ユーゴ戦争Racak(ラチャク)村「虐殺報道」検証

ユーゴ戦争:報道批判特集 コソボ Racak検証

(1999.5~9 WEB雑誌『憎まれ愚痴』連載)
2017.5.22「ユーゴ戦争:報道批判特集」から分離

22号:Racak検証(1):ユ-ゴ「民族浄化」の定義と真相

「 97年に入ると、KLA(コソボ解放軍)と称する謎の急進派武装集団がユーゴ警察を襲撃する事件が相次いだ。ユーゴ政府はこれを重視し、テロ活動として鎮圧に乗り出した。98年2月に発生した大規模な紛争では、1000人以上の死者がでて、約30万人の避難民が厳冬に放り出されることになった。
 9月にはコソボ中部の村で、子供、老人、女性を含む約30人のアルバニア系住民が虐殺された。欧州各国では、これをセルビア治安部隊による虐殺行為として一斉に非難した。
 さらに今年1月には、KLAの拠点ラチャク村で……」⇒全文を読む

24号:Racak検証(2):農民虐殺デッチ上げでBBC他を戦犯告発

 ユーゴ戦争は「メディア戦争」と呼ばれていますが、私は、NATO側のメディアを「戦犯」として告発し、その告発状として、この検証シリーズを続けます。
 CNN(アメリカ),BBC,スターニュース(イギリス)は、ユーゴ当局がアルバニア系住民を虐殺したと称する血なまぐさい映像入りニュースを流して、国際世論をデッチ上げ、NATO軍がユーゴ空爆に踏み切る直接の切っ掛け作りました。⇒全文を読む

24号:Racak検証(3):何とまた『読売新聞』だけが「演出」疑惑報道

 ユーゴのミロシェヴィッチ大統領が戦犯として「人道に対する罪」に問われる最大の根拠、ラチャク村のアルバニア系住民45人の「大量虐殺」説に疑問を呈する記事が、何と、日本の平和主義者が、こぞって憎み、それゆえに絶対に読まない新聞、ゴロツキのナベツネ独裁支配下の読売新聞に「だけ」載っていました。
 情報とは、情けないことに、こういうものなのです。⇒全文を読む

24号:Racak検証(4):朝日は遅れてローマ発米従属記事

 このローマ発の朝日新聞の記事では、『ルモンド』などのフランス紙の記事に出ていたはずの具体的な「疑惑の根拠」が、まったく欠落しています。これは不公平です。さらに、『ワシントン・ポスト』記事の引用が正確だとしても、この朝日新聞の記事からは、「住民45人の遺体」が、いつ、どこにあったのか、だれが「発見」したのか、それが、どうして「イスラム寺院」(当然、アルバニア人側)から、「プリシュティナの病院」(当然、ユーゴ当局側)に運ばれたのか、などの初歩的な経過が、まったく分かりません。⇒全文を読む

25号:Racak検証(5):Racak共同全配信、裁判所規定入手

 1999.03.17.「欧州連合(EU)調査団は17日、州都プリシュティナで、ユーゴ側の虐殺かどうかを断定できなかったとする最終報告書を発表した。[中略]会見したランタ調査団長は、[中略]適当な司法機関による調査を待つべきだと述べた」。
 この「会見」の一週間後、「適当な司法機関による調査を待つ」ことなく、空爆が開始されたのです。⇒全文を読む

25号:Racak検証(6):Racak事件発生当初のセルビア内務省声明

 声明によれば、治安部隊は合計で41の火器を押収しています。死体が火器を握っていないのは、そのせいなのではないでしょうか。
 私は、これを読みながら、特に最後の段落では、全身が凍り付く想いをしましたが、皆様は、いかがでしょうか。 ⇒全文を読む

