【‛25緑陰図書─私のおすすめ】「個人の自律」を侵すテクノ封建制=内田聖子(アジア太平洋資料センターPARC共同代表)<br /><br />

20 hours 20 minutes ago
 インターネットは資本主義のあり様を根本から変え、破壊的で搾取的なシステムを作り上げた。これは進歩なのか? ギリシャ生まれの「異端の経済学者」ヤニス・ バルファキス『テクノ封建制─デジタル空間の領主たちが私たち農奴を支配するとんでもなく醜くて、不公平な経済の話。』 (関美和訳 集英社)は、 若き日に父と交わした会話に応える形で、資本主義の醜悪な変容の本質を解題していく。 ブレトンウッズ体制崩壊後、資本主義の権力は経済圏から金融圏へ、つまり工業や商業から投資銀行家の世界へと移行..
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【月刊マスコミ評・新聞】「選別と排除」足元から問い直せ=六光寺 弦

1 day 19 hours ago
 「日本人ファースト」を掲げて差別と分断をあおる参政党は、気に入らないメディアや記者を露骨に選別し排除する。7月22日の記者会見で、神奈川新聞の石橋学記者を排除した。事前登録がないことを理由にしていたが、2日後には主張を変えた。石橋記者が街頭演説の妨害に加担したと決めつけ、会見の混乱を防ぐ必要があったとした。 石橋記者は8月1日の会見は出席できたが、参政党の神谷宗幣代表は前回の排除への謝罪を拒否。その主張に虚偽があることを石橋記者が問い始めたところで、党スタッフが「1人1問」..
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出版社、半数が利益出ず 書店は2年後1万以下に 出版コンサルの能勢仁氏報告=橋詰雅博

2 days 20 hours ago
 『出版流通が歩んだ道 近代出版流通誕生150年の軌跡』(出版メディアパル社1月刊行)の3人共著者の一人、出版コンサルタントの能勢仁氏は、「当世出版界事情」を7月25日、日本出版学会産業研究部会で報告した。出版社増える 経営不振で苦境に立たされる書店について能勢氏は「書店は過去5年間で毎年5%廃業しており、2027年には1万店を切り、9千7、800になるでしょう。全体の売り上げも26年に1兆円を下回り、9680億と推測しています」と厳しい見通しを語った。ただ意外にも大小含め出..
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【おすすめ本】前川貴行『ボノボ 最後の類人猿 』―コンゴ川流域の熱帯雨林で 出会ったボノボの生態=土居 秀夫(元「アニマ」編集長)<br />

3 days 20 hours ago
 ボノボはチンパンジーに似ており、かつては動物学の世界でも、ピグミーチンパンジーと称されていたことがある。20世紀に新種として認知されたゆえに、「最後の類人猿」とされる。 しかし、チンパンジーとボノボの生態は真逆といっていい。個体や群れの間で攻撃的な行動を、しばしば見せるチンパンジーにくらべ、擬人的過ぎるかもしれないが、ボノボは融和とか寛容という表現がふさわしい動物であり、自分たちの間で激しい闘争を行うことはほとんどないという。 異性や同性の間で、交尾あるいはそれに近いしぐさ..
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【お知らせ】「生成AI問題と著作権」についての勉強会=出版ネッツ

4 days 20 hours ago
 近年、生成AIへの関心が高まっています。便利である反面、様々な危険性もあわせもつ生成AIについて、まずは基礎知識や、海外の動きなどを学ぼうと、勉強会を企画しました。 連続講座にしたいと考えており、第1回では、「生成AI問題と著作権」をテーマにします。 クリエイターの皆様のご参加をお待ちしております。日時:9月4日(木) 19時~21時開催方法:オンライン(Zoom)のみ料金:1,000円(Peatixで申し込み=https://x.gd/lxy4x)※出版ネッツ組合員は無料..
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【おすすめ本】 飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか 知られざる戦後書店抗争史』―10年スパンで遭遇する 出版界のビッグイシュー=池田 隆(元出版取次店 勤務)

5 days 20 hours ago
 読み終えて脳裏に浮かんだのは、1990年代の出版業界が好景気で浮かれ、遅れたバブルを謳歌していると揶揄されていた頃だ。採算など無視の新規出店が毎月30店以上、その陰でつぶれる本屋も毎月30店を超え、配本先書店一覧表の書き換えに追われていた。 特に評者が出版業界の分岐点となったと思われるのは、1970年代「ブック戦争」、1990年 代の「須坂構想」、20 00年代の「Amazonの日本進出」である。 「ブック戦争」とはこうだ。日本書店商業組合連合会(日書連)は、自ら 実施し..
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【出版トピック】“差別的な内容”と抗議を受け、「週刊新潮」コラム<変見自在>終了

