女性皇族から「ジェンダー平等」論……?

10月11日は国連が2011年に制定した国際ガールズ・デー。
よくわからない立派そうな決議文もある。以下だ。

「女子のエンパワーメントと投資は、経済成長、貧困、極度の貧困の撲滅を含む全てのミレニアム開発目標の達成に不可欠であり、また、女子に影響を与える意思決定への女子の有意義な参加は、差別と暴力の連鎖を断ち切り、完全かつ効果的な女子の人権の享受を促進、保護する上で重要であり、女子のエンパワーメントには、意思決定プロセスへの女子の積極的な参加と、両親、法定後見人、家族、ケア提供者、さらには男子や男性、より広いコミュニティの積極的な支援と関与が必要であると認識している」。

ガールズ・デーには、この趣旨にちなんだイベントがいろいろ行われているようだが、そのなかに「ガールズメッセ 2022」というのがあった。主催はガールスカウト日本連盟。活動に優劣があるらしく受賞される特別なガールズがいる。秋篠宮佳子がその授賞式で挨拶の言葉を述べた。ガールズ・デーにちなんだ催しについて目に入る記事はこの「ガールズメッセ 2022」のみで、皇室利用の効果は抜群ということか。

ところで、ガールスカウト日本連盟の歴史はそこそこ長い。その前身は日本女子補導団(!)で、東京第1組が1920年に誕生し、23年に日本女子補導団を設立。28年にガールズガイド・ガールスカウト世界連盟の創立会員となり、42年に日本女子補導団は解散。47年に日本ガールスカウト中央準備委員会ができ、戦後、49年に日本連盟として発足(by wikipedia)。その準備期間には文部省主催の「青少年指導者講習会」に参加したりしている。また、記念行事などには皇太子妃時代の美智子や紀宮など参加しており、皇室との関わりも浅くない。ようするに御用団体である。

国連「ガールズ・デー」の内実はよく知らないが、ガールスカウトとは親和性があるのだろうか。

この授賞式で佳子は以下のように述べた。
「ジェンダー平等が達成され、誰もがより幅広い人生の選択肢を持てるようになること、自らの可能性を最大限に生かす道を選べるようになること、そしてそれがあたりまえの社会になることを切に願います」。

世襲制と男系男子主義を法で定める天皇制が、日本社会のジェンダー不平等の「あたりまえ」を支えている。その中心にいる女性皇族から出た「ジェンダー平等」発言に関して、記事には何のコメントもない。世襲制と男系男子主義、最終的には天皇制廃止しか彼女の「切なる願い」はかなわないのだから、コメントのしようもないか。

それともこの発言の裏には、「皇室典範」見直しの動きがあるのか? あるいは彼女の脱出劇か? いずれにしろ、「ジェンダー平等」をジェンダー不平等の制度に取り込まれないようにせねば、ということだな。 (橙)

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