25号:Racak検証(7):セルビア内務省声明訳文&訂正

セルビア共和国内務省公式声明
 昨日、1月15日早朝、5日前にスヴェティスラフ・プルジッチ巡査を殺害したテロリスト集団を逮捕しようとしていた警察は、スティムリェのラチャク村を封鎖した。ラチャク村に通じる道で、テロリスト集団は塹壕、遮蔽物、防壁から機関銃と携帯用手榴弾発射装置で警察を攻撃してきた。
 ゴラン・ヴチツェビッチ巡査が負傷し、セルビア内務省の車数台が損傷された。警察は撃ち返し、テロリスト集団を全滅させた。この戦闘で、テロリスト数十人が死亡し、その大多数が、いわゆるコソボ解放軍(KLA)の徽章のついた制服を着ていた。
……
 内務省は、現場調査が適切な調査機関によって遂行されなかったため、メディアの操作と誤用がありうることを警告する。⇒全文を読む

25号:Racak検証(8):最も扇情的だった読売新聞

読売新聞(1999.1.17.) 本誌編集部 注1:以下のように「虐殺」と断定。「ウイーン」発で、現場は見ていないことも歴然。
コソボ住民40人虐殺  セルビア側関与か ⇒全文を読む

25号:Racak検証(9):共同通信「ラチャク」村事件の配信状況

 日本の大手メディアは、すべて、共同通信の加盟社であり、以下の記事は、すべて配信されていただけでなく、niftyのデータベースでも、すべて常時検索できたのですから、結果責任として、以下に含まれる「疑惑情報」や「ユーゴ当局発表」を握り潰し、報道せず、NATO寄りの「ユーゴ悪玉説」を報道し続けてきた大手メディアには、NATOによる「民族浄化」をキーワードとする戦時プロパガンダと、日本政府の憲法違反の「空爆ご理解申し上げ」追随外交に積極的に協力した戦争犯罪を問わなければなりません。⇒全文を読む

26号:Racak検証(10):『ル・モンド』(1999.1.21)

ラチャクの死者はほんとうに虐殺されたのか クリストフ・シャトレ記者
 18日に現地に入った本紙記者の取材で、ラチャクの村民虐殺というストーリーには疑わしい点が出てきた。
 OSCEの検証団によれば、虐殺は15日の午後早く行われたとされている。朝からユーゴ軍の装甲車が攻撃していた村に、このとき、目だけを出した頭巾を被ったセルビアの警官隊が侵入。各戸の戸を開けさせて、女は中に残し、男だけを村外れにつれだし……⇒全文を読む

26号:Racak検証(11):『リベラシオン』(1999.1.22)記事

 特に興味深いのは、冒頭部分です。「村民虐殺」の一方的な発表をした全欧安保協力機構(OSCE)が、「最初の判定」で、「殺戮現場の修正が行われた」としていると言うのです。しかも、「残る一部はセルビア治安部隊と交戦中に死んだと見られる」と言うのですから、そう言わざるを得ない状況、たとえば制服の着用などの事情が考えられます。
『リベラション』(1999.1.22) 殺戮のあと場所を移された遺体 ⇒全文を読む

26号:Racak検証(12):『ワシントン・ポスト』(1999.1.28)記事

 「電話の傍受」(盗聴)とか、度重なるKLA掃討作戦の結果、「廃村」(ghosty place)になっていたはずの村に「住民」がいたり、「射撃用意の命令が聞こえたので、全力で逃げ」た「生存者」がいたり、フォーサイスもかくやのドラマチックな展開振りですが、最後の方の「フィンランド法医学検証団が現地入り。鑑定結果は上記の証言と何等矛盾しなかったと、西側高官は言っている」という部分は、これも先に送った『共同通信』の「虐殺かどうかを断定できなかったとする最終調査結果」と矛盾します。
虐殺の真相隠蔽図るセルビア 電話盗聴で露になったコソボ報復の陰謀
ワシントンポスト(1999.1.28) ラチャク発1999.1.27. 抄訳:萩谷良
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27号:Racak検証(13):「真偽めぐり論争」KLA制服?