6 days 20 hours ago
 「週刊新潮」7月31日号で、元産経新聞記者・高山正之氏が連載執筆のコラム<変見自在>において、人権侵害や外国人への差別的な一文を掲載した。「創氏改名2.0」と大見出しを付け、外国にルーツがある作家などの名前をあげ、「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」などと書いた。 その中で名前をあげられた一人、作家の深沢潮さんは差別的な内容だとして、新潮社に文書での謝罪を求めていた。新潮社は8月4日、公式サイトで「厳しいご批判を受ける事態になった」とのお詫びを..
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【JCJオンライン講演】民主主義のためのSNS講座 講師:井上 伸さん(国交労連本部書記)9月11日(木)19時30分から21時30分

1 week ago
■開催趣旨SNSは、私たちの日常に深く浸透し、情報の受発信に不可欠なツールとなりました。しかしその一方で、社会の分断を煽り、特定の意見を攻撃するヘイトスピーチやフェイクニュースの温床となっていることも、否定できない事実です。まさに「分断して統治せよ」――。権力者にとって、私たち市民が互いに疑心暗鬼になり、連帯を失うことほど好都合なことはありません。SNSは、そのための強力な「分断のツール」として利用されかねない危険性をはらんでいます。 では、私たちはこの現状をただ嘆き、SNS..
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【25緑陰図書―私のおすすめ】 あるジャーナリストの重い覚悟=中川七海(報道機関Tansa リポーター)

1 week 1 day ago
  私が所属する報道機関Tansaがニューヨークタイムスの取材を受けた際、林典子さんが、カ メ ラマンとして、同道してきた。 後日、記事に載った写真に引き込まれた。Tansa編集長が、街路樹の下で立っている。報道機関の紹介だからといって、その作業風景に拘泥しない。独立メディアを立ち上げた編集長の眼差しが、一見孤独にも、希 望に溢れているかにも見える一枚だった。 一記事の添え物ではなく独立した作品だ。「撮 りたいものがある人だ」と感じた。ジャーナリストとしてTansaに触れた結..
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【寄稿】=まさかの非常事態戒厳 そのとき新聞は 韓国・光州からの報告 号外「軍が来る前に」光州日報 必死の覚悟で決行=桜井 泉(元朝日新聞記者)

1 week 2 days ago
5・18光州の虐殺国見の多くが想起 安定した民主主義国家だと思われていた韓国で昨年12月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(当時)が非常戒厳を宣布、ヘリコプターまで動員して国会に精鋭部隊を突入させた。            「戒厳軍の恐ろしさは皆わかっている」          号外を手にする崔権一・編集局長(光州市、桜井泉撮影) 尹氏は4月に罷免され、6月3日、進歩系の李在明(イ・ジェミョン)氏が新大統領に当選した。昨年の戒厳宣布では、多くの国民が1980年の光州の虐殺を思..
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【オピニオン】被爆80年の「今」とあるべき姿 「ヒロシマの思想」かたちあるものに=難波健治(広島支部)

1 week 3 days ago
 被爆80年を迎えた被爆地ヒロシマの「いま」と、そのあるべき姿とは?「平和記念式典」を前に、改めて平岡敬・元広島市長(1991~99年)の問題提起をもとに考えてみたい。 15年前の2010年、元広島市長・平岡敬さんへのインタビューで構成した「平岡敬とヒロシマの思想」が、広島在住のウエブジャーナリスト哲野イサクさんのサイト『哲野イサクの地方見聞録』に掲載された。 市長在任中に被爆50年の節目を迎えた平岡さんは、著書『希望のヒロシマ』(岩波新書1996年)で、「『被爆50周年』は..
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【おすすめ本】小林 篤『see you again』─「いじめ自殺事件」の深層と真実を追う執念の凄さ!=守屋龍一(JCJ出版部会)

1 week 4 days ago
 本書は「いじめ自殺事件」を扱った924頁に及ぶ大巨編である。事件は1994年11月27日、愛知県西尾市立東部中学校2年生の上之郷清人くんが、自宅の柿の木にロープをかけて命を絶ったことから始まる。 ルポライターの著者は、彼の遺書の内容や末尾に記された<see you again>に奇妙な違和感を覚え、その真相を探るべく謎解きの踏査行を始めた。 取材を進めるにつれ、凄惨ないじめの実態が浮かび上がってくる。死の恐怖にさらされた暴行。100万円を超える恐喝。隠蔽する学校・口を閉ざす..
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【関西支部リポート】工事代金未払い多発 万博のパビリオン、泣く下請け=幸田 泉

