❖ねぇ、私、この家を出たいと思うんだけど、どう思う?
◉お姉さま、今つきあっている人いないの?
❖いるけど今イチなのよねぇ。
◉いろんなバッシングとかパパラッチとかに耐えられそう?
❖それは大丈夫かな……?
◉じゃ、ソイツに動いてもらって、なんとかやってみよう。お金は持ってる?
❖うん、こないだお祖母さまにいただいたわ。記録に残らない3億円。
◉ならしばらくは大丈夫ね。じゃ、一騒ぎしてみましょうか!
◉ふぅ。あんがいあのうちの親子、頑張ったわねぇ。でもあんなにみみっちぃ額の話じゃ、しょうがないじゃんねぇ。で、NYの生活は楽しんでるの?
❖そ、おかげさまで楽しんでいるわよ。いつまでこの状態が続けられるかわかんないし、今のうちよ。それにどうも、次もダメっぽいのよぉ、弁護士ぃ。試験は苦手なのかしらね? さすがアメリカじゃ日本のように東大でコネが効くようなことはないからねぇ。そういや、どうしてる? あの子。
◉よくわかんないけど、あの子はさ、コピペ論文とか作るくらい厚顔無恥だから、うすら笑いを浮かべながら最後まで自分の意思を通すでしょ。お母様もマジで東大へねじ込むつもりかしらね?
❖今度、ヘンリーとメーガンにでも相談してみようかしら? 美術館のバイトもけっこう楽しかったけど、どうせまた浪人なら、次はカナダに行きたいって言ってみようかしら? あ、その前に一度東京へ帰ろうかしら?
◉それはやめた方がいいんじゃない? まったくお姉さまったら、いったいどうしたいのかしら? わけわかんないじゃないの。そろそろ私も次の準備しないとならないから、何か決めたら早く教えてね!
(麺)