 ラチャク村の死体は合計で46とされています。これが、村民の「虐殺」か、KLA掃討作戦による戦死者かどうかが、基本的な争点です。NATOは、「村民の虐殺」と決め付けて、「人道的介入」と称する空爆を決定したのです。この決定的な「戦死者かどうか」の判断の一つの根拠として、「死体がKLA制服を着ていたか否か」が問われているわけです。
 ところが、この基本的な争点に関しては、まるで真っ逆様の報道、報告が入り乱れたままなのです。 ⇒全文を読む

27号:Racak検証(14):ペンは剣より酷い「発表報道」の典型

 私は、ラチャク村「虐殺」を、KLA掃討作戦の死体を民間人の死体だと偽った「デッチ上げだ」と判断していますが、その判断に立つと、全欧安保協力機構(OSCE)のコソボ検証団の団長で元外交官のアメリカ人、ウォーカーの、検死も何もなしの「虐殺」発表を、そのまま報道したメディアは、ペンとして「酷い」だけではなくて、「剣」をも呼び込んだのですから、二重に酷いと言わざるを得ません。⇒全文を読む

28号:Racak検証(15):市民を汚染する作為情報

 わがホ-ムペ-ジ情報を簡略にまとめて下さった『アジア国際通信』記事の一部紹介です。自分では次々に情報を入れながら、筋を追う物語展開にまで手が回らない状態なので、非常に有り難く、感謝しています。⇒全文を読む

30号:Racak検証(16):ラチャク「虐殺」発表者ウォーカーの正体(前)

1999年1月26日 ラチャク村のアイロニー あのウォーカーが虐殺を非難するとは
ドン・ノース

 セルビア政府当局の民間人殺戮の責任を追及する役割を、ほかならぬウォーカーが負っているという状況は、暗いアイロニーを感じさせた。彼は、80年代に中米3カ国、ホンジュラス、ニカラグア、エルサルバドルで米国の支援のもとに行われた軍事作戦で重要な役割を果たした人物の一人だからだ。
 当時それら諸国で米国の支援を受けた勢力が非武装の民間人や敵側捕虜に対して行った蛮行については、十分な資料で裏づけられている。それでも冷頑政権は、殺人の事実を無視するか、報道に文句をつけるか、殺人をなるべく取るに足りぬ規模だと言おうとするのが、つねだった。
 この3カ国で、何万人もの民間人が連合軍の手で命を落としたにもかかわらず、戦争犯罪法廷が召集されたこともなければ、召集が真剣に考えられたこともなかった。⇒全文を読む

30号:Racak検証(17):ラチャク「虐殺」発表者ウォーカーの正体(後)

 この記事は、当方既報のラチャク村『虐殺』報道そのものへの疑惑については、わがWeb週刊誌『憎まれ愚痴』と最終的な見解を異にする。「セルビア側」の主張を紹介してはいるものの、『ル・フィガロ』『ル・モンド』『リベラシオン』などの、疑惑提出記事の存在を知らなかったようであり、その点にも不満が残る。
 しかし、事件後直ちにアメリカの足元で、キーパーソンの過去の「実績」が暴かれ始め、さらにはKLA(コソボ解放軍)の実態についても、「アルバニア系人に対してすら、ぎょっとするほど粗暴だ」などという「米国の外交官」の批判的発言を記録されていたことは、大いに注目に値する。⇒全文を読む

30号:Racak検証(18):待望の『ル・フィガロ』記事(前)

ラチャク村でほんとうに殺戮が行われたのか? Kosovo: questions sur un massacre
Le Figaro 1999.1.20 ルノー・ジラール特派員

 ラチャク村で実際にはどんなことがあったのか。アルバニア系人とOSCEによれば、1月15日にセルビア治安部隊が45人の民間人を殺戮したというが、実際の攻勢の状況を目撃していた本紙特派員の報告は、この公式報告とは裏腹である。⇒全文を読む

32号:Racak検証(19):仏疑惑報道を国際行動センターも感知

 サラさんが、静かにパソコンに向い、コピーしてくれた5頁のURL:
 http://www.iacenter.org/racak.htm
 記事はパリ発、ダイアナ・ジョンストンによる「報道批評」(Press Review)で、題は、「フランスのメディア"ラチャク虐殺"に疑問符」
(The "Racak Massacre" Questioned by French Media)
 となっています。内容は、上記『ル・フィガロ』『ル・モンド』記事の英語訳に加えて、フランスではテレヴィ報道もあったことが記されており、同時に、それらが、OSCE(全欧州安全保障機構)のコソボ停戦監視団の団長、「ウォーカー他のメンバーに対する強烈な反発」(strong irritation)を示唆するドイツでの報道と一致する(coinsides)としています。これにより、出典資料の範囲が広がったことになりますが……⇒全文を読む

34号:Racak検証(20):NHKユーゴ「虐殺」録画求む!

