統一教会から、美智子が皇室を守った!?

世間では旧統一教会問題が喧しい。

戦後の日本国家・社会の基調をつくった反共イデオロギー。天皇制は、その中でしか生き残ることはできない。臣下を売ることで生きながらえた裕仁は、その後も一貫してアメリカに媚びを売り、東アジアの反共ブロックの維持形成に協力し続けた。そして冷戦崩壊を経て今、目の前で繰り広げられるロシアによるウクライナ侵攻。「岸信介」や「統一教会」、「国際勝共連合」等々、様々なキーワードで報じられる今回の問題は、そうした戦後日本の闇のほんのわずかな一端に過ぎないのだろう。安倍晋三の銃撃事件とやらも、背後には複雑な闇が広がっているのではないかと妄想(?)するが、それはここでは措こう。

いずれにしろ、天皇(制)と統一教会、繋がりがないわけなかろうと思っていたところに、こんな記事が出た。

タイトルは『上皇陛下と拒絶した——美智子さまへ「統一教会の魔手」』。『女性自身』9月20日号の記事だ。

「政治家との癒着が問題視される統一教会が皇室に接近していた。上皇ご夫妻が対峙された“昭和の暗部に迫る”」とリードでぶち上げるこの記事は、1971年1月8日に撮影されたとする写真を紹介。写真は、明仁、美智子が故秩父宮の妻勢津子とともに同日夜、都内で統一教会関連の舞踏団「リトル・エンジェルス」の東京公演を観覧したときのもので、岸信介や、当時、勝共連合の名誉会長を務め、“日本の黒幕”とも言われた元日本船舶振興協会会長の笹川良一らが一緒に写っているというのだ。

記事は案の定、明仁らと統一教会がいかに無関係かを、“ジャーナリスト”有田芳生や宮内庁関係者、「皇室担当記者」らを使って躍起になって強調。明仁らは岸の仲介で公演を観覧しただけで、美智子に教典の「原理講論」が手渡されたと教団内で語り伝えられているらしいが、「上皇ご夫妻や宮内庁は、リトル・エンジェルスがどういった団体なのか知らなかったはずです」「(霊感商法などが問題になった70年代半ば以降)皇室はいっさい教団関連団体と関わったことはありません」などと、有田らに語らせている。

だが、岸氏側の依頼がなければ「ご夫妻にはお断りになる理由はなかった」だの、教団への多額献金などの問題を、明仁、美智子や宮内庁が知っていたら「公演ご臨席は実現しなかった」といった「皇室担当記者」や宮内庁関係者の言葉があるだけで、明仁らが教団を拒絶したなどという事実は一切、示されていない。

なのに記事は最後をこう締める。

「半世紀も前に、日本の権力者を通じて皇室への浸食を図っていた統一教会。もし当時、美智子さまがその魔手をはねのけていらっしゃらなかったら……。そう想像すると慄然とせざるをえない」。

我田引水のひどさに「慄然とせざるをえない」のはこっちだ!!

(原理主義者)

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