権はない。被控訴人は「代表者が認めれば,誰がどんな越権行為をしても就業規則違反にならない」と主張しているに等しく,これは自社の就業規則を自ら否定する暴論である。
実際,「異動時は新担当者へ権限移譲する」「兼任時は明記する」という会社独自の厳格な慣習・実績があるにもかかわらず,権限移譲の慣習(甲27-1,第3準備書面)を無視した通告である。過去に「役員であっても他部署へ異動した場合は権限移譲する」とわざわざ組合に通告していた実績がある以上,今回の5級職員の専断行為を代表者が「事後的に認めた(追認した)」,あるいは「その場で認めていた」とするのは,会社が自ら築いてきた労使間の厳格なルールや信頼関係を都合よく破るものである。
団体交渉の席に人事部長や役員(決定権者)が出席していながら,彼らは一切発言せず,無権限の異動済み職員に終始発言させて拒絶させたという事実は,実質的な「不誠実団交(団交拒否と同視されるもの)」にあたる。会社は労働者の一生を左右する継続雇用の成否という重大な問題を,誠実に協議する姿勢がカケラもなかったことから,不当労働行為(労働組合法第7条2号)が成立する。
6 最後に
被控訴人は,令和7年(ネ)第47号の,審理不尽による差し戻し判決の重みを全く理解していない。今回の控訴答弁書でも,控訴人を排除した合理的な理由(なぜ他の7人は雇って控訴人だけ拒否したのか,代表者発言との整合性は何か)を何一つ説明できず,ただの「和解できない言い訳」と「組合への愚痴」に終始している。これこそが,被控訴人に正当な理由が何もないことの動かぬ証拠である。
原審の不当な判断を正し,高裁において厳正な判決を求める。
なお,裁判所において,和解のお勧めをいただけるのであれば,控訴人としては,これに応じる準備がある旨申し添える。
以上