1 week 6 days ago
  4月に開幕した大阪・関西万博=写真=で、海外パビリオンの建設を巡る悲劇が起こっている。建設工事代金を支払ってもらない下請け業者らが、倒産の危機、生活困窮状態にあるのだ。 工事代金の未払いは8館で判明。ネパール館はネパール政府が工事代金を支払わず、今年1月から工事が中断していたが、ネパール政府が金を払ったことで6月に工事が再開した。その他7館は未払い問題を抱えたままオープンしている。アンゴラは三次下請け会社が金を持ち逃げ、アメリカは二次下請け会社が倒産、中国、マルタ、ルーマ..
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【フォトアングル番外編】原爆被災者の立体造形「ひかり」に衝撃受ける=8月11日、東京都台東区、伊東良平撮影

2 weeks ago
 東京・上野の東京都美術館で「核兵器も戦争もない世界を!」をテーマにした「第73回平和美術展」が8月6日から12日まで開催された。油彩・水彩・日本画・版画・立体造形などが展示された。美術家平和会議の主催で、1952年アメリカの第1回水爆実験の年から始まり今年で73回を数える。「すべてのいのちを大切に」「平和の壁に花一輪を」「日本を戦争する国にさせない」の3つを合言葉に、各自の平和への思いを油彩・水彩・日本画・版画・立体造形などの作品に込めて表現。またドイツに避難しているウクラ..
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【沖縄リポート】防衛局の地域分断に抗議の声明=浦島悦子

2 weeks 1 day ago
 辺野古新基地建設に向けた海底の地盤改良工事が強行されている大浦湾沿岸地域=名護市二見以北10区の住民らは7月8日、「沖縄防衛局による地域分断に抗議し撤回を求める声明―二見以北10区コミュニティ基金について」を記者発表(賛同者117人)し、伊藤晋哉・沖縄防衛局長及び中谷元・防衛大臣に送付した。 二見以北10区は辺野古に隣接し、1997年に新基地計画が浮上して以来、各区で反対決議を上げ、地域一丸となって建設に反対してきた=写真=。一方で、進行する過疎化・高齢化に悩む地域でもある..
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【フォトアングル番外編】「戦争の加害展」見た=8月10日、横浜市、伊東良平撮影<br />

2 weeks 2 days ago
  横浜のかながわ県民センターで、日本が戦前から戦中にアジアの国々で行った様々な加害の実態を伝えた「戦争の加害パネル展」が8月8日から15日まで開催された。主催は市民団体「記憶の継承を進める神奈川の会」で、2016年から毎年実施され今回10回目となる。従軍慰安婦、南京大虐殺、731部隊、毒ガス兵器、満州移住、強制連行などに関する約210枚のパネルは、当時の写真や被害者の証言などを紹介していた。今年は戦後80年、日本が始めた戦争で何が行われたかを継承していく重要さを訴えた。
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【月刊マスコミ評・新聞】「極右」参政党から目が離せぬ=山田 明

2 weeks 3 days ago
 気候危機を実感させる連日の猛暑の下で、参院選が始まった。「日本は戦後80年の節目を迎え、世界はトランプ米政権による混迷の中にある。主権者たる国民が、これからの政治を選びとる重要な機会となる」(朝日7月3日社説)。 世界は強権的なトランプ関税と軍拡圧力に振り回されている。トランプ政権からの圧力により、NATOは2035年までに防衛費をGDP比5%に引き上げる目標に合意。米国はアジアの同盟国にも、NATOと同水準まで防衛費を引き上げるよう求めている。日本の防衛費をめぐる議論に影..
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【映画の鏡】記者の現地取材をリアル映像化『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』なぜこの戦争が続くのか=鈴木 賀津彦

2 weeks 4 days ago
                  Kawakami Yasunori 中東ジャーナリストの川上泰徳さんが監督を映画? 川上さんといえば朝日新聞の記者として長年中東の取材で活躍し、多くの著書を書いてきた人なので意外な感じたが、川上さんの取材そのものがドキュメンタリー映画に仕上げられ、一緒に取材者になった気持ちになって映像に引き付けられる。 川上さんは2024年夏、パレスチナとイスラエルに取材に入った。「23年10月7日以降に起こったハマスの越境攻撃と、それ..
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【Bookガイド】8月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)

2 weeks 4 days ago
 ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)◆伊藤俊治『昭和百年への鎮魂─江成常夫のレンズがとらえた戦争』集英社新書 8/8刊 1800円“戦争の昭和”を正確に撮影してきた写真家・江成常夫。彼はアジア・太平洋戦争の実相にカメラを向け続けてきた。沖縄戦の犠牲者が逃げ込んだ洞窟の痕跡、戦争花嫁、満洲に取り残された日本人戦争孤児、ヒロシマ・ナガサキの被爆者、戦火の傷跡を刻んだ遺骨や遺品……。数多くの写真を通して彼の仕事の本質を解明し、もう一つの戦後..
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Checked
1 hour 58 minutes ago
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