Racak(ラチャク)村「虐殺報道」検証(20)

ユーゴ戦争:報道批判特集 / コソボ Racak検証

NHKユーゴ「虐殺」録画求む

1999.8.20

1999.8.16.mail再録・改訂増補、一部省略、ユーゴ連載と重複。

 このところ、わがWeb週刊誌『憎まれ愚痴』にて、ユーゴ問題を特集しつつ、日本版「NATOを裁く独立国際戦争犯罪法廷」の証拠資料を準備していますが、特に記録を入手し難いのは、テレヴィ報道です。ラディオに至っては、わがチャリン語学こと、チャリンコ・ウォークマン学習中の米軍放送録音は別格として、まるで私の守備範囲外ですので、諦める他ありません。しかし、一般に最も影響力の強いのがテレヴィ報道なので、現在、その代表選手としてNHKをアタックしています。

 ついては、本年2月3日放映、NHK衛星第1夜10:00~11:00BS22「報告:コソボ憎しみと対立の構図」の録画を提供して下さる方が、どこかにいないものかと、無い袖に縋る想いで、皆様にmailする次第です。立場上など、ご都合があれば、個人宛てにでも、その可能性をお知らせ下さい。

 この番組の件では、すでに何度もNHK広報と掛合い、本日、最終的に、公式通りの拒否回答しか受け取れず、これまでにも何度か思い詰めたことのある情報公開請求の裁判を、ついにやるかと考慮中です。これも、実におかしな話で、これまでにも何度か、番組担当者に電話をして録画を見たい事情を話すと、気軽に会ってくれたり、見せてくれたりしていたものが、この春の機構改革とかで、広報内に「経営広報」という偉そうなセクションが新設され、そこに口八丁手八丁型の人材が配置され、難しい問題については「対応窓口を一本化する」と言うことになった模様なのです。

 放送には放送法がありますが、それが、情報公開の上では逆効果になっています。皮肉屋の故中野好夫が、「NHKという機関は、空に消えるのをいいことに、理由は知らぬが、あとから知らぬ存ぜぬとは何の謂か」(『中央公論』1979.10)と批判していますが、事情はまるで変わっていません。

 別に法律のない新聞や出版の場合、担当者次第ですが、気軽にFAXで該当記事を送ってくれます。今回のラチャク村「虐殺」報道の場合には、新聞の紙面には出なかった共同通信の配信記事さえ、直接FAXで入手できました。実は、niftyの有料頁にも入っているようですが、当節では、そうしない方がおかしいのです。

 情報公開と市民の目による検証なしには、真の言論の自由、民主主義の確立は不可能です。この子供でも分かる簡単な原理が、放送では無視、蹂躙され続けているのでして、私などは、最早逃れようにない放送OBとして、このためばかりではないのでしょうが、何かと言えば、自称「活字メディア」の、実際にはエゲツナイ写真映像に頼り、放送と同様の下らない記事しか掲載していない連中に偉そうに出られて、ああ、こん畜生、ああ、人生は一回しかないのだと、何度も不愉快極まり無い想いをしています。ああ、口惜しい!

 今度は、NHK経営広報のエリートちゃんが、あまりにも建て前にこだわるので、私が、言論の自由の問題で「国防総省の極秘資料を暴露したエルズバーグ」の例を出したところ、まったく知らないようでした。NHKの採用試験には必要のない、むしろ知っていると危険な知識なのかもしれませんが、最近のエリート育成大学などでは、こういう言論の歴史を教えていないのでしょうか。

 なお、上記番組録画に私が固執するのは、その背後に、以下のような特徴的な物語が潜んでいるからです。mailに、つぎの集会の情報が流れたことを記憶している方も、おられると思います。

世界の自主・平和をめざすつどい
-NATOのユーゴ空爆即時停止!

4月28日(水)午後6時30分より8時30分

講演「武力によって民族問題は解決されない」

柴 宜弘(東京大学大学院教授)

場所 豊島区民センター音楽室
JR池袋東口より5分 TEL:03(3984)7601
問い合わせ 実行委員会 電話 03(3981)0385

 この集会に私は参加できませんでしたが、参加した方から、講師の柴さんが、国際法上ではNATOの違法行為を咎めながらも、「空爆はやむをえない」と語ったので、困ったというのです。いわゆる「民族浄化」を非難する立場からは「人道的介入」の合法化という屁理屈が出ているのですが、その立場を容認する主張のように聞こえました。

 ところが、その柴さんが、『中央公論』(1999.6)掲載記事「ミロシェビッチの素顔」では、ラチャク村「虐殺」に関して、つぎのように慎重に記していたのです。

 99年1月、欧州安保協力機構(OSCE)の停戦合意検証団がコソボ南部のラチャク村で、アルバニア人45人の遺体を確認した。このニュースは「コソボ虐殺」として、世界中に大きな衝撃を与える。遺体はコソボ解放軍兵士なのか村民なのか事実解明が進む前に、セルビア治安部隊による住民虐殺都の政治的判断が一人歩きした。セルビアによる「民族浄化」といった表現が多用されるようになっていく。クロアチア内戦とボスニア内戦以来、国際社会には「セルビア悪玉論」や「ミロシェビッチ悪玉論」が根強く残っており、アルバニア人保護という人道的な立場からNATOによるユーゴ空爆やむなしという国際世論が強まっていく

 さらにその後、柴さんが、上記の1999.2.3.NHK衛星第1:BS22「報告コソボ憎しみと対立の構図」に出演されたことを知りました。この番組では、直接会って話したこともある木村元彦さんが撮影したラチャク村の「虐殺」死体の映像が使われたと聞きました。

 木村元彦さんは、これも私が参加できなかった集会で、「虐殺と思った」と発言したと聞いております。別途、1999.2.5.号の『フライデー』掲載記事「“狂気の共和国”で焼かれ、目をくり抜かれ……コソボ自治州の『虐殺遺体』が語るもの」の執筆者であるとも聞いております。木村元彦さんには電話で、別途HP資料の共同通信配信記事、死体の検死結果、簡単に言うと、40の内37遺体から銃撃をした証拠となる化学物質を検出、を話したところ、彼は絶句してしまいました。

 別途HP資料のごとく、私は、これが「虐殺」ではなかったことは、絶対に間違いないと確信できますので、木村元彦さんの「思い込みを誘った」国際的な大手報道の戦争犯罪として、私は、上記の独立国際戦争犯罪法廷の日本版への準備を進めています。情報提供して下さる方は、つぎの電話またはFAXでも結構ですから、ご連絡下さい。

 TEL&FAX:0422-54-7476 木村愛二

 以上の経過の後、1999.8.23.NHKから電話があり、1999.8.25.NHK広報局にて、上記番組の録画を見ることができた。その経過は次回に報告する。

以上。


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