 Web週刊誌『憎まれ愚痴』にて、ユーゴ問題を特集しつつ、日本版「NATOを裁く独立国際戦争犯罪法廷」の証拠資料を準備していますが、特に記録を入手し難いのは、テレヴィ報道です。
すでに何度もNHK広報と掛合い、本日、最終的に、公式通りの拒否回答しか受け取れず、これまでにも何度か思い詰めたことのある情報公開請求の裁判を、ついにやるかと考慮中です。これも、実におかしな話で……この春の機構改革とかで、広報内に「経営広報」という偉そうなセクションが新設され、そこに口八丁手八丁型の人材が配置され…⇒全文を読む

35号:Racak検証(21):NHK&東大教授が陥ったKLA売り込み映像の罠

 写真週刊誌『フライデー』のオドロオドロのNATO寄り記事を見たNHK担当者が、その影響を受けて番組を作ったという可能性が高いのであり、それに出演した大学教授が、揺れに揺れたのです。最早、写真週刊誌の「ゲリラ」をも、期待し得ないような絶望的かつ末期的なメディア状況に、立ち至っているのでしょうか。⇒全文を読む

36号:Racak検証(22):待望の紙ゲリラ反撃はワシントン取材

 この報に接した某女性平和運動家が、ついつい反射的に、「でも、あの嫌らしい裸の写真の雑誌でしょ。めくって見る見る気にもならないわ」などと口走ってしまう『週刊プレイボーイ』誌上において、ついに待望のゲリラ(注)反撃が始まったのであります。
週刊プレイボーイ』(1999.9.7) 《迷走のアメリカ》第4部 「ユーゴ空爆」編・第2回 捏造されていた民族浄化事件 アメリカ国務省とコソボ解放軍の「闇」の結束。 すべては陰謀から始まった…… ⇒全文を読む

36号:Racak検証(23):NHK「現地ルポ」採用の危うさ

 合わせて2本の「虐殺断定」の『フライデ-』記事を書いた木村元彦さんが、上記番組では、NHKに「死体」の映像を提供するだけではなくて、別の場所で収録したらしい録画で出演し、それらの記事と同様の見解を述べているのです。そういうわけなので、これらの記事における木村元彦さんの主張の検討は、同時に、木村元彦さんの「現地ルポ」を採用したNHKの眼力の評価にも、つながります。そこで、まずは記事全文を紹介し、その後に、疑問点を列挙します。⇒全文を読む

39号:Racak検証(24):先のユーゴ戦争mail&HPに注記

 先に、「NHK経営広報部から『録画を見せる』の回答」の題で、本年2月3日放映、NHK衛星第1夜10:00~11:00BS22「報告:コソボ憎しみと対立の構図」を、同部内の試写室で見せる旨の電話回答を得た件を記したmailについて、以下の部分の記述の仕方について、下記の「木村元彦さん自身」から1999.9.20.深夜直前、長時間にわたる電話がありました。
 なお、わがHPを正確に読んで頂ければ、お分かりのように、私が批判しているのは、木村元彦さん個人ではありません。⇒全文を読む

39号:Racak検証(25):嵌められたミロソビッチ(playboy1) ⇒(『週刊プレイボーイ』ユーゴ戦争連載一括リンク

『週刊プレイボーイ』連載《迷走のアメリカ》第4部『ユーゴ空爆』編 (取材・文/河合洋一郎氏)
本誌編集部による評価と解説は別途。⇒全文